81kmの独走を決めたポガチャルは雨のストラーデビアンケを「最も難しく美しいレース」と称し、女子レースで優勝したコペッキーは「調子が上がらないなかパニックにならないよう努めた」と明かした。「白い道」を終えた選手たちのコメントを紹介します。



フィニッシュラインを通過し、バイクを掲げたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:RCS Media group

男子レース優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

誰も予想していなかったほどレース序盤から速く、サバイバルな展開となった。モンテ・サンテ・マリエでは嵐のような雨で厳しい状況になり、集団が25名ほどに絞られた。チームはレースを厳しくしてくれ、雨粒で前が見えない時もあった。だからフィニッシュまで距離があることは分かっていたが、調子が良かったので仕掛けたんだ。そして後続との差が生まれ、それ以降はただフィニッシュを目指すのみだった。

―これで4年連続、シーズン初戦で勝利した(総合優勝を含む)ことになる。

シーズン最初のレースは調子が分からないこともあるが、冬に良い準備ができた。初戦の時期が(例年よりも)遅れたが、厳しい練習を積むことができた。その努力が報われたよ。

―ストラーデビアンケを6つめのモニュメント(5大クラシック)だと思うか?

分からないけど、このレースが美しいのは事実。自転車界におけるモニュメントの定義が最古なのか詳しくは知らないが、ストラーデビアンケは歴史は浅くとも独自の魅力があるレース。そして高い人気はもちろん、世界で最も難しく、また美しいレースと言えるだろう。

2位 トムス・スクインシュ(ラトビア、リドル・トレック)

パンクや落車の不運に見舞われながらも2位に入ったトムス・スクインシュ(ラトビア、リドル・トレック) photo:CorVos

タデイ・ポガチャルに次ぐ2位は、勝利ではないが良い結果。レース前の僕にこの結果を伝えられても信じないほどだ。残念だがタデイを相手にできることは少ないからね。

(シモンズとの)落車の前に2度のパンクがあった。だがジャコポ(モスカ)がホイールを差し出してくれ、エドワルト(トゥーンス)とファビオ(フェリーネ)が僕を集団まで引き上げてくれたんだ。落車の後は泥の影響もありギヤが動かず、先頭のタデイと単独で追うファンヒルス以外の状況はよくわかっていなかった。だから集団に食らいつき、幸運にもバイク交換ができた。

初めてエースとして臨んだレースで、この結果はチームメイトの走りに報いることができたと思う。シエナでの表彰台は美しい瞬間だったよ。

3位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)

幾度となく仕掛け、3位に入ったマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:RCS Media group

素晴らしい走りを見せてくれたチームに感謝を。この大会を僕は、決して忘れることはないだろう。

4位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

表彰台を逃したトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:RCS Media group

タデイがアタックする前から僕らは全力だった。彼がアタックした後、僕らはまるでグルペットにいるような気がしたよ。皆が死体のようだったからね。(追走集団から飛び出すのが)遅すぎた。もっと上手く立ち回ることができれば2位に入れただろう。その反省に関しては言葉もないよ。

この後何も食べたくないほど、レース中は補給を欠かさなかった。スタートから80kmを全力で走り、その時点でまるで最終盤のように懸命に食べていた。アタックが繰り返され、飛び出すべきタイミングを待ちすぎてしまった。それが残念だよ。

―ポガチャルが残り81kmからアタックすると予想していたか?

いいや、していない。(アタックの瞬間は)皆、混乱しているようだった。だからこそ僕らはグルペットにいるような気分だった。言葉もないよ。「何が起きたんだ?」ってね。



女子レース優勝 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)

ロンゴボルギーニを突き放したコペッキー photo:RCS Media group

チーム全体として素晴らしい走りができた。レ・トルフェでデミ・フォレリングと私が先頭集団にいたことで、完璧なレースに持ち込むことができた。デミの仕掛けは決まらず、自分は限界に近かったが「今度は私が行かなければならない」と思いアタックした。

正直、今日は調子があまり良くなく、終始苦しみながら走っていた。いつもならば走り出せば徐々に良くなっていくところ、今日は脚の調子が改善しなかった。だからパニックにならないよう努めた。

サンタカテリーナ通り(の石畳)では早めに仕掛けることが大事なので、アタックして最終コーナーめがけて猛スピードで踏み込んだ。世界王者として訪れるカンポ広場は特別な思いがした。

2位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)

コペッキーに敗れながらも表彰台で笑顔を見せたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

常に勝利を目指さなければならない。でなければスタートせずにベットの中に潜っていればいい。2位が今日の自分が得られた最高位。ロッテと良い勝負ができていたが、強い方が勝つもの。シリン(ファンアンローイ)も5位に入り、チーム全員が110%の力を発揮した。私を信頼してくれたチームメイトとスタッフに感謝する。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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