マイヨジョーヌに対し、10秒差の総合2位につけるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)。第2休息日に記者会見を行い「愚かなアタックをした昨年とは違い、自分を制御できている」とここまでのレースを振り返った。



ここまで拮抗した戦いを繰り広げているタデイ・ポガチャルとヨナス・ヴィンゲゴー photo:CorVos

第15ステージを終え、総合首位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)とタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の差は10秒。近年稀に見る拮抗したマイヨジョーヌ争いをするポガチャルが、第2休息日の記者会見を開き、レースの振り返りと第3週目への展望を語った。

「この状況(タイム差)がどちらとって精神的に有利なのかはわからない。彼には彼の、僕には僕の考え方がある。ただ、僕は3年連続となる彼との戦いを楽しんでいるし、良いデュエル(対決)が繰り広げられている」と、ポガチャルはここまでのレースを振り返る。

両者による登坂勝負が行われたのは第13ステージ第14ステージ。特に超級山岳グラン・コロンビエールを駆け上がった13日目はフィニッシュ手前400mからポガチャルが仕掛け、ヴィンゲゴーにボーナスタイム含め8秒を奪い返した。その翌日にはヴィンゲゴーに1秒差をつけられてしまったものの、17秒あった第1週目終了時点でのタイム差を10秒まで縮めることに成功した。

第13ステージでヴィンゲゴーを引き離したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:A.S.O.

向こう見ずなアタックを繰り返した昨年とは異なり、チームメイトの力も借りながらよりスマートな走りが目立つ今年のポガチャル。それは本人も自覚しているようで「昨年は勝利への気持ちが強すぎてしまい、愚かなアタックをしてしまった。それに比べて今年は自分をコントロールできている。総合タイムでもそこまで離れていないし、以前のように爆弾を一気に投下するような(一か八かの)アタックもしなかった」と自身の成長を語っている。

また第1週目で巻いていた黒いテーピングを外し、万全とも思われる左手首については「開幕から2週間が経ち、いまだ手首に違和感は抱えている」と言うものの、「だがそれ以上に脚の状態が良いし、ペダリングは手首ではなく脚でするもの。第3週目にその影響が出るかは分からないが、ここまでの2週間は走りに何の影響も与えていない」と率直に答えた。

ちなみに自身のグローブをしないスタイルについて問われると、「素手の感覚の方が好きだから。でもレースでグローブすることは大切だ。なぜなら万が一落車したら手の平に擦過傷を負い大変なことになるからね。みんなには着用をオススメするよ」とその理由と共に、ファンに向けて注意を促した。

第14ステージでもアタックを仕掛けたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

引き続きアルプス山脈を舞台にするツール第3週目は、22.4kmの個人タイムトライアルにて幕を開ける。マイヨジョーヌの行方を大きく左右する決戦に向けてポガチャルは、「水曜日(第17ステージ)が最も厳しいステージだが、その時のタイム差によっては第20ステージも早めに攻勢に出て厳しい展開にする必要がある。いずれにせよ状況は明日のタイムトライアル次第となる」と語っている。

そして最後に「第3週目は面白い展開のステージとなるだろう。ここまでのレースで疲れてはいるが、僕らはベストを尽くすよ」と意気込みを語り、記者会見を締めくくった。

10秒差でツール最終週に臨むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

最新ニュース(全ジャンル)