2023/06/18(日) - 08:15
亡くなったメーダーの家族やチームによる協議の末、レースが続行されたツール・ド・スイス。第7ステージは残り25km地点までパレードランとなり、アタックを決めたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が世界王者に相応しい独走勝利を決めた。
ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)の死去から一夜明け、レース主催者はメーダーの家族と各チームの選手、スタッフとの話し合いの末レース続行を決断。また同日に開幕する女子レースも予定通り行われることが発表された。
チームメイトを失ったバーレーン・ヴィクトリアスは撤退し、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティとスイス籍のプロチームであるチューダー・プロサイクリングチームもレースを去った。またメーダーと同じスイス出身のシュテファン・キュング(グルパマFDJ)やマルク・ヒルシ(UAEチームエミレーツ)やミヒャエル・シェアー(AG2Rシトロエン)らもDNS(未出走)を選択。そのため37名少ない113名の選手たちが、出発地点であるテューバッハを静かにスタートを切った。
コースはヴァインフェルデンに至る183.5kmで、序盤から1級山岳を越えて2級、3級、3級山岳が続いていく丘陵ステージ。しかし総合タイムが記録されるのは残り25km地点までとなり、それ以降はタイム差のつかない着順のみのレースとなった。
スタート地点でメーダーを弔う白鳩を見送った集団は、トレック・セガフレードとアルペシン・ドゥクーニンクの先導によって距離を進めていく。そして残り25km地点を過ぎ、直後の3級山岳オッテンブルク(距離3.4km/平均6.1%)でEFエデュケーション・イージーポストのペースアップ。これをきっかけにレースが本格的に幕を開けた。
ユンボ・ヴィスマも集団の加速に尽力したため、10名の先鋭集団が形成される。そこにトーマス・ピドコック(イギリス)とミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が入ったイネオス・グレナディアーズがペースを作り、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が牽引を代わったタイミングでレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がアタックした。
それに唯一反応したのは、EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチームから今年プロデビューを掴んだ21歳のウェレイハゴス・バーへ(エチオピア、ジェイコ・アルウラー)。しかし、緩斜面を高出力で踏み続けるアルカンシエルのスピードにバーへは遅れ、ファンアールトとイネオスが中心となる追走集団に戻っていった。
これまで幾度となく独走勝利を飾ってきたエヴェネプールはこの日も一定の高速ペースで踏み続け、後続と48秒差まで拡げることに成功。登りで遅れた後続が追いつき、大きな集団となった追走からはニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)がこの日2度目のアタックするものの、決まらない。
そして大観衆の待つヴァインフェルデンの市街地に左腕に喪章をつけたエヴェネプールが到着。天を両手で指し、胸に手を当てた若き世界王者が静かにフィニッシュラインを通過した。
「個人的にはこれがジーノを称え、彼と彼の家族に敬意を示す最善の方法だったと思っている。この勝利とトロフィーを彼らに捧ぐ。そんなことをしても何も変わらないかもしれないが、プロトンや自転車界という小さい世界にいる人達が、彼のことを思っていると知ってもらいたい」と、エヴェネプールはレース後に語った。
また勝利については「最初はティム・メルリールでのスプリントを計画していた。だが最後の登りは彼にとって厳し過ぎ、また集団にワウト(ファンアールト)がいたので自ら仕掛けた。ジーノのために勝利することが個人的な目標だった」とコメントしている。
翌日はマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)が総合首位のまま迎える25.7kmの個人タイムトライアル。総合2位のフェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)と8秒差、3位のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)と18秒、4位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)とは46秒と、最終日の逆転が十分に考えられるタイム差となっている。
ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)の死去から一夜明け、レース主催者はメーダーの家族と各チームの選手、スタッフとの話し合いの末レース続行を決断。また同日に開幕する女子レースも予定通り行われることが発表された。
チームメイトを失ったバーレーン・ヴィクトリアスは撤退し、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティとスイス籍のプロチームであるチューダー・プロサイクリングチームもレースを去った。またメーダーと同じスイス出身のシュテファン・キュング(グルパマFDJ)やマルク・ヒルシ(UAEチームエミレーツ)やミヒャエル・シェアー(AG2Rシトロエン)らもDNS(未出走)を選択。そのため37名少ない113名の選手たちが、出発地点であるテューバッハを静かにスタートを切った。
コースはヴァインフェルデンに至る183.5kmで、序盤から1級山岳を越えて2級、3級、3級山岳が続いていく丘陵ステージ。しかし総合タイムが記録されるのは残り25km地点までとなり、それ以降はタイム差のつかない着順のみのレースとなった。
スタート地点でメーダーを弔う白鳩を見送った集団は、トレック・セガフレードとアルペシン・ドゥクーニンクの先導によって距離を進めていく。そして残り25km地点を過ぎ、直後の3級山岳オッテンブルク(距離3.4km/平均6.1%)でEFエデュケーション・イージーポストのペースアップ。これをきっかけにレースが本格的に幕を開けた。
ユンボ・ヴィスマも集団の加速に尽力したため、10名の先鋭集団が形成される。そこにトーマス・ピドコック(イギリス)とミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が入ったイネオス・グレナディアーズがペースを作り、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が牽引を代わったタイミングでレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がアタックした。
それに唯一反応したのは、EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチームから今年プロデビューを掴んだ21歳のウェレイハゴス・バーへ(エチオピア、ジェイコ・アルウラー)。しかし、緩斜面を高出力で踏み続けるアルカンシエルのスピードにバーへは遅れ、ファンアールトとイネオスが中心となる追走集団に戻っていった。
これまで幾度となく独走勝利を飾ってきたエヴェネプールはこの日も一定の高速ペースで踏み続け、後続と48秒差まで拡げることに成功。登りで遅れた後続が追いつき、大きな集団となった追走からはニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)がこの日2度目のアタックするものの、決まらない。
そして大観衆の待つヴァインフェルデンの市街地に左腕に喪章をつけたエヴェネプールが到着。天を両手で指し、胸に手を当てた若き世界王者が静かにフィニッシュラインを通過した。
「個人的にはこれがジーノを称え、彼と彼の家族に敬意を示す最善の方法だったと思っている。この勝利とトロフィーを彼らに捧ぐ。そんなことをしても何も変わらないかもしれないが、プロトンや自転車界という小さい世界にいる人達が、彼のことを思っていると知ってもらいたい」と、エヴェネプールはレース後に語った。
また勝利については「最初はティム・メルリールでのスプリントを計画していた。だが最後の登りは彼にとって厳し過ぎ、また集団にワウト(ファンアールト)がいたので自ら仕掛けた。ジーノのために勝利することが個人的な目標だった」とコメントしている。
翌日はマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)が総合首位のまま迎える25.7kmの個人タイムトライアル。総合2位のフェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)と8秒差、3位のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)と18秒、4位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)とは46秒と、最終日の逆転が十分に考えられるタイム差となっている。
ツール・ド・スイス2023第7ステージ結果
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 4:01:04 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | |
3位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) | |
4位 | ロレンゾ・マンザン(フランス、トタルエネルジー) | |
5位 | アレクサンデル・アランブル(スペイン、モビスター) | |
6位 | ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM) | |
7位 | ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) | |
8位 | ヨナス・コッホ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | セラーノ・ゴンサロ(スペイン、モビスター) | |
10位 | マチュー・ディナム(オーストラリア、チームDSM) |
個人総合成績
1位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) | 20:44:45 |
2位 | フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) | +0:08 |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:18 |
4位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:46 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +1:16 |
6位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | +1:29 |
7位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:54 |
8位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:57 |
9位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック) | +3:00 |
10位 | アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザフスタン) | +3:48 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | パスカル・エインコールン(オランダ、ロット・デスティニー) |
ヤングライダー賞 | マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) |
チーム総合成績 | AG2Rシトロエン |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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