2023/03/25(土) - 09:45
17箇所の急坂を越えるE3サクソバンク・クラシックで豪華3名が激突。ポガチャルの登坂アタックに食らいつき、ファンデルプールとのスプリントを制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が大会2連覇を達成した。
ミラノ〜サンレモでの激闘を終えたクラシックハンターが、9日後に迫ったロンド・ファン・フラーンデレンへ向うべく「北のクラシック」に戻ってきた。3月24日(金)に行われたE3サクソバンク・クラシック(UCIワールドツアー)は「ミニ・ロンド」と呼ばれ、ロンドとは「オウデクワレモント」や「ターイエンベルグ」「パテルベルグ」など名の知れた石畳の登りを共有するセミクラシックだ。
ハーレルベーケを発着する全長204.1kmのコースに登場する急坂は合計17箇所。本格的な峠などは一切登場せず、最高標高地点も150m以下だが、それでも獲得標高差は2,000mに達する。
第65回大会に出場したのはミラノ〜サンレモを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)やワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)をはじめ、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)など同大会を走った選手たち。太陽と雨が交互に現れる不安定な天気のなかスタートが切られ、静かな序盤を経てトマ・ボネ(フランス、トタルエネルジー)とマティアス・ノルスゴー(デンマーク、モビスター)がアタック。5名の逃げグループが形成された。
大会2連覇を目指すファンアールトのユンボ・ヴィスマがメイン集団の先頭でペースメイクし、第1セクターであるカッテベルグを機に17箇所ある急坂が始まる。すると早速ファンデルプールやティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)らがパンクに見舞われ、2017年大会の覇者グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)はホトンドベルグ(残り85km地点)で早くもプロトンから脱落した。
「トム・ボーネンの庭」と称されるターイェンベルグ(残り81km地点)の登坂が始まると、逃げ集団からドリース・デボント(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が加速。その14秒後方に迫ったプロトンからはチームメイトのファンデルプールが仕掛けた。
ミラノ〜サンレモのポッジオでも披露されたファンデルプールの強烈なアタックはすぐさま逃げを飲み込み、これにファンアールトとケランド・オブライアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が反応。この早すぎるアタックに虚を突かれたポガチャルもなんとか下りで合流を果たした。
アタックと吸収を経てレース先頭はファンデルプールとファンアールト、ポガチャルのビッグスリーに、マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)らが加わった6名に絞られた。スタシオンベルグでファンデルプールが再び加速して揺さぶる一方で、30秒差で追うマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)やフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)たちとの差は拡大の一途をたどった。
パテルベルグ(残り43km地点)でこの日初めて仕掛けたポガチャルはオウデクワレモントの麓から再びアタック。ファンデルプール以外の4名が遅れ、石畳の下りでファンアールトが合流。落車してコース上に横たわったモトバイクを巧みに避けた3名は、後続に1分差をつけるハイスピードでフィニッシュに向かい突き進んだ。
ツール・ド・フランス2連覇だけでなくリエージュ~バストーニュ~リエージュやイル・ロンバルディアの覇者でもあるポガチャルと、ロードレースの固定観念を変える万能性を誇るファンアールト、そして今年ロンド2連覇を目指すファンデルプールというロードレース界の中心に立つ3名による先頭集団。そしてこの日最後となるティエゲンベルグを越え、3名はハーレルベーケの市街地に帰ってきた。
純粋なスプリント力ではファンアールト、ロングスプリントではファンデルプールに分があることを理解しているポガチャルが残り2kmを切ってアタックを仕掛ける。しかしこれは決定打に欠き、先頭に出される形となったポガチャルが先んじて腰を上げ、半拍遅れてファンデルプールとファンアールトがスプリントを開始。そして圧倒的なスピードでファンデルプールをフィニッシュ手前で諦めさせたファンアールトが、大会2連覇を手に入れた。
「E3を2連覇できたことはもちろん、それまでの過程がこの勝利をより特別なものにした。激しい戦いだった。自分としても、またチームとしても誇りに思う勝利。あのような(平坦路の)フィニッシュは僕に自信を与えてくれ、この結果は来るレースへの力に繋がる」と、ファンアールトは喜びをそう表現した。
一方、積極的なレース運びを見せた2位ファンデルプールは「勝利への強すぎる欲望が仇となったみたいだ。今日は来るロンドに向け、長く激しい終盤にしたかった。その思惑自体は成功し、登りでの感触もよかった。最終ストレートではずっと追い風だった影響でロングスプリントに持ち込むことができなかった。今日のファンアールトが強かったので、2位はそこまで気落ちする結果じゃない」とコメントした。
そして初出場を3位で終えたポガチャル。「できる限りのことは尽くした。200kmをあんな速度で走るなんてホントにクレイジーなレースだった。もちろん悔しさはあるものの、これ以上何が期待できるというのだ?」と前向きにコメントで初出場のE3を振り返った。
ミラノ〜サンレモでの激闘を終えたクラシックハンターが、9日後に迫ったロンド・ファン・フラーンデレンへ向うべく「北のクラシック」に戻ってきた。3月24日(金)に行われたE3サクソバンク・クラシック(UCIワールドツアー)は「ミニ・ロンド」と呼ばれ、ロンドとは「オウデクワレモント」や「ターイエンベルグ」「パテルベルグ」など名の知れた石畳の登りを共有するセミクラシックだ。
ハーレルベーケを発着する全長204.1kmのコースに登場する急坂は合計17箇所。本格的な峠などは一切登場せず、最高標高地点も150m以下だが、それでも獲得標高差は2,000mに達する。
第65回大会に出場したのはミラノ〜サンレモを制したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)やワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)をはじめ、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)など同大会を走った選手たち。太陽と雨が交互に現れる不安定な天気のなかスタートが切られ、静かな序盤を経てトマ・ボネ(フランス、トタルエネルジー)とマティアス・ノルスゴー(デンマーク、モビスター)がアタック。5名の逃げグループが形成された。
大会2連覇を目指すファンアールトのユンボ・ヴィスマがメイン集団の先頭でペースメイクし、第1セクターであるカッテベルグを機に17箇所ある急坂が始まる。すると早速ファンデルプールやティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)らがパンクに見舞われ、2017年大会の覇者グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)はホトンドベルグ(残り85km地点)で早くもプロトンから脱落した。
「トム・ボーネンの庭」と称されるターイェンベルグ(残り81km地点)の登坂が始まると、逃げ集団からドリース・デボント(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が加速。その14秒後方に迫ったプロトンからはチームメイトのファンデルプールが仕掛けた。
ミラノ〜サンレモのポッジオでも披露されたファンデルプールの強烈なアタックはすぐさま逃げを飲み込み、これにファンアールトとケランド・オブライアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が反応。この早すぎるアタックに虚を突かれたポガチャルもなんとか下りで合流を果たした。
アタックと吸収を経てレース先頭はファンデルプールとファンアールト、ポガチャルのビッグスリーに、マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)らが加わった6名に絞られた。スタシオンベルグでファンデルプールが再び加速して揺さぶる一方で、30秒差で追うマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)やフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)たちとの差は拡大の一途をたどった。
パテルベルグ(残り43km地点)でこの日初めて仕掛けたポガチャルはオウデクワレモントの麓から再びアタック。ファンデルプール以外の4名が遅れ、石畳の下りでファンアールトが合流。落車してコース上に横たわったモトバイクを巧みに避けた3名は、後続に1分差をつけるハイスピードでフィニッシュに向かい突き進んだ。
ツール・ド・フランス2連覇だけでなくリエージュ~バストーニュ~リエージュやイル・ロンバルディアの覇者でもあるポガチャルと、ロードレースの固定観念を変える万能性を誇るファンアールト、そして今年ロンド2連覇を目指すファンデルプールというロードレース界の中心に立つ3名による先頭集団。そしてこの日最後となるティエゲンベルグを越え、3名はハーレルベーケの市街地に帰ってきた。
純粋なスプリント力ではファンアールト、ロングスプリントではファンデルプールに分があることを理解しているポガチャルが残り2kmを切ってアタックを仕掛ける。しかしこれは決定打に欠き、先頭に出される形となったポガチャルが先んじて腰を上げ、半拍遅れてファンデルプールとファンアールトがスプリントを開始。そして圧倒的なスピードでファンデルプールをフィニッシュ手前で諦めさせたファンアールトが、大会2連覇を手に入れた。
「E3を2連覇できたことはもちろん、それまでの過程がこの勝利をより特別なものにした。激しい戦いだった。自分としても、またチームとしても誇りに思う勝利。あのような(平坦路の)フィニッシュは僕に自信を与えてくれ、この結果は来るレースへの力に繋がる」と、ファンアールトは喜びをそう表現した。
一方、積極的なレース運びを見せた2位ファンデルプールは「勝利への強すぎる欲望が仇となったみたいだ。今日は来るロンドに向け、長く激しい終盤にしたかった。その思惑自体は成功し、登りでの感触もよかった。最終ストレートではずっと追い風だった影響でロングスプリントに持ち込むことができなかった。今日のファンアールトが強かったので、2位はそこまで気落ちする結果じゃない」とコメントした。
そして初出場を3位で終えたポガチャル。「できる限りのことは尽くした。200kmをあんな速度で走るなんてホントにクレイジーなレースだった。もちろん悔しさはあるものの、これ以上何が期待できるというのだ?」と前向きにコメントで初出場のE3を振り返った。
E3サクソバンク・クラシック2023結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 4:44:59 |
2位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
3位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) | +0:33 |
5位 | イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) | +0:44 |
6位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +0:56 |
7位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
8位 | ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) | +1:25 |
9位 | セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:31 |
10位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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