北欧ノルウェーが舞台のアークティック・レース・オブ・ノルウェーは、初日をコービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)のスプリント勝利で開幕。2日目の集団スプリントはアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)が制し、母国での最後のレースで勝利を飾った。



8月1日の移籍情報解禁日を境に各チームの補強ニュースが活発化するなか、アークティック・レース・オブ・ノルウェー(UCI.Pro)が開幕した。大会名の通り北極圏を巡り、フィヨルド(複雑な地形の湾や入り江)が特徴の4日間レース。登坂距離の長い本格山岳は登場せず、パンチャーやスプリンターに適したレイアウトとなっており、過去11回の歴代総合優勝者もその脚質が色濃く反映されている。

ブエルタを見据えるトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) photo:CorVos

今年は7つのワールドチームを含む107名が出場。中でも注目はブエルタ・ア・エスパーニャを見据えるトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)で、ジロ・デ・イタリア後はマウンテンバイクに切り替え、7月には2度目のヨーロッパ選手権制覇を果たすなど好調を維持。また、今年限りで引退する38歳のアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)の活躍にも期待が集まった。

雨のサバイバルでイスラエルがワンツー

雨の中で行われた初日は、2級山岳ストゥールヨールダ(距離1.5km/平均勾配7.4%)をサンドする丘陵ステージ。ノルウェーのヨナス・ガール・ストーレ首相も観戦に訪れるなかスタートし、フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)ら6名が先行。メイン集団はピクニック・ポストNLなどがコントロールを担い、5月のツアー・オブ・ノルウェーで逃げ切り勝利を挙げたストーム・インゲブリクトセン(ノルウェー、チームコープ・レプソル)が山岳ポイントを加算していった。

雨の中で逃げは粘ったが、残り4kmで吸収される。レースは緩斜面スプリントに突入し、残り200mでカシュテン・ラーセンフェルドマン(ノルウェー、チームコープ・レプソル)が先行。しかしその動きを見極めたストロングが鋭く加速し、勝利した。

シーアンとワンツーフィニッシュを果たしたコービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos

ジロでは勝利を逃したものの、その後のツール・ド・ワロニーで区間1勝と総合優勝を果たしたストロングが、ここでも好調を証明。2位にはチームメイトのライリー・シーアン(アメリカ)が入り、イスラエルがワンツーフィニッシュを飾った。

クリストフ、母国での最終レースを制す

晴天に恵まれた第2ステージ photo:CorVos

前日の雨模様から一転、晴天となった第2ステージは、序盤に2つの1級山岳を越え、終盤に未舗装路区間を3周する166.5km。序盤からジョシュ・バーネット(ニュージーランド、ブルゴス・ブルペレットBH)ら4名が逃げ、レース中盤にはエイリク・ヴァンオース(ノルウェー、チームコープ・レプソル)が合流した。残り26km地点でヴァンオースが飛び出すが、逃げ集団とその後ろの集団が追いつき、最終的に残り15kmでプロトンがひとつにまとまった。

ここからユニベット・ティテマ・ロケッツのアブラム・ストックマン(ベルギー)がアタックするも不発に終わり、勝負は集団スプリントへ。中盤で落車が発生したが、先頭グループは影響を受けず残り200mの最終右コーナーに突入。ここを先頭で抜けたクリストフが力強く踏み込み、ライバルを寄せ付けずフィニッシュラインを越えた。

母国レースで勝利したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

プロ98勝目を飾ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:Arctic Race of Norway

「ツール・ド・フランスのメンバー選考から外れて落ち込んだが、まだ脚があることを示せた。ノルウェーでの最後のレースで勝てて本当にうれしいし、これが98回目のプロ勝利であることを誇りに思う」と、2025年末で現役を退くクリストフは喜びを語った。


アークティックレース・オブ・ノルウェー2025第1ステージ結果
1位 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) 4:02:22
2位 ライリー・シーアン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)
3位 ラスムス・ティレル(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
4位 リック・プルイマース(オランダ、チューダー・プロサイクリング)
5位 イエンセ・ビールマンス(ベルギー、アルケア・B&Bホテルズ)
第2ステージ結果
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) 3:55:08
2位 トム・ファンアスブルック(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)
3位 カシュテン・ラーセンフェルドマン(ノルウェー、チームコープ・レプソル)
4位 ジュール・ヘステルス(ベルギー、フランダース・バロワーズ)
5位 ケース・ボル(オランダ、XDSアスタナ)
個人総合成績
1位 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) 7:57:20
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
3位 ライリー・シーアン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) +0:04
4位 フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
5位 モーテン・ワンバクサース(ノルウェー・ナショナルチーム)
その他の特別賞
ポイント賞 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
山岳賞 ストーム・インゲブリクトセン(ノルウェー、チームコープ・レプソル)
ヤングライダー賞 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
チーム総合成績 XDSアスタナ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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