TT世界王者のエヴェネプールを16秒差で下したフィリッポ・ガンナは笑顔で勝利を喜んだ。「マイヨロホを着て走る忘れられない思い出となった」と語るクスやメカトラに見舞われたトーマスなど、ブエルタ第10ステージを終えた選手たちのコメントを紹介します。



区間優勝 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)

トップタイムを叩き出し、区間優勝を掴んだフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

本当に嬉しいよ。(途中リタイアとなった)ジロ・デ・イタリアの後、ここで勝利することが目標であり、夢だった。そして今日、それを叶えることができた。だから今はこの大会をどう終えるかについて考えたい。まだブエルタは2週間もあるので、引き続き勝利を目指して挑み続けたい。

世界選手権の後、G(ゲラント・トーマス)と共に努力を重ねてきた。僕らはジロの前も、そしてその後もトレーニングに打ち込んだ。勝利できて素晴らしいと思いがあると共に、この後も変わらず勝利を狙う。

区間2位&総合3位&ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

ガンナに16秒差で敗れたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

脚が絶好調ではないなか、良いタイムトライアルができた。スタートから10分が経過してからが苦しかった。それがフィリッポ(ガンナ)に敗れた理由だろう。総合争いで考えると良い結果となったが、ステージ優勝を逃したことは残念に思う。だがこの10日間で2位が2度、1位が1度は良い結果といえるだろう。

総合タイムを稼ぎ、セップ(クス)とのタイム差を縮めることができた。だが彼は素晴らしい走りを見せ、フィニッシュしたタイムに驚いた。トリプルエース体制を維持したいユンボ・ヴィスマは彼に攻めるよう言ったのだろうね。彼を心から祝福したいよ。まだブエルタは長く、タイムを奪い返すチャンスも巡ってくることだろう。

区間3位&総合3位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

区間3位:まずますのタイムでまとめたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

この結果には満足している。エヴェネプールがTTの世界王者であるには理由があり、今日の彼も強いことは分かっていた。今日は終始ペダルに力を込めることができ、調子も非常によかった。またセップ(クス)がマイヨロホを保持することができて嬉しい。この後のステージで守ることができるかは、僕を含むチーム次第となる。

区間4位&総合6位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

力を出し続けることのできた、良いタイムトライアルだった。総合を争う選手たち相手にタイムを稼ぐことができて嬉しいよ。明日はまた厳しいステージとなる。難易度がとても高いレイアウトではないものの、油断できないレースとなるだろう。トゥールマレーの山頂を目指す第13ステージまで気を抜くことなく、それまでに力を溜めることが重要なポイントとなる。

区間位&マイヨロホ セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)

区間13位:マイヨロホを死守したセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo:Unipublic

タフな日となった。タイムトライアルで苦しむと脚の力を緩めるのだが、今日はそうはいかず新しい体験ができた。緊張をすることはなく、単純に今日という日を楽しみたかった。どんな結果になろうと、マイヨロホを着て大観衆のなか一番最後に出走するという忘れられない体験になったよ。

ある程度のタイム差は保持しているものの、山岳では何が起きても不思議じゃない。数秒の争いが突如として崩壊することもあるからね。個人的には調子も良く、また自信もある。またプリモシュ(ログリッチ)とヨナス(ヴィンゲゴー)のコンディションの良さも、僕の自信に繋がっている。

総合首位キープに成功したセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

―このブエルタで総合優勝できると思っているか?

そのためには自分を信じ続けなければならない。もちろん最後までマイヨロホを着続けたいとは思っている。そのためには自分の感覚や本能に従って走らなければならない。また僕にはプリモシュとヨナスがいるので、プレッシャーもほどんどない。

メカトラで遅れ、区間20位に沈んだゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

笑ってしまうよね。途中で失速する可能性も無視してスタートから飛ばした。明日以降に繋がることを信じてね。それに(総合で遅れているとはいえ)全力で走らなければ、酷い気分に陥ってしまうからね。

走り出してみると感触は良く、計画通りの出力を出せていた。しかしチェーンが詰まり、バイク交換を強いられた。その後も少し力を込めたのだが、結局休息日明けのウォーミングアップのつもりでフィニッシュしたんだ。チームとしてはこの後、毎日がワンデーレースのような走りをしなければならない。とにかく毎日ベストを尽くし、気を引き締めて戦い続けるしかない。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, Unipublic

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