開幕まで1ヶ月に迫ったジャパンカップの出場メンバーが発表された。ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)、留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)、新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)ら、国内外のトップ選手が宇都宮に集結する。



記者発表会の会場となったのは大会メインスポンサーである株式会社スバルのショールーム SUBARU STAR SQUARE photo:Makoto AYANO
ジャパンカップ出場の海外トップチームのバイクとジャージがディスプレイされた photo:Makoto AYANO


ジャパンカップ2025記者発表会の登壇者たち photo:Makoto AYANO

開幕までピッタリ1ヶ月。9月17日(水)、東京都渋谷区の「SUBARU STAR SQUARE」で宇都宮を沸かせる第32回ジャパンカップサイクルロードレースの記者発表が開催され、出場メンバーが発表された。

既に発表があった通り、今年のジャパンカップに参戦するUCIワールドチームは合計6チーム。ニールソン・パウレス(アメリカ)の小集団スプリントで昨年大会を制したEFエデュケーション・イージーポストを筆頭に、バーレーン・ヴィクトリアスやリドル・トレック、コフィディス、アンテルマルシェ・ワンティ、ジェイコ・アルウラーが参戦する。

セカンドディヴィジョンに当たるUCIプロチームは、イスラエル・プレミアテックとソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、ノボ ノルディスク、そしてチューダープロサイクリングの4チームが参戦。ポギチーム・グスト・リュブリャナは唯一の海外UCIコンチネンタルチームだ。さらにツアー・オブ・ジャパンを制したTEAM UKYOを筆頭に、愛三工業レーシングチーム、キナンレーシングチーム、シマノレーシング、宇都宮ブリッツェン、VC FUKUOKA(初出場)、ヴィクトワール広島、そして日本ナショナルチームが海外勢を迎え撃つ。

MCアリーさんの軽妙なトークで発表会は進行 photo:Makoto AYANO
マスコットのミヤリーと挨拶する佐藤栄一・宇都宮市長 photo:Makoto AYANO


ウイメンズクリテリウムの開催をアピールした競技主管の大島研一さん photo:Makoto AYANO
栗村修さんが出場チームを紹介していく photo:Makoto AYANO


東京・恵比寿のSUBARU STAR SQUAREで開催されたジャパンカップ2025記者発表会 photo:Makoto AYANO

今年からの試みとして一般ファンが詰めかけた記者発表会は、MCアリーさんの司会進行と、佐藤栄一宇都宮市長の挨拶で開幕。ゲストとして栗村修さん(ツアー・オブ・ジャパン組織委員会委員長)が登壇し、お馴染みの軽妙なトークで出場チームと注目選手の紹介を進めた。

ミランやマシューズが参戦。日曜日の本戦は予想不可能?

ツール・ド・フランスでステージ2勝を挙げ、マイヨヴェールを獲得したジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

今年一番のビッグネームは、ツール・ド・フランスでステージ2勝を挙げてマイヨヴェールを獲得したジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)だ。リドル・トレックはジュリアン・ベルナール(フランス)やカルロス・ベローナ(スペイン)といった経験豊富なアシスト勢が揃えており、若手やトレーニーを中心に据える他チームに対して圧倒的なプレゼンスを発揮するだろう。

なお現在、リドルはジャパンカップクリテリウムを5連覇中。ミランは東京五輪のチームパシュートで金メダルを獲得した思い出の地、日本でチームの連勝記録を6に伸ばせるだろうか? ロードでは2029年までの長期契約を結んだマティアス・ヴァチェク(チェコ)がエースを担うだろう。

スプリント勝利したマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

チーム・ジェイコ・アルウラーのマウロ・シュミットとマシュー・ヘイマン監督がビデオレターを寄せてくれた photo:Makoto AYANO
出場チームを紹介する栗村修さんとMCアリーさん photo:Makoto AYANO



リドルと並ぶチーム戦力を誇るのがオーストラリアのジェイコ・アルウラー。なんといっても注目は、土曜日のスプリントも、古賀志林道の登坂にも十分対応できるマイケル・マシューズ(オーストラリア)。今季は体調不良でツール・ド・フランスを走れず、復帰戦のブルターニュ・クラシックとGPケベックで連続トップ10入りと士気は高い。スイスのロード/TT王者であるマウロ・シュミット(スイス)や、クーン・ボウマン(オランダ)など、サバイバルな展開で活躍できるクライマーがその脇を固める。

連覇がかかるEFエデュケーション・イージーポストは、日本人唯一のワールドツアー選手である留目夕陽を2年連続参戦させる。登坂力のあるアレックス・ボーダン(フランス)は光る走りを見せられるか。懸るのはチームとして7度目のジャパンカップ優勝だ。2023年にルイ・コスタが制しているNIPPO参画のアンテルマルシェはGPモンレアル6位のルイ・バレ(フランス)が主軸。育成チームに所属する今村駿介はリザーブ登録となっている。

2023年に自身2度目のツール区間優勝を掴んだヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) photo:A.S.O.
昨年のジャパンカップで3位に入ったマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo: Yuichiro Hosoda


ブエルタでマイヨロホを着用したトースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.

バーレーン・ヴィクトリアスのエースは、クラシックハンターのマテイ・モホリッチ(スロベニア)だ。昨年大会3位に入った下りの名手を支えるのは、フレッド・ライト(イギリス)や、ブエルタ・ア・エスパーニャでマイヨロホを着たトースタイン・トレーエン(ノルウェー)。トレーエンは日本のクォーター選手という縁も持っている選手だ。

連続参戦するコフィディスはベテランのヨン・イサギレ(スペイン)が主軸。かつてツールでステージ2勝を挙げたベテランクライマーは秋口のモンレアルでも上位フィニッシュするなど好調。イスラエル・プレミアテックは年明けで引退する予定のサイモン・クラーク(オーストラリア)や、ドイツツアーを総合3位で終えたライリー・シーハン(アメリカ)、初参戦のチューダーはマルコ・ブレナー(ドイツ)らを擁してジャパンカップに挑む。

新城幸也擁するソリューションテック・ヴィーニファンティーニ photo: Yuichiro Hosoda

TEAM UKYOも十分に優勝候補の一角 photo:Satoru Kato
連続出場となるイスラエル・プレミアテック photo:CorVos



ワールドツアー勢に割って入りそうな注目チームが、新城幸也率いるソリューションテック・ヴィーニファンティーニ。似たコース設定の「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025」で勝利したロレンツォ・クアルトゥッチ(イタリア)やベテランのヴァレリオ・コンティといった強力メンバーを据える。新城幸也の采配にも注目だ。

チーム力で突出しているのはリドル・トレックとジェイコ・アルウラーの2チームで、あらゆる状況下でメンバーを展開に乗せてくるはず。そして今年はUCIワールドチーム残留争いの年であり、2026年シーズンからのワールドツアーライセンスを懸けたサバイバルレースが白熱している真っ只中。18チームが残留できる最新のランキングで、当落線上の18位アンテルマルシェと19位コフィディスはどちらもジャパンカップに出場する。勝利だけではなく、複数名をポイント圏内に送り込まんとする、複雑なチーム戦略も絡み合うだろう。

また、ツアー・オブ・ジャパンの総合優勝の勢いを維持してイタリアレースを連戦したTEAM UKYOや、地元宇都宮ブリッツェンも良い走りを見せたいところ。ジャパンナショナルチームからは日本人最高成績となる総合10位に入った金子宗平(群馬グリフィン)が出場する。

「Astemo宇都宮ブリッツェン」が登壇。餃子モチーフのジャージでジャパンカップを走る

アステモを新スポンサーに迎え、餃子をモチーフにしたデザインのジャージで登壇した宇都宮ブリッツェン photo:Makoto AYANO

全面に餃子をモチーフにしたジャージのデザイン photo:Makoto AYANO
最後には抽選会も。ジャパンカップグッズを佐藤市長から受け取る観覧者 photo:Makoto AYANO



記者発表会の後半にはホストチームの宇都宮ブリッツェンが登場。既に発表があった通り新スポンサーを迎え、ジャパンカップから「Astemo宇都宮ブリッツェン」を名乗るチームからは廣瀬佳正GM、鈴木真理監督、谷順成キャプテン、岡篤志選手が登壇。宇都宮名物の餃子をモチーフにした「スパイダーマンっぽくていいな(谷選手談)」ジャパンカップ専用のジャージを披露した。