2023/12/29(金) - 16:15
iRCのグラベルタイヤBOKEN DOUBLECROSSのラインアップに北米地域限定で発売されていた700×33Cが新たにラインアップされた。ドライとマッドどちらの状況にも適応しやすく、シクロクロスにもぴったりなグラベルタイヤを編集部員がテストした。
ASPITEやFORMULAシリーズでお馴染みの日本のタイヤブランド、iRC。オフロードタイヤにも定評がありマウンテンバイク用のTANKENやMIBROを筆頭に、近年欧米を中心に盛り上がるグラベル向きのBOKENシリーズまで広く手がけ、支持を集めているブランドだ。
BOKENシリーズのDOUBLECROSSは日本国内では700×38Cと42Cの2サイズが用意されていたが、グラベル人気が高い北米では33Cまで揃い幅広い層のオフロードライダーのニーズに応えられるように展開されていた。そんな33Cがついに日本国内でも販売されることとなった。DOUBLECROSSの特徴をおさらいしつつ、インプレッションをお届けしよう。
DOUBLECROSSコンセプトは「シクロクロスでも、グラベルでもデュアルに使用できるタイヤ」。BOKENシリーズにはスタンダードモデル、舗装路に特化したPLUS、マッド向けのSLOPCHOPが用意されており、DOUBLECROSSはスタンダードとSLOPCHOPの間に位置するような存在だ。そのため様々な状況に対応することが可能となり、グラベルだけでなくシクロクロスも視野に入るタイヤとして用意されている。
38Cと42Cの基本的な設計はセンター部分を密なブロックで敷き詰め、転がりの軽さとトラクション性のどちらも確保。ショルダー部分は程よい高さのノブを互い違いに配置することで、コーナリンググリップを高めていることが特徴だ。
一方で33Cは別物と言えるほどノブの設計が33C用に最適化され、ノブは全体的に小ぶりとなった。38Cと42Cのセンター部分はびっしりとブロックが詰められているが、33Cでは若干のスペースが設けられている。これによってオフロードでもトラクションがよりかかりやすくなり、レースで必要な加速時のトラクションを高めた。ショルダー部分は小さなノブの数を増やすことでバイクを倒した状態で非常に高いグリップ力が発揮されるようにデザインされている。
タイヤの構造自体は38C、42Cと共通。耐久性としなやかさを両立させた60TPIケーシングを採用し、サイドに補強材を加えることでカットパンクのリスクを抑えた。またこの設計によってサイド剛性が強化されており、タイヤを低圧に設定してもコーナーでタイヤがよれにくくなっている。重量は33Cで410g 、価格は6,820円(税込)だ。それでは編集部インプレッションに移っていこう。
―編集部インプレッション
今回はiRCのSERACシリーズを使用し、シクロクロスの全日本選手権の男子エリートで10位入賞経験があるCW編集部員の高木がインプレッションを担当。レースで人と競うことも好きなのだが、普段のライドでも「この道はどこへ続いているのだろうか?」と思いながらロードバイクで林道を走ってしまうこともあるくらい、冒険ライド好きでもある。
DOUBLECROSSのタイヤを触った印象は、普段シクロクロスで使用しているSERACシリーズよりも厚みがある感触。iRCのチューブレスタイヤ全般で言えることだが、タイヤの装着ではビードはフロアポンプで上げることができ、タイヤの取り付けはスムーズに行うことができたため作業性は良かった。
DOUBLECROSS 33Cの適正空気圧は3.1~4.1bar(45~60PSI)。筆者自身の体重は60kgで、空気圧は3.6barからテストライドはスタートし、空気圧を調整しながらタイヤの性能を確認した。舗装路でテストを開始したが、ブロックタイヤではあるものの漕ぎ出しは軽い。トレッドのセンター部分は繋がるようなデザインで、そのトレッド設計の恩恵を感じられるほどの転がりの軽さがある。
関東では荒川や多摩川などグラベルを気軽に体感できるフィールドはあるが、山や林道に行くまでは市街地など平坦な道を走っていかないと辿り着けないことがネック。しかし、このDOUBLECROSSであれば、舗装路での移動時間も苦にならない。
重量に関しては普段からシクロクロスタイヤのSERACシリーズを愛用しているため重さを感じてしまったが、スピードが乗ってしまえばアップダウンがあるところでも走りは軽い。また、アスファルトの路面でも凹凸があるような荒れた路面でも衝撃が少ないため、乗り心地も良い印象だ。
続いて、オフロードでもテストしていく。砂利道、芝、林道などでも舗装路同様に転がりも軽快で失速していく感じもない。直登のトラクションのかかりは良い印象に感じる。よっぽどのマッドコンディションでない限り走れるだろう。
空気圧に関しては最小空気圧でも、サイドに補強材が入っているため、低圧でもタイヤサイドがよれることがなく、グリップ重視のセッテイングにもすることができる。パンクのリスクを回避するなら、3.6barなど空気圧高めのセッテイングもおすすめだ。
コーナーに入ればサイドノブが芝や砂利、土に引っ掛かりグリップしてくれる。さらに、斜めのキャンバーでもサイドノブが路面を捉えてくれるため、グリップ感もバランスが取れているように感じる印象だった。
舗装路と砂利道、芝、林道など様々なシーンがなど様々なシーンで使用してみたが、シーンを選ばず走破できる。シクロクロスタイヤのSERAC CXシリーズのケーシングが180TPIであるのに対し、BOKEN DOUBLECROSSは60TPIであるためケーシングが太く、タイヤの厚みがあり走破性やオフロードでも安心感がある。
グラベルライドはもちろん、シクロクロスまでカバーしてくれる万能なタイヤであった。普段はグラベルライドをしていて、週末にシクロクロスレースを楽しむという方で、タイヤの付け替える手間を減らしてくれるタイヤだった。万能なグラベルタイヤを探している、そんなサイクリストにお勧めしたい。(インプレッション:高木三千成)
iRC BOKEN DOUBLECROSS TLR 33C
カラー:ブラック
サイズ:700×33C
重量:410g
価格:6,820円(税込)
ASPITEやFORMULAシリーズでお馴染みの日本のタイヤブランド、iRC。オフロードタイヤにも定評がありマウンテンバイク用のTANKENやMIBROを筆頭に、近年欧米を中心に盛り上がるグラベル向きのBOKENシリーズまで広く手がけ、支持を集めているブランドだ。
BOKENシリーズのDOUBLECROSSは日本国内では700×38Cと42Cの2サイズが用意されていたが、グラベル人気が高い北米では33Cまで揃い幅広い層のオフロードライダーのニーズに応えられるように展開されていた。そんな33Cがついに日本国内でも販売されることとなった。DOUBLECROSSの特徴をおさらいしつつ、インプレッションをお届けしよう。
DOUBLECROSSコンセプトは「シクロクロスでも、グラベルでもデュアルに使用できるタイヤ」。BOKENシリーズにはスタンダードモデル、舗装路に特化したPLUS、マッド向けのSLOPCHOPが用意されており、DOUBLECROSSはスタンダードとSLOPCHOPの間に位置するような存在だ。そのため様々な状況に対応することが可能となり、グラベルだけでなくシクロクロスも視野に入るタイヤとして用意されている。
38Cと42Cの基本的な設計はセンター部分を密なブロックで敷き詰め、転がりの軽さとトラクション性のどちらも確保。ショルダー部分は程よい高さのノブを互い違いに配置することで、コーナリンググリップを高めていることが特徴だ。
一方で33Cは別物と言えるほどノブの設計が33C用に最適化され、ノブは全体的に小ぶりとなった。38Cと42Cのセンター部分はびっしりとブロックが詰められているが、33Cでは若干のスペースが設けられている。これによってオフロードでもトラクションがよりかかりやすくなり、レースで必要な加速時のトラクションを高めた。ショルダー部分は小さなノブの数を増やすことでバイクを倒した状態で非常に高いグリップ力が発揮されるようにデザインされている。
タイヤの構造自体は38C、42Cと共通。耐久性としなやかさを両立させた60TPIケーシングを採用し、サイドに補強材を加えることでカットパンクのリスクを抑えた。またこの設計によってサイド剛性が強化されており、タイヤを低圧に設定してもコーナーでタイヤがよれにくくなっている。重量は33Cで410g 、価格は6,820円(税込)だ。それでは編集部インプレッションに移っていこう。
―編集部インプレッション
今回はiRCのSERACシリーズを使用し、シクロクロスの全日本選手権の男子エリートで10位入賞経験があるCW編集部員の高木がインプレッションを担当。レースで人と競うことも好きなのだが、普段のライドでも「この道はどこへ続いているのだろうか?」と思いながらロードバイクで林道を走ってしまうこともあるくらい、冒険ライド好きでもある。
DOUBLECROSSのタイヤを触った印象は、普段シクロクロスで使用しているSERACシリーズよりも厚みがある感触。iRCのチューブレスタイヤ全般で言えることだが、タイヤの装着ではビードはフロアポンプで上げることができ、タイヤの取り付けはスムーズに行うことができたため作業性は良かった。
DOUBLECROSS 33Cの適正空気圧は3.1~4.1bar(45~60PSI)。筆者自身の体重は60kgで、空気圧は3.6barからテストライドはスタートし、空気圧を調整しながらタイヤの性能を確認した。舗装路でテストを開始したが、ブロックタイヤではあるものの漕ぎ出しは軽い。トレッドのセンター部分は繋がるようなデザインで、そのトレッド設計の恩恵を感じられるほどの転がりの軽さがある。
関東では荒川や多摩川などグラベルを気軽に体感できるフィールドはあるが、山や林道に行くまでは市街地など平坦な道を走っていかないと辿り着けないことがネック。しかし、このDOUBLECROSSであれば、舗装路での移動時間も苦にならない。
重量に関しては普段からシクロクロスタイヤのSERACシリーズを愛用しているため重さを感じてしまったが、スピードが乗ってしまえばアップダウンがあるところでも走りは軽い。また、アスファルトの路面でも凹凸があるような荒れた路面でも衝撃が少ないため、乗り心地も良い印象だ。
続いて、オフロードでもテストしていく。砂利道、芝、林道などでも舗装路同様に転がりも軽快で失速していく感じもない。直登のトラクションのかかりは良い印象に感じる。よっぽどのマッドコンディションでない限り走れるだろう。
空気圧に関しては最小空気圧でも、サイドに補強材が入っているため、低圧でもタイヤサイドがよれることがなく、グリップ重視のセッテイングにもすることができる。パンクのリスクを回避するなら、3.6barなど空気圧高めのセッテイングもおすすめだ。
コーナーに入ればサイドノブが芝や砂利、土に引っ掛かりグリップしてくれる。さらに、斜めのキャンバーでもサイドノブが路面を捉えてくれるため、グリップ感もバランスが取れているように感じる印象だった。
舗装路と砂利道、芝、林道など様々なシーンがなど様々なシーンで使用してみたが、シーンを選ばず走破できる。シクロクロスタイヤのSERAC CXシリーズのケーシングが180TPIであるのに対し、BOKEN DOUBLECROSSは60TPIであるためケーシングが太く、タイヤの厚みがあり走破性やオフロードでも安心感がある。
グラベルライドはもちろん、シクロクロスまでカバーしてくれる万能なタイヤであった。普段はグラベルライドをしていて、週末にシクロクロスレースを楽しむという方で、タイヤの付け替える手間を減らしてくれるタイヤだった。万能なグラベルタイヤを探している、そんなサイクリストにお勧めしたい。(インプレッション:高木三千成)
iRC BOKEN DOUBLECROSS TLR 33C
カラー:ブラック
サイズ:700×33C
重量:410g
価格:6,820円(税込)
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