2023/09/08(金) - 07:55
翌日に過酷な山岳ステージを控えるブエルタ12日目は、選手が入り乱れる集団スプリントで決着。オリヴェイラのリードアウトをフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が勝利に繋げ、中間スプリントを2位通過したログリッチが−4秒を加算した。
9月7日(木)第12ステージ
オルベガ〜サラゴサ 150.6km(平坦)
第78回ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージは、前日に引き続きカスティーリャ・イ・レオン州の内陸を駆ける。ピレネー山脈に向けた移動ステージの主役はスプリンターとなり、舞台はカテゴリー山岳の登場しない平坦路。残り18.7km地点の中間スプリントとフィニッシュ以外に見所となる箇所はないものの、レース主催者はこの地域特有である強い風への警戒を促した。
翌日が超級山岳トゥールマレーを登り詰めるクイーンステージのため、総合勢にとっては脚の休息に充てたい日。また逃げ切りに適した山岳もないので、この日はスプリンターチームが終始レースをコントロールすることになった。
アクチュアルスタートと共に集団から飛び出したのは33歳のイェツセ・ボル(オランダ、ブルゴスBH)と10歳下のアベル・バルデルストーネ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)の2人。それを見送ったメイン集団はマイヨロホを抱えるユンボ・ヴィスマではなく、マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を有するアルペシン・ドゥクーニンクが先導した。
先頭の2人が2分までリードを拡げた40km地点で、プロトンではルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)ら5名を含む落車が発生する。翌日の山岳ステージで重要なアシスト役を担うルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が巻き込まれた一方で、総合4位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)はそれを寸前で回避。落車したアラン・ジュソーム(フランス、トタルエネルジー)はドクターカーの治療を受けたものの、皆に大きな怪我はなかった。
途中でツール・ド・フランスを連覇したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がマイヨロホを着るセップ・クス(アメリカ)のためにボトルを運ぶシーンがありながら、プロトンと逃げは順調に距離を消化。総合上位陣が心配した風も集団分断を促すほどではなく、残り44km地点で早くもプロトンは逃げの2人を吸収した。
2010年にラボバンク(現ユンボ・ヴィスマ)でプロデビューしたボルは、プロトンから再度アタックを仕掛ける。しかしこれもすぐに引き戻され、時折バーレーン・ヴィクトリアスも牽引に力を貸しながら、大集団はフィニッシュラインの引かれたサラゴサまでの距離を縮めていった。
残り18.7km地点に設定された中間スプリントでは、この日の優勝候補であるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がトップ通過してポイントを加算する。その勝負にはユンボ・ヴィスマも挑み、総合4位につけるログリッチが2位通過で-4秒を獲得。総合3位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)とのタイム差を27秒から23秒まで縮めることに成功した。
そして幅の広い幹線道路で各チームが横一杯に拡がりながらサラゴサの街に突入する。総合上位につける選手の危険を回避したいユンボ・ヴィスマやスーダル・クイックステップが集団先頭に人数を集め、救済措置が適用される残り3kmを過ぎると後方に下がっていく。そしてアルペシン・ドゥクーニンクが再び先頭に出て、フラムルージュ(残り1km)を通過した。
残り300mを過ぎても先頭を譲らないアルペシンに対し、トラック競技でも活躍するルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がフアン・モラノ(コロンビア)を一気に引き上げる。そして緩い左コーナーでアルペシンを追い抜き、先頭に立ったオリヴェイラから残り150mでモラノが発射した。
一方、追い抜くUAEと接触した瞬間にチェーンを落としたグローブスは遅れを取る。モラノはボーイ・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)やチェーンをはめ直して猛スピードで迫るグローブスを退け、先頭でフィニッシュラインを通過した。
昨年大会の最終ステージに続き、ブエルタで自身2度目となる区間優勝を飾ったモラノ。「素晴らしい走りで僕を勝利へと導いてくれたチームと、僕の家族にこの勝利を捧げたい。今年の春に落車し、その怪我からの復帰は辛いものだった。しかし努力を積み重ねてこの大きな勝利を掴むことができた。本当に嬉しい」と、モラノは喜びを語った。
2位にはメカトラを悔しがるグローブスが入り、エーススプリンターであるユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)の代わりに勝負に出たファンポッペルが3位。またクスなど総合上位勢は皆トップと同タイムでフィニッシュしたため総合順位に変動はなく、上位勢は万全の状態で翌日のクイーンステージに臨むこととなった。
9月7日(木)第12ステージ
オルベガ〜サラゴサ 150.6km(平坦)
第78回ブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージは、前日に引き続きカスティーリャ・イ・レオン州の内陸を駆ける。ピレネー山脈に向けた移動ステージの主役はスプリンターとなり、舞台はカテゴリー山岳の登場しない平坦路。残り18.7km地点の中間スプリントとフィニッシュ以外に見所となる箇所はないものの、レース主催者はこの地域特有である強い風への警戒を促した。
翌日が超級山岳トゥールマレーを登り詰めるクイーンステージのため、総合勢にとっては脚の休息に充てたい日。また逃げ切りに適した山岳もないので、この日はスプリンターチームが終始レースをコントロールすることになった。
アクチュアルスタートと共に集団から飛び出したのは33歳のイェツセ・ボル(オランダ、ブルゴスBH)と10歳下のアベル・バルデルストーネ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)の2人。それを見送ったメイン集団はマイヨロホを抱えるユンボ・ヴィスマではなく、マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を有するアルペシン・ドゥクーニンクが先導した。
先頭の2人が2分までリードを拡げた40km地点で、プロトンではルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)ら5名を含む落車が発生する。翌日の山岳ステージで重要なアシスト役を担うルイス・フェルヴァーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が巻き込まれた一方で、総合4位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)はそれを寸前で回避。落車したアラン・ジュソーム(フランス、トタルエネルジー)はドクターカーの治療を受けたものの、皆に大きな怪我はなかった。
途中でツール・ド・フランスを連覇したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がマイヨロホを着るセップ・クス(アメリカ)のためにボトルを運ぶシーンがありながら、プロトンと逃げは順調に距離を消化。総合上位陣が心配した風も集団分断を促すほどではなく、残り44km地点で早くもプロトンは逃げの2人を吸収した。
2010年にラボバンク(現ユンボ・ヴィスマ)でプロデビューしたボルは、プロトンから再度アタックを仕掛ける。しかしこれもすぐに引き戻され、時折バーレーン・ヴィクトリアスも牽引に力を貸しながら、大集団はフィニッシュラインの引かれたサラゴサまでの距離を縮めていった。
残り18.7km地点に設定された中間スプリントでは、この日の優勝候補であるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がトップ通過してポイントを加算する。その勝負にはユンボ・ヴィスマも挑み、総合4位につけるログリッチが2位通過で-4秒を獲得。総合3位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)とのタイム差を27秒から23秒まで縮めることに成功した。
そして幅の広い幹線道路で各チームが横一杯に拡がりながらサラゴサの街に突入する。総合上位につける選手の危険を回避したいユンボ・ヴィスマやスーダル・クイックステップが集団先頭に人数を集め、救済措置が適用される残り3kmを過ぎると後方に下がっていく。そしてアルペシン・ドゥクーニンクが再び先頭に出て、フラムルージュ(残り1km)を通過した。
残り300mを過ぎても先頭を譲らないアルペシンに対し、トラック競技でも活躍するルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がフアン・モラノ(コロンビア)を一気に引き上げる。そして緩い左コーナーでアルペシンを追い抜き、先頭に立ったオリヴェイラから残り150mでモラノが発射した。
一方、追い抜くUAEと接触した瞬間にチェーンを落としたグローブスは遅れを取る。モラノはボーイ・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)やチェーンをはめ直して猛スピードで迫るグローブスを退け、先頭でフィニッシュラインを通過した。
昨年大会の最終ステージに続き、ブエルタで自身2度目となる区間優勝を飾ったモラノ。「素晴らしい走りで僕を勝利へと導いてくれたチームと、僕の家族にこの勝利を捧げたい。今年の春に落車し、その怪我からの復帰は辛いものだった。しかし努力を積み重ねてこの大きな勝利を掴むことができた。本当に嬉しい」と、モラノは喜びを語った。
2位にはメカトラを悔しがるグローブスが入り、エーススプリンターであるユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)の代わりに勝負に出たファンポッペルが3位。またクスなど総合上位勢は皆トップと同タイムでフィニッシュしたため総合順位に変動はなく、上位勢は万全の状態で翌日のクイーンステージに臨むこととなった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第12ステージ結果
1位 | フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 3:23:35 |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
3位 | ボーイ・ファンポッペル(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
4位 | ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | エドワルト・トゥーンス(ベルギー、リドル・トレック) | |
6位 | マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
7位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ) | |
8位 | オールイス・アウラール(ベネゼエラ、カハルラル・セグロスRGA) | |
9位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
10位 | ミラン・メンテン(ベルギー、ロット・デスティニー) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 42:51:20 |
2位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:26 |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:09 |
4位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:32 |
5位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +2:02 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +2:16 |
7位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +2:22 |
8位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +2:25 |
9位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +2:50 |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +3:14 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 203pts |
2位 | マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 85pts |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 79pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | 22pts |
2位 | エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット・デスティニー) | 21pts |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 20pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 42:52:29 |
2位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +0:53 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:07 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 128:02:10 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +0:57 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +7:27 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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