ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)がツール・ド・フランス・ファムで2日連続スプリント勝利。マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)は再びの2位だった。



前日落車したデミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)が出走。容体は未だ心配されるところ photo:CorVos

フランス横断中のツール・ド・フランス・ファムは、ロワールワインの産地として知られるソミュールからヴィエンヌ県の県庁所在地であるポワティエを目指す130kmの第4ステージへ。後半に4級山岳が1つだけ用意されたド平坦ステージで、前日に続いてスプリンターたちがしのぎを削り合った。

前日終盤の落車に巻き込まれ、暫く再乗車できなかったデミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)の容体が心配されたものの、幸い脳震盪の兆候はなし。「去年と同じところを打ってしまったけど、救済措置範囲内だったのでタイムを失わずに済んだ。脳震盪もなくて良かった」と語っている。

単独で逃げるマウド・リンベーク(オランダ、フォルカーウェッセルズ) photo:A.S.O.
ひまわり畑の中を逃げるフランシスカ・コッホ(ドイツ、ピクニック・ポストNL)とアナヴィトリア・マガリャンイス(モビスター) photo:A.S.O.


逃げを見送って平穏に走るプロトン。ステージ中盤には横風分断が発生した photo:UCI

ボーナスタイムでマイヨジョーヌを奪還したマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)や、マイヨヴェールに袖を通したロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)といった、ツール前半戦の主役たちを先頭にスタート。積極的に逃げるマウド・リンベーク(オランダ、フォルカーウェッセルズ)がこの日最初のエスケープを決めた。

さらにフランシスカ・コッホ(ドイツ、ピクニック・ポストNL)とアナヴィトリア・マガリャンイス(モビスター)が合流して逃げは3人に。中盤には吹きさらしの横風区間で集団分断が発生したものの、風が落ち着いたタイミングでおおよその選手は合流し事なきを得ている。

マイヨジョーヌを奪還したマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:UCI

逃げグループからはリンベークが遅れ、残るは今大会積極策を採るモビスターとピクニック所属の2人のみ。集団スプリントを狙うメイン集団は冷静にタイム差をコントロールして残り4km地点で逃げ2人を飲み込む。危険回避のための総合系チームと、勝負を狙うスプリンターチームが折り重なるように集団先頭へ。

フィニッシュ手前2kmの緩い登りで一気に集団が引き延ばされ、どのチームも組織的にトレインを組むことができない。各エーススプリンターがほぼ単騎で位置取り争いを繰り広げる中、TT/トラックスペシャリストのクロエ・ダイガード(アメリカ、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)がロングスプリントで勝負の口火を切った。

フォスやキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル)が対抗する中、もがくダイガードを風除けに使い、タイミングを見計らったウィーベスがスプリントを開始。フェンス右側ギリギリのラインを選び、ダイガードを抜き去ったウィーベスが対抗するフォスを抑えきった。

フォスを抑えてロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)がスプリント2連勝 photo:A.S.O.

現役最強スプリンターが、その証であるマイヨヴェールを着てステージ2連勝。「素晴らしい気分だし、私のために素晴らしい仕事をしてくれたチームメイトたちに報いることができて本当に嬉しい。マイヨヴェールで勝てたことも素晴らしい気分」と話している。

フォスは2位に入ってボーナスタイムを獲得してマイヨジョーヌを堅守。翌日はレース後半に4級山岳を2つ、3級山岳を1つ超えるパンチャー向けのレイアウト。フォスは「総合を狙うのはポリーヌ(フェランプレヴォ)。明日の終盤は私にはキツすぎると思う」と話しており、総合成績を狙う選手にとってはタイム差を失わないことが大切になるステージと言えそうだ。
ツール・ド・フランス・ファム2025第4ステージ結果
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) 2:54:11
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
3位 ララ・ギレスピー(アイルランド、UAEチームADQ)
4位 エリーネ・ヤンセン(オランダ、フォルカーヴェッセルズ・ウィメンズプロサイクリング)
5位 クロエ・ダイガード(アメリカ、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)
6位 シャリ・ボサイツ(ベルギー、AGインシュランス・スーダル)
7位 ラケーレ・バルビエーリ(イタリア、ピクニック・ポストNL)
8位 リンダ・ザネッティ(スイス、ウノエックス・モビリティ)
9位 アリシア・ゴンザレス(スペイン、サンミシェル・プレファレンスホーム・オベール93)
10位 サラ・ヴァンダム(カナダ、セラティジット・WNT・プロサイクリング)
個人総合成績(マイヨジョーヌ)
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 11:13:11
2位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:12
3位 キンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル)
4位 ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) +0:18
5位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) +0:22
6位 デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) +0:25
7位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:27
8位 プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)
9位 パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:31
10位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック)
その他の特別賞
山岳賞 エリーズ・シャベイ(スイス、FDJ・スエズ)
ポイント賞 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)
ヤングライダー賞 ジュリー・ベゴ(フランス、コフィディス)
チーム総合成績 FDJ・スエズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.