MTB世界選手権のダウンヒルでロリス・ヴェルジエ(フランス)が初優勝。予選を突破し、決勝戦に挑んだ九島勇気(Team High Country)は70位だった。



男子エリート決勝戦でトップタイムをマークしたロリス・ヴェルジエ(フランス) photo:UCI

アンドラ公国の山岳リゾート地パル・アリンサルで開催中のMTB世界選手権。8月31日(土)にはダウンヒルの男女エリート決勝レースが開催され、今後1年間アルカンシエルを着る世界王者が選び出された。

予選突破して決勝戦に挑んだ九島勇気(Team High Country)は2分55秒016で最終的に70位。優勝候補がひしめき合う後半出走組では、トップタイムが次々と破られると同時に、優勝候補選手たちが連続してクラッシュに散るという波乱の展開となった。

ほぼ地元と言っても過言ではないフランス勢がこの日は強かった。ブノワ・クーランジュ(フランス)が2分38秒809でホットシートに座り、続いてロリス・ヴェルジエ(フランス)が0秒148上回る。直後に出走したダコタ・ノートン(アメリカ)はすべての中間計測ポイントでトップタイムを叩き出したものの、フィニッシュまであと僅かというタイミングでスリップダウンしてしまう。ここで最終走者、2017〜2019年、そして2022年の世界王者ロイック・ブルーニ(フランス)がスタートした。

アルミとカーボンで構成されたスペシャライズドのプロトバイクに乗るブルーニ。第3中間計測で大差の最速タイムをマークしたのものの、ルーズなコーナーでコントロールを失いクラッシュしてしまう。この瞬間にヴェルジエが10年前のジュニアに続くエリートでは初となるダウンヒル世界王者に輝いた。

ロイック・ブルーニ(フランス)の転倒によって優勝が決まったロリス・ヴェルジエ(フランス) photo:UCI

MTB世界選手権2024 エリート男子ダウンヒル表彰台 photo:UCI

「その昔は世界選手権で勝てると信じてたけど、正直に言えばもう無理だと思っていたんだ。今日も準備を整えてきたけれど、僕とトップ選手との差を感じていたので勝てるとは思っていなかった。だから尚更信じられないよ。ついにやったんだ」とインタビューに答えたヴェルジエ。ブルーニを除いてもなおフランス勢は表彰台に2人、トップ10に5人を送り込むなど層の厚さを見せつけている。

最後の世界選手権出場をアナウンスしたグレッグ・ミナー(南アフリカ)は最終的に23位。25年に及ぶキャリアの中で4回世界選手権で優勝し、23回のワールドカップ優勝を挙げて3回シーズン総合優勝に輝いたDH界のリビングレジェンドは43歳の最年長選手として未だ衰えないスピードを披露。プレゼンターとして表彰式に臨み、自身が4度獲得したアルカンシエルをかつてチームメイトだったヴェルジエに手渡した。

僅差の接戦でトップタイムを叩き出したヴァレンティーナ・ホール(オーストリア) photo:UCI

MTB世界選手権2024 エリート女子ダウンヒル表彰台 photo:UCI

また、女子エリートレースではミリアム・ニコル(フランス)を0.5秒差で下したヴァレンティーナ・ホール(オーストリア)が3年連続のアルカンシエルを獲得した。


MTB世界選手権2024 エリート男子ダウンヒル結果
1位 ロリス・ヴェルジエ(フランス) 2:38:661
2位 ブノワ・クーランジュ(フランス) 2:38:809
3位 フィン・アイルス(カナダ) 2:38:830
4位 ダニー・ハート(イギリス) 2:38:944
5位 アモリ・ピエロン(フランス) 2:39:118
70位 九島勇気(Team High Country) 2:55:016
MTB世界選手権2024 エリート女子ダウンヒル結果
1位 ヴァレンティーナ・ホール(オーストリア) 3:00:212
2位 ミリアム・ニコル(フランス) 3:00:732
3位 ターニー・シーグレイブ(イギリス) 3:01:424
4位 グレイシー・ハムストリート(カナダ) 3:01:813
5位 リサ・バウマン(スイス) 3:02:474
text:So.Isobe
photo:UCI