2023/05/13(土) - 18:30
4月22~23日に長野県で開催されたアルプスあづみのセンチュリーライド。4月開催の「桜のAACR」にCW編集部の高木が取材し、イベントレポートを前編と後編で紹介していく。後編は青木湖からゴールまでをレポート。(※前編はこちらから)
4月22~23日に「桜のAACR」が開催された。イベントレポート前編は160kmコースのスタート地点である梓水苑からAACR名物の「ねぎみそおにぎり」がある第三エイドの青木湖までをレポートしてきた。後編では青木湖からゴールまでをレポートしていく。
桜のAACRの第三エイドは標高864mと、AACRの120kmコースと160kmコースともに最高地点となっている。これから目指す第四エイドの白馬がスタートから81km地点にあり、緑のAACRの大会の折り返し地点となる。また、青木湖から先は緩やかなアップダウンが続く、コースレイアウトとなっている。
仁科三湖のうち最も北側に位置する湖である青木湖周辺は穏やかな平地基調。自然と平均速度も上がっていく。ここから先にトンネルの区間が2か所あるため、大会の要項にあるように前後のライトが必須となるため、緑のAACRに参加する方は忘れずに。スタートからデイライトを実践しているサイクリストも多く、参加者の安全意識の高さを再確認させられた。
青木湖を離れ、山間をしばらく走ると平野と安曇野アートラインが見えてくる。安曇野アートラインは、長野県安曇野市や池田町、松川村、大町市、白馬村にある17カ所の美術館と博物館などを結ぶ道路である。そして、遠くに雪化粧が施された白馬岳と、薄っすらとスキージャンプ台が見えてくる。
長野県北安曇郡白馬村にある白馬ジャンプ競技場。1998年に開催された長野オリンピックのスキー競技のジャンプとノルディック複合ジャンプの競技会場として利用されスキージャンプの団体で金メダルを獲得したこと、五輪の聖地として知っている人も多いだろう。
長野県北安曇郡白馬村を流れる松川に架かる松川大橋に差し掛かると多くの参加者が立ち止まっていたため、筆者も立ち止まってみる。そして、上流の方向を向くと、雪化粧が施された北アルプスと松川が織り成す絶景が広がっていた。目の保養になるほどの絶景でした。
そして、ここから松川を1kmほど上流に進むと、北アルプスと松川が織り成す絶景が広がる。ここでも、多くの参加者が立ち止まり、愛車と一緒に撮る方や、グループでセルフィ―集合写真を撮る方を多く見かけた。緑のAACRに参加する方にはお勧めしたい撮影スポットだ。
そして、桜のAACRの折り返し地点の第四エイドである白馬エイドに到着。到着すると、そよ風に乗って香ばしく美味しそうな香りがしてきた。そうAACR名物である焼きたての「石窯ピザ」と「コンソメ冷製スープ」が参加者をお出迎え。
白馬エイドステーションには30席ほどのキャンプチェアーが用意され、参加者がまったりゆったり座って休憩して後半戦に備えていた。ケミカルブランドであるワコーズのブースがあり、自転車に不具合を感じた参加者がメンテナンスを受けていた。
次は第五エイドだが、第三エイドで訪れた青木湖を再び目指して走ることになる。白馬エイドを出発するとしばらく平坦が続く安曇野アートラインを走っていく。振り返りカメラを構えていると白馬ジャンプ競技場を背景にした絶景が広がる。リドレーアンバサダーのYUKARIさんはミズタニ自転車のみなさんやマヴィックのレヴォーグを従えて、撮影ポイントを軽快に走り抜けていった。
そして、白馬エイドへの道のりが行き帰りで異なる。行きのルートは下り基調で平坦が続くため、平均スピードは速くなるが、その分帰りのルートは10分ほどの登りが参加者を待ち受けていた。登っていくと左手に再び長野オリンピックの聖地が見えてくる。
白馬クロスカントリー競技場は長野オリンピックでクロスカントリースキー競技会場として使用された五輪レガシー。クロスカントリーコースは全長13.4kmと広大なコースが広がり、グリーンシーズンはランニングやサッカー、ウインターシーズンはクロスカントリースキーやスノーウォーキングで活用されている。
白馬クロスカントリー競技場を通過しても、しばらく登りが続いていく。桜のAACRも後半戦ということもあり登りに苦戦している参加者が多かったが、集団で息を潜めていたオーストリッチの伊美社長がアタックし、リズミカルなダンシングで意気揚々と登りの区間をクリアしていった。
そして、桜のAACRで唯一のトンネル区間、長野県大町市の佐野坂トンネルに差し掛かる。そしてトンネルを抜けると青木湖が見えてくる。ここから青木湖のエイドまでは平坦基調であるため、登り区間で疲れた脚を回して、回復させていく。
そして、参加者の前に立ちはだかる青木湖エイド前の激坂へ。インナーローで軽々とクリアしていく方もいれば、バイクを降りて押すなど、クリアの仕方は十人十色。そして、午前中にいた悪魔おじさんの姿はなく、第二エイドにいた猫耳をつけたお姉さんたちが応援してくれたため、声援に背中を押され、もうひと踏ん張りできた参加者も多かったはず。
そして、力を振り絞って到着した第五エイドの青木湖。信濃おやき幸庵の「おやき」と「わらび餅」が用意されていた。中身は甘辛く炒め煮した野沢菜で、フワフワの生地で包まれたおやき。わらび餅は瑞々しくプルプルで食後のデザートとしてぴったりだ。
第五エイドの青木湖から第六エイドの安曇野までは34kmも離れているため、エイドからエイドまでの距離としては最長の区間となる。とはいえ、青木湖エイドがコースの最高標高地点であるため、国道148号線で木崎湖まで行く区間は下り基調で脚を止めた状態でも30~40km/hほど速度が出るたので体力を温存できる。
下りでは右手に、国道148号線と並走するようにJR東日本の大糸線が走っている。そして、無人駅の稲生駅のところまで下ってきた。稲生駅は1960年(昭和35年)に日本国有鉄道の駅として開業した駅で、木崎湖と同様にアニメの聖地として訪れる観光客も多いという。
木崎湖のキャンプ場と温泉街を走り、第二エイドに訪れた「国営アルプスあづみの公園」を横目に壮大な田園の中を駆け抜けていく。そして、高瀬川方面に向かっていくと大糸線の安曇沓掛駅近くの踏切でいったんストップ。
普段では踏切待ちは嫌になることがあるが、イベント取材では踏切での待ち時間も楽しい時間。そして、やってきたのはE127系。1995年にデビューし車両で、中央本線と篠ノ井線、大糸線で運行されている。車体には軽量なステンレスを採用し、VVVFインバータ制御などの技術を導入している車両である。また、ワンマン運転も可能で効率的輸送ができるため、長野県や新潟県で活躍している。首都圏に住んでいると10両や15両編成を見慣れているせいか、2両編成の電車を見かけると立ち止まって、ついついカメラのシャッターを切ってしまう。
127系との別れを惜しみながら、踏切を渡り走っていくと高瀬川に架かる宮本橋に到着。高瀬川の土手上のルートを走り南下していく。因みに、高瀬川は長野県の大町市および安曇野市を主に流れる信濃川水系の一級河川で延長は55.8kmである。そんな高瀬川の土手上は追い風で快適に走ることができた。
土手上には白馬の山々から吹き下ろしてきた風が吹き、参加者の背中を押してくれていた。川沿いには無数のこいのぼりが気持ちよさそうに長野の空を優雅に泳いでいた。そして、高瀬橋を渡り、再び高瀬川を渡っていく。
そして、第七エイドの碌山公園に到着したのは14時30分。スタート時間が6時30分だったので、8時間が経過したことに気が付く。因みに、碌山公園は木造平屋で体験学習施設や多目的トイレ、芝生、広場、水路、約2,250台分の駐車場が整備されている大きな公園である。
碌山公園では「信州・安曇野のりんごジュース」と「赤飯饅頭」、「味噌パン」とたくさんの長野グルメが参加者たちに用意されていた。安曇野りんごジュースはパウチされた袋容器で、サイクルジャージのバッグポケットに入れて持ち運びできるのは良い。
そして、最終エイドから目指すのは19km先にあるゴール地点の「梓水苑」。ここからはアップダウンが続くコースプロフィールでもうひと踏ん張りが必要だ。気が付けば、日が傾き始め夕方の長野の景色が広がっていく。朝と違った表情も楽しめるのがAACRの良さである。
微かにゴール地点の「梓水苑」が見えてくると、AACRで見てきた長野の景色やグルメが脳内でフラッシュバックしてきた。そして、最終コーナーを曲がると最終ストレートにはミズタニ自転車が取り扱うリドレーやコンチネンタル、SMPなどのバナーが両サイドに貼られ、まるでレースのゴール前のようだった。
一緒に走ってきたミズタニ自転車の広報の佐々木さんと160kmを走破し、喜びを分かち合い握手をした。レースで勝利する瞬間も嬉しいが、ロングライドイベントでも同じような感覚になり、佐々木さんと共にガッツポーズをしながら、ゴールラインを通過した。
完走賞として、スタッフの方から「お疲れ様でした!」と言われ、手渡されたのが「開運堂りんごの天使」。長野県産の林檎"紅玉"を使用し、甘酸っぱい林檎の風味が口いっぱいに広がるアップルパイで、最後まで長野のグルメを堪能した。
ゴールでカメラのファインダーを覗いていると、カップルやグループで達成感に満ち溢れた笑顔で、ガッツポーズをしながらゴールしていく。ゴール後は参加者同士で喜びを分かち合いながら、今日の出来事を振り返っていた。
AACRとリドレーのロゴが入ったフォトスポットには、ライドを共にした仲間と記念撮影をする行列ができていた。サムズアップやピースをする方、バイクを掲げたり、シクロワイアード撮りをする方まで多種多様で、フォトスポットの様子を見ているだけでもとても面白かった。
無事にイベントが終了した「桜のAACR」。そこで、「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんにお話を伺った。
「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントプロデューサーの鈴木雷太さんのインタビュー
■桜のAACRの参加者はどれくらいだったんですか?
参加者は1200人くらいで、去年の桜のAACRの時より多くなりました。昨年はコロナ明け1発目の開催で色々な制限があったので、本当の意味で今年がコロナ明け1発目の開催でした。
驚いたことが1つあって、リピーターよりも初参加の方が多かったんです。ちょうど、桜のAACRの一週間前にサイクルモードに行って、会場でアンケートをとったらそこのアンケート結果でも、新規の方が多かったんですよね。
言ってみたらコロナの時に、コロナ前にAACRのようなサイクリングイベントを楽しんでいた人たちが、お店やコミュニティーでイベントに出ようとか、イベントに出るために練習をしていた人たちが主だったのが、よりホビーや一般よりになってきたのかなと思います。ここ2年、3年で入れ替わりがあって、新規の方が多く来てくれている状況になってきている。
■新規の方が多く来てくれるのはどうですか?
みんなに楽しんでもらいたい思いがあるので、うれしいです。長野県の良さとかイベントの楽しさとかを知ってもらいたので、新しい参加者が来てくれるのは大歓迎です。
■今大会で力を入れていることは何ですか?
今までの流れを周到しつつ、なんといっても安全に開催することに力を入れていましたね。新しいことにチャレンジしたとかよりも、より今までよりもブラッシュアップして、イベント自体を磨き上げました。
■緑のAACRの参加者に向けて一言よろしくお願いします!
楽しんで走ってもらうのが大前提となるんですが、ベースとなる安全に開催できるようにしていきます。新規参加者が増加傾向となっているので、安全に走ってもらえるような準備をしていきたいですね。
メッセージ性として、このAACRで事故が起きないとか、この地域では自転車のルールを守ってもらわないとイベント開催できないと僕らが困るとかではなくて、社会的に自転車の地位向上を考えていかなきゃいけない時代に入ってきているように考えています。
より良くしていくためには、啓蒙活動も大切だし、AACRのようなイベントを継続していくことによって、交通社会の中で自転車の走行空間の向上や理解が上がっていくと感じているので、今後の緑のAACRや木曽のサイクリングイベントでも長野県の良さを知ってもらえればと思います!
text&photo:Michinari TAKAGI
4月22~23日に「桜のAACR」が開催された。イベントレポート前編は160kmコースのスタート地点である梓水苑からAACR名物の「ねぎみそおにぎり」がある第三エイドの青木湖までをレポートしてきた。後編では青木湖からゴールまでをレポートしていく。
桜のAACRの第三エイドは標高864mと、AACRの120kmコースと160kmコースともに最高地点となっている。これから目指す第四エイドの白馬がスタートから81km地点にあり、緑のAACRの大会の折り返し地点となる。また、青木湖から先は緩やかなアップダウンが続く、コースレイアウトとなっている。
仁科三湖のうち最も北側に位置する湖である青木湖周辺は穏やかな平地基調。自然と平均速度も上がっていく。ここから先にトンネルの区間が2か所あるため、大会の要項にあるように前後のライトが必須となるため、緑のAACRに参加する方は忘れずに。スタートからデイライトを実践しているサイクリストも多く、参加者の安全意識の高さを再確認させられた。
青木湖を離れ、山間をしばらく走ると平野と安曇野アートラインが見えてくる。安曇野アートラインは、長野県安曇野市や池田町、松川村、大町市、白馬村にある17カ所の美術館と博物館などを結ぶ道路である。そして、遠くに雪化粧が施された白馬岳と、薄っすらとスキージャンプ台が見えてくる。
長野県北安曇郡白馬村にある白馬ジャンプ競技場。1998年に開催された長野オリンピックのスキー競技のジャンプとノルディック複合ジャンプの競技会場として利用されスキージャンプの団体で金メダルを獲得したこと、五輪の聖地として知っている人も多いだろう。
長野県北安曇郡白馬村を流れる松川に架かる松川大橋に差し掛かると多くの参加者が立ち止まっていたため、筆者も立ち止まってみる。そして、上流の方向を向くと、雪化粧が施された北アルプスと松川が織り成す絶景が広がっていた。目の保養になるほどの絶景でした。
そして、ここから松川を1kmほど上流に進むと、北アルプスと松川が織り成す絶景が広がる。ここでも、多くの参加者が立ち止まり、愛車と一緒に撮る方や、グループでセルフィ―集合写真を撮る方を多く見かけた。緑のAACRに参加する方にはお勧めしたい撮影スポットだ。
そして、桜のAACRの折り返し地点の第四エイドである白馬エイドに到着。到着すると、そよ風に乗って香ばしく美味しそうな香りがしてきた。そうAACR名物である焼きたての「石窯ピザ」と「コンソメ冷製スープ」が参加者をお出迎え。
白馬エイドステーションには30席ほどのキャンプチェアーが用意され、参加者がまったりゆったり座って休憩して後半戦に備えていた。ケミカルブランドであるワコーズのブースがあり、自転車に不具合を感じた参加者がメンテナンスを受けていた。
次は第五エイドだが、第三エイドで訪れた青木湖を再び目指して走ることになる。白馬エイドを出発するとしばらく平坦が続く安曇野アートラインを走っていく。振り返りカメラを構えていると白馬ジャンプ競技場を背景にした絶景が広がる。リドレーアンバサダーのYUKARIさんはミズタニ自転車のみなさんやマヴィックのレヴォーグを従えて、撮影ポイントを軽快に走り抜けていった。
そして、白馬エイドへの道のりが行き帰りで異なる。行きのルートは下り基調で平坦が続くため、平均スピードは速くなるが、その分帰りのルートは10分ほどの登りが参加者を待ち受けていた。登っていくと左手に再び長野オリンピックの聖地が見えてくる。
白馬クロスカントリー競技場は長野オリンピックでクロスカントリースキー競技会場として使用された五輪レガシー。クロスカントリーコースは全長13.4kmと広大なコースが広がり、グリーンシーズンはランニングやサッカー、ウインターシーズンはクロスカントリースキーやスノーウォーキングで活用されている。
白馬クロスカントリー競技場を通過しても、しばらく登りが続いていく。桜のAACRも後半戦ということもあり登りに苦戦している参加者が多かったが、集団で息を潜めていたオーストリッチの伊美社長がアタックし、リズミカルなダンシングで意気揚々と登りの区間をクリアしていった。
そして、桜のAACRで唯一のトンネル区間、長野県大町市の佐野坂トンネルに差し掛かる。そしてトンネルを抜けると青木湖が見えてくる。ここから青木湖のエイドまでは平坦基調であるため、登り区間で疲れた脚を回して、回復させていく。
そして、参加者の前に立ちはだかる青木湖エイド前の激坂へ。インナーローで軽々とクリアしていく方もいれば、バイクを降りて押すなど、クリアの仕方は十人十色。そして、午前中にいた悪魔おじさんの姿はなく、第二エイドにいた猫耳をつけたお姉さんたちが応援してくれたため、声援に背中を押され、もうひと踏ん張りできた参加者も多かったはず。
そして、力を振り絞って到着した第五エイドの青木湖。信濃おやき幸庵の「おやき」と「わらび餅」が用意されていた。中身は甘辛く炒め煮した野沢菜で、フワフワの生地で包まれたおやき。わらび餅は瑞々しくプルプルで食後のデザートとしてぴったりだ。
第五エイドの青木湖から第六エイドの安曇野までは34kmも離れているため、エイドからエイドまでの距離としては最長の区間となる。とはいえ、青木湖エイドがコースの最高標高地点であるため、国道148号線で木崎湖まで行く区間は下り基調で脚を止めた状態でも30~40km/hほど速度が出るたので体力を温存できる。
下りでは右手に、国道148号線と並走するようにJR東日本の大糸線が走っている。そして、無人駅の稲生駅のところまで下ってきた。稲生駅は1960年(昭和35年)に日本国有鉄道の駅として開業した駅で、木崎湖と同様にアニメの聖地として訪れる観光客も多いという。
木崎湖のキャンプ場と温泉街を走り、第二エイドに訪れた「国営アルプスあづみの公園」を横目に壮大な田園の中を駆け抜けていく。そして、高瀬川方面に向かっていくと大糸線の安曇沓掛駅近くの踏切でいったんストップ。
普段では踏切待ちは嫌になることがあるが、イベント取材では踏切での待ち時間も楽しい時間。そして、やってきたのはE127系。1995年にデビューし車両で、中央本線と篠ノ井線、大糸線で運行されている。車体には軽量なステンレスを採用し、VVVFインバータ制御などの技術を導入している車両である。また、ワンマン運転も可能で効率的輸送ができるため、長野県や新潟県で活躍している。首都圏に住んでいると10両や15両編成を見慣れているせいか、2両編成の電車を見かけると立ち止まって、ついついカメラのシャッターを切ってしまう。
127系との別れを惜しみながら、踏切を渡り走っていくと高瀬川に架かる宮本橋に到着。高瀬川の土手上のルートを走り南下していく。因みに、高瀬川は長野県の大町市および安曇野市を主に流れる信濃川水系の一級河川で延長は55.8kmである。そんな高瀬川の土手上は追い風で快適に走ることができた。
土手上には白馬の山々から吹き下ろしてきた風が吹き、参加者の背中を押してくれていた。川沿いには無数のこいのぼりが気持ちよさそうに長野の空を優雅に泳いでいた。そして、高瀬橋を渡り、再び高瀬川を渡っていく。
そして、第七エイドの碌山公園に到着したのは14時30分。スタート時間が6時30分だったので、8時間が経過したことに気が付く。因みに、碌山公園は木造平屋で体験学習施設や多目的トイレ、芝生、広場、水路、約2,250台分の駐車場が整備されている大きな公園である。
碌山公園では「信州・安曇野のりんごジュース」と「赤飯饅頭」、「味噌パン」とたくさんの長野グルメが参加者たちに用意されていた。安曇野りんごジュースはパウチされた袋容器で、サイクルジャージのバッグポケットに入れて持ち運びできるのは良い。
そして、最終エイドから目指すのは19km先にあるゴール地点の「梓水苑」。ここからはアップダウンが続くコースプロフィールでもうひと踏ん張りが必要だ。気が付けば、日が傾き始め夕方の長野の景色が広がっていく。朝と違った表情も楽しめるのがAACRの良さである。
微かにゴール地点の「梓水苑」が見えてくると、AACRで見てきた長野の景色やグルメが脳内でフラッシュバックしてきた。そして、最終コーナーを曲がると最終ストレートにはミズタニ自転車が取り扱うリドレーやコンチネンタル、SMPなどのバナーが両サイドに貼られ、まるでレースのゴール前のようだった。
一緒に走ってきたミズタニ自転車の広報の佐々木さんと160kmを走破し、喜びを分かち合い握手をした。レースで勝利する瞬間も嬉しいが、ロングライドイベントでも同じような感覚になり、佐々木さんと共にガッツポーズをしながら、ゴールラインを通過した。
完走賞として、スタッフの方から「お疲れ様でした!」と言われ、手渡されたのが「開運堂りんごの天使」。長野県産の林檎"紅玉"を使用し、甘酸っぱい林檎の風味が口いっぱいに広がるアップルパイで、最後まで長野のグルメを堪能した。
ゴールでカメラのファインダーを覗いていると、カップルやグループで達成感に満ち溢れた笑顔で、ガッツポーズをしながらゴールしていく。ゴール後は参加者同士で喜びを分かち合いながら、今日の出来事を振り返っていた。
AACRとリドレーのロゴが入ったフォトスポットには、ライドを共にした仲間と記念撮影をする行列ができていた。サムズアップやピースをする方、バイクを掲げたり、シクロワイアード撮りをする方まで多種多様で、フォトスポットの様子を見ているだけでもとても面白かった。
無事にイベントが終了した「桜のAACR」。そこで、「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントをプロデュースしている鈴木雷太さんにお話を伺った。
「アルプスあづみのセンチュリーライド」イベントプロデューサーの鈴木雷太さんのインタビュー
■桜のAACRの参加者はどれくらいだったんですか?
参加者は1200人くらいで、去年の桜のAACRの時より多くなりました。昨年はコロナ明け1発目の開催で色々な制限があったので、本当の意味で今年がコロナ明け1発目の開催でした。
驚いたことが1つあって、リピーターよりも初参加の方が多かったんです。ちょうど、桜のAACRの一週間前にサイクルモードに行って、会場でアンケートをとったらそこのアンケート結果でも、新規の方が多かったんですよね。
言ってみたらコロナの時に、コロナ前にAACRのようなサイクリングイベントを楽しんでいた人たちが、お店やコミュニティーでイベントに出ようとか、イベントに出るために練習をしていた人たちが主だったのが、よりホビーや一般よりになってきたのかなと思います。ここ2年、3年で入れ替わりがあって、新規の方が多く来てくれている状況になってきている。
■新規の方が多く来てくれるのはどうですか?
みんなに楽しんでもらいたい思いがあるので、うれしいです。長野県の良さとかイベントの楽しさとかを知ってもらいたので、新しい参加者が来てくれるのは大歓迎です。
■今大会で力を入れていることは何ですか?
今までの流れを周到しつつ、なんといっても安全に開催することに力を入れていましたね。新しいことにチャレンジしたとかよりも、より今までよりもブラッシュアップして、イベント自体を磨き上げました。
■緑のAACRの参加者に向けて一言よろしくお願いします!
楽しんで走ってもらうのが大前提となるんですが、ベースとなる安全に開催できるようにしていきます。新規参加者が増加傾向となっているので、安全に走ってもらえるような準備をしていきたいですね。
メッセージ性として、このAACRで事故が起きないとか、この地域では自転車のルールを守ってもらわないとイベント開催できないと僕らが困るとかではなくて、社会的に自転車の地位向上を考えていかなきゃいけない時代に入ってきているように考えています。
より良くしていくためには、啓蒙活動も大切だし、AACRのようなイベントを継続していくことによって、交通社会の中で自転車の走行空間の向上や理解が上がっていくと感じているので、今後の緑のAACRや木曽のサイクリングイベントでも長野県の良さを知ってもらえればと思います!
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