イネオス・グレナディアーズがチームの実質的トップだったロッド・エリングワースに代わる新体制の首脳陣を発表。ジョン・アラート氏が新しいCEOに就任し、スティーブ・カミングスが監督のトップに。また今年モビスターを引退するイマノル・エルビティを監督として迎え入れた。



イネオス・グレナディアーズの新代表に就任したジョン・アラート氏 photo:INEOS Grenadiers

現在、スペイン・マヨルカ島でトレーニング合宿を行っているイネオス・グレナディアーズが、ジョン・アラート氏の新代表就任を発表した。2022年にチームに加入し、今年はマネージング・ディレクターを務めていたアラート氏。しかしデイヴ・ブレイルスフォードがイネオススポーツに専念するためチームを離れ、副代表であったロッド・エリングワース氏が退団。そのためナンバー3だったアラート氏がトップに立った形だ。

チーム加入後、僅か2年で代表となったアラート氏はプレスリリースを通して「このチームを率いることは名誉なこと。しかし才能溢れる選手やチームスタッフ、優秀なパートナーたちと共に懸命に働き、イネオス・グレナディアーズの成功という新しい章を刻む機会を与えられ身が引き締まる思いだ」とコメント。また「このチームは素晴らしい成功のレガシーがあるものの、僕らの持つ未来への野望はそれ以上だ」と意気込みを語った。

今年限りで引退し、イネオスの監督に就任したイマノル・エルビティ(スペイン、モビスター) photo:Makoto AYANO

また、チームは同時にスティーブ・カミングスがスポーツディレクターのトップに就任したことを伝えた。カミングスは2019年に引退し、2021年からイネオスの監督を務めていた42歳。この抜擢とも言える人事にカミングスは、「世界最大のレースでチームを率いることができ光栄に思っている。チームが注力すべきものや目標、ビジョンは非常に明確だ。我々は表彰台のトップに返り咲くべく全力を注ぐ」と語っている。

更に空席だったパフォーマンスコーチ長には、五輪選手などを輩出したイングランドのミルフィールド・スクール(寄宿学校)のスポーツ長を務めていたスコット・ドロワー博士が就任。ドロワー氏は過去にチームで働いていた経歴があり、イングランドのラグビーなど幅広いスポーツで指揮した経験を持つ人物だ。

そして一部で報じられていた通り、イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)のスポーツディレクター就任が正式に明らかとなった。エルビティは2005年にプロデビューして以来、モビスターで19年間プロ選手を続けた40歳。「選手から監督になることはもちろん、新しいチームと(母国語ではない)言語を使うため、これはコンフォートゾーンから飛び出す挑戦だ。だが監督業を学ぶのにイネオス以上に適した場所はない。厳しさと革新を通じて常に改善する欲求は、このチームのモットーである。それこそが僕を引き付ける精神性だ」と語った。

text:Sotaro.Arakawa