2024/05/04(土) - 12:15
本日5月4日(土)、今年1つ目のグランツールであるジロ・デ・イタリアが開幕する。丘陵ステージの初日や「白い道」が登場の6日目、そして難易度5つ星の山頂フィニッシュ(8日目)など、てんこ盛りな第1週目のコースをプレビューします。
2024年ジロ・デ・イタリアはイタリア北西部ピエモンテ州にある古都、トリノで幕を開ける。そして3週間(21日間)をかけて、3400.8kmという道のりを最終発着地点ローマまで駆けていく。
トリノで初日を終えた選手たちは、2日目にいきなり登場する山頂フィニッシュを経て南下。イタリアを縦に分かつアペニン山脈のティレニア海側を沿うように、第9ステージのフィニッシュ地点であるナポリを目指す。
ステージカテゴリー内訳(全21ステージ)
平坦ステージ:6
丘陵ステージ:8(山頂フィニッシュ:2)
山岳ステージ:5(山頂フィニッシュ:4)
個人タイムトライアル:2
第1週目の注目は、近年では珍しい丘陵ステージの初日と先述した第2ステージの山頂フィニッシュ。更に第6ステージにはストラーデビアンケでお馴染みの「白い道(未舗装路)」が登場し、第8ステージは難易度5つ星(最高難易度)の1級山岳フィニッシュが訪れる。
5月4日(土)第1ステージ
ヴェナリア・レアーレ〜トリノ 140km(丘陵)
昨年白熱の個人タイムトライアルが繰り広げられた大会初日は、今年ヴェナリア・レアーレから時計回りにトリノ郊外を巡るラインレースで幕を開ける。その途中には4級、3級、2級山岳が設定され、特に最後の2級コッレ・マッダレーナは登坂距離6.1km/平均勾配7.4%とスプリンターを退ける。
勝負所はミラノ〜トリノでお馴染みの3級山岳スペルガではなく、残り21.9km地点に頂上がくるマッダレーナになるだろう。レイアウト的にはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)に向いており、また同じく初出場のジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)も勝利&マリアローザを狙ってくるはず。
5月5日(日)第2ステージ
サンフランチェスコ・アル・カンポ〜サンチュアリオ・ディ・オロパ 161km(丘陵)
第2ステージの最後に待ち受けるのは1級山岳サンチュアリオ・ディ・オロパ。1999年大会でマルコ・パンターニが49人をごぼう抜きしたことで知られ、ユネスコ世界遺産でもある巡礼地だ。
サンフランチェスコ・アル・カンポを出発後は90kmほど平坦路が続き、背の低い2つの丘をクリア。そして2つ連なる3級山岳を越え、下った後に1級山岳オロパ(距離11.8km/平均6.2%)に臨む。2017年はマリアローザを着たトム・デュムラン(オランダ)が区間優勝したことが記憶に新しいこの頂上で、総合争いの第1ラウンドが繰り広げられる。
5月6日(月)第3ステージ
ノヴァーラ〜フォッサーノ 166km(平坦)
大会3日目にしてようやくスプリンターの出番がやってきた。ノヴァーラからフォッサーノまでの166kmは、コース前半に登場する4級山岳を除けば平坦路だ。しかしフィニッシュ手前4.5kmから始まる距離1.5km/平均5.3%だけはご用心。そことラスト1.3km地点の鋭角左コーナーさえクリアしてしまえば、後はフィニッシュまで気持ちのいい直線路が続いていく。
予想はズバリ、集団スプリント。しかし今大会初の平坦ステージということもあり、ロングスパートなどによる奇襲はもちろん、ナーバスがゆえの落車にだけ気をつけてほしい。
5月7日(火)第4ステージ
アックイ・テルメ〜アンドーラ 190km(平坦)
2024年ジロ・デ・イタリアは4日目にしてピエモンテ州を離れる。次なる目的地はリグーリア海岸沿いを南に進み、ミラノ〜サンレモでもお馴染み「トレ・カーピ(3つの岬)」の一つ目であるカーポ・メーレを過ぎた先にある。
この日越える山岳はコース中央に設定された3級山岳コッレ・デル・メローニョただ一つ。登坂距離8kmに平均勾配約4%はスプリンターを退けるほどではなく、仮に遅れたとしてもそこからフィニッシュまでは下りと60kmの平坦路。すなわち2日連続でスプリンターたちの競演が見られるはずだ。
5月8日(水)第5ステージ
ジェノヴァ〜ルッカ 178km(丘陵)
前日に南西を目指した選手たちは、この日の出発地点であるジェノヴァからティレニア海沿いを南西に向かう。丘陵ステージに分類された178kmコースのフィニッシュ地点は、ジロ区間42勝や奇抜なジャージでも知られるマリオ・チポッリーニの生まれ故郷ルッカだ。
カテゴリー山岳は序盤の3級(勾配は緩いが登坂距離15.3kmと長い)とラスト21.1kmに頂上を迎える4級の2つだけ。ルッカの市街地を走るラスト3kmからは緩いコーナーが連続するため、エーススプリンターを最短距離に導くリードアウトの技量がスプリントの鍵を握る。
5月9日(木)第6ステージ
ヴィアレッジョ〜ラポラーノ・テルメ 180km(丘陵)
第1週目の見所の一つである「白い道」がやってきた。ヴィアレッジョでティレニア海に別れを告げた選手たちは、ラポラーノ・テルメを目指し内陸に向かって進んでいく。
コース中央の4級山岳からアップダウンがスタート。ストラーデビアンケでお馴染みの、白い埃舞う未舗装路は全部で3箇所(セクター)。第1セクターは残り49.5kmから始まる4.4kmで、第2セクター(4.8km)は最大勾配15%の4級山岳(距離3.4km/平均4.9%)を含む。そして第3セクターは残り17.9km(2.4km)からだ。
またコースプロフィールに細かい記載はないが、フィニッシュ手前約5kmのところにはセッレ・ディ・ラポラーノという名の丘が登場する。距離1.2km/平均8.4%の登りはラストに最大20%にも達する壁だ。
5月10日(金)第7ステージ
フォリンニョ〜ペルージャ 40.6km(個人タイムトライアル)
前日の未舗装路と勾配20%の壁で疲弊した選手たちに、今大会一つ目となる個人タイムトライアルが用意された。また総距離40.6kmの個人タイムトライアルにもかかわらず、ステージに与えられた難易度は星4つ。その理由は最後に登坂距離1.3km/平均勾配11.8%の登りが待ち受けているからだ。
フォリンニをスタートして2つ目の中間計測地点(34km)までは平坦路。そして終盤に最大勾配16%の壁が登場するため、タイムを求める選手たちはノーマルバイクに乗り換える可能性もありそうだ。
5月11日(土)第8ステージ
スポレート〜プラティ・ディ・ティーヴォ 152km(山岳)
ようやく1週目の終わりが見えてきた。しかしこの日の舞台は3つのカテゴリー山岳が登場する、難易度5つ星の山頂フィニッシュ。獲得標高3,820mの152kmコースは、前日の個人タイムトライアルに続き総合争いの大きな山場となる。
スポレートを出発直後にカテゴリーなき丘を越え、直後に取り掛かるのは登坂距離16.3km(平均5.6%)の2級山岳。ここでスプリンターたちはお役御免となり、山岳ポイントのつかない登りを3つほどクリアする。そして3級山岳を越え、一度下ってからこの日のメインディッシュである1級山岳プラティ・ディ・ティーヴォ(距離14.6km/平均7%)が始まる。
22のヘアピンカーブを曲がりながら登っていくこの山岳は、2021年のティレーノ~アドリアティコ第4ステージに登場した。その時は残り5km地点から独走に持ち込んだポガチャルが勝利し、当時の最速登坂記録をマークしている。
5月12日(日)第9ステージ
アヴェッツァーノ〜ナポリ 214km(丘陵)
トリノを出発して早9日。未舗装路(6日目)や個人タイムトライアル(7日目)、そして前日の山岳フィニッシュと疲れの溜まった選手たちに、レース主催者は”移動日”とも呼べるフラットなステージを用意した。
内陸のアヴェッツァーノをスタートする第9ステージは、3日振りにティレニア海を臨むナポリにフィニッシュする。コースプロフィールはまるで平坦ステージのように見えるが、分類が「丘陵」なのは残り39.8kmから始まる4級山岳が待ち受けるため。距離4.1km/平均3.8%の登りは最大勾配9%もあるのでスプリンターを退けるには十分かつ、その後も2つの丘が設定されている。
そのためピュアスプリンターには厳しく、登り耐性のあるスピードマンの出番。あるいは逃げ切りの可能性も高いレイアウトだ。
5月13日(月)休息日
text:Sotaro.Arakawa
2024年ジロ・デ・イタリアはイタリア北西部ピエモンテ州にある古都、トリノで幕を開ける。そして3週間(21日間)をかけて、3400.8kmという道のりを最終発着地点ローマまで駆けていく。
トリノで初日を終えた選手たちは、2日目にいきなり登場する山頂フィニッシュを経て南下。イタリアを縦に分かつアペニン山脈のティレニア海側を沿うように、第9ステージのフィニッシュ地点であるナポリを目指す。
ステージカテゴリー内訳(全21ステージ)
平坦ステージ:6
丘陵ステージ:8(山頂フィニッシュ:2)
山岳ステージ:5(山頂フィニッシュ:4)
個人タイムトライアル:2
第1週目の注目は、近年では珍しい丘陵ステージの初日と先述した第2ステージの山頂フィニッシュ。更に第6ステージにはストラーデビアンケでお馴染みの「白い道(未舗装路)」が登場し、第8ステージは難易度5つ星(最高難易度)の1級山岳フィニッシュが訪れる。
5月4日(土)第1ステージ
ヴェナリア・レアーレ〜トリノ 140km(丘陵)
昨年白熱の個人タイムトライアルが繰り広げられた大会初日は、今年ヴェナリア・レアーレから時計回りにトリノ郊外を巡るラインレースで幕を開ける。その途中には4級、3級、2級山岳が設定され、特に最後の2級コッレ・マッダレーナは登坂距離6.1km/平均勾配7.4%とスプリンターを退ける。
勝負所はミラノ〜トリノでお馴染みの3級山岳スペルガではなく、残り21.9km地点に頂上がくるマッダレーナになるだろう。レイアウト的にはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)に向いており、また同じく初出場のジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)も勝利&マリアローザを狙ってくるはず。
5月5日(日)第2ステージ
サンフランチェスコ・アル・カンポ〜サンチュアリオ・ディ・オロパ 161km(丘陵)
第2ステージの最後に待ち受けるのは1級山岳サンチュアリオ・ディ・オロパ。1999年大会でマルコ・パンターニが49人をごぼう抜きしたことで知られ、ユネスコ世界遺産でもある巡礼地だ。
サンフランチェスコ・アル・カンポを出発後は90kmほど平坦路が続き、背の低い2つの丘をクリア。そして2つ連なる3級山岳を越え、下った後に1級山岳オロパ(距離11.8km/平均6.2%)に臨む。2017年はマリアローザを着たトム・デュムラン(オランダ)が区間優勝したことが記憶に新しいこの頂上で、総合争いの第1ラウンドが繰り広げられる。
5月6日(月)第3ステージ
ノヴァーラ〜フォッサーノ 166km(平坦)
大会3日目にしてようやくスプリンターの出番がやってきた。ノヴァーラからフォッサーノまでの166kmは、コース前半に登場する4級山岳を除けば平坦路だ。しかしフィニッシュ手前4.5kmから始まる距離1.5km/平均5.3%だけはご用心。そことラスト1.3km地点の鋭角左コーナーさえクリアしてしまえば、後はフィニッシュまで気持ちのいい直線路が続いていく。
予想はズバリ、集団スプリント。しかし今大会初の平坦ステージということもあり、ロングスパートなどによる奇襲はもちろん、ナーバスがゆえの落車にだけ気をつけてほしい。
5月7日(火)第4ステージ
アックイ・テルメ〜アンドーラ 190km(平坦)
2024年ジロ・デ・イタリアは4日目にしてピエモンテ州を離れる。次なる目的地はリグーリア海岸沿いを南に進み、ミラノ〜サンレモでもお馴染み「トレ・カーピ(3つの岬)」の一つ目であるカーポ・メーレを過ぎた先にある。
この日越える山岳はコース中央に設定された3級山岳コッレ・デル・メローニョただ一つ。登坂距離8kmに平均勾配約4%はスプリンターを退けるほどではなく、仮に遅れたとしてもそこからフィニッシュまでは下りと60kmの平坦路。すなわち2日連続でスプリンターたちの競演が見られるはずだ。
5月8日(水)第5ステージ
ジェノヴァ〜ルッカ 178km(丘陵)
前日に南西を目指した選手たちは、この日の出発地点であるジェノヴァからティレニア海沿いを南西に向かう。丘陵ステージに分類された178kmコースのフィニッシュ地点は、ジロ区間42勝や奇抜なジャージでも知られるマリオ・チポッリーニの生まれ故郷ルッカだ。
カテゴリー山岳は序盤の3級(勾配は緩いが登坂距離15.3kmと長い)とラスト21.1kmに頂上を迎える4級の2つだけ。ルッカの市街地を走るラスト3kmからは緩いコーナーが連続するため、エーススプリンターを最短距離に導くリードアウトの技量がスプリントの鍵を握る。
5月9日(木)第6ステージ
ヴィアレッジョ〜ラポラーノ・テルメ 180km(丘陵)
第1週目の見所の一つである「白い道」がやってきた。ヴィアレッジョでティレニア海に別れを告げた選手たちは、ラポラーノ・テルメを目指し内陸に向かって進んでいく。
コース中央の4級山岳からアップダウンがスタート。ストラーデビアンケでお馴染みの、白い埃舞う未舗装路は全部で3箇所(セクター)。第1セクターは残り49.5kmから始まる4.4kmで、第2セクター(4.8km)は最大勾配15%の4級山岳(距離3.4km/平均4.9%)を含む。そして第3セクターは残り17.9km(2.4km)からだ。
またコースプロフィールに細かい記載はないが、フィニッシュ手前約5kmのところにはセッレ・ディ・ラポラーノという名の丘が登場する。距離1.2km/平均8.4%の登りはラストに最大20%にも達する壁だ。
5月10日(金)第7ステージ
フォリンニョ〜ペルージャ 40.6km(個人タイムトライアル)
前日の未舗装路と勾配20%の壁で疲弊した選手たちに、今大会一つ目となる個人タイムトライアルが用意された。また総距離40.6kmの個人タイムトライアルにもかかわらず、ステージに与えられた難易度は星4つ。その理由は最後に登坂距離1.3km/平均勾配11.8%の登りが待ち受けているからだ。
フォリンニをスタートして2つ目の中間計測地点(34km)までは平坦路。そして終盤に最大勾配16%の壁が登場するため、タイムを求める選手たちはノーマルバイクに乗り換える可能性もありそうだ。
5月11日(土)第8ステージ
スポレート〜プラティ・ディ・ティーヴォ 152km(山岳)
ようやく1週目の終わりが見えてきた。しかしこの日の舞台は3つのカテゴリー山岳が登場する、難易度5つ星の山頂フィニッシュ。獲得標高3,820mの152kmコースは、前日の個人タイムトライアルに続き総合争いの大きな山場となる。
スポレートを出発直後にカテゴリーなき丘を越え、直後に取り掛かるのは登坂距離16.3km(平均5.6%)の2級山岳。ここでスプリンターたちはお役御免となり、山岳ポイントのつかない登りを3つほどクリアする。そして3級山岳を越え、一度下ってからこの日のメインディッシュである1級山岳プラティ・ディ・ティーヴォ(距離14.6km/平均7%)が始まる。
22のヘアピンカーブを曲がりながら登っていくこの山岳は、2021年のティレーノ~アドリアティコ第4ステージに登場した。その時は残り5km地点から独走に持ち込んだポガチャルが勝利し、当時の最速登坂記録をマークしている。
5月12日(日)第9ステージ
アヴェッツァーノ〜ナポリ 214km(丘陵)
トリノを出発して早9日。未舗装路(6日目)や個人タイムトライアル(7日目)、そして前日の山岳フィニッシュと疲れの溜まった選手たちに、レース主催者は”移動日”とも呼べるフラットなステージを用意した。
内陸のアヴェッツァーノをスタートする第9ステージは、3日振りにティレニア海を臨むナポリにフィニッシュする。コースプロフィールはまるで平坦ステージのように見えるが、分類が「丘陵」なのは残り39.8kmから始まる4級山岳が待ち受けるため。距離4.1km/平均3.8%の登りは最大勾配9%もあるのでスプリンターを退けるには十分かつ、その後も2つの丘が設定されている。
そのためピュアスプリンターには厳しく、登り耐性のあるスピードマンの出番。あるいは逃げ切りの可能性も高いレイアウトだ。
5月13日(月)休息日
text:Sotaro.Arakawa
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