大会史上75年振りの4連覇を達成したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は笑顔で喜び、2位だったエヴェネプールはフィニッシュ直後に涙した。今年最後のモニュメントであるイル・ロンバルディアを、選手たちのコメントで振り返ります。



優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

残り48.5kmで仕掛けたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

勝利は常に特別で、今日もまたスペシャルな勝利となった。なぜなら今シーズンを通してチームが見せてくれた良い走りを、このレースでも変わらず披露してくれたから。今日のレースは長く、チームとして良い走りができた。だからこそこの勝利が嬉しいんだ。

アタック(のポイントなど)は作戦通りだった。レース展開が厳しくなることを予想し、残り40kmから(アシストのいない)エース同士の戦いとなると分かっていた。コルマ・ディ・ソルマノの頂上をリードした状態で越えることができれば、その差をフィニッシュまで保つことができると考えていた。そして実際その通りとなった。

下りの後、細かいアップダウンでも懸命に踏み、(エヴェネプールとの)精神的な駆け引きに勝つことができた。そしてラストの10kmは観客の歓声を楽しみながら走ったよ。オフシーズンについても考えながらね(笑)。

―この勝利が歴史的にどれだけの価値があることか、自覚はしているか?

それは引退してから考えるよ。

2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

単独でポガチャルを追いかけるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

この結果は個人的には勝利に等しいと思っている。前回ベルガモからコモにフィニッシュしたレースで僕がどうなったか、多くの人が知っているだろうからね。トップ選手たちの中でフィニッシュすることができ、誇りに思っている。4年前の出来事は既に乗り越えているから感傷的になっているわけではない。2位という結果が素直に嬉しいんだ。

僕らはタデイ(ポガチャル)が仕掛けてくるだろうポイントを予想できていた。4年前に僕が落車した橋から3km後の急勾配区間。僕は自分のペースで頂上を目指し、後続とのリードを拡げ、タデイとのタイムロスを最小限にしようと思った。下りも熟知していたので他を振り落とした。そこからはフィニッシュまではタイムトライアルのような展開となった。

(最後の丘)サンフェルモでは死にそうになったが、(ポガチャルとの)差はその前に拡がっていた。僕とタデイによる一騎打ちとなったが、今日誰が一番強いのかが明らかとなった。だからこそ今日の勝利は彼にふさわしい。

イタリアで掴んだ最も良い結果だ。それに今日は特に不運や体調不良もなく、僕より優れた選手がいただけ。更に良いコンディションを作り、ここに戻ってくるモチベーションになった。それに良い形でシーズンを締めくくることができた。

3位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)

3位で表彰台に上がったジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

表彰台に上がることができ、本当に嬉しく思っている。今年は厳しいシーズンだったので良い締めくくりとなった。この後はオフシーズンを楽しみ、来年に向けて良い充電期間としたい。

今日は登りでも調子が良かったのだが、ハイペースの集団からアタックするミスを冒してしまった。(ポガチャルが仕掛けた)ソルマノのラスト2kmで僕はバウケ(モレマ)と共に走っており、彼が良いアシストをしてくれた。サンフェルモでは頂上までフルガスで踏み込み、単独となったのでそのままフィニッシュを目指した。

7位 レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)

精鋭集団に残り、7位でフィニッシュしたレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

もっと長く表彰台を争う戦いに加わりたかったが、その時は既に限界を超えていた。(ポガチャルを追う集団に)思っていたよりも長く食らいつくことができ、自分でも驚いたよ。だが長い時間脚の痙攣と戦わなければならなかった。

初めてモニュメントで勝負できて満足している。体調が万全ではないなか、ビッグネームの中7位という結果は今後のやる気に繋がるよ。

直前でメンバー外となったトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

乱気流のように荒れくるシーズン終盤を経て、やっと状況が好転してきたところで、明日のロンバルディアの出場メンバーから外されてしまった。僕はいま素晴らしいコンディションにあり、出場を楽しみにしていた。チームメイトたちの幸運を祈っている。そしてどうやらオフシーズンが早く始まったようだ。厳しい期間でも僕を支えてくれた全ての人に感謝する。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos