2023/08/08(火) - 17:58
元プロロードレーサーとして名前を馳せる今中大介氏が率いる輸入販売代理店のインターマックスが展開するオリジナルバイクブランドが久々に復活。フラッグシップとしてブランドを代表するバイクが今回テストを行ったStingerだ。今中氏がテストを行いお墨付きを与えたバイクを紹介しよう。
近代のツール・ド・フランスに日本人で初めて出場した選手として日本のロードレースの歴史に名前を刻む今中大介氏。レーサーとしての実績に留まらずレース中継の解説者としての活躍や、メディアの機材インプレッション記事のテスター、イベントのゲストライダーや講師としての顔も持ち国内のロードバイク文化に大きく貢献した人物だ。
今中氏はインターマックスという輸入販売代理店の創業者でもあり、ヨーロッパブランドを国内のサイクリストへの提案も行ってきた。プロ選手目線で選りすぐった機材に対しては、自らのバイクに装着してテストを行いその性能を確かめているため、今中氏が乗るバイクはそのタイミングごとに最良のパーツが搭載されたホビーライダーのお手本でもある。
そんな今中氏は2021年はダズル迷彩を纏ったいかにもプロトタイプという出立のバイクに乗っており、その当時インターマックスの取り扱いブランドにはなかったバイクがラインアップに戻ってくるという期待を抱いたのは間違いない。その謎のバイクの詳細は2022年のジャパンカップサイクルロードレースで明らかになり、インターマックスのオリジナルブランドが復活を遂げた。
ジャパンカップで発表されたバイクはインターマックスの創業25周年を記念する50台限定のスペシャルバイクであり、非常に限られた人数のみが手にすることができる貴重なものだった。しかし、インターマックスはその限定バイクと同じフレーム"Stinger(スティンガー)"を使用した完成車をラインアップに加え、多くのサイクリストが手にできるようにラインアップを整えた。
StingerはトライアスロンバイクブランドのCEEPO(シーポ)がラインアップするエアロロード。インターマックスがオリジナルブランドとしてこのバイクをピックアップしたのはシーポとの良好な関係性があったことだけに留まらず、今中氏が特別ペイントのプロトタイプを乗り込んだことで、その性能を自らの脚で確かめることができたため。シーポでは国内展開が行われていないStingerがインターマックスブランドとして国内で展開される。
トライアスロンバイクブランドとしてエアロダイナミクスを究極まで突き詰めた開発の実績があるシーポが、UCIルールに適合させて開発したロードバイクだ。高速走行を維持できるエアロパフォーマンスと、ロードらしいアグレッシブなポジショニング、ニュートラルなジオメトリーによって高い戦闘力を実現していることが特徴だ。
エアロダイナミクス面では現代のエアロロードに採用されるカムテールのチューブ形状によって性能向上を試みている。カムテールは翼断面形状の後端部を切り落とした形状であり、空気抵抗低減と横風を受けた時の安定性、剛性、軽量性のバランスが整えられた形であり、ヘッドチューブやフォーク、ダウンチューブ、シートチューブ&ポストなどに採用されている。トップチューブは気流を乱さないように薄い扁平形状だ。
チューブ形状だけではなく、ヘッドチューブとフロントフォーク、ダウンチューブが集合する部分もインテグレーテッドデザイン、リアタイヤとシートチューブの距離を詰める切り欠きデザイン、シートチューブ側のボトルケージ台座部分の窪みなど細かい部分でも空気抵抗低減を行なっている。シートステー&チューブの集合部も直線的な造形も、気流を乱さずに後方へと流してくれそうだ。
現代ではスタンダードな仕様となったハンドル周りのケーブル内装システムは、シーポとFSA、トーケンとのパートナーシップで実現。FSAのSMR規格が採用されているため、適合するパーツであれば好みに合わせてカスタマイズすることが可能だ。
Stingerに用いられる素材は40Tのトレカ・カーボンで、これまでの開発で培ってきたインモールディングプロセスを経て成形される。これによってフレーム内部の表面が滑らかになりフレームの強度、剛性、軽量性のバランスが整うため、フレームの高いパフォーマンスを実現する。フレーム重量はMサイズで830g、フォークは404gだ。
インターマックスが展開するStingerはシマノUltegra DI2で構成する完成車で販売される。ハンドルとサドルはインターマックスオリジナルで、ホイールはマヴィックのCOSMIC SLR 45 、COSMIC SL 45、AKSIUMの3種類から選択可能。今回のテストではCOSMIC SLR 45を装備したバイクで行い、Sitngerの実力に迫った。
-インプレッション
「優しさとレーサーらしさが同居するグランツアラー」磯部聡(シクロワイアード編集部)
バネ感があるバイクだね。いいコイルサスが入っているモトみたいに、しっかり振動を吸収しつつ、一方で減衰もコントロールされているのでふわふわすることも無くて。かなり見た目はいかついエアロロードだけど、性格としては逆に優しさを感じるほど。
しなる分、パリパリのレーサーに比べると反応性という面では少し及ばない面もあるけれど、そのあとからトルクが掛かって伸びていく。で、結果的に追いついている、みたいな走り方が楽しい。
その走りに全体的なアセンブルも貢献していますね。ホイール、そして28mmのタイヤもバイクの性格的にはドンピシャで気持ち良い。今回はかなり空気圧を落として乗ってみたけれど、本当に快適で。路面が荒れていても自転車は凪いだ水面を走っているみたいでした。
一方で、ジオメトリーとしてはレーシングバイクのそれなので、キビキビ走りたいという欲望もしっかりと叶えてくれる。レーサー的なニュアンスが根底にありつつ、しなりを活かした乗り味でまとめた、いうなればグランツアラー的な一台ですね。
巡航も得意で、ハンドリングも直進安定性が強めなので、長距離を走ると実際に楽なバイクだと思いますよ。コーナーもスパッと切れ込んでいくのではなくて、狙ったラインをビタッとトレースしていくような安心感があって、全然怖さを感じない。
レースも出来るし、ロングライドも最高。例えば仲間と一緒に走りに出て、要所要所で掛け合って遊ぶ、みたいなの楽しいじゃないですか。
ホントのレースに出るには、トレーニングも積まないといけない。それはちょっといろんな理由があって厳しいな、なってきた人が、でもロードレーサーで走る喜びや楽しみといったものは味わいたい。このバイクの味付けはそんなシチュエーションを想像しやすい。ある意味、プロデューサーである今中さんらしいバイクだと言えるでしょうね。
パッケージで見てもULTEGRAとCOSMIC SLRで100万円と、この性能と昨今の相場からすれば納得感はあります。ハンドルやサドルにもインターマックスロゴが入っていて、統一感のあるアセンブルなのも好印象です。
このバイクが持つ魅力って、短い試乗コースじゃわからない。もし、今後ショップでの試乗イベントなどでちゃんと乗れる機会があれば、ぜひ試してみてほしいですよ。なるほど!と、納得できる自転車ですから。
「どんなレベルのサイクリストも受け入れる懐の広い一台」高木三千成(シクロワイアード編集部)
レーシングバイクとして、間違いなくオススメできる一台ですね。25周年記念モデルにも乗りましたが、同じフレームでもアセンブルが違うだけでフィーリングが違ってくるのがはっきりわかります。コンポーネント、特にクランクがDURA-ACEではなくULTEGRAになっているので、その分足あたりがマイルドで、より踏みやすい印象が強まっていました。それだけ素直な性格のバイクということでもあると思います。
全体的に安定感のあるバイクで、ホイールベースが長いというか、ヘッドが寝ているような感覚を受けました。フロントホイールが前目にあるような印象で、高速域での安定感は特筆すべきポイントでしょう。一方で、ハンドルに荷重するようなダンシングの時には、少しリズム感を掴むのに時間がかかりました。ハンドルに入力してから、車体が倒れるまでに少しタイムラグがありますね。
同じダンシングでも、後ろに荷重して車体全体を倒していくような、高出力時の踏み方ではそういったタイムラグは感じませんので、例えばアタック合戦で出遅れるような心配はご無用です。
車体の軽さ、そしてホイールの回転の良さが掛け合わさって、登りでも非常にスムーズに走れます。エアロ性能も非常に効果的に感じられるので、富士ヒルクライムのように平均スピードの速いヒルクライムレースにはピッタリではないでしょうか。
素直な性格のレーシングバイクなので、組み合わせるパーツによって違う顔を見せてくれるのも面白いですよね。今回は少しディープなホイールだったので、巡航時の気持ちよさは格別でしたけども、例えば30mmハイトの軽量ホイールを履かせれば、よりキビキビとした反応性を味わえるでしょうし、登りの軽快さもより一層引き立つでしょう。フレーム自体の直進安定性も高めなので、軽めのホイールとの相性は良いでしょうね。
最初に話したクランクの剛性感の違いをしっかり感じられるのも、フレームの素性の良さを示した証と言えるでしょう。そういった意味で、コックピット周りにあまり制約がないのも、このバイクらしい仕様だと思いますね。
様々な部分で調整が効くのは、ベテランライダーにとっては嬉しいポイントでしょう。シートポストも前後に調整が効くタイプなので、専用モデルですがポジションを出せないということは無いでしょうね。また、ヒルクライムやショートのトライアスロンで使う時は前に出して、ロードレースでは後ろに引く、というような使い方も出来そうです。
走る、止まる、曲がるといった基本性能の高さを持ちつつ、カスタマイズの幅も広いStingerは、本当に懐が深いバイクだと思いますね。レーサーはもちろん、競技的な走りはしないよ、という人でもバイクに振り回されることなく扱いやすい。リムブレーキバイクである程度良いバイクに乗っていた人が、ディスクロードに乗り換えたいと思った時には、ぜひ選択肢に入れてほしい一台ですね。
インターマックス Stinger
コンポーネント:Shimano ULTEGRA Di2
ハンドル:INTERMAX ORIGINAL ALLOY 31.8 400mm(S、M)、420mm(L)
サドル:INTERMAX ORIGINAL VELO SENSO Angel TTチタンレール、INTERMAXロゴ入り
ホイール:MAVIC AKSIUM、COSMIC SLR 45 DISC、COSMIC SL 45 DISCが選択可能
サイズ:XS、S、M、L
COSMIC SLR価格:1,078,000円(税込)
COSMIC SL価格:968,000円(税込)
AKSIUM価格:792,000円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
磯部聡(シクロワイアード編集部)
CWスタッフ歴12年、参加した海外ブランド発表会は20回超を数えるテック担当。ロードの、あるいはグラベルのダウンヒルを如何に速く、そしてスマートにこなすかを探求してやまない。
高木三千成(シクロワイアード編集部)
学連で活躍したのち、那須ブラーゼンに加入しJプロツアーに参戦。東京ヴェントスを経て、さいたまディレーブでJCLに参戦し、チームを牽引。シクロクロスではC1を走り、2021年の全日本選手権では10位を獲得した。
text:Gakuto Fujiwara
photo:Kenta Onoguchi
近代のツール・ド・フランスに日本人で初めて出場した選手として日本のロードレースの歴史に名前を刻む今中大介氏。レーサーとしての実績に留まらずレース中継の解説者としての活躍や、メディアの機材インプレッション記事のテスター、イベントのゲストライダーや講師としての顔も持ち国内のロードバイク文化に大きく貢献した人物だ。
今中氏はインターマックスという輸入販売代理店の創業者でもあり、ヨーロッパブランドを国内のサイクリストへの提案も行ってきた。プロ選手目線で選りすぐった機材に対しては、自らのバイクに装着してテストを行いその性能を確かめているため、今中氏が乗るバイクはそのタイミングごとに最良のパーツが搭載されたホビーライダーのお手本でもある。
そんな今中氏は2021年はダズル迷彩を纏ったいかにもプロトタイプという出立のバイクに乗っており、その当時インターマックスの取り扱いブランドにはなかったバイクがラインアップに戻ってくるという期待を抱いたのは間違いない。その謎のバイクの詳細は2022年のジャパンカップサイクルロードレースで明らかになり、インターマックスのオリジナルブランドが復活を遂げた。
ジャパンカップで発表されたバイクはインターマックスの創業25周年を記念する50台限定のスペシャルバイクであり、非常に限られた人数のみが手にすることができる貴重なものだった。しかし、インターマックスはその限定バイクと同じフレーム"Stinger(スティンガー)"を使用した完成車をラインアップに加え、多くのサイクリストが手にできるようにラインアップを整えた。
StingerはトライアスロンバイクブランドのCEEPO(シーポ)がラインアップするエアロロード。インターマックスがオリジナルブランドとしてこのバイクをピックアップしたのはシーポとの良好な関係性があったことだけに留まらず、今中氏が特別ペイントのプロトタイプを乗り込んだことで、その性能を自らの脚で確かめることができたため。シーポでは国内展開が行われていないStingerがインターマックスブランドとして国内で展開される。
トライアスロンバイクブランドとしてエアロダイナミクスを究極まで突き詰めた開発の実績があるシーポが、UCIルールに適合させて開発したロードバイクだ。高速走行を維持できるエアロパフォーマンスと、ロードらしいアグレッシブなポジショニング、ニュートラルなジオメトリーによって高い戦闘力を実現していることが特徴だ。
エアロダイナミクス面では現代のエアロロードに採用されるカムテールのチューブ形状によって性能向上を試みている。カムテールは翼断面形状の後端部を切り落とした形状であり、空気抵抗低減と横風を受けた時の安定性、剛性、軽量性のバランスが整えられた形であり、ヘッドチューブやフォーク、ダウンチューブ、シートチューブ&ポストなどに採用されている。トップチューブは気流を乱さないように薄い扁平形状だ。
チューブ形状だけではなく、ヘッドチューブとフロントフォーク、ダウンチューブが集合する部分もインテグレーテッドデザイン、リアタイヤとシートチューブの距離を詰める切り欠きデザイン、シートチューブ側のボトルケージ台座部分の窪みなど細かい部分でも空気抵抗低減を行なっている。シートステー&チューブの集合部も直線的な造形も、気流を乱さずに後方へと流してくれそうだ。
現代ではスタンダードな仕様となったハンドル周りのケーブル内装システムは、シーポとFSA、トーケンとのパートナーシップで実現。FSAのSMR規格が採用されているため、適合するパーツであれば好みに合わせてカスタマイズすることが可能だ。
Stingerに用いられる素材は40Tのトレカ・カーボンで、これまでの開発で培ってきたインモールディングプロセスを経て成形される。これによってフレーム内部の表面が滑らかになりフレームの強度、剛性、軽量性のバランスが整うため、フレームの高いパフォーマンスを実現する。フレーム重量はMサイズで830g、フォークは404gだ。
インターマックスが展開するStingerはシマノUltegra DI2で構成する完成車で販売される。ハンドルとサドルはインターマックスオリジナルで、ホイールはマヴィックのCOSMIC SLR 45 、COSMIC SL 45、AKSIUMの3種類から選択可能。今回のテストではCOSMIC SLR 45を装備したバイクで行い、Sitngerの実力に迫った。
-インプレッション
「優しさとレーサーらしさが同居するグランツアラー」磯部聡(シクロワイアード編集部)
バネ感があるバイクだね。いいコイルサスが入っているモトみたいに、しっかり振動を吸収しつつ、一方で減衰もコントロールされているのでふわふわすることも無くて。かなり見た目はいかついエアロロードだけど、性格としては逆に優しさを感じるほど。
しなる分、パリパリのレーサーに比べると反応性という面では少し及ばない面もあるけれど、そのあとからトルクが掛かって伸びていく。で、結果的に追いついている、みたいな走り方が楽しい。
その走りに全体的なアセンブルも貢献していますね。ホイール、そして28mmのタイヤもバイクの性格的にはドンピシャで気持ち良い。今回はかなり空気圧を落として乗ってみたけれど、本当に快適で。路面が荒れていても自転車は凪いだ水面を走っているみたいでした。
一方で、ジオメトリーとしてはレーシングバイクのそれなので、キビキビ走りたいという欲望もしっかりと叶えてくれる。レーサー的なニュアンスが根底にありつつ、しなりを活かした乗り味でまとめた、いうなればグランツアラー的な一台ですね。
巡航も得意で、ハンドリングも直進安定性が強めなので、長距離を走ると実際に楽なバイクだと思いますよ。コーナーもスパッと切れ込んでいくのではなくて、狙ったラインをビタッとトレースしていくような安心感があって、全然怖さを感じない。
レースも出来るし、ロングライドも最高。例えば仲間と一緒に走りに出て、要所要所で掛け合って遊ぶ、みたいなの楽しいじゃないですか。
ホントのレースに出るには、トレーニングも積まないといけない。それはちょっといろんな理由があって厳しいな、なってきた人が、でもロードレーサーで走る喜びや楽しみといったものは味わいたい。このバイクの味付けはそんなシチュエーションを想像しやすい。ある意味、プロデューサーである今中さんらしいバイクだと言えるでしょうね。
パッケージで見てもULTEGRAとCOSMIC SLRで100万円と、この性能と昨今の相場からすれば納得感はあります。ハンドルやサドルにもインターマックスロゴが入っていて、統一感のあるアセンブルなのも好印象です。
このバイクが持つ魅力って、短い試乗コースじゃわからない。もし、今後ショップでの試乗イベントなどでちゃんと乗れる機会があれば、ぜひ試してみてほしいですよ。なるほど!と、納得できる自転車ですから。
「どんなレベルのサイクリストも受け入れる懐の広い一台」高木三千成(シクロワイアード編集部)
レーシングバイクとして、間違いなくオススメできる一台ですね。25周年記念モデルにも乗りましたが、同じフレームでもアセンブルが違うだけでフィーリングが違ってくるのがはっきりわかります。コンポーネント、特にクランクがDURA-ACEではなくULTEGRAになっているので、その分足あたりがマイルドで、より踏みやすい印象が強まっていました。それだけ素直な性格のバイクということでもあると思います。
全体的に安定感のあるバイクで、ホイールベースが長いというか、ヘッドが寝ているような感覚を受けました。フロントホイールが前目にあるような印象で、高速域での安定感は特筆すべきポイントでしょう。一方で、ハンドルに荷重するようなダンシングの時には、少しリズム感を掴むのに時間がかかりました。ハンドルに入力してから、車体が倒れるまでに少しタイムラグがありますね。
同じダンシングでも、後ろに荷重して車体全体を倒していくような、高出力時の踏み方ではそういったタイムラグは感じませんので、例えばアタック合戦で出遅れるような心配はご無用です。
車体の軽さ、そしてホイールの回転の良さが掛け合わさって、登りでも非常にスムーズに走れます。エアロ性能も非常に効果的に感じられるので、富士ヒルクライムのように平均スピードの速いヒルクライムレースにはピッタリではないでしょうか。
素直な性格のレーシングバイクなので、組み合わせるパーツによって違う顔を見せてくれるのも面白いですよね。今回は少しディープなホイールだったので、巡航時の気持ちよさは格別でしたけども、例えば30mmハイトの軽量ホイールを履かせれば、よりキビキビとした反応性を味わえるでしょうし、登りの軽快さもより一層引き立つでしょう。フレーム自体の直進安定性も高めなので、軽めのホイールとの相性は良いでしょうね。
最初に話したクランクの剛性感の違いをしっかり感じられるのも、フレームの素性の良さを示した証と言えるでしょう。そういった意味で、コックピット周りにあまり制約がないのも、このバイクらしい仕様だと思いますね。
様々な部分で調整が効くのは、ベテランライダーにとっては嬉しいポイントでしょう。シートポストも前後に調整が効くタイプなので、専用モデルですがポジションを出せないということは無いでしょうね。また、ヒルクライムやショートのトライアスロンで使う時は前に出して、ロードレースでは後ろに引く、というような使い方も出来そうです。
走る、止まる、曲がるといった基本性能の高さを持ちつつ、カスタマイズの幅も広いStingerは、本当に懐が深いバイクだと思いますね。レーサーはもちろん、競技的な走りはしないよ、という人でもバイクに振り回されることなく扱いやすい。リムブレーキバイクである程度良いバイクに乗っていた人が、ディスクロードに乗り換えたいと思った時には、ぜひ選択肢に入れてほしい一台ですね。
インターマックス Stinger
コンポーネント:Shimano ULTEGRA Di2
ハンドル:INTERMAX ORIGINAL ALLOY 31.8 400mm(S、M)、420mm(L)
サドル:INTERMAX ORIGINAL VELO SENSO Angel TTチタンレール、INTERMAXロゴ入り
ホイール:MAVIC AKSIUM、COSMIC SLR 45 DISC、COSMIC SL 45 DISCが選択可能
サイズ:XS、S、M、L
COSMIC SLR価格:1,078,000円(税込)
COSMIC SL価格:968,000円(税込)
AKSIUM価格:792,000円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
磯部聡(シクロワイアード編集部)
CWスタッフ歴12年、参加した海外ブランド発表会は20回超を数えるテック担当。ロードの、あるいはグラベルのダウンヒルを如何に速く、そしてスマートにこなすかを探求してやまない。
高木三千成(シクロワイアード編集部)
学連で活躍したのち、那須ブラーゼンに加入しJプロツアーに参戦。東京ヴェントスを経て、さいたまディレーブでJCLに参戦し、チームを牽引。シクロクロスではC1を走り、2021年の全日本選手権では10位を獲得した。
text:Gakuto Fujiwara
photo:Kenta Onoguchi
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