2023/08/31(木) - 08:10
2日連続の集団スプリントで決着したブエルタ・ア・エスパーニャの第5ステージ。驚異的なスピードで迫ったフィリッポ・ガンナを退け、カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が区間2連勝を達成した。
8月30日(水)第5ステージ
モレージャ〜ブリアナ 186.2km(丘陵)
第78回ブエルタ・ア・エスパーニャの第5ステージは、2日連続の集団スプリントが濃厚なレイアウト。標高917mのモレージャから地中海に面したブリアナを目指す前日と似通ったコースは、中央に2級山岳イボラ峠が待ち受けるものの平均勾配3.9%(距離11.4%)と恐れるに足らず。そして残り11.4km地点の中間スプリントで前哨戦を終えたスプリンターたちは、観光地としても知られるブリアナのフィニッシュ地点になだれ込む。
前日に落車したサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)がスタート地点に姿を現したこの日、同じく落車したブライアン・コカール(フランス、コフィディス)は肩の骨を骨折して欠場。またコーブ・ホーセンス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)は膝を負傷し、ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター)は鎖骨骨折によりそれぞれ不出走となった。
午後1時11分にスタートが切られたレースは、パレード走行中にジェイコ・アルウラーの総合エースであるエディ・ダンバー(アイルランド)が落車する。ダンバーは初日のチームトライアルの落車で負傷した箇所を痛め、骨折はなかったもののリタイアを選択。またジェイコからは今年のジロ・デ・イタリアでステージ優勝を挙げたフィリッポ・ザナ(イタリア)も胃腸の不調を理由に棄権した。
この日だけで5名が去ったレースはアクチュアルスタートと同時にEFエデュケーション・イージーポストのショーン・クイン(アメリカ)やシュテファン・ビッセガー(スイス)が飛び出す。しかしいずれも逃げには至らず、今度はエリック・ファグンデス(ウルグアイ、ブルゴスBH)が加速。その動きに反応する選手は現れなかったため、グランツールデビューを飾った25歳が単独逃げを決めた。
ウルグアイTT王者であるファグンデスはブラケットを極端に内側に絞ったバイクを進め、最大5分のリードを得る。一方のメイン集団では2連勝を目論むアルペシン・ドゥクーニンクが牽引に選手を送り、マイヨロホを着るレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)らが緑生い茂るバレンシア州の丘陵地帯を駆けていく。
残り53.7kmの2級山岳イボラ峠(距離11.4%/平均3.9%)を前にマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着たエドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット・デスティニー)がプロトンから飛び出す。セプルベダは同じ南米出身のファグンデスを捉え、先頭で頂上を通過し5ポイントを獲得。ファグンデスがプロトンに戻り、真新しい舗装のされた下りが終わった先でセプルベダも引き戻された。
再び一つとなった集団はフィニッシュ手前11.4km地点のボーナスタイムが与えられる中間スプリントを前に、エヴェネプールとマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がスプリントを繰り広げる。しかしフィニッシュスプリントに向け力を残したいグローブスが踏みを弱めたため、先頭通過したエヴェネプールが-6秒を得て総合リードを拡大した。
スプリンターチームと総合エースを守りたいチームとが激しい位置取り争いを繰り広げるなか、救済措置が取られる残り3km地点の手前のラウンドアバウトで落車が発生。それに前日4位だったミラン・メンテン(ベルギー、ロット・デスティニー)が巻き込まれ、回避した選手たちはアルペシン・ドゥクーニンクを先頭に最終ストレートに突入した。
前日は最終ストレート直前で落車し、その役割を果たせなかったロベ・ヘイス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)のリードアウトからグローブスがスプリントを開始。グローブスは背後につくルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ)を引き離すトップスピードを披露したものの、フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がそれ以上の速度で迫った。
しかしガンナの追い込みは僅かに届かず、ハンドル投げをグローブスが制してステージ2連勝を達成した。
「昨日と同じくラウンドアバウトが連続し、終盤の落車でチームから2名を失ってしまった。だがリードアウトをしてくれる仲間は無事で、最後にお膳立てをしてくれた」と勝利を振り返ったグローブス。チームに今年のグランツール7勝目をもたらすと共に、オーストラリア人によるブエルタ通算20勝目を手に入れた。
また、敗れながらも元TT世界王者として驚きのスプリントを披露したガンナは「G(ゲラント・トーマス)が”残り3kmまで僕を守ってくれればその後は自由に走ってくれ”と言ってくれたので勝負に出た。だがラウンドアバウトでの落車回避で番手を下げ、先頭に戻るために力を使わなければならなかった。この後もチャンスがあればまた挑むつもりだ」とスプリントへの意欲を見せた。
ボーナスタイムを加算した総合首位エヴェネプールは2位との差を5秒から11秒に拡大。またライバルであるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)と37秒差、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)と43秒差で翌日の山頂フィニッシュに臨む。
8月30日(水)第5ステージ
モレージャ〜ブリアナ 186.2km(丘陵)
第78回ブエルタ・ア・エスパーニャの第5ステージは、2日連続の集団スプリントが濃厚なレイアウト。標高917mのモレージャから地中海に面したブリアナを目指す前日と似通ったコースは、中央に2級山岳イボラ峠が待ち受けるものの平均勾配3.9%(距離11.4%)と恐れるに足らず。そして残り11.4km地点の中間スプリントで前哨戦を終えたスプリンターたちは、観光地としても知られるブリアナのフィニッシュ地点になだれ込む。
前日に落車したサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)がスタート地点に姿を現したこの日、同じく落車したブライアン・コカール(フランス、コフィディス)は肩の骨を骨折して欠場。またコーブ・ホーセンス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)は膝を負傷し、ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、モビスター)は鎖骨骨折によりそれぞれ不出走となった。
午後1時11分にスタートが切られたレースは、パレード走行中にジェイコ・アルウラーの総合エースであるエディ・ダンバー(アイルランド)が落車する。ダンバーは初日のチームトライアルの落車で負傷した箇所を痛め、骨折はなかったもののリタイアを選択。またジェイコからは今年のジロ・デ・イタリアでステージ優勝を挙げたフィリッポ・ザナ(イタリア)も胃腸の不調を理由に棄権した。
この日だけで5名が去ったレースはアクチュアルスタートと同時にEFエデュケーション・イージーポストのショーン・クイン(アメリカ)やシュテファン・ビッセガー(スイス)が飛び出す。しかしいずれも逃げには至らず、今度はエリック・ファグンデス(ウルグアイ、ブルゴスBH)が加速。その動きに反応する選手は現れなかったため、グランツールデビューを飾った25歳が単独逃げを決めた。
ウルグアイTT王者であるファグンデスはブラケットを極端に内側に絞ったバイクを進め、最大5分のリードを得る。一方のメイン集団では2連勝を目論むアルペシン・ドゥクーニンクが牽引に選手を送り、マイヨロホを着るレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)らが緑生い茂るバレンシア州の丘陵地帯を駆けていく。
残り53.7kmの2級山岳イボラ峠(距離11.4%/平均3.9%)を前にマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着たエドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット・デスティニー)がプロトンから飛び出す。セプルベダは同じ南米出身のファグンデスを捉え、先頭で頂上を通過し5ポイントを獲得。ファグンデスがプロトンに戻り、真新しい舗装のされた下りが終わった先でセプルベダも引き戻された。
再び一つとなった集団はフィニッシュ手前11.4km地点のボーナスタイムが与えられる中間スプリントを前に、エヴェネプールとマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がスプリントを繰り広げる。しかしフィニッシュスプリントに向け力を残したいグローブスが踏みを弱めたため、先頭通過したエヴェネプールが-6秒を得て総合リードを拡大した。
スプリンターチームと総合エースを守りたいチームとが激しい位置取り争いを繰り広げるなか、救済措置が取られる残り3km地点の手前のラウンドアバウトで落車が発生。それに前日4位だったミラン・メンテン(ベルギー、ロット・デスティニー)が巻き込まれ、回避した選手たちはアルペシン・ドゥクーニンクを先頭に最終ストレートに突入した。
前日は最終ストレート直前で落車し、その役割を果たせなかったロベ・ヘイス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)のリードアウトからグローブスがスプリントを開始。グローブスは背後につくルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ)を引き離すトップスピードを披露したものの、フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がそれ以上の速度で迫った。
しかしガンナの追い込みは僅かに届かず、ハンドル投げをグローブスが制してステージ2連勝を達成した。
「昨日と同じくラウンドアバウトが連続し、終盤の落車でチームから2名を失ってしまった。だがリードアウトをしてくれる仲間は無事で、最後にお膳立てをしてくれた」と勝利を振り返ったグローブス。チームに今年のグランツール7勝目をもたらすと共に、オーストラリア人によるブエルタ通算20勝目を手に入れた。
また、敗れながらも元TT世界王者として驚きのスプリントを披露したガンナは「G(ゲラント・トーマス)が”残り3kmまで僕を守ってくれればその後は自由に走ってくれ”と言ってくれたので勝負に出た。だがラウンドアバウトでの落車回避で番手を下げ、先頭に戻るために力を使わなければならなかった。この後もチャンスがあればまた挑むつもりだ」とスプリントへの意欲を見せた。
ボーナスタイムを加算した総合首位エヴェネプールは2位との差を5秒から11秒に拡大。またライバルであるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)と37秒差、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)と43秒差で翌日の山頂フィニッシュに臨む。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第5ステージ結果
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 4:23:43 |
2位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | ドリス・ファンヘステル(ベルギー、トタルエネルジー) | |
4位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ) | |
5位 | ルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ) | |
6位 | エドワルト・トゥーンス(ベルギー、リドル・トレック) | |
7位 | ダビ・ゴンザレス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)) | |
8位 | ジョフレ・スープ(フランス、トタルエネルジー) | |
9位 | ヘスス・エスケラ(スペイン、ブルゴスBH) | |
10位 | ジャラッド・ドリズナーズ(オーストラリア、ロット・デスティニー) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 17:12:29 |
2位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:11 |
3位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +0:17 |
4位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +0:37 |
5位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:39 |
6位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:43 |
8位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:44 |
9位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:48 |
10位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 122pts |
2位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | 62pts |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 45pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット・デスティニー) | 21pts |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 10pts |
3位 | マッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | 6pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 17:12:29 |
2位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +0:17 |
3位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:39 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 37:52:23 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +0:05 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | +0:32 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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