劇的なスプリント勝利を飾ったターナーは「正直、何て言っていいか分からない」と涙を流しながら歓喜した。「声が声援でかき消された」と敗因を語ったフィリプセンなど、選手たちのコメントでブエルタ第4ステージを振り返る。



ステージ優勝 ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

スプリント勝利したベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

正直、何て言っていいか分からない。クレイジーな1週間だったよ。ブエルタに出場したかったが、ジロ・デ・イタリア以降、脚に問題を抱えていた。そんな中でもチームは僕を信じてくれ、(ブエルタの代わりに)レネウィ・ツアーに出場していた。そしたら急にチームに呼ばれ「もちろんだ」と答えてここに来た。グランツールに出場するためならば何だってするだろう?

初日のスプリントではチェーンが外れたが、今日は自分の力を信じることができた。この感情をなんて表現すればいいか分からないが、とにかくチームメイトに感謝したい。チームの雰囲気はよく、みんな本当に素晴らしい選手たちだ。特に今日はクフィアトコフスキが素晴らしい走りで僕を助けてくれた。彼は(区間1勝した)ツール・ド・ポローニュでもアシストしてくれ、彼なしではこの結果はない。

勝利の雄叫びをあげるベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

─どうやって盤石なリードアウトを持つフィリプセンに勝てたのか?

最高のチームメイトがいたおかげだ。自分のすべきことに集中し、レイアウトも含めすべてが完璧に僕に適しており、レース運びも完璧だった。それに勝てると信じていた。だけどラスト100mはとても長く感じた。本当に素晴らしい結果だよ。

ステージ2位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

ターナーを追いかけるヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

エドワルト(プランカールト)は強く、彼の左から飛び出したかった。彼にそう伝えたのだが、観客の声援にかき消されてしまった。そのせいでスピードと気持ちが削がれてしまった。せっかくエドワルトが良いリードアウトをしてくれたのに残念だよ。

最終ストレートが完全にまっすぐではなかったことも(勝てなかった)原因の1つ。今日のスプリントを分析しなければならないが、正直、自分の調子もそこまで良くなかった。

ステージ4位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)

フラストレーションの溜まる結果だ。1日を通してチームメイトが素晴らしい走りをしてくれたのに、最後、いくつかの事柄が噛み合わなかった。でもそれがレースだ。脚の調子が良かったからこそ残念だ。勝利に足るスピードがあったのに勝てなかった。まだスプリントの機会があるので、それに向けて挑み続けたい。

ステージ位6&マイヨプントス(ポイント賞) マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

マイヨプントス(ポイント賞)を獲得したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.

今日もチームは素晴らしい走りでレースをコントロールした。終盤は混沌とした展開の中、トレインを並べることができなかった。ラスト1kmは単騎での戦いを強いられ、集団の後方からスプリントしなければならなかった。だけどマイヨプントスを手に入れることができた。今後も変わらず勝利を求め、同時にポイントも加算していきたい。

マイヨロホ ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)

マイヨロホを着用したダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

スプリントに挑戦したい気持ちもあったが、危険であることは分かっていたし、今年は多くの落車をしたので、少し慎重になっていた。中間スプリントに加わるつもりはなかったが、その場の勢いに巻き込まれ、気づいたらチッコーネの後ろにいたんだ。

マイヨロホの獲得は、仲間たちの走りに対する正当な報酬といえる。不本意だったジロ・デ・イタリアの行われたイタリア(でのステージ)で勝利し、(フィニッシュ地点が)フランスでマイヨロホを着用した。この事実に感情が込み上げてくるよ。

ターナーを勝利へと導いたミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)

残り6km地点で車と衝突しそうになった。だから無線で「ベンは単騎だ」と伝えた。そこから集団に復帰し、彼は本当に素晴らしいスプリントを見せてくれた。優勝候補たちに対し、適切な走りで自分たちの力を信じれば勝つこともある。それを証明する良い機会となった。大事なのは決して諦めず、自分の勝利を信じること。

─涙を流すほど仲間の勝利が嬉しい理由は?

勝つことがどれほど難しいかを知っているから。たとえ調子が良かったとしても、こういったスプリントは集中力とリスクを冒す精神など、様々な要素が組み合さなければ勝てない。それにエガン(ベルナル)の好調などチームの良い雰囲気がこの結果をもたらしたのだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.