「既にパリ決戦を見据えている」と、3度目のステージ優勝を飾ったヤスペル・フィリプセンはコメント。「チェーンが12速と11速を行き来した」と区間優勝記録の更新を逃したカヴェンディッシュなど、白熱のスプリントを選手のコメントで振り返ります。



区間優勝&マイヨヴェール(ポイント賞)ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

ハットトリックを達成したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

チームによるこの走りを、これ以上なく誇りに思う。なぜなら彼ら抜きでステージ3勝なんて不可能だったから。最終盤でお互いがそれぞれの役割を遂行し、それがこの成功に結びついた。本当に嬉しいし、心から誇りに感じている。

ラスト3kmからチームがまとまって走り、特にセーアン(クラーウアナスン)が素晴らしい牽引をみせてくれた。その後はいつものようにヨナス(リカールト)とマチュー(ファンデルプール)が牽いてくれたおかげ、スプリントまで力を使うことはなかった。もし1週間前にステージ勝利を3度挙げると言われても「クレイジーだ」と疑うだろう。ここまでは夢のようなツールになっているよ。この調子で更にもう1勝積み重ねたいし、既にパリでの戦いを見据えている。

区間3勝目を挙げ、マイヨヴェールのリードを拡大したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:So Isobe

―カヴェンディッシュを下したという意味でも、この勝利の価値は高まると思うか?

彼はとても強く、もちろん皆と同じように彼の勝つ姿が見たい。彼は諦めず勝利を狙ってくるだろうし、状態もとても良く見える。だからこの後のスプリントでも彼は手強い相手になるだろう。

目標はこのマイヨヴェールをパリまで守ること。でもまだ第1週目だ。この後もタフで長いステージが待っている。先のことを考えるのではなく、いまはこの勝利を楽しみたい。

区間2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)

惜しくも勝利を逃したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:CorVos

もちろん僅かながらにフラストレーションは感じている。しかしチームメイトによるアシストは素晴らしかった。だが、スプリント中に変速に問題があったんだ。

12速から11速へのシフトが上手く決まらず、そのため一度シッティングに切り替えなければならなかった。その後11速に入ったのでダンシングしたら、再び12速に戻ってしまったんだ。だからとても落ち込んでいる。本当に皆で僕をサポートし、良い飛び出しができたと思ったのに、運が僕の勝利を許してくれなかった。

―他のスプリンターや、特にフィリプセンをスピードで上回ることができると思うか?

ああ。できると思う。また、今日はフィリプセンのスプリントに複数のチームが異議を唱えるかもしれない。だが、僕自身は進路を妨害されていないので、何も言うことがない。

区間3位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)

初めてのツール・ド・フランスで3位に入ることができ、とても嬉しいよ。だが最も大事なことは無事にフィニッシュできたこと。明日以降も勝利を目指して全力を尽くす。

強力なリードアウトからフィリプセンを3勝目へ導いたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

この日も好リードアウトを披露したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

とても嬉しいよ。僕らには勝つ自信があるし、何より最速のスプリンターがいる。それがチームのモチベーションを上げてくれる。

今日は残り距離の標識が見えづらく、だからフィニッシュラインがどこにあるか分からないままリードアウトしていた。ヨナス(リカールト)が役割を終えた後、まだフィニッシュまで距離があるように見えた。だからできる限り速いペースを保つことに集中し、残り350mの文字が見えたのでもう少しだけ行こうと踏み込んだ。

事前にヤスペル(フィリプセン)とは「毎回、完璧なタイミングで飛び出せないかもしれない」という話し合いをしていた。だから彼は自分自身で判断し、完璧なスプリントを決めてみせた。

マイヨジョーヌ ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

マイヨジョーヌをキープしたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:So Isobe

比較的イージーな日となり、気温は30度を超えていたが気にはならなかった。もしツールの初日に「第7ステージ終了時に総合2位と25秒をつけてマイヨジョーヌを着ている」と言われれば、心から喜んだだろう。それぐらい現状には満足している。

第1週目はタデイ(ポガチャル)に適したレイアウトだったため、開幕前は彼が(第1週目を)リードしていると思っていた。それに僕自身、グランツールの序盤は調子が上がっていないからね。いまは徐々にコンディションが上がっているのを感じている。来るステージは暑さも加わり、ますます僕に適したステージとなるだろう。このあとの2週間が楽しみだよ。

ユンボ・ヴィスマのメーリン・ゼーマン監督

明日のステージはワウト・ファンアールトにチャンスのあるステージだろう。勝機があれば、彼は両手で勝利を掴みにいくだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:So Isobe, CorVos

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