マイヨロホと共にブエルタを盛り上げるのが3賞ジャージの争い。マイヨプントス(ポイント賞)は2022年の獲得者であるピーダスンに、ツールでの雪辱を果たすフィリプセンが挑む。マイヨブランコ(ヤングライダー賞)候補のアユソなど若手も紹介する。



マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)

昨年、2年連続でマイヨプントスを獲得したカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:Unipublic

スペイン語で『ポイント』を意味する”プントス”が指し示すのは、鮮やかな緑色に染められたジャージ。各ステージ上位15名と中間スプリントの上位5名に与えられるポイントを争い、主にスプリンターを対象とした賞である。長らく総合優勝者や、総合上位陣が獲得することが続いたが、主催者は2021年よりポイント配分を変更。そのため近年はスプリンターなど集団スプリントに強いスピードマンたちが獲得している。

昨年は1つだった平坦ステージ(山頂フィニッシュではない)が、今年は4つ(第1、8、19、21)と増えた。中でも注目されるのは、勝者がマイヨロホを着用できるイタリアが舞台の初日と、大会を締めくくるマドリッドの最終日だ。

2度目のマイヨプントスを狙うマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:Unipublic

その有力候補筆頭は、2022年にマイヨプントスを獲得したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)だろう。今年のジロ・デ・イタリアでは区間4勝を挙げてマリアチクラミーノ(ポイント賞)を獲得。直前のポストノルド・ツアー・オブ・デンマークでは区間3勝&総合優勝に輝くなど、これ以上ない調子で2度目のブエルタに挑む。

昨年まで2年連続でマイヨプントスを獲得したカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)に代わり、今年、チームのエーススプリンターはヤスペル・フィリプセン(ベルギー)が担う。今年のツール・ド・フランスでは初日スプリントを制しながらも、3日目に落車して鎖骨と肋骨を骨折。しかし、1ヶ月も経たずに実戦復帰し、急ピッチで仕上げてきた。

ツールでの落車リタイアから復帰したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:Unipublic

他に下馬評で並ぶ選手はいないが、若手では今年のジロで区間1勝したカスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL)に注目。さらにマトリックスパワータグ出身で、今年のジロでも勝利に迫ったオールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)は自身3度目のブエルタに臨む。



マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)

ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) photo:Unipublic

白地に青い水玉が目を引くマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)は、クライマー最強の証だ。しかしジロとツールと同じく、総合争いが大きく影響するため予想は難しい。昨年(2024年)も早々と総合争いから脱落し、逃げから積極的に勝利を狙ったジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG)が獲得した。しかし今年のチームは2名の総合エースを抱えるため、ヴァインに自由は与えられない。

そんな中、有力なのは開幕前に「総合優勝は狙わない」と宣言しているミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)だ。逃げからステージ優勝と共に、狙ってくる可能性は十分に考えられる。



マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)

2023年にヤングライダー賞を獲得したフアン・アユソ(スペイン) photo:CorVos

将来のマイヨロホ候補が着用する白いジャージのマイヨブランコ。このヤングライダー賞の対象は2000年1月1日以降に誕生した選手たち。昨年は総合5位のマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)が獲得したが、今年の有力候補の筆頭は、2023年に総合4位に入り獲得したフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)だ。

他にはバーレーン・ヴィクトリアスの総合エースを担うアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)に注目。またそれぞれアシストという役割はあるものの、マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)とフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)も有力候補と言える。地元スペイン出身者では、昨年区間2勝とブレイクした24歳のパブロ・カストリーリョ(モビスター)の走りに期待したい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos