超級山岳マドレーヌ峠にフィニッシュしたツール・ド・フランス・ファム第8ステージで、ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)が圧巻の独走勝利。ロードに転向したMTB絶対王者がフランスに3日連続の勝利をもたらすと共に、念願のマイヨジョーヌに袖を通した。

マイヨジョーヌを着てクイーンステージに臨むキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル) photo:CorVos

ツール・ド・フランス・ファム2025 第8ステージ image:A.S.O. 第4回ツール・ド・フランス・ファム・アヴェク・ズイフト(UCIワールドツアー)は最難関(クイーン)ステージを迎えた。8日目はシャンベリーを出発直後から1級山岳を登坂し、下りと平坦区間を経て、超級山岳マドレーヌ峠(距離18.6km/平均8.1%)にフィニッシュする111.9km。翌日も山岳ステージではあるものの、山頂フィニッシュではないため、頂上でマイヨジョーヌを着用した選手が総合優勝を大きく引き寄せる。
総合首位のキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル)が2位ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)に26秒差をつけた状況のなか、129名がスタートを切る。獲得標高差3,540mのステージはすぐ1級山岳(距離13.2km/平均6.3%)に入ると、リーアンヌ・マルクス(オランダ、リドル・トレック)がファーストアタックを仕掛ける。その後逃げを目指した激しいアタック合戦の末、マルクスやマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るエリーズ・シャベイ(スイス、FDJ・スエズ)ら15名が逃げグループを形成した。

エリーズ・シャベイ(スイス、FDJ・スエズ)が乗った15名による逃げグループは photo:A.S.O.

プロトンはAGインシュランス・スーダルやフェニックス・ドゥクーニンクが牽引した photo:A.S.O.
一方のメイン集団はロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)がペースを作る。その目的はロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)を、56.7km地点の中間スプリントで最大ポイントを獲得させるため。しかし逃げ集団とのタイム差は3分まで拡大。3日連続勝利を狙い、マエヴァ・スキバン(UAEチームADQ)がプロトンを飛び出したものの、これは引き戻されている。
中間スプリント手前の下りでは、ルコートがコーナーを曲がりきれず落車する。遅れたマイヨジョーヌをプロトンは脚を止めて待つことをせず、総合4位のデミ・フォレリング(オランダ)を擁するFDJスエズが逆にペースを上げる場面も。しかしその後、集団のペースが落ち着いたため、ルコートは自ら力を使って復帰を果たしている。
残り38km地点の2級山岳の頂上もシャベイが先頭を通過し、その時点でプロトンとの差は4分5秒。逃げの中で最も総合タイムの良いエヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ)がバーチャルで総合リーダーに立つ。しかし総合6位パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ)のためにフェニックス・ドゥクーニンクが作るハイペースが、逃げとの差を縮め、超級山岳マドレーヌ峠(距離18.6km/平均8.1%)に1分39秒差で突入した。

シャベイとルコートがサラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル)のためにペースを作る photo:A.S.O.
今年の男子ツールの第18ステージにも登場したこの登りでは、サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル)のためにマイヨジョーヌのルコートがメイン集団の先頭でペースを作る。それに総合5位のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)が遅れ、ルコートが役割を終えると、ジガンテが勢いよく加速した。
このアタックにはローイヤッカースしか反応できず、フォレリングやニエウィアドマも遅れてしまう。そんな中フェランプレヴォが踏み込むと、スルスルとジガンテたちに合流。逃げ集団から下がってきたマリオン・ビュネル(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)による懸命な牽引に応えるように、フェランプレヴォはローイヤッカース、そしてジガンテを引き離し、残り7.5km地点で先頭を行くニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック)とヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)を捉えた。

ライバルたちを引き離し、逃げの2名に追いついたポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

残り5kmで先頭に立ったポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.
そして頂上まで残り5kmを示すバナーの手前で、フェランプレヴォは決定的なアタックを仕掛けた。フィッシャーブラックを一気に引き離し、大観衆の中、独走態勢を築く。昨年、母国フランスのパリで開催された五輪でマウンテンバイク金メダルを獲得し、今年からロードに本格転向したフェランプレヴォ。最後まで軽快なダンシングを織り交ぜながらフィニッシュラインに飛び込み、初出場のツールでステージ優勝を手に入れた。

最難関山岳を制したポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

マイヨジョーヌを着用し、総合優勝を大きく引き寄せたポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.
「夢が叶った。昨年ロードに復帰すると決めて以来、ツール・ファムに出場し、勝つことを目標としていた。この勝利は私の選択が正しかったという証拠だ」と、フランスに3日連続の勝利をもたらしたフェランプレヴォは語る。「サラ(ジガンテ)がアタックした瞬間、デミ(フォレリング)が追いかけてくれると思った。でも彼女は動かなかったので自分で追走した。その後マリオン(ビュネル)は素晴らしい牽引をしてくれ、少し回復した後、サラを振り切ろうと踏み込んだ。フランスの観客の応援を受けながら登るのは、最高の気分だった」と喜んだ。
フェランプレヴォから1分45秒遅れの2位でフィニッシュしたのはジガンテで、フォレリングは3分3秒遅れの4位、ニエウィアドマは3分26秒遅れの8位だった。
この結果、フェランプレヴォは総合首位に立ち、念願のマイヨジョーヌに袖を通した。そして総合2位ジガンテと2分37秒のリードで、コース中盤に超級山岳が設定された大会最終日に向かう。


総合首位のキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル)が2位ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)に26秒差をつけた状況のなか、129名がスタートを切る。獲得標高差3,540mのステージはすぐ1級山岳(距離13.2km/平均6.3%)に入ると、リーアンヌ・マルクス(オランダ、リドル・トレック)がファーストアタックを仕掛ける。その後逃げを目指した激しいアタック合戦の末、マルクスやマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るエリーズ・シャベイ(スイス、FDJ・スエズ)ら15名が逃げグループを形成した。


一方のメイン集団はロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)がペースを作る。その目的はロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)を、56.7km地点の中間スプリントで最大ポイントを獲得させるため。しかし逃げ集団とのタイム差は3分まで拡大。3日連続勝利を狙い、マエヴァ・スキバン(UAEチームADQ)がプロトンを飛び出したものの、これは引き戻されている。
中間スプリント手前の下りでは、ルコートがコーナーを曲がりきれず落車する。遅れたマイヨジョーヌをプロトンは脚を止めて待つことをせず、総合4位のデミ・フォレリング(オランダ)を擁するFDJスエズが逆にペースを上げる場面も。しかしその後、集団のペースが落ち着いたため、ルコートは自ら力を使って復帰を果たしている。
残り38km地点の2級山岳の頂上もシャベイが先頭を通過し、その時点でプロトンとの差は4分5秒。逃げの中で最も総合タイムの良いエヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ)がバーチャルで総合リーダーに立つ。しかし総合6位パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ)のためにフェニックス・ドゥクーニンクが作るハイペースが、逃げとの差を縮め、超級山岳マドレーヌ峠(距離18.6km/平均8.1%)に1分39秒差で突入した。

今年の男子ツールの第18ステージにも登場したこの登りでは、サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル)のためにマイヨジョーヌのルコートがメイン集団の先頭でペースを作る。それに総合5位のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)が遅れ、ルコートが役割を終えると、ジガンテが勢いよく加速した。
このアタックにはローイヤッカースしか反応できず、フォレリングやニエウィアドマも遅れてしまう。そんな中フェランプレヴォが踏み込むと、スルスルとジガンテたちに合流。逃げ集団から下がってきたマリオン・ビュネル(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)による懸命な牽引に応えるように、フェランプレヴォはローイヤッカース、そしてジガンテを引き離し、残り7.5km地点で先頭を行くニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック)とヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)を捉えた。


そして頂上まで残り5kmを示すバナーの手前で、フェランプレヴォは決定的なアタックを仕掛けた。フィッシャーブラックを一気に引き離し、大観衆の中、独走態勢を築く。昨年、母国フランスのパリで開催された五輪でマウンテンバイク金メダルを獲得し、今年からロードに本格転向したフェランプレヴォ。最後まで軽快なダンシングを織り交ぜながらフィニッシュラインに飛び込み、初出場のツールでステージ優勝を手に入れた。


「夢が叶った。昨年ロードに復帰すると決めて以来、ツール・ファムに出場し、勝つことを目標としていた。この勝利は私の選択が正しかったという証拠だ」と、フランスに3日連続の勝利をもたらしたフェランプレヴォは語る。「サラ(ジガンテ)がアタックした瞬間、デミ(フォレリング)が追いかけてくれると思った。でも彼女は動かなかったので自分で追走した。その後マリオン(ビュネル)は素晴らしい牽引をしてくれ、少し回復した後、サラを振り切ろうと踏み込んだ。フランスの観客の応援を受けながら登るのは、最高の気分だった」と喜んだ。
フェランプレヴォから1分45秒遅れの2位でフィニッシュしたのはジガンテで、フォレリングは3分3秒遅れの4位、ニエウィアドマは3分26秒遅れの8位だった。
この結果、フェランプレヴォは総合首位に立ち、念願のマイヨジョーヌに袖を通した。そして総合2位ジガンテと2分37秒のリードで、コース中盤に超級山岳が設定された大会最終日に向かう。
ツール・ド・フランス・ファム2025第8ステージ結果
1位 | ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) | 3:47:24 |
2位 | サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル) | +1:45 |
3位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック) | +2:15 |
4位 | デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) | +3:03 |
5位 | ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | |
6位 | セドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール) | +3:18 |
7位 | ドミニカ・ヴウォダルチク(ポーランド、UAEチームADQ) | +3:22 |
8位 | カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) | +3:26 |
9位 | パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +3:38 |
10位 | マリオン・ビュネル(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) | +4:31 |
17位 | キンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル) | +9:06 |
個人総合成績(マイヨジョーヌ)
1位 | ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) | 26:16:11 |
2位 | サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル) | +2:37 |
3位 | デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) | +3:18 |
4位 | カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) | +3:40 |
5位 | セドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール) | +4:11 |
6位 | パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +4:26 |
7位 | ドミニカ・ヴウォダルチク(ポーランド、UAEチームADQ) | +5:02 |
8位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック) | +5:52 |
9位 | エヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ) | +5:58 |
10位 | ジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ) | +7:14 |
その他の特別賞
マイヨアポワ(山岳賞) | エリーズ・シャベイ(スイス、FDJ・スエズ) |
マイヨヴェール(ポイント賞) | ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) |
マイヨブラン(ヤングライダー賞) | ニンケ・フィンケ(オランダ、ピクニック・ポストNL) |
チーム総合成績 | FDJスエズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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