2024/02/05(月) - 12:29
優勝候補大本命、マチュー・ファンデルプール(オランダ)が完璧なシクロクロスシーズンをアルカンシエル防衛と共に終えた。新世界王者や、華々しい引退レースを終えたゼネク・スティバル(チェコ)らの言葉も含めてレポート。
これまでの戦いで熱を帯び、最高潮に盛り上がったファンの視線が注がれる中、午後14時35分にシクロクロス世界選手権最終種目、男子エリートレースがスタートした。
シクロクロス2大大国であるベルギーとオランダのジャージが最前列を占める中、アルカンシエルが引かれた長いホームストレートでマチュー・ファンデルプール(オランダ)がいきなりホールショットを奪う。落車や足止めも起こらないクリーンなダッシュの中、沢田時(宇都宮ブリッツェン)は6列目、最後尾からのポジションアップを狙っていく。
1週間前のワールドカップ最終戦では中盤までライバルの走りを伺っていたファンデルプールだが、この日は序盤からハイペースを刻み、レース開始から5分で独走態勢に持ちこんだ。後ろに続くのは同じくオランダのヨリス・ニューウェンハイス。ワウト・ファンアールトを欠くライバル国ベルギーは、オランダの速攻に対応することができなかった。
ファンデルプール、距離を空けてニューウェンハイス。淡々とハイペースを刻むオランダ勢ワンツーの背後では、出遅れたベルギーと更なるオランダ勢、さらには2大強国に割って入らんとするクレマン・ヴァントゥリーニ(フランス)やフェリペ・オルツ(スペイン)、さらにはこのターボル出身のチェコ王者ミカエル・ボロシュが続く。現役最終レースを迎えた過去3度の世界王者ゼネク・スティバル(チェコ)は30番手付近を、沢田は45番手付近を走行。ペースをコントロールしながらも圧倒的速さで突き進むファンデルプールとの差は急速に開き続けた。
オランダ勢は一時的にワンツースリー体制を築いたものの、事前会見で「できるだけマチューについていきたい」と話していたマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー)が3番手に浮上し、さらに2番手ニューウェンハイスとの差も縮めていく。前半戦で銅メダルが見える位置にいたヴァントゥリーニは失速し、トップ10圏内を走っていたラース・ファンデルハール(オランダ)はピットまで遠い場所で痛恨のチェーン切れ。上位3選手の後ろではシクロクロスらしい大きな順位変動も起こり続けた。
「今日はペースコントロールに注意を払い、あまりリスクを冒さないように走った。たくさんの場所で石が露出していたから攻めるのはリスキーだったんだ」と自らの走りを振り返るファンデルプール。最後の2周回は1周回あたり15〜20秒ほどラップタイムを落としてフィニッシュへ。観客とハイタッチし、フィニッシュライン上でバイクから降り、勝利に貢献したバイクをアピール。スタートから一度も先頭を譲らない、圧倒的な走りと共に2年連続通算6度目のシクロクロス世界王者に輝いた。
「成功のシーズンの最後にタイトルを逃すことだけはしたくなかった。でもレースはレース。世界選手権では優勝候補が勝てないことも多いんだ」と、表彰台で2年連続のアルカンシエルを受け取ったファンデルプールは言う。彼にとってはジュニア時代も含めて合計8度目のシクロクロス世界王者戴冠であり、ターボルのレースは初のエリートタイトルを獲った2015年も含めて8戦8勝だ。ふたたびシクロクロス、そしてロードのダブル世界王者としてこれからの1年間を過ごすこととなる。
ニューウェンハイスはファントーレンハウトの追撃を退け、ガッツポーズの2位で自身エリート初のメダルを獲得。ファントーレンハウトは辛くも3位に入りベルギーの面目を守ったが、今回ベルギーは金メダル0、銀メダル1、銅メダル3と、金メダル3、銀メダル3、銅メダル2とラッシュに沸いたオランダに大きく水を開けられた。
非オランダ・ベルギーでは開催国チェコのボロシュが7位でトップ。スティバルはファンの大声援を受けながら、目に涙を浮かべて31位で待ち受ける家族の元へとフィニッシュ。完璧なエンディングでファンデルプールたちに続くシクロクロス&ロード兼業キャリアから退いた。
「もしかしたらもう1年選手活動を続けられたかもしれない。でも、今日より良い終わり方は考えられなかった。最後はパンクしたけど、そのおかげでゆっくりレースを楽しむことができたよ(笑)。特別で、感情的なレース。特に最終ラップは気持ちが溢れそうだった」と言うスティバル。トップスリーの表彰式後には同席したファンデルプールの影が薄くなるほどのセレモニーが催され、家族やチームスタッフ、大勢の母国ファンと共に喜びを共有している。
ファンデルプールのハイペースの陰で、沢田はフルラップ完走に手が届かず44位。「力通りの結果。ミスもなく、後方の混雑やトラブルもない中での順位でした。得意なはずの泥でランニング率が高いレースでしたが全く通用しなかった」とレース後に語っている。
沢田のコメントは別記事で紹介します。
これまでの戦いで熱を帯び、最高潮に盛り上がったファンの視線が注がれる中、午後14時35分にシクロクロス世界選手権最終種目、男子エリートレースがスタートした。
シクロクロス2大大国であるベルギーとオランダのジャージが最前列を占める中、アルカンシエルが引かれた長いホームストレートでマチュー・ファンデルプール(オランダ)がいきなりホールショットを奪う。落車や足止めも起こらないクリーンなダッシュの中、沢田時(宇都宮ブリッツェン)は6列目、最後尾からのポジションアップを狙っていく。
1週間前のワールドカップ最終戦では中盤までライバルの走りを伺っていたファンデルプールだが、この日は序盤からハイペースを刻み、レース開始から5分で独走態勢に持ちこんだ。後ろに続くのは同じくオランダのヨリス・ニューウェンハイス。ワウト・ファンアールトを欠くライバル国ベルギーは、オランダの速攻に対応することができなかった。
ファンデルプール、距離を空けてニューウェンハイス。淡々とハイペースを刻むオランダ勢ワンツーの背後では、出遅れたベルギーと更なるオランダ勢、さらには2大強国に割って入らんとするクレマン・ヴァントゥリーニ(フランス)やフェリペ・オルツ(スペイン)、さらにはこのターボル出身のチェコ王者ミカエル・ボロシュが続く。現役最終レースを迎えた過去3度の世界王者ゼネク・スティバル(チェコ)は30番手付近を、沢田は45番手付近を走行。ペースをコントロールしながらも圧倒的速さで突き進むファンデルプールとの差は急速に開き続けた。
オランダ勢は一時的にワンツースリー体制を築いたものの、事前会見で「できるだけマチューについていきたい」と話していたマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー)が3番手に浮上し、さらに2番手ニューウェンハイスとの差も縮めていく。前半戦で銅メダルが見える位置にいたヴァントゥリーニは失速し、トップ10圏内を走っていたラース・ファンデルハール(オランダ)はピットまで遠い場所で痛恨のチェーン切れ。上位3選手の後ろではシクロクロスらしい大きな順位変動も起こり続けた。
「今日はペースコントロールに注意を払い、あまりリスクを冒さないように走った。たくさんの場所で石が露出していたから攻めるのはリスキーだったんだ」と自らの走りを振り返るファンデルプール。最後の2周回は1周回あたり15〜20秒ほどラップタイムを落としてフィニッシュへ。観客とハイタッチし、フィニッシュライン上でバイクから降り、勝利に貢献したバイクをアピール。スタートから一度も先頭を譲らない、圧倒的な走りと共に2年連続通算6度目のシクロクロス世界王者に輝いた。
「成功のシーズンの最後にタイトルを逃すことだけはしたくなかった。でもレースはレース。世界選手権では優勝候補が勝てないことも多いんだ」と、表彰台で2年連続のアルカンシエルを受け取ったファンデルプールは言う。彼にとってはジュニア時代も含めて合計8度目のシクロクロス世界王者戴冠であり、ターボルのレースは初のエリートタイトルを獲った2015年も含めて8戦8勝だ。ふたたびシクロクロス、そしてロードのダブル世界王者としてこれからの1年間を過ごすこととなる。
ニューウェンハイスはファントーレンハウトの追撃を退け、ガッツポーズの2位で自身エリート初のメダルを獲得。ファントーレンハウトは辛くも3位に入りベルギーの面目を守ったが、今回ベルギーは金メダル0、銀メダル1、銅メダル3と、金メダル3、銀メダル3、銅メダル2とラッシュに沸いたオランダに大きく水を開けられた。
非オランダ・ベルギーでは開催国チェコのボロシュが7位でトップ。スティバルはファンの大声援を受けながら、目に涙を浮かべて31位で待ち受ける家族の元へとフィニッシュ。完璧なエンディングでファンデルプールたちに続くシクロクロス&ロード兼業キャリアから退いた。
「もしかしたらもう1年選手活動を続けられたかもしれない。でも、今日より良い終わり方は考えられなかった。最後はパンクしたけど、そのおかげでゆっくりレースを楽しむことができたよ(笑)。特別で、感情的なレース。特に最終ラップは気持ちが溢れそうだった」と言うスティバル。トップスリーの表彰式後には同席したファンデルプールの影が薄くなるほどのセレモニーが催され、家族やチームスタッフ、大勢の母国ファンと共に喜びを共有している。
ファンデルプールのハイペースの陰で、沢田はフルラップ完走に手が届かず44位。「力通りの結果。ミスもなく、後方の混雑やトラブルもない中での順位でした。得意なはずの泥でランニング率が高いレースでしたが全く通用しなかった」とレース後に語っている。
沢田のコメントは別記事で紹介します。
シクロクロス世界選手権2023-2024 男子エリート結果
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ) | 58:14 |
2位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ) | +0:37 |
3位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー) | +1:06 |
4位 | ピム・ロンハール(オランダ) | +1:36 |
5位 | エリ・イゼルビット(ベルギー) | +2:08 |
6位 | イェンス・アダムス(ベルギー) | +2:21 |
7位 | ミカエル・ボロシュ(チェコ) | +2:29 |
8位 | ワイツ・メーウセン(ベルギー) | +2:35 |
9位 | ティボー・ネイス(ベルギー) | +2:44 |
10位 | フェリペ・オルツ(スペイン) | +2:48 |
44位 | 沢田時(宇都宮ブリッツェン) |
text:So Isobe
photo:Nobuhiko Tanabe, CorVos
photo:Nobuhiko Tanabe, CorVos
Amazon.co.jp