「17日間にわたった不調を脱し、本来の自分を取り戻せた」と勝利したベン・オコーナーは語る。ヴィンゲゴーと激しい戦いを繰り広げたポガチャルや積極的な走りが実らなかったリポヴィッツなど、選手たちの言葉でツール第18ステージを振り返る。



ステージ優勝 ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)

単独先頭に立った ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:A.S.O.

僕は普段から、こういう大きなステージで本領を発揮するタイプ。再び調子を取り戻し、本来の自分を感じられて本当に嬉しかった。これは自分にとってツールでの2勝目。いまこうしてオーストラリアのチームであるジェイコ・アルウラーの一員として勝てたのは、とても誇らしい瞬間だ。

前回の勝利は喜びよりもショックの方が大きかった。だから今回はより楽しむことができた。17日間に渡り失っていた自分をようやく取り戻すことができた。再びレースの先頭で勝利を争い、積極的に攻め、勝つことができて嬉しいよ。勝利を意識したのはルビオを引き離した時。だけどずっと背後の様子が気になっていた。いつ自分の脚が止まるかビクビクしていたが、残り3km地点で「もう大丈夫だ」と勝利を確信した。レースを通して力のマネジメントが上手くいった。

自身2度目のステージ優勝を飾ったベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

何度も集団から抜け出そうとトライしたが、いずれも後続の合流を許した。同じく逃げに乗るフェリックス(ガル)とプリモシュ(ログリッチ)の姿を見て「とにかく(何も考えず)逃げ集団に入ろう」という感じだった。最初の3時間は何度も諦めそうになり、特に(2つ目の超級山岳である)マドレーヌ峠の麓では諦めかけた。でもこういう日はすぐに立ち直る強さがなければいけない。自分を信じ、状況は好転すると信じて、「もっと食べて、もっと(力を使う)時間が続くぞ」と自分を奮い立たせた。「お前はこういう大きなステージで強いのだから」と言い聞かせた。

もちろん総合上位を諦めたくなかったが、膝の痛みもあり諦めざるを得なかった。その痛みはいつものように長引いたものの、勝利は諦めなかった。サイモン(イェーツ)が勝利した第10ステージでも勝利を狙ったのだが、届かずフラストレーションが溜まっていた。どうしてもこのツールで2勝目が欲しかったので、本当に嬉しいよ。

ステージ2位&マイヨジョーヌ&マイヨアポワ(山岳賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

マイヨジョーヌを堅守したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

正直、ステージ優勝は狙っていたが、もちろん最優先はマイヨジョーヌを守ることだった。マドレーヌ峠でヴィスマが動き、僕たちもステージ優勝を狙えるかもしれないと思った。でも彼らは少しペースが速すぎたかもしれない。下りでもとにかく飛ばしていたからだ。最終的にすごく小さな集団になり、アタック合戦が始まり、協調なんて全くなかった。僕はチームメイトの合流を待ったが、それまでかなり時間がかかった。

最後の登り(ロズ峠)の麓でヴィスマがペースを上げて、逃げ集団を捉えに行くのだと思った。でもベン(オコーナー)はレースを通してとても強く、最後の登りでも上手い走りを見せた。ステージ優勝はのがしたが、ロズ峠での調子は良かったし、マイヨジョーヌを守れたので満足だ。

いまのところすごく良い感じに進んでいる。今日はクイーンステージだったが、明日もそれに準ずる過酷なステージ。全力でいくよ。あとステージは3つ。それが終わったらバカンスだ。

ステージ2位&総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

フィニッシュ手前でポガチャルに引き離されたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

本当に過酷な1日だった。これまでの選手キャリアで、これほどキツいステージは走ったことがないと思う。調子はかなり良かった。序盤からレースを厳しくするのが僕らの作戦で、それを実行できたと思う。今日も懸命な走りを見せてくれたチームメイトたちに、改めて感謝したい。彼らのサポートは常に僕のモチベーションになっている。

残念ならがポガチャルとのタイム差を縮めることはできなかったが、僕らが互角であることは、またしても証明された。

ステージ4位&総合4位 オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)

最終山岳でポガチャルとヴィンゲゴーに食らいつくオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) photo:A.S.O.

出来ることは全てやったし、力を出し切った。マドレーヌ峠は本当にキツかった。調子は良かったのだが、こういう全開のアタック合戦になると、あのレベルの選手たちにはまだ敵わないってことが、ステージ終盤ではっきりした。

それでもチームは素晴らしいアシストを見せ、最後の登りの前に僕を集団に戻してくれた。そこからはただ必死に食らいつき、フィニッシュまで全力で踏み込んだ。総合表彰台までタイム差もそれほど大きくない(22秒差)。だから明日、そこを狙い持てる力を出し切るつもりだ。

ステージ11位&総合3&マイヨブラン(ヤングライダー賞) フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

辛くもマイヨブランを守ったフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:A.S.O.

調子は良かったのだが、最終山岳の前の谷で、ヨナスとポガチャルがいる集団に追いつくことができた。互いに牽制していたのでアタックした。良いペースで登り続けていたのだが、力を使い切ってしまったようだ。その後追いついてきたオンリーとヨハンネセンは強かった。明日もまた厳しいステージなので、回復して、また積極的な走りを見せたい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

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