2024/06/12(水) - 12:00
5月25~26日に長野県で開催された緑のアルプスあづみのセンチュリーライド。昨年から引き続きCW編集部の高木が緑のAACRを取材し、イベントレポートを前編と後編で紹介。後編は青木湖から白馬まで走り、サイクルトレインに乗車し、ゴールを目指していく。(※前編はこちらから)
5月25~26日に「緑のAACR」が開催された。イベントレポート前編は160kmコースのスタート地点である梓水苑からAACR名物の「ねぎみそおにぎり」がある青木湖エイドまでをレポートしてきた。後編では鹿島槍から白馬まで走り、白馬駅から安曇追分駅サイクルトレインで、そして、ゴールまでをレポートしていく。
青木湖エイドは標高864mの地点にあり、AACRの120kmと160kmコースともに緑のAACRの最高地点となっている。次なる目的地はスタートから81km地点にあり、緑のAACRの大会の折り返し地点となる白馬エイドだ。
青木湖エイドを出発し、登ってくる参加者にエールを送りながら激坂を下っていく。仁科三湖のうち最も北側に位置する湖である青木湖周辺は穏やかな平地基調のため、自然と平均速度も上がっていきペダリングも軽くなる。
ここから先にトンネルの区間があるため、大会の要項にあるように前後のライトが必須となる。すでにスタート地点からデイライトを実践しているサイクリストも多く、AACR参加者の安全意識の高さを感じた。
山間を下っていくと一気に視界が広がる。そこには緑が生い茂る白馬村の平野が広がっていた。イベントレポート前編の「トットちゃん広場」でも登場した安曇野アートラインが見えてくる。安曇野アートラインは、長野県安曇野市や池田町、松川村、大町市、白馬村にある17カ所の美術館と博物館などを結ぶ道路であり、観光名所を巡ることができる。
白馬の平地を駆け抜けていくと、遠くに雪化粧をした白馬岳とスキーのジャンプ台が見えてくる。長野県北安曇郡白馬村にある白馬ジャンプ競技場は、1998年に開催された長野オリンピックのスキー競技のジャンプとノルディック複合ジャンプの競技会場として利用された五輪の聖地としても知られる。
長野県北安曇郡白馬村を流れる松川に沿って走り、絶景ポイントが待ち受ける松川大橋までたどり着いた。松川大橋に差し掛かると多くの参加者が立ち止まっていて、上流の方向を向くと、雪化粧が施された北アルプスと松川が織り成す絶景が広がっていた。自然豊かな景色、松川の川のせせらぎ、爽やかな風に吹かれて、五感で白馬を満喫できる。
松川大橋から松川を1kmほど上流に進むと、北アルプスと松川が織り成す絶景が広がる撮影ポイントがある。ここではAACRの冠スポンサーを務めるリドレーのイベント「リドレーオーナー集合写真撮影」が行われた。
総勢29名のリドレーオーナーが集結し、エアロロードの「NOAH FAST DISC」や軽量ロード「HELIUM DISC」、エンデュランスロード「FENIX DISC」、グラベルバイク KANZOシリーズ、歴代のリドレーが集結し、オーナー同士のリドレートークに花が咲いていた。
そしてスタートから88km地点、桜のAACRの折り返し地点の白馬エイドに到着。到着すると早速、そよ風に乗って香ばしく美味しそうな香りがしてきた。「石窯ピザ」と「レモネード」が参加者をお出迎え。
「ねぎみそおにぎり」と並びAACR名物である焼きたての「石窯ピザ」。トマトソース、たっぷりのチーズと具材がトッピングされた「石窯ピザ」はお腹を満たしてくれる。「レモネード」は炭水化物を効率よくエネルギーに変換するビタミンCとエネルギー代謝を促進してくれるビタミンB6が入っているため、ピザとの相性も抜群だ。
白馬エイドステーションには30席を超えるキャンプチェアーが用意され、ウッドデッキなどで参加者がゆっくり休憩して後半戦に備えていた。また、ケミカルブランドであるワコーズのブースがあり、自転車に不具合を感じた参加者が愛車のメンテナンスを受けていた。ライド中のトラブルも経験豊富なスタッフが対応してくれるため心強い。
例年であれば、白馬エイドを出発し、前編で訪れた鹿島槍エイドを目指すことになるのだが、今回は白馬駅から初めてサイクルトレインに乗車していく。電車旅が好きな編集部員の高木は気分が高まるのであった。
160kmと120kmコースが用意されるAACRだが、100km超のライドは初心者には少しハードルが高いものでもある。走り切れるか自信がないサイクリストにとって、サイクルトレインはアシストをしてくれるためAACRに参加しやすくなる。
白馬エイドで一緒にサイクルトレインに乗る「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんとグループと合流し、鈴木家の麗理さんや心理くんと共に白馬駅を目指していく。無事、白馬駅に到着し、サイクルトレインを利用する参加者の皆さんと自転車トークをしながら待ち時間を楽しむ。
出発時間が近づき、改札口ではなく、サイクルトレイン専用のゲートから、バイクを持ち込み白馬駅の駅の1番ホームへ向かう。白馬駅でサイクルトレインを待っていると、淡い青とチェレステの2色のラインが入った211系が入線してきた。地元が埼玉県で宇都宮線や高崎線、東海道線がある私にとって、子供の頃に乗っていた思い出の車両。
211系の0・1000番台の座席はセミクロスシートを採用しているが、長距離通勤客の増加に伴う混雑に対応するため、2000・3000・5000・6000番台ではオールロングシートを採用している。サイクルトレインで運用されている「211-3039」で211系の3000番台。
車内はオールロングシートにシートが被せられ、吊革のレールに前輪を固定するためのベルトが取り付けられ、後輪はバイクスタンドにセット、左右のハンドル同士をベルトで固定していくため安定感がある。サイクルトレインではスタッフがバイクを預かり、バイクをセットしてくれる。
サイクルトレインで乗車する距離は白馬駅から安曇追分駅まで39.8km。セットされた愛車の対面のシートに座り、発車を待つ。緑のAACRの横断幕が用意され、おもてなしもあり、参加者は写真を撮っていた。
13時10分にサイクルトレインが白馬駅を発車し、緑が豊かな白馬の景色が流れていく。愛車を眺めつつ、車窓から見える長野の景色は非常に絵になる。サイクルトレインではコースに沿った路線のため、コースを走る参加者を応援しながらサイクルトレインを楽しむことができる。
参加者同士で自転車トークをしたりしながら足を休める。サイクルトレインの終着地点である安曇追分駅に到着したのは14時10分ごろで、1時間ほど電車に揺られていたことになる。スタッフが下ろしてくれた自転車を受け取り、安曇追分駅の改札口から出ていく。
鉄道マニアの心を擽る安曇追分駅の駅舎を出発し、最後のエイドステーションである安曇野エイドまでは4.5km。出発するとすぐに、セーフティサポートライダーが参加者のパンク修理に対応していた。
最終エイドステーションの安曇野エイドである碌山公園に到着。ここでは「信州・安曇野のりんごジュース」と「赤飯饅頭」、「わさびチーズ」とたくさんの長野グルメが参加者たちに用意されていた。
安曇野りんごジュースは凍らせた状態でパウチされた袋容器に入っていて、火照った身体に当ててアイシングをして溶かしながら、おいしくいただくことにした。また、サイクルジャージのバッグポケットに入れて持ち運びできるのは良い。120kmと160km共に最後のエイドということもあり、日陰でストレッチをしたり、長めの休憩を取っていた。そして、最終エイドから目指すのは19km先にあるゴール地点の「梓水苑」。ボトルに水を入れて、ゴールへと向かう。
ここからは緩やかに続く長い登りを走り、T字路に突き当たり、120kmコースの参加者は右へ、160kmコースの参加者は左へ。120kmクラスの方に「お疲れ様でした!またどこかで!」と声をかけながら、それぞれのゴールに向かって走っていく。
ここからはリンゴ畑の間を走り、アップダウンが続くコースプロフィールでもうひと踏ん張りが必要だ。早朝にスタートし、気が付けば日が傾き始め、夕日が差し込む長野の景色が広がっていく。
松本市に入ると、ゴール地点の「梓水苑」が遠くに見えてくる。最終コーナーを曲がると最終ストレートにはミズタニ自転車が取り扱うリドレーやコンチネンタル、SMPなどのバナーが両サイドに貼られ、まるでロードレースのフィニッシュエリアのようだ。
レースではないが、完走した喜びで両手を大きく掲げながらゴールラインを越えた。ゴール後にフィニッシュエリアでカメラを構えていると、家族やカップル、自転車仲間と喜びを分かち合いながら、ゴールポーズをしながら笑顔でゴールラインを越えていく。
完走賞として、スタッフの方から「お疲れ様でした!」と言われ、手渡されたのが「小太郎の詩」。安曇野、松本平に伝わる「泉小太郎伝説」が名称の由来となった、濃厚なチーズクリームをサンドした、ダックワーズだ。
AACRとリドレーのロゴが入ったフォトスポットには、ライドを共にした仲間と記念撮影をするために長い行列ができていた。愛車と共に撮る方や仲間と肩を組みながら撮影をしている様子を見ていて、サイクリングイベントの良さを改めて実感していた。
無事にイベントが終了した「緑のAACR」。そこで、「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんにお話を伺った。
「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントプロデューサーの鈴木雷太さんのインタビュー
■今回の緑のAACRはどうでしたか?
参加者が1700人になって、新規の参加者が増えています。その新規の参加者の皆さんから、走っている時にたくさんお礼を言われました。皆さんのサイクリングの楽しみ方が変化している。ロングライドに関してですが、グループでスポーティーなサイクリングを楽しむというより、景色を楽しんだりするサイクリングになってきている。小径車やE-BIKEの参加者も多くて、ロードバイクでもフロントバックを付けている方が多かった印象です。
僕自身も子供と一緒に走ったりしたし、家族やご夫婦で参加して、最後のリンゴ畑のところなんかは励まし合いながら走ったりしていましたね。そういった意味ではサイクリングが浸透してきているように感じましたね。
事故はありませんでしたが、例年よりパンクが多かったですね。サイクリング層の参加者が増えたので、トラブルに自身で対応できない方が増えた印象です。でも、AACRではサポート体制はしっかりしていて、サポートライダーとAEDサポートライダー、松本サポートライダーズ、マヴィック、ワコーズ、オフィシャルのメカニックの車も走らせているので、初心者でも参加しやすいのがポイントです。
■桜と緑のAACRに続き、7月末に木曽おんたけグランフォンド2024(KOGF)が開催されますが、エントリー状況は?
KOGFは120kmを走っても信号が4つしかなくて、止まれを入れても停止箇所が8つくらいしかなくて走りやすいです。夏場にやる理由は開田高原から登ってくるんですけど、とても涼しいんですよね。東京五輪の時に、今井美穂さんの合宿をやっていたんですけど、こんなに涼しいところがあるんだなと思わされました。
AACRに続いて、人気になってほしいです。木曽はグランフォンドなので、AACRと性格が違いますが、前半は登って、後半はほぼ下りなので、気持ちよいままゴールすることができるように設定しています。KOGFはグランフォンドなので峠超えはありますが、眺望とおもてなしにこだわっているので、AACRとフィーリングは似ていると思います。
(木曽おんたけグランフォンド2024の詳細はこちら)
■今年のAACRは終了しましたが、今後、どうしていきたいですか?
毎回、良かった。良かったで終わるけど、色んな意見を聞いていくと来年はこうしていきたいとか、道路環境を改善したり。急に工事が始まることもあるので、毎回、少しづつコースが違うんですよね。ブラッシュアップをしながら、まずは25回大会を目指してより良いイベントにしていきたいと思っています。ご参加ありがとうございました!
photo & text : Michinari TAKAGI
5月25~26日に「緑のAACR」が開催された。イベントレポート前編は160kmコースのスタート地点である梓水苑からAACR名物の「ねぎみそおにぎり」がある青木湖エイドまでをレポートしてきた。後編では鹿島槍から白馬まで走り、白馬駅から安曇追分駅サイクルトレインで、そして、ゴールまでをレポートしていく。
青木湖エイドは標高864mの地点にあり、AACRの120kmと160kmコースともに緑のAACRの最高地点となっている。次なる目的地はスタートから81km地点にあり、緑のAACRの大会の折り返し地点となる白馬エイドだ。
青木湖エイドを出発し、登ってくる参加者にエールを送りながら激坂を下っていく。仁科三湖のうち最も北側に位置する湖である青木湖周辺は穏やかな平地基調のため、自然と平均速度も上がっていきペダリングも軽くなる。
ここから先にトンネルの区間があるため、大会の要項にあるように前後のライトが必須となる。すでにスタート地点からデイライトを実践しているサイクリストも多く、AACR参加者の安全意識の高さを感じた。
山間を下っていくと一気に視界が広がる。そこには緑が生い茂る白馬村の平野が広がっていた。イベントレポート前編の「トットちゃん広場」でも登場した安曇野アートラインが見えてくる。安曇野アートラインは、長野県安曇野市や池田町、松川村、大町市、白馬村にある17カ所の美術館と博物館などを結ぶ道路であり、観光名所を巡ることができる。
白馬の平地を駆け抜けていくと、遠くに雪化粧をした白馬岳とスキーのジャンプ台が見えてくる。長野県北安曇郡白馬村にある白馬ジャンプ競技場は、1998年に開催された長野オリンピックのスキー競技のジャンプとノルディック複合ジャンプの競技会場として利用された五輪の聖地としても知られる。
長野県北安曇郡白馬村を流れる松川に沿って走り、絶景ポイントが待ち受ける松川大橋までたどり着いた。松川大橋に差し掛かると多くの参加者が立ち止まっていて、上流の方向を向くと、雪化粧が施された北アルプスと松川が織り成す絶景が広がっていた。自然豊かな景色、松川の川のせせらぎ、爽やかな風に吹かれて、五感で白馬を満喫できる。
松川大橋から松川を1kmほど上流に進むと、北アルプスと松川が織り成す絶景が広がる撮影ポイントがある。ここではAACRの冠スポンサーを務めるリドレーのイベント「リドレーオーナー集合写真撮影」が行われた。
総勢29名のリドレーオーナーが集結し、エアロロードの「NOAH FAST DISC」や軽量ロード「HELIUM DISC」、エンデュランスロード「FENIX DISC」、グラベルバイク KANZOシリーズ、歴代のリドレーが集結し、オーナー同士のリドレートークに花が咲いていた。
そしてスタートから88km地点、桜のAACRの折り返し地点の白馬エイドに到着。到着すると早速、そよ風に乗って香ばしく美味しそうな香りがしてきた。「石窯ピザ」と「レモネード」が参加者をお出迎え。
「ねぎみそおにぎり」と並びAACR名物である焼きたての「石窯ピザ」。トマトソース、たっぷりのチーズと具材がトッピングされた「石窯ピザ」はお腹を満たしてくれる。「レモネード」は炭水化物を効率よくエネルギーに変換するビタミンCとエネルギー代謝を促進してくれるビタミンB6が入っているため、ピザとの相性も抜群だ。
白馬エイドステーションには30席を超えるキャンプチェアーが用意され、ウッドデッキなどで参加者がゆっくり休憩して後半戦に備えていた。また、ケミカルブランドであるワコーズのブースがあり、自転車に不具合を感じた参加者が愛車のメンテナンスを受けていた。ライド中のトラブルも経験豊富なスタッフが対応してくれるため心強い。
例年であれば、白馬エイドを出発し、前編で訪れた鹿島槍エイドを目指すことになるのだが、今回は白馬駅から初めてサイクルトレインに乗車していく。電車旅が好きな編集部員の高木は気分が高まるのであった。
160kmと120kmコースが用意されるAACRだが、100km超のライドは初心者には少しハードルが高いものでもある。走り切れるか自信がないサイクリストにとって、サイクルトレインはアシストをしてくれるためAACRに参加しやすくなる。
白馬エイドで一緒にサイクルトレインに乗る「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんとグループと合流し、鈴木家の麗理さんや心理くんと共に白馬駅を目指していく。無事、白馬駅に到着し、サイクルトレインを利用する参加者の皆さんと自転車トークをしながら待ち時間を楽しむ。
出発時間が近づき、改札口ではなく、サイクルトレイン専用のゲートから、バイクを持ち込み白馬駅の駅の1番ホームへ向かう。白馬駅でサイクルトレインを待っていると、淡い青とチェレステの2色のラインが入った211系が入線してきた。地元が埼玉県で宇都宮線や高崎線、東海道線がある私にとって、子供の頃に乗っていた思い出の車両。
211系の0・1000番台の座席はセミクロスシートを採用しているが、長距離通勤客の増加に伴う混雑に対応するため、2000・3000・5000・6000番台ではオールロングシートを採用している。サイクルトレインで運用されている「211-3039」で211系の3000番台。
車内はオールロングシートにシートが被せられ、吊革のレールに前輪を固定するためのベルトが取り付けられ、後輪はバイクスタンドにセット、左右のハンドル同士をベルトで固定していくため安定感がある。サイクルトレインではスタッフがバイクを預かり、バイクをセットしてくれる。
サイクルトレインで乗車する距離は白馬駅から安曇追分駅まで39.8km。セットされた愛車の対面のシートに座り、発車を待つ。緑のAACRの横断幕が用意され、おもてなしもあり、参加者は写真を撮っていた。
13時10分にサイクルトレインが白馬駅を発車し、緑が豊かな白馬の景色が流れていく。愛車を眺めつつ、車窓から見える長野の景色は非常に絵になる。サイクルトレインではコースに沿った路線のため、コースを走る参加者を応援しながらサイクルトレインを楽しむことができる。
参加者同士で自転車トークをしたりしながら足を休める。サイクルトレインの終着地点である安曇追分駅に到着したのは14時10分ごろで、1時間ほど電車に揺られていたことになる。スタッフが下ろしてくれた自転車を受け取り、安曇追分駅の改札口から出ていく。
鉄道マニアの心を擽る安曇追分駅の駅舎を出発し、最後のエイドステーションである安曇野エイドまでは4.5km。出発するとすぐに、セーフティサポートライダーが参加者のパンク修理に対応していた。
最終エイドステーションの安曇野エイドである碌山公園に到着。ここでは「信州・安曇野のりんごジュース」と「赤飯饅頭」、「わさびチーズ」とたくさんの長野グルメが参加者たちに用意されていた。
安曇野りんごジュースは凍らせた状態でパウチされた袋容器に入っていて、火照った身体に当ててアイシングをして溶かしながら、おいしくいただくことにした。また、サイクルジャージのバッグポケットに入れて持ち運びできるのは良い。120kmと160km共に最後のエイドということもあり、日陰でストレッチをしたり、長めの休憩を取っていた。そして、最終エイドから目指すのは19km先にあるゴール地点の「梓水苑」。ボトルに水を入れて、ゴールへと向かう。
ここからは緩やかに続く長い登りを走り、T字路に突き当たり、120kmコースの参加者は右へ、160kmコースの参加者は左へ。120kmクラスの方に「お疲れ様でした!またどこかで!」と声をかけながら、それぞれのゴールに向かって走っていく。
ここからはリンゴ畑の間を走り、アップダウンが続くコースプロフィールでもうひと踏ん張りが必要だ。早朝にスタートし、気が付けば日が傾き始め、夕日が差し込む長野の景色が広がっていく。
松本市に入ると、ゴール地点の「梓水苑」が遠くに見えてくる。最終コーナーを曲がると最終ストレートにはミズタニ自転車が取り扱うリドレーやコンチネンタル、SMPなどのバナーが両サイドに貼られ、まるでロードレースのフィニッシュエリアのようだ。
レースではないが、完走した喜びで両手を大きく掲げながらゴールラインを越えた。ゴール後にフィニッシュエリアでカメラを構えていると、家族やカップル、自転車仲間と喜びを分かち合いながら、ゴールポーズをしながら笑顔でゴールラインを越えていく。
完走賞として、スタッフの方から「お疲れ様でした!」と言われ、手渡されたのが「小太郎の詩」。安曇野、松本平に伝わる「泉小太郎伝説」が名称の由来となった、濃厚なチーズクリームをサンドした、ダックワーズだ。
AACRとリドレーのロゴが入ったフォトスポットには、ライドを共にした仲間と記念撮影をするために長い行列ができていた。愛車と共に撮る方や仲間と肩を組みながら撮影をしている様子を見ていて、サイクリングイベントの良さを改めて実感していた。
無事にイベントが終了した「緑のAACR」。そこで、「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんにお話を伺った。
「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントプロデューサーの鈴木雷太さんのインタビュー
■今回の緑のAACRはどうでしたか?
参加者が1700人になって、新規の参加者が増えています。その新規の参加者の皆さんから、走っている時にたくさんお礼を言われました。皆さんのサイクリングの楽しみ方が変化している。ロングライドに関してですが、グループでスポーティーなサイクリングを楽しむというより、景色を楽しんだりするサイクリングになってきている。小径車やE-BIKEの参加者も多くて、ロードバイクでもフロントバックを付けている方が多かった印象です。
僕自身も子供と一緒に走ったりしたし、家族やご夫婦で参加して、最後のリンゴ畑のところなんかは励まし合いながら走ったりしていましたね。そういった意味ではサイクリングが浸透してきているように感じましたね。
事故はありませんでしたが、例年よりパンクが多かったですね。サイクリング層の参加者が増えたので、トラブルに自身で対応できない方が増えた印象です。でも、AACRではサポート体制はしっかりしていて、サポートライダーとAEDサポートライダー、松本サポートライダーズ、マヴィック、ワコーズ、オフィシャルのメカニックの車も走らせているので、初心者でも参加しやすいのがポイントです。
■桜と緑のAACRに続き、7月末に木曽おんたけグランフォンド2024(KOGF)が開催されますが、エントリー状況は?
KOGFは120kmを走っても信号が4つしかなくて、止まれを入れても停止箇所が8つくらいしかなくて走りやすいです。夏場にやる理由は開田高原から登ってくるんですけど、とても涼しいんですよね。東京五輪の時に、今井美穂さんの合宿をやっていたんですけど、こんなに涼しいところがあるんだなと思わされました。
AACRに続いて、人気になってほしいです。木曽はグランフォンドなので、AACRと性格が違いますが、前半は登って、後半はほぼ下りなので、気持ちよいままゴールすることができるように設定しています。KOGFはグランフォンドなので峠超えはありますが、眺望とおもてなしにこだわっているので、AACRとフィーリングは似ていると思います。
(木曽おんたけグランフォンド2024の詳細はこちら)
■今年のAACRは終了しましたが、今後、どうしていきたいですか?
毎回、良かった。良かったで終わるけど、色んな意見を聞いていくと来年はこうしていきたいとか、道路環境を改善したり。急に工事が始まることもあるので、毎回、少しづつコースが違うんですよね。ブラッシュアップをしながら、まずは25回大会を目指してより良いイベントにしていきたいと思っています。ご参加ありがとうございました!
photo & text : Michinari TAKAGI
Amazon.co.jp