2023/06/11(日) - 18:30
みなさん、イベント出てますか?CW編集スタッフの磯部は、先日開催された「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド」の実走取材に行ってまいりました。ここでしか味わえない北アルプスの絶景と美味しいエイドの数々。走りやすさ・走りごたえ共にたっぷりの、脱ビギナーにぴったりな、良きイベントを実体験してきたレポート。
今回わたくし、シクロワイアード編集スタッフの磯部が取材参加したのは、「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド」。その頭文字をとった通称「AACR」でお馴染みの、長野県は松本市をスタートし、白馬村で折り返す日本屈指の人気ロングライドイベントだ。
4月には「桜」、5月には「緑」と、2ヶ月連続で開催されるAACRの「緑」のほう。もうすでに暑くなりかけている都心部を抜け出し、新緑の信濃路をたっぷり走れるなんて最高じゃない?このところ忙しくて(言い訳)自転車乗ってなかったし!ということで、これまでずっとAACR取材を担当していた(E-BIKEで...)編集部スタッフ安岡と、バリバリ走れる同スタッフ高木を押し退けて、超久々となるイベント取材へ馳せ参じることと相成りました。
コロナ禍を経て3年ぶりに開催された昨年の「桜」は縮小開催で600人、その年の「緑」は一気に倍増して1200人、今年の「桜」は1200人、そして今回の「緑」は1400人(!)。こんなにも一気に参加人数を回復させたのは、さすがロングライドイベントのパイオニアといったところ。天気にも恵まれ、スタート時点でかなりワクワクしてたのでした。
なお、今回は最長クラスの160kmコースを走って撮ることにした。実は今年、ここに書くのが情けないほど走れてないのだけれど(160km走ると2023年の総走行距離がほぼ倍になる。まじか。)、AACRのコースは「長野」と聞いてイメージするようなビッグマウンテンコースではなく、そのじつ松本盆地を駆け抜ける平坦基調で、獲得標高は実測1300m+αくらい。その内訳も気づいたら標高が上がっているような川沿いの勾配だったり、峠っぽい登りはほんの少ししかない。
だから持っていくロードバイクも、軽い(スペシャライズドの)Aethosじゃなくて、平坦で速いファクター(ONE)を引っ張り出した。もやはSTRAVAアカウントを削除した方がいい乗り込みレベルだけど、脱ビギナーを目指すにピッタリなこのAACRは、結果的に、とっても楽しく走り切ることができたのでした。
何がいいって、景色がいい。160kmコースの序盤は、松本側から乗鞍にアクセスしたことのある人だったら、きっと誰もが「いい景色だな」と思ったはずのロケーションの中をひた走る。朝陽と涼やかな空気を浴びながら、特産のりんご畑の間の農道を縫うように。ちなみに、この日あちこちで見た、りんごに勢いよく撒水する赤くてカッコいいトラクターみたいなやつは、スピードスプレイヤーっていうらしい。
160kmコース最初のストップポイントである穂高エイドを抜けると、まだしっかり雪を残した白馬の山々が遠目にチラチラと見えてくる。ルートの選定も良くって、短く登り、スーッと速度を乗せて下るような、超・気持ちイイ道。あづみの公園の大町エイドを越えた先からは、ちょうど田植え時期の水田を横目に走りながら、松本平と白馬盆地の境界にある仁科三湖へ。木崎湖、中綱湖、そして青木湖。そして北アルプスがドドン!と目前に広がる白馬エリアで折り返し。遠すぎず近すぎず、絶妙な位置にエイドステーションが配置されているのも、気負わず160kmにチャレンジできるグッドポイントだ。
AACRの実行委員長を務めるのは、おなじみ鈴木雷太さん。元MTBプロ選手にしてシドニーオリンピアン、現在は松本市で自身のプロショップ「BIKE RANCH」を運営する氏と、イベントを支える松本サポートライダーズの皆さんが手がけるコースは、地元に住むサイクリスト目線ならでは。コースを走っていて「この景色を参加者に見せたいと思ったんだろうな」というシーンが何度も、何度も訪れる。
ちなみに雷太さんはこの日、娘さんと、選手時代の盟友である辻浦圭一さんと一緒に揃いのスペシャライズドのE-BIKE、CREOで160kmを走破した。大会2ヶ月前に大きな病気を患った雷太さんは、途中タクシーに乗らざるを得なくなる可能性も考えていたというもののの、辻浦さんと、これまたMTB時代の盟友であるウダこと宇田川聡仁さんの牽引もあって無事にゴールへと辿り着いたという。
各エイドステーションで提供される食べ物は、AACRを語る上で欠かすことのできない魅力の一つ。たとえば朝の第1(アルプスあづみの公園堀金・穂高地区)エイドは、身体を暖めるように地元特産のポロネギ(リーキとも呼ばれる西洋ネギ。冬と春に採れて、春の方が甘味が強いんだって!)をたっぷり使ったポタージュとパン、「ちょっとお腹減ってきたなー」的な感じで滑り込む第2(大町)エイドは出汁としょっぱさが嬉しい信州そばと羊羹。朝に始まりおやつ、お昼、それからおやつ、と、全てがちょうどイイ具合。
それに、このイベント一番キツい(?)坂を登って辿り着く第3(青木湖)エイドでいただいたねぎ味噌おにぎりは、本当にとんでもないうまさだった。地元の米を炊いてむすんで、地元のお母さん手作りというねぎ味噌をのっけた逸品は、もう1つや2つじゃ全然足りないよってレベルでうまい。数を気にしないでいいのなら、5個は軽くいけるほどである(まじ)。
折り返しの白馬エイドではペンション「ルポゼ白馬」のピザと特製レモネードでエネルギーチャージとリフレッシュ、この日2度目の青木湖エイドでは蒸し立ての粒あんおやきで後半戦へのエネルギーを。だいぶ疲れてきた頃に到着するラストの安曇野エイドでは冷凍の(冷やしたものと常温もある嬉しい心配り)リンゴジュースで最後の活力をイン。
AACRに出るということは、ロングライドを楽しみながら、長野の美しい景色と美味しい味を同時に楽しむということ。全てが色々整った、最高の自転車旅。環境が良すぎるとはこのことです。
松本より標高の高い白馬で往復するコースだから、帰り道は基本的に下り基調の平坦路がずっと続く。なにぶん素晴らしいイベントゆえ、ロングライドビギナーだけじゃなく、実は「走れる系」クラブチームの参加者も結構多い。
この日は風が強く暑かったので、私・磯部もあちこちで知り合いのチームトレインに乗っかり、ちゃっかり楽させてもらった。風磨横浜とGROVEに、サイクルショップイマイの方々、ありがとうございました。そしてBiciclettaSHIDOと、冠スポンサーであるミズタニ自転車のS々木さん&T家さんのトレインは、一瞬乗っただけで遥か彼方へと消えてった。写真なんか撮る余裕なかったよ!そのスピードおかしくない?
あと少し、だと思ったら、地味な登りと向かい風で全然終わらない最終区間をえっちらおっちら走り抜け、朝スタートした梓水苑のフィニッシュラインになだれ込んだ。ああ終わった。大きな登りがないのに、さすがに160kmは結構疲れた(楽しかった要素の方が大きいけれどね)。帰ってくる参加者一人一人にお疲れ様をアナウンスしてくれるMCアケさんの声が嬉しい。
ゲストとして走ったあむちゃんもすぐにフィニッシュしてきて、自身初めての100kmオーバー達成とのこと。フィニッシュ地点で話を聞いていると、結構160km走り切るのは初めて!嬉しい!という人も多く、まさに脱ビギナーを目指すにはピッタリ。フィニッシュ地点の記念撮影ポイントは、最後の最後まで長蛇の列が途切れることはなかったのでした。
イベントから10日ほど置いてこの記事を書いているけれど、自分自身、久々のロングライドは、そして久々のに走る信濃路は、そしてAACRはすごくいい思い出になっている。
AACRは、そして自転車イベントは楽しい。それは始まる前から知っていたんだけれど、マヴィックカーやサポートライダーに支えてもらいながら、エイドで地元の人たちのおもてなしを受けて、美味しいものを食べ、美しい景色の中を長駆走り切る嬉しさや楽しさは、やはりどう転んでもイベントでしか味わえない。今改めて自分自身が走っていてみて、そう感じたのでした。
「コロナ禍でイベントに出る人が減った」とはよく聞くし、確かにそんな風潮も感じなくはないけれど、先日の富士ヒルクライムも大盛況だったりと、やっぱり、ハレの舞台があることで、自転車ライフはすごく幸せなものになる。自分も忙しさにかまけてないで、もっとしっかり自転車に乗ろうと決めた。次のイベント取材はなんだったっけ。
(走ってないからこそ)日焼け止めなんてものの存在をすっかり忘れて10時間以上かけて160kmを走り、真っ赤っかになった磯部は、関係各位に挨拶を済ませ、CWハイエースに荷物を積み込んで、梓水苑から15分ほど乗鞍方面に向かった場所にある「竜島温泉 せせらぎの湯」の超トロトロの温泉をキメ、塩尻北IC近くにある「かつ亭」名物のみそロース(大)を涙を流しながらかっこみ、幸せのピークにのぼり詰めた。(このルーティーンは最高なので、東京方面に帰る人は速攻で帰るなんてことはせず、ぜひ真似してほしい)。もう最高の1日だった。また来年。またここで。
text&photo:(自転車イベント楽しいなと感じた)So Isobe
今回わたくし、シクロワイアード編集スタッフの磯部が取材参加したのは、「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド」。その頭文字をとった通称「AACR」でお馴染みの、長野県は松本市をスタートし、白馬村で折り返す日本屈指の人気ロングライドイベントだ。
4月には「桜」、5月には「緑」と、2ヶ月連続で開催されるAACRの「緑」のほう。もうすでに暑くなりかけている都心部を抜け出し、新緑の信濃路をたっぷり走れるなんて最高じゃない?このところ忙しくて(言い訳)自転車乗ってなかったし!ということで、これまでずっとAACR取材を担当していた(E-BIKEで...)編集部スタッフ安岡と、バリバリ走れる同スタッフ高木を押し退けて、超久々となるイベント取材へ馳せ参じることと相成りました。
コロナ禍を経て3年ぶりに開催された昨年の「桜」は縮小開催で600人、その年の「緑」は一気に倍増して1200人、今年の「桜」は1200人、そして今回の「緑」は1400人(!)。こんなにも一気に参加人数を回復させたのは、さすがロングライドイベントのパイオニアといったところ。天気にも恵まれ、スタート時点でかなりワクワクしてたのでした。
なお、今回は最長クラスの160kmコースを走って撮ることにした。実は今年、ここに書くのが情けないほど走れてないのだけれど(160km走ると2023年の総走行距離がほぼ倍になる。まじか。)、AACRのコースは「長野」と聞いてイメージするようなビッグマウンテンコースではなく、そのじつ松本盆地を駆け抜ける平坦基調で、獲得標高は実測1300m+αくらい。その内訳も気づいたら標高が上がっているような川沿いの勾配だったり、峠っぽい登りはほんの少ししかない。
だから持っていくロードバイクも、軽い(スペシャライズドの)Aethosじゃなくて、平坦で速いファクター(ONE)を引っ張り出した。もやはSTRAVAアカウントを削除した方がいい乗り込みレベルだけど、脱ビギナーを目指すにピッタリなこのAACRは、結果的に、とっても楽しく走り切ることができたのでした。
何がいいって、景色がいい。160kmコースの序盤は、松本側から乗鞍にアクセスしたことのある人だったら、きっと誰もが「いい景色だな」と思ったはずのロケーションの中をひた走る。朝陽と涼やかな空気を浴びながら、特産のりんご畑の間の農道を縫うように。ちなみに、この日あちこちで見た、りんごに勢いよく撒水する赤くてカッコいいトラクターみたいなやつは、スピードスプレイヤーっていうらしい。
160kmコース最初のストップポイントである穂高エイドを抜けると、まだしっかり雪を残した白馬の山々が遠目にチラチラと見えてくる。ルートの選定も良くって、短く登り、スーッと速度を乗せて下るような、超・気持ちイイ道。あづみの公園の大町エイドを越えた先からは、ちょうど田植え時期の水田を横目に走りながら、松本平と白馬盆地の境界にある仁科三湖へ。木崎湖、中綱湖、そして青木湖。そして北アルプスがドドン!と目前に広がる白馬エリアで折り返し。遠すぎず近すぎず、絶妙な位置にエイドステーションが配置されているのも、気負わず160kmにチャレンジできるグッドポイントだ。
AACRの実行委員長を務めるのは、おなじみ鈴木雷太さん。元MTBプロ選手にしてシドニーオリンピアン、現在は松本市で自身のプロショップ「BIKE RANCH」を運営する氏と、イベントを支える松本サポートライダーズの皆さんが手がけるコースは、地元に住むサイクリスト目線ならでは。コースを走っていて「この景色を参加者に見せたいと思ったんだろうな」というシーンが何度も、何度も訪れる。
ちなみに雷太さんはこの日、娘さんと、選手時代の盟友である辻浦圭一さんと一緒に揃いのスペシャライズドのE-BIKE、CREOで160kmを走破した。大会2ヶ月前に大きな病気を患った雷太さんは、途中タクシーに乗らざるを得なくなる可能性も考えていたというもののの、辻浦さんと、これまたMTB時代の盟友であるウダこと宇田川聡仁さんの牽引もあって無事にゴールへと辿り着いたという。
各エイドステーションで提供される食べ物は、AACRを語る上で欠かすことのできない魅力の一つ。たとえば朝の第1(アルプスあづみの公園堀金・穂高地区)エイドは、身体を暖めるように地元特産のポロネギ(リーキとも呼ばれる西洋ネギ。冬と春に採れて、春の方が甘味が強いんだって!)をたっぷり使ったポタージュとパン、「ちょっとお腹減ってきたなー」的な感じで滑り込む第2(大町)エイドは出汁としょっぱさが嬉しい信州そばと羊羹。朝に始まりおやつ、お昼、それからおやつ、と、全てがちょうどイイ具合。
それに、このイベント一番キツい(?)坂を登って辿り着く第3(青木湖)エイドでいただいたねぎ味噌おにぎりは、本当にとんでもないうまさだった。地元の米を炊いてむすんで、地元のお母さん手作りというねぎ味噌をのっけた逸品は、もう1つや2つじゃ全然足りないよってレベルでうまい。数を気にしないでいいのなら、5個は軽くいけるほどである(まじ)。
折り返しの白馬エイドではペンション「ルポゼ白馬」のピザと特製レモネードでエネルギーチャージとリフレッシュ、この日2度目の青木湖エイドでは蒸し立ての粒あんおやきで後半戦へのエネルギーを。だいぶ疲れてきた頃に到着するラストの安曇野エイドでは冷凍の(冷やしたものと常温もある嬉しい心配り)リンゴジュースで最後の活力をイン。
AACRに出るということは、ロングライドを楽しみながら、長野の美しい景色と美味しい味を同時に楽しむということ。全てが色々整った、最高の自転車旅。環境が良すぎるとはこのことです。
松本より標高の高い白馬で往復するコースだから、帰り道は基本的に下り基調の平坦路がずっと続く。なにぶん素晴らしいイベントゆえ、ロングライドビギナーだけじゃなく、実は「走れる系」クラブチームの参加者も結構多い。
この日は風が強く暑かったので、私・磯部もあちこちで知り合いのチームトレインに乗っかり、ちゃっかり楽させてもらった。風磨横浜とGROVEに、サイクルショップイマイの方々、ありがとうございました。そしてBiciclettaSHIDOと、冠スポンサーであるミズタニ自転車のS々木さん&T家さんのトレインは、一瞬乗っただけで遥か彼方へと消えてった。写真なんか撮る余裕なかったよ!そのスピードおかしくない?
あと少し、だと思ったら、地味な登りと向かい風で全然終わらない最終区間をえっちらおっちら走り抜け、朝スタートした梓水苑のフィニッシュラインになだれ込んだ。ああ終わった。大きな登りがないのに、さすがに160kmは結構疲れた(楽しかった要素の方が大きいけれどね)。帰ってくる参加者一人一人にお疲れ様をアナウンスしてくれるMCアケさんの声が嬉しい。
ゲストとして走ったあむちゃんもすぐにフィニッシュしてきて、自身初めての100kmオーバー達成とのこと。フィニッシュ地点で話を聞いていると、結構160km走り切るのは初めて!嬉しい!という人も多く、まさに脱ビギナーを目指すにはピッタリ。フィニッシュ地点の記念撮影ポイントは、最後の最後まで長蛇の列が途切れることはなかったのでした。
イベントから10日ほど置いてこの記事を書いているけれど、自分自身、久々のロングライドは、そして久々のに走る信濃路は、そしてAACRはすごくいい思い出になっている。
AACRは、そして自転車イベントは楽しい。それは始まる前から知っていたんだけれど、マヴィックカーやサポートライダーに支えてもらいながら、エイドで地元の人たちのおもてなしを受けて、美味しいものを食べ、美しい景色の中を長駆走り切る嬉しさや楽しさは、やはりどう転んでもイベントでしか味わえない。今改めて自分自身が走っていてみて、そう感じたのでした。
「コロナ禍でイベントに出る人が減った」とはよく聞くし、確かにそんな風潮も感じなくはないけれど、先日の富士ヒルクライムも大盛況だったりと、やっぱり、ハレの舞台があることで、自転車ライフはすごく幸せなものになる。自分も忙しさにかまけてないで、もっとしっかり自転車に乗ろうと決めた。次のイベント取材はなんだったっけ。
(走ってないからこそ)日焼け止めなんてものの存在をすっかり忘れて10時間以上かけて160kmを走り、真っ赤っかになった磯部は、関係各位に挨拶を済ませ、CWハイエースに荷物を積み込んで、梓水苑から15分ほど乗鞍方面に向かった場所にある「竜島温泉 せせらぎの湯」の超トロトロの温泉をキメ、塩尻北IC近くにある「かつ亭」名物のみそロース(大)を涙を流しながらかっこみ、幸せのピークにのぼり詰めた。(このルーティーンは最高なので、東京方面に帰る人は速攻で帰るなんてことはせず、ぜひ真似してほしい)。もう最高の1日だった。また来年。またここで。
text&photo:(自転車イベント楽しいなと感じた)So Isobe
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