トラックの全日本選手権が、伊豆ベロドロームで開幕。初日は団体種目を中心に行われ、男子チームパーシュートではチームブリヂストンサイクリングAが日本記録を更新。同種目の女子ではチーム楽天Kドリームスが大会記録を更新した。



団体種目が行われた全日本選手権トラック初日 photo:Satoru Kato

2023年のトラック全日本選手権は、5月12日から15日までの4日間にわたり、伊豆ベロドロームで開催される。今回は、来年のパリ五輪代表枠獲得に向けて海外大会を転戦してきたメンバーが、今シーズン初めて出場する国内大会であることが最大の注目点だ。

初日は、チームパーシュート、チームスプリント、エリミネイションが行われた。


チームパーシュート 男子は日本新記録、女子は大会新記録が誕生

男子チームパーシュート優勝 チームブリヂストンサイクリング photo:Satoru Kato

男子チームパーシュート2位 チームブリヂストンサイクリングB photo:Satoru Kato
男子チームパーシュート3位 シエルブルー鹿屋 photo:Satoru Kato


男子チームパーシュートは、8チームが出場した。アジア選手権優勝チームでもあるチームブリヂストンサイクリングAは、予選を窪木一茂、兒島直樹、今村駿介、松田祥位で走り、唯一4分を切るタイムを出して1位通過を決める。決勝は兒島を橋本英也に変え、予選2位通過のチームブリヂストンサイクリングBとの同門対決に臨んだ。スタート直後からペースの違いを見せるAチームは、3kmを過ぎたところでBチームに追いつく。通常ならここでレース終了となるが、今回は4kmを走り切って3分52秒532を記録。2020年以来となる日本記録更新となった。

男子チームパシュート 表彰式 photo:Satoru Kato

窪木一茂 コメント
「予選を走って体力ゼロだったので、新記録が出せるとは思っていなかった。来月のアジア選手権に向けて良い弾みになったと思うし、パリ五輪にチームパーシュートで出場することが目標なので、それに向けて切磋琢磨していきたい」

松田祥位 コメント
「コーチの指示を仰がず、自分達で決めたペースで走ったが、チーム内で色々と意見があって予選は思ったようなタイムを出せなかった。決勝は切り替えて自分が思うような走りが出来たと思う。1走は途中で離脱するけれど、4km走り切るよりもキツい役目。もっと重いギアで速く走れるようにしていきたい」

女子チームパーシュート 大会新記録を出したチーム楽天Kドリームス photo:Satoru Kato

女子はチーム楽天Kドリームスのみ1チームの出走となったが、代表チームでも走る内野艶和、垣田真穂、池田瑞紀らを含む構成で4分28秒547の大会新記録を更新した。

古山希絵コメント
「垣田、池田の2名がジュニアからエリートに上がってきてまだ新しいチームなので、コミュニケーションやミスした時の修正方法とか、改善する点はあるけれど、心強いメンバーなので高い意識を持ってやっていけば五輪枠も取れると思っている。世界との差を少しずつでも縮めていきたい」



チームスプリント 大学チームが健闘

男子チームスプリント優勝 チーム楽天Kドリームス photo:Satoru Kato

チームスプリント2位 日本大学 photo:Satoru Kato

男子チームスプリントは13チームが出場。予選では、脇本雄太らのチームブリヂストンサイクリングを7/100秒上回って日本大学が2位。決勝では代表チームメンバーが揃うチーム楽天Kドリームスに敗れたものの、予選タイムを上回る45秒051を記録した。(学連記録は45秒172)

女子チームスプリント優勝 鹿屋体育大学 photo:Satoru Kato

エキシビジョンで行われた女子チームスプリントでは日本新記録が誕生 photo:Satoru Kato

女子は鹿屋体育大学とBICICLETTA DI MARUの決勝が行われ、僅差の勝負を鹿屋体育大学が制して優勝した。それとは別に、代表チームメンバーによるエキシビジョンが行われ、酒井亜樹、佐藤水菜、太田りゆの3名が47秒932の日本新記録をマークした。


エリミネイション 男子は橋本英也、女子は梶原悠未が優勝

男子エリミネイション photo:Satoru Kato

2周に1回、コントロールラインで最後尾の選手が除外(エリミネイト)されていくエリミネイション。男子は出走20名のうち6名をチームブリヂストンサイクリングのメンバーが占め、ロードレースの集団コントロールのごとく集団前方に揃って周回を進めていく。

男子エリミネイション 今村駿介が除外されて橋本英也と兒島直樹の対決となったが・・・ photo:Satoru Kato

荒井佑太(福井県自転車競技連盟)が除外されると、チームブリヂストンサイクリング5名による勝負へ。昨年優勝の橋本英也、同2位の今村駿介、兒島直樹の3名が残り、今村が除外されて橋本と兒島の勝負…と思われた矢先、兒島が落車。ニュートラリゼーションが適用されない終盤の周回に入っていたため、橋本の連覇が決まった。

男子エリミネイション 表彰式 photo:Satoru Kato

橋本英也 コメント
「ネイションズカップでも優勝している種目なので、絶対勝ちたいと思っていた。エリミネイションは色々な走り方があって、いつもは集団の前の方にいるけれど、今日は後ろでちょいちょいと差していく走りをしていた。そういう走り方の違いを見てもらえば楽しんでもらえると思う。アジア選手権はエリミネイションは無いと思うので、世界選手権で走りたい。でもまずはチームパーシュートで五輪枠を取ることが第一目標」

女子エリミネイション スタート photo:Satoru Kato

6名が出走した女子は、梶原悠未(TEAM Yumi)が出走。最後まで残った垣田真穂(チーム楽天Kドリームス/早稲田大学)との勝負を制し、今大会1勝目を挙げた。

女子エリミネイション 表彰式 photo:Satoru Kato

「今年は1月に肋骨を骨折するなど怪我をしてしまい、リハビリとトレーニングを続けてきたがレースで成果が出せず、気持ちが挫けそうになっていたが、周りの人達に支えられてこの大会に向けて準備してきた。まず1勝出来て嬉しい。出場前種目での優勝を目指したい」

チームパーシュート 結果
男子
1位 チームブリヂストンサイクリングA(窪木、橋本、今村、松田) 3分52秒532(日本新)
2位 チームブリヂストンサイクリングB(山本、河野、岡本、山下)
3位 シエルブルー鹿屋(原田、冨尾、古谷田、津留) 4分5秒715
4位 朝日大学(安達、長谷川、西條、山本) 4分9秒996
5位 明治大学(小池、片岡、小泉、海老島) 4分13秒294
6位 京都産業大学(矢萩、中村、松永、四宮) 4分13秒880
女子
1位 チーム楽天Kドリームス(古山、垣田、池田、内野) 4分28秒547(大会新記録) 
チームスプリント 結果(250m×3)
男子
1位 チーム楽天Kドリームス(寺崎、小原、太田) 43秒727
2位 日本大学(三神、邊見、伊藤) 45秒051
3位 チームブリヂストンサイクリング(脇本、新山、長迫) 45秒218
4位 中央大学(大橋、市田、井出) 45秒527
5位 Eighteen years old(阿部、山崎、中石)  46秒618(予選時)
6位 明治大学(野中、吉岡、吉田) 47秒295
女子
1位 鹿屋体育大学(年見、川本、中西) 55秒785
2位 BICICLETTA DI MARU(清水、鈴木、五味田) 55秒788
3位 鳥取県自転車競技連盟(濱口、相見、田中) 56秒824
男子 女子
1位 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング) 梶原悠未(TEAM Yumi)
2位 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) 垣田真穂(チーム楽天Kドリームス/早稲田大学)
3位 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) 内野艶和(チーム楽天Kドリームス)
4位 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング) 池田瑞紀(チーム楽天Kドリームス/早稲田大学)
5位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) 古山稀絵(チーム楽天Kドリームス)
6位 荒井佑太(福井県自転車競技連盟) 大関奏音(日本体育大学)

text&photo:Satoru Kato
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