スイス、バレー州を舞台にしたMTB世界選手権のクロスカントリー競技がスタート。初日となった混合チームリレーではフランスが金メダルを獲得。男女エリートのプレビューと併せて紹介する。

アルプスの山岳リゾート、クラン・モンタナで開催されるクロスカントリーの世界選手権 photo:UCI
スイスはバレー州全域を舞台としたMTB世界選手権で、大トリを務めるクロスカントリーレースが本日2025年9月11日から9月14日まで開催される。
アルプスの山岳リゾート地クラン・モンタナに設定された3,800mで獲得標高160mのコースは、世界選手権を見据えて2024年のワールドカップで初登場したもの。その際はあまりにもクラッシュが多かったことで幾つかのセクションが難易度を落としたものの、依然としてキャンバーの下りや激しいドロップオフは残され、選手たちのフィジカルとテクニックを問うものだ。
シューター最後の世界選手権、ファンデルプールのタイトルなるか? 好調コレツキーとブレヴィンスは?

クロスカントリーチームリレー。カナダの猛追を振り切って3位銅メダルを確保したニノ・シューター(スイス) photo:UCI
MTB大国スイスの熱視線を集めるのはキャリア最後の世界選手権となるニノ・シューター(スイス)。世界選手権10勝、ワールドカップ36勝、オリンピックメダル3度獲得というレジェンドは、翌週にレンツァーハイデで開催されるUCIワールドカップを最後に引退を予定しているが、今年はトップコンディションに戻せない状態でいる。
シューターはUCIが作成したインタビュー動画の中で、「リオ五輪で金メダルを獲った時から引退への道筋を考えていたんだ。今、ようやく最後の2レースが決まったからこそ最大限レースを楽めるし、そうしたいと思っている。その一方で厳しいレースを走って自分のベストを尽くしたい」と話している。
男子レースもう一人の注目株はマチュー・ファンデルプール(オランダ)だ。過去にロードとシクロクロス、そしてグラベルでアルカンシエルを獲得しているファンデルプールだが、MTB(クロスカントリー)では2018年のレンツァーハイデで銅メダルを獲得したのみ。先週末のW杯では集団中盤からの追い上げで力を使って6位。保有UCIポイントの少なさゆえに5列目スタートとなるため、序盤のダッシュが重要となるだろう。

コースを試走するマチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:UCI

普段のチームメイトであるコレツキーとブレヴィンス。XCC男子エリートでは接戦の末メダルを分け合った photo:UCI

1週間前のW杯で初優勝を挙げたルカ・マルタン(フランス、キャノンデールファクトリーレーシング) photo:UCI 
ルカ・ブライド(イタリア)やマティアス・フルッキガー(スイス)も優勝候補の一角 photo:UCI
XCC(ショートトラック)で金メダルと銀メダルを分け合ったヴィクトル・コレツキー(フランス)とクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ)の仕上がりぶりは誰の目にも明らか。普段スペシャライズドのチームメイトとして走る2人は、絶好調の序盤戦から一転、シーズン中盤は少し調子を落としていたものの、ここにきてコンディションを合わせてきた。
ダークホースは8月末にUCIワールドカップ初優勝を果たした若き仏王者ルカ・マルタン(フランス)だろう。ルカ・ブライド(イタリア)や昨年度チャンピオンのアラン・ハザリー(南アフリカ)も見逃せない。これまでの世界選で銀メダル2個と銅メダル1個を獲得したマティアス・フルッキガーはスイスチームを率いるエース。母国ファンの後押しでどこまで勝負に食い込めるかに注目したい。
今季勝利数は拮抗、リスヴェッズ、ピーテルセ、マクスウェルにスイス勢は食い込めるか

優勝候補の一人がサマラ・マクスウェル(ニュージーランド)。今季W杯で2勝とブレイク中だ photo:UCI

安定した強さを誇るジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン) photo:UCI 
昨年大会を制したプック・ピーテルセ(オランダ)は連覇なるか photo:SWpix.com/UCI
女子レースの注目は、女子エリートカテゴリーに昇格してから大成功のシーズンを過ごしているサマラ・マクスウェル(ニュージーランド)だ。今期はここまでW杯2勝中で、シーズン後半のポルトガルとフランスのW杯でXCC・XCO全勝優勝しているジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン)とのバトルが期待されている。
昨年度覇者で、同じく今季W杯で2勝を挙げているプック・ピーテルセ(オランダ)はXCCで10位だったものの、登坂力が重視されるXCOでは先頭争いに食い込んでくるはず。XCCで勝利したアレッサンドラ・ケラー(スイス)はヨランダ・ネフたちと共にスイスナショナルチームを率いる存在だが、XCOでそのスピードは最後まで衰えることなく続くだろうか?
なお今回の世界選手権に日本ナショナルチームの派遣はない。
初日のチームリレーでフランスがアルカンシエル獲得

チームリレーを制したフランスチーム photo:UCI

現役最後のチームリレーを走り終えたニノ・シューター(スイス) photo:UCI 
クロスカントリーチームリレー表彰台:1位フランス、2位イタリア、3位スイス photo:UCI
9月11日に開催されたのは、6名の男女混成チームで戦うクロスカントリーチームリレー。スイスやフランスが勝ち星を重ね、昨年はロス五輪に向けて強化を重ねるアメリカが優勝。スイスチームのアンカーをシューターが務めたことでも注目を集めた。
このレースで勝利したのはロアナ・ルコントを主軸にするフランスチームだった。序盤こそ先行を許していたものの、2番目以降の選手は全て各ラップ1,2位のタイムを刻んで2位イタリアを30秒以上引き話して優勝。スイスは最終走者シューターがカナダの猛追を1秒差で振り切って3位銅メダルを獲得している。
本日9月12日には男女ジュニアのクロスカントリーレースが開催される予定だ。

スイスはバレー州全域を舞台としたMTB世界選手権で、大トリを務めるクロスカントリーレースが本日2025年9月11日から9月14日まで開催される。
アルプスの山岳リゾート地クラン・モンタナに設定された3,800mで獲得標高160mのコースは、世界選手権を見据えて2024年のワールドカップで初登場したもの。その際はあまりにもクラッシュが多かったことで幾つかのセクションが難易度を落としたものの、依然としてキャンバーの下りや激しいドロップオフは残され、選手たちのフィジカルとテクニックを問うものだ。
シューター最後の世界選手権、ファンデルプールのタイトルなるか? 好調コレツキーとブレヴィンスは?

MTB大国スイスの熱視線を集めるのはキャリア最後の世界選手権となるニノ・シューター(スイス)。世界選手権10勝、ワールドカップ36勝、オリンピックメダル3度獲得というレジェンドは、翌週にレンツァーハイデで開催されるUCIワールドカップを最後に引退を予定しているが、今年はトップコンディションに戻せない状態でいる。
シューターはUCIが作成したインタビュー動画の中で、「リオ五輪で金メダルを獲った時から引退への道筋を考えていたんだ。今、ようやく最後の2レースが決まったからこそ最大限レースを楽めるし、そうしたいと思っている。その一方で厳しいレースを走って自分のベストを尽くしたい」と話している。
男子レースもう一人の注目株はマチュー・ファンデルプール(オランダ)だ。過去にロードとシクロクロス、そしてグラベルでアルカンシエルを獲得しているファンデルプールだが、MTB(クロスカントリー)では2018年のレンツァーハイデで銅メダルを獲得したのみ。先週末のW杯では集団中盤からの追い上げで力を使って6位。保有UCIポイントの少なさゆえに5列目スタートとなるため、序盤のダッシュが重要となるだろう。




XCC(ショートトラック)で金メダルと銀メダルを分け合ったヴィクトル・コレツキー(フランス)とクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ)の仕上がりぶりは誰の目にも明らか。普段スペシャライズドのチームメイトとして走る2人は、絶好調の序盤戦から一転、シーズン中盤は少し調子を落としていたものの、ここにきてコンディションを合わせてきた。
ダークホースは8月末にUCIワールドカップ初優勝を果たした若き仏王者ルカ・マルタン(フランス)だろう。ルカ・ブライド(イタリア)や昨年度チャンピオンのアラン・ハザリー(南アフリカ)も見逃せない。これまでの世界選で銀メダル2個と銅メダル1個を獲得したマティアス・フルッキガーはスイスチームを率いるエース。母国ファンの後押しでどこまで勝負に食い込めるかに注目したい。
今季勝利数は拮抗、リスヴェッズ、ピーテルセ、マクスウェルにスイス勢は食い込めるか



女子レースの注目は、女子エリートカテゴリーに昇格してから大成功のシーズンを過ごしているサマラ・マクスウェル(ニュージーランド)だ。今期はここまでW杯2勝中で、シーズン後半のポルトガルとフランスのW杯でXCC・XCO全勝優勝しているジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン)とのバトルが期待されている。
昨年度覇者で、同じく今季W杯で2勝を挙げているプック・ピーテルセ(オランダ)はXCCで10位だったものの、登坂力が重視されるXCOでは先頭争いに食い込んでくるはず。XCCで勝利したアレッサンドラ・ケラー(スイス)はヨランダ・ネフたちと共にスイスナショナルチームを率いる存在だが、XCOでそのスピードは最後まで衰えることなく続くだろうか?
なお今回の世界選手権に日本ナショナルチームの派遣はない。
初日のチームリレーでフランスがアルカンシエル獲得



9月11日に開催されたのは、6名の男女混成チームで戦うクロスカントリーチームリレー。スイスやフランスが勝ち星を重ね、昨年はロス五輪に向けて強化を重ねるアメリカが優勝。スイスチームのアンカーをシューターが務めたことでも注目を集めた。
このレースで勝利したのはロアナ・ルコントを主軸にするフランスチームだった。序盤こそ先行を許していたものの、2番目以降の選手は全て各ラップ1,2位のタイムを刻んで2位イタリアを30秒以上引き話して優勝。スイスは最終走者シューターがカナダの猛追を1秒差で振り切って3位銅メダルを獲得している。
本日9月12日には男女ジュニアのクロスカントリーレースが開催される予定だ。
UCI MTB世界選手権2025 クロスカントリーチームリレー結果
1位 | フランス | 1:05:14 |
2位 | イタリア | 1:05:48 |
3位 | スイス | 1:06:47 |
text:So Isobe
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