2023/08/25(金) - 18:10
明日8月26日、今年最後のグランツール「ブエルタ・ア・エスパーニャ」が開幕する。大会連覇を狙うエヴェネプールに挑むのは、ログリッチとヴィンゲゴーを揃えるユンボ・ヴィスマ。近年稀に見る豪華メンバーが揃ったマイヨロホ争いをプレビューします。
赤きジャージを意味するマイヨロホはブエルタ・ア・エスパーニャ最高の栄誉。長く採用されていた金色のマイヨオロが2010年、ツール・ド・フランス主催者のA.S.O.がブエルタ主催者Unipublicに資本参入したことを受け、黄色いマイヨジョーヌとの混同を避けるためにスペインのナショナルカラーである赤色に変更された。
ツールのマイヨジョーヌ、ジロのマリアローザにあたる個人総合成績のリーダージャージであり、毎日のステージ成績を積算し、その最も少ない選手が翌日のステージでマイヨロホを着る。つまり最終日を終えた時点でマイヨロホを着ている選手がブエルタ総合優勝の栄冠に輝く。そのジャージスポンサーは2013年より継続して世界大手のスーパーマーケットチェーン「カルフール」が務める。
フィニッシュの他にレースに展開を与えるボーナスタイムは今年も健在。ブエルタでは個人TTを除く各ステージの上位3名(1位:10秒、2位:6秒、3位:4秒)と中間スプリントポイント上位3名(1位:6秒、2位:4秒、3位:2秒)にボーナスタイムが与えられるため、山頂フィニッシュで活躍する選手が加速度的に総合リードを広げることになる。
熱きマイヨロホ争いが繰り広げられるであろうステージは初日のチームタイムトライアル(14.8km)と第10ステージの個人タイムトライアル(25.8km)。また大会3日目から早くも山頂フィニッシュが登場し、超級山岳トゥールマレー(距離18.9km/平均7.4%)を駆け上がる第13ステージと、”魔の山”アングリル(距離12.4km/平均9.8%)の待つ第17ステージが勝負所となる。
前回覇者エヴェネプールにユンボの2人が襲いかかる
総合優勝の筆頭に挙げられるのは、昨年の覇者であるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)ではなく、ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)の2人。今大会どちらかがマイヨロホを獲得することになれば、同じシーズンに同一チームがグランツールを全制覇する史上初の快挙となる。
今年5月のジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たしたログリッチは休息の後に高地トレーニングに励み、臨んだ前哨戦のブエルタ・ア・ブルゴスでは区間3勝(1つはチームTT)と総合優勝を飾った。昨年は落車で途中棄権となったリベンジを果たすべく、これ以上ないコンディションで王座奪取に挑む。
そのログリッチが2度目の総合優勝を果たした2020年大会でグランツールデビューを果たしたヴィンゲゴーは、2度の出場を果たす。ツール連覇の勢いをそのままに世界選手権を回避してブエルタ出場を表明。注目されるのはログリッチとのコンビネーションだが、ヴィンゲゴーは「お互いが争うのではなく、協力し合いながら勝利を目指す」と直前にインタビューでメディアやファンの疑念を一蹴。また今年のジロ、ツールと総合エースを支えたセップ・クス(アメリカ)も出場し、ユンボはマイヨロホ獲得に向け万全の体制を整えた。
一方のエヴェネプールは世界一の証であるアルカンシエルをロードからTTに変え、大会連覇を目指す。ジロで無念の途中棄権後はベルギー選手権王者に輝き、7月のクラシカ・サンセバスティアン(UCIワールドツアー)で連覇を達成。そして先日、TT世界選手権でベルギーに初優勝をもたらした。不安視されるのはユンボに比べ劣る山岳でのチーム力と、厳しいレースをこなしたことによる3週間を走り切る体力だ。
ジロで総合逆転を許したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)はツール完走を果たしたエガン・ベルナル(コロンビア)のアシストを受けながら優勝を狙う。また、同じジロで総合3位に入ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)は前年3位のフアン・アユソ(スペイン)とダブルエース体制で臨み、ツールで初日リタイアを喫したエンリク・マス(モビスター)は母国スペインで最高成績(総合2位)の更新を目指す。
リチャル・カラパス(エクアドル)が怪我の影響で不出場となったEFはヒュー・カーシー(イギリス)をエースに据える。またボーラ・ハンスグローエはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)を、バーレーン・ヴィクトリアスはミケル・ランダ(スペイン)、ジェイコ・アルウラーはエディ・ダンバー(アイルランド)で総合上位を狙いに行く。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
赤きジャージを意味するマイヨロホはブエルタ・ア・エスパーニャ最高の栄誉。長く採用されていた金色のマイヨオロが2010年、ツール・ド・フランス主催者のA.S.O.がブエルタ主催者Unipublicに資本参入したことを受け、黄色いマイヨジョーヌとの混同を避けるためにスペインのナショナルカラーである赤色に変更された。
ツールのマイヨジョーヌ、ジロのマリアローザにあたる個人総合成績のリーダージャージであり、毎日のステージ成績を積算し、その最も少ない選手が翌日のステージでマイヨロホを着る。つまり最終日を終えた時点でマイヨロホを着ている選手がブエルタ総合優勝の栄冠に輝く。そのジャージスポンサーは2013年より継続して世界大手のスーパーマーケットチェーン「カルフール」が務める。
フィニッシュの他にレースに展開を与えるボーナスタイムは今年も健在。ブエルタでは個人TTを除く各ステージの上位3名(1位:10秒、2位:6秒、3位:4秒)と中間スプリントポイント上位3名(1位:6秒、2位:4秒、3位:2秒)にボーナスタイムが与えられるため、山頂フィニッシュで活躍する選手が加速度的に総合リードを広げることになる。
熱きマイヨロホ争いが繰り広げられるであろうステージは初日のチームタイムトライアル(14.8km)と第10ステージの個人タイムトライアル(25.8km)。また大会3日目から早くも山頂フィニッシュが登場し、超級山岳トゥールマレー(距離18.9km/平均7.4%)を駆け上がる第13ステージと、”魔の山”アングリル(距離12.4km/平均9.8%)の待つ第17ステージが勝負所となる。
前回覇者エヴェネプールにユンボの2人が襲いかかる
総合優勝の筆頭に挙げられるのは、昨年の覇者であるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)ではなく、ユンボ・ヴィスマのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)の2人。今大会どちらかがマイヨロホを獲得することになれば、同じシーズンに同一チームがグランツールを全制覇する史上初の快挙となる。
今年5月のジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たしたログリッチは休息の後に高地トレーニングに励み、臨んだ前哨戦のブエルタ・ア・ブルゴスでは区間3勝(1つはチームTT)と総合優勝を飾った。昨年は落車で途中棄権となったリベンジを果たすべく、これ以上ないコンディションで王座奪取に挑む。
そのログリッチが2度目の総合優勝を果たした2020年大会でグランツールデビューを果たしたヴィンゲゴーは、2度の出場を果たす。ツール連覇の勢いをそのままに世界選手権を回避してブエルタ出場を表明。注目されるのはログリッチとのコンビネーションだが、ヴィンゲゴーは「お互いが争うのではなく、協力し合いながら勝利を目指す」と直前にインタビューでメディアやファンの疑念を一蹴。また今年のジロ、ツールと総合エースを支えたセップ・クス(アメリカ)も出場し、ユンボはマイヨロホ獲得に向け万全の体制を整えた。
一方のエヴェネプールは世界一の証であるアルカンシエルをロードからTTに変え、大会連覇を目指す。ジロで無念の途中棄権後はベルギー選手権王者に輝き、7月のクラシカ・サンセバスティアン(UCIワールドツアー)で連覇を達成。そして先日、TT世界選手権でベルギーに初優勝をもたらした。不安視されるのはユンボに比べ劣る山岳でのチーム力と、厳しいレースをこなしたことによる3週間を走り切る体力だ。
ジロで総合逆転を許したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)はツール完走を果たしたエガン・ベルナル(コロンビア)のアシストを受けながら優勝を狙う。また、同じジロで総合3位に入ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)は前年3位のフアン・アユソ(スペイン)とダブルエース体制で臨み、ツールで初日リタイアを喫したエンリク・マス(モビスター)は母国スペインで最高成績(総合2位)の更新を目指す。
リチャル・カラパス(エクアドル)が怪我の影響で不出場となったEFはヒュー・カーシー(イギリス)をエースに据える。またボーラ・ハンスグローエはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)を、バーレーン・ヴィクトリアスはミケル・ランダ(スペイン)、ジェイコ・アルウラーはエディ・ダンバー(アイルランド)で総合上位を狙いに行く。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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