今日・明日の2日間、秋ヶ瀬公園で開催されている東京サンエスのブランド体験試乗会。たっぷり揃った試乗車に、開幕を控えるシクロクロスのスクール、自由な魅力を体験できるグラベルライド、そして充実内容のトークショー。「速さだけじゃない自転車の楽しみ方」を提案する、素敵なグラスルーツイベントを紹介します。



秋ヶ瀬公園にずらりと並んだ東京サンエスのバイクたち。オリジナルのJFFシリーズや、各種パーツを試す絶好の機会だ photo:So Isobe

秋ヶ瀬公園の「こども広場」に足を踏み入れると、派手な音楽やバナーはなくて、ただただ、広い芝生の上に自転車が並んでいる。「イベント」というより、ちょっとしたピクニックのような感じ。しっかり狙って来た人も、ふらっと立ち寄った人も。それぞれのペースで楽しめる緩い空気がイイ感じ。

OnebyESU(ワンバイエス)をプロデュースし、オリジナルスチールバイクの「JFFシリーズ」の開発生産や、海外ブランドの輸入代理店も務める東京サンエスのイベントは今年で3年目。ずらり並んだ最新のJFFやリッチー、ソーマといった各モデルの試乗はもちろんのこと、豪華ゲストによるシクロクロスレッスン、周囲に広がるグラベルフィールドを走る「サンエス荒川グラベルライド」、さらには「サンエスベース羽根倉通り KURU」に場所を移してのトークセッションなど、無料とは思えない充実の内容でじわじわと人気を集めている。

辻浦圭一さんと、鈴木来人選手を講師に招いたシクロクロススクール photo:So Isobe

CXスクールはなかなかタメになる内容。普段なかなか練習できないことを学べます photo:So Isobe
グラベルライド班、出発です。3グループに分けてそれぞれのペースで楽しみます photo:So Isobe



東京サンエスのスタッフさん、特に開発を主導する上司辰治(かみつかさ・たつじ)さんと話していて、いつも強く感じるのは「速く走らなくてもいいんですよ」というメッセージだ。高性能化が進むマスプロメーカー製の多くのスポーツバイクは「速く走ること」を要求してくるけれど、東京サンエスの製品はそうじゃない。とっつきにくさとも取れる硬さや軽さを求めるのではなく、乗り手の身体と感性に馴染むものを作りたい、という思いがその根底にはある。

そんな思いがあるからこそ、東京サンエスのオリジナル製品はとにかく種類が多い。JFFシリーズのフレームにしてもバリエーションは多岐に渡り、しかも全部金属フレームなこともあって、ぱっと見は同じように見えるけれど、その一つ一つにはしっかりとしたメッセージが刻まれている。無限とも思えるラインナップを誇るハンドルバーの中には、かなり奇抜な形状のものもあるが、試しに使うとしっくり馴染んだりする。だからこそ、そんな「試してみないと良さが分かりにくい」バイクや、そこに取り付けられたパーツたちを、思う存分試せるこのイベントは大きな意味がある。

ちょっと奇抜、でも使ったらスッと馴染む。そんな製品も数多い photo:So Isobe
今年4月にデビューしたJFF#503。リムブレーキのクロモリロードバイクだ photo:So Isobe


試乗に来た方も「これめちゃくちゃイイ!買います!」(本当に仰ってました) photo:So Isobe

今回いちばんの注目モデルは、リムブレーキの新型クロモリロード「JFF #503」。ほかのモデル同様、決して目立つものではないけれど、上司さん曰く「一番最初にロードバイクに乗った時の驚きを思い起こせるようなバイクを目指して工夫を重ねた」というバイクは、現代のパイプを使いつつも、スルーアクスルとフラットマウントのディスクブレーキのバイクとは違う、流れるライドフィールを最大限味わえるもの。筆者も少しだけ乗ることができたけれど、決して軽いとは言えない車体なのに、ペダリングに遅れることなくスッ、スッ、っと気持ちよく走っていく感覚は、今とても新鮮なものだった(上司さんのJFF#503に対する思いは別記事で紹介します)。

フラットグラベルが続く荒川河川敷。 堤防上の「荒サイ」だけじゃないんです photo:So Isobe

コースは「こんなところにこんな道があったんだ!」の連続 photo:So Isobe
グラベルは経験者グループに任せて、ビギナー班は舗装路でのんびりツーリング photo:So Isobe


文明堂のソフトクリーム(美味しいです)で小休止。この後KURUでソフトのハシゴをした猛者もいたとか、いなかったとか photo:So Isobe

愛車を泥だらけにして帰ってきた。グラベルバイクはこうでなきゃ! photo:So Isobe
固定のトラッククロスで参加したお父さんと息子さん。とっても頑張りました◎ photo:So Isobe



サンエスと深い関係を築いた往年の名選手、辻浦圭一さんと、鈴木来人選手を講師に招いたシクロクロススクールは、初心者フレンドリーでありながら、リザルトや昇格を目指す熱心なクロッサーにも有効なもの。荒川の周囲に(実はたくさん)広がる未舗装路を繋いで走る「サンエス荒川グラベルライド」は経験別のグループに分けて、参加者全員が辛い思いをせずに、手軽にグラベルライドの魅力に気づくことのできる素晴らしい内容だった。

トークを進めるのは開発者の上司さん、辻浦さん、鈴木選手 photo:So Isobe

13時半からKURUで開催されるトークセッションのテーマは、「ワンバイエスフレームのオーナーを交えた多様性あるフレームの魅力について」。

なんだかテーマが堅苦しくて分かんないよ!と腰が引けてしまうかもしれないけれど、実際の内容はそんなことはなく。ワンバイエスフレームのリアルなオーナー4人を招き、それぞれがどういうカスタマイズをして、どういう走り方を楽しんでいるかというもので、上で書いたように、バリエーションが多くて特徴が分かりづらい同ブランドだからこそ、ユーザーの実体験を聞けるのは良い機会でしかない。

古くはリッチーや東洋フレームなど、あらゆるビルダーとコラボしてきた上司さんだからこそ知り得る開発の裏話や苦労話もたっぷりで、レッスンに引き続き参加する辻浦圭一さん、鈴木来人選手の乗り手目線の話。それに、オーナー4人がそれぞれのバイクに思う本音トークは、自転車メディアである僕自身、すっかり聞き入ってしまうほど濃くて深い内容で、とても面白かった。

ワンバイエスのユーザーと対談する、とっても有意義なトークショー photo:So Isobe

夏のライド後でも重たくない、スッキリ爽やかなKURUのソフトクリーム。東京サンエスの女性社長、渾身の作です photo:So Isobe
夏季限定のソーダも頂きました。甘すぎず、ライド後にぴったりなお味(編集部注:取材だからって頼みすぎでは??) photo:So Isobe



「ビギナーも、ベテランも、それぞれの楽しみ方でいい」。「速さだけが正義じゃない、自転車の遊び方はもっと自由でいい」。そんなサンエスのメッセージを感じることのできるイベントは、明日9月14日(日)も同内容で開催予定。シクロクロススクールとグラベルライドは既に定員いっぱいになってしまったけれど、試乗会やトークショーは事前申し込み不要で参加できる。

少しでも「いいな」と思った方は、明日ふらっと秋ヶ瀬に足を運んでみてはいかがでしょう。きっと、自分なりの楽しみ方に出会えるはずだから。

イベントタイムスケジュール (c)東京サンエス

詳細は東京サンエスのイベントページを確認のこと。

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