2023/01/21(土) - 17:00
フランスのレーシングバイクブランド、タイム初のグラベルバイクとしてデビューした"ADHX"。同社のオールラウンドレーサーであるAlpe d’Huezをベースに、DSM社の超高分子素材ダイニーマを組合せ、優れた性能を発揮するグラベルレーサーへと仕上げられた一台をインプレッション。
カーボンフレームのパイオニアとして知られるフレンチブランドのタイム。左右非対称チェーンステーやフォークやステム、ハンドルを含めた統合設計、独創的な構造のビンディングペダルなど、多くのイノベーションをもたらし、自転車史を語る上で外せない重要な存在だ。
同社のフレームづくりにおいて、最大の特徴といえるのが、カーボン繊維を自社で編み込み成形するRTM工法。カーボンだけでなく、ケブラーやベクトランといった異素材を編み込み、カーボンチューブの性能を思うがままにコントロールする技術により、タイムのフレームは現在に至るまで高い評価を獲得してきた。
エアロロードのSCYRON、そしてクライミングバイクのAlpe d’Huezと、近年はピュアロードレーサーのみをラインアップしてきたタイムだが、押し寄せるグラベルライドムーブメントはついにフランスの老舗をも動かし、ついにタイム初のグラベルバイク"ADHX"が2023年モデルととして発表された。
ADHX、つまりAlpe d’Huez Xのイニシャリズムだというモデル名から察せられる通り、フレーム形状自体はAlpe d’Huezの基本デザインを受け継いでおり、その高いパフォーマンスを予感させるもの。事実、タイムはこのADHXを「ファスト・グラベルマシン」として位置づけている。最大タイヤクリアランス38Cという、ワイドタイヤ化が進むグラベルバイクの潮流に掉さすような仕様からも、「速さ」を追求した思想が窺い知れる。
過剰なスペックを削ぎ落し、純粋に速さを求めたADHXは、グラベルレースを目標とするようなシリアスレーサーや、長距離をこなすアドベンチャラーにとって魅力的な選択となるだろう。
一方、ADHXはただベースとなったAlpe d’ Huezのタイヤクリアランスを広げたバイクではない。タイムが誇るRTM工法によるブレイデッドカーボン(編みカーボン)構造のメリットを最大限に活かすため、新たな素材"ダイニーマ"が投入されていることが大きな技術的アドバンテージとなっている。
ダイニーマとはグローバルサイエンス企業であるDSM(チームDSMのスポンサーでもある)が開発した超高分子量ポリエチレン繊維。同重量のスチールと比較して15倍の強度を持ちながら水に浮くほどの低比重の繊維として、海洋係留鋼線ロープを置き換えたり、対切創手袋の素材としてなど、幅広い分野で用いられてきた。自転車界においても、その軽量性と伸びの少なさに着目し、超軽量シューズのアッパーに採用されるなど活用の幅は広がっている。
タイムはそのダイニーマをRTM工法によってカーボン繊維に編み込むことで、一般的なカーボンプリプレグ構造を上回る性能を実現。非常に優れた特性を持っているダイニーマだが、高熱に弱いため一般的なカーボンプリプレグを焼成する方法では使用できず、より低温で成形するRTM工法だからこそ利用可能なのだという。
ADHXではダイニーマ繊維をヘッドチューブやダウンチューブ、トップチューブの交差する箇所に編み込むことで、剛性や重量への悪影響を避けつつ強度の飛躍的向上が可能となったという。大きな衝撃を受けた際にもフレーム破断のリスクが最小限にとどめられ、オンロードバイクよりも厳しい環境下に置かれるグラベルバイクに求められる耐久性を実現した。
大きな力がかかるエンドには航空機やレーシングカーにも用いられるフォージドカーボンが使用されている。短い繊維を超高圧高温で焼結したフォージドカーボンは、繊維比率が60%にも及ぶためドリル加工にも耐えうる強度を誇るという。
そして、タイム初となるケーブルフル内装システムを採用したこともADHXの特徴だ。デダのS-DCRシステムによって、ヘッドセットからケーブルをフレーム内部へと導入。一般的なハンドル/ステムにも対応するが、同社のDCRキットを使用すればハンドルステムから直接フレームへとケーブルを完全内蔵することも可能となっている。
トップチューブにはボトルケージ規格のマウントポイントが用意されるほか、フロントシングルにも対応。ディレイラーマウントを取り外した跡をすっきり仕上げるシングルカバーも用意され、どんな組み方をしてもすっきりとしたシルエットを崩さない配慮がされている。
レーシングブランドとして名を馳せたタイムが送り出すグラベルバイク、ADHX。CROSS PROTEAM以来と久方ぶりとなるタイムのオフロードバイクは、どういった世界を見せてくれるのか。今回のテストバイクはアルテグラDI2にヴィジョンのMetron、そしてタイヤはハッチンソンのOVERRIDEを組み合わせた一台だ。それではインプレッションに移ろう。
−インプレッション
「レーシングブランドの魅力溢れるグラベル・オールロード」磯部聡(シクロワイアード編集部)
乗り味はほぼロードバイク!見た目通りの骨太な踏み心地に加え、ALP D'HUEZに乗った時と同じようなタイム特有のしなりを感じます。
ヘッドチューブの短さからハンドル位置が低く、乗車姿勢はロードバイクそのものです。試乗車のドライブトレインもフロントアウター52Tのダブル仕様で、ハンドルのドロップ部分も僅かにフレアしていますが基本的には幅狭。このアッセンブリーからも、ADHXがどんなバイクであるのかが見て取ることができますね。
ただ、このADHXをグラベルロードたらしめる際たる部分はハンドリングでした。直進安定性が強く、フラットダートをハイスピードで走るときにライダーを大きく助けてくれます。例えば昨年イタリアで開催されたグラベル世界選手権では、河川敷のような直線で平坦基調のグラベルが多く登場しましたが、そこで先頭交代しながら高速走行を続けるような場面にこの安定感、そしてロードバイクに近いジオメトリーは活きてくる。テクニカルシーンを得意とするMTB寄りのグラベルバイクもありますが、ADHXは「グラベルレースに最適化されたロードバイク」という見方すらできるかと思います。
もちろん「グラベルレースバイクなんて日本で使えないよ」という意見もあるでしょう。でも、ポジションも乗り味もロードバイクに近く安定感ある走りだからこそ、タイヤやギア数を工夫して「アドベンチャーにも使える遊び心溢れた大人のロードバイク」として選ぶのも大アリです。フロントシングル専用設計のグラベルロードもありますが、ADHXのダブルにできるメリットはここで大きな選択動機になるでしょう。
自分で乗るなら快速グラベルレーサーとして組むでしょうから、センタースリックで転がり抵抗の少ないタイヤをセットしたい。せっかくのタイムですし、タイヤもコンポーネントもパーツも全てヨーロッパブランドでまとめれば、仲間とのグループライドできっと羨ましがられる存在となるはずです。
「タイム=ロードバイク」というイメージが強いですが、一昔前まではシクロクロスバイクをラインナップに加え、トップ選手の走りを支えていた時代がありました。このテストを通じ、ロードバイクでも、シクロクロスバイクでもない、タイムらしいグラベルバイクをADHXから感じ取ることができました。
バイクを眺めた時の佇まいも美しいし、乗ってもレーシングバイクを作り続けてきたタイム"らしさ"が活きている。現在の市場において、伝統的で、革新的で、それでいて注目すべき、とても良い一台だと感じます。
「ロードバイクに近いフィーリング。速く快適にグラベルを走り抜けるためのレーサー」高木三千成(シクロワイアード編集部)
一言でいえば、「グラベルレーサー」ですね。これまでに乗ったことのあるグラベルバイクの中でも、一番ロードバイク然としたフィーリングです。ちょうど、このADHXの直前にはロードバイクをテストしていたのですが、違和感が無いんですよ。
踏み味やハンドリングといったライディングフィールもそうですが、一番わかりやすい点ではポジションという観点からも違和感が非常に少なかったですね。グラベルバイクだからといって極端にアップライトなポジションではなく、ロードバイクに近い姿勢で乗ることが出来ます。ロードバイクから乗り換える一台として、ロード乗りの方にとっては非常にしっくりくるバイクだと思いますね。
こういった性格のバイクですから、舗装路でも速いですよ。もちろんグラベルを想定したものジオメトリーなので、ホイールベースが長めで安定志向の性格なのですが、それが高速域での安心感にも繋がっています。踏み込みに対する反応も良いですね。
舗装路では安定性を強く感じましたが、オフロードでは敏捷に動ける印象がありますね。左右に倒しても機敏ですし、前後方向へのアクションへの反応もクイックなので、例えば途中に倒木があって乗り越えないといけない、といったシーンでも思い通りに動いてくれます。
走行性能の面では、未舗装路でも速度が落ちづらくて、非常にスムーズに走れますね。特になにかギミックがあるわけではないですが、この滑らかさにはタイムらしさを強く感じましたね。
その性能はトラクションのかかりやすさにも現れています。キャンバーも走ってみたのですが、しっかり路面を掴んでくれるのが良く分かります。ハンドリングも極端に直進安定性に振っているということも無く、とても素直な性格で、とにかく乗りやすい一台でした。
これまでロードに乗ってきけどグラベルに興味が出てきた、未舗装路は走ってみたいけどメインは舗装路だからそこの走りの質を落としたくはない、というような方って多いと思うんです。そういった方に、ドンピシャな一台ではないでしょうか。
タイム ADHX
フレーム素材:BCS Carbon Fiber DyneemaR Enhanced
シートポスト径:27.2mm
最大タイヤ幅:38c
BB:BB386
サイズ:XS, S, M, L, XL
カラー:グロスブラック、グロスアンバー、グロスフォレスト、グロスコバルト
価格:495,000円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
磯部聡(シクロワイアード編集部)
CWスタッフ歴12年、参加した海外ブランド発表会は20回超を数えるテック担当。ロードの、あるいはグラベルのダウンヒルを如何に速く、そしてスマートにこなすかを探求してやまない。ADHXのベースとなったAlpe d’Huezは国際発表会を通して知見を深めた。無類のルートビア好き。
高木三千成(シクロワイアード編集部)
学連で活躍したのち、那須ブラーゼンに加入しJプロツアーに参戦。東京ヴェントスを経て、さいたまディレーブでJCLに参戦し、チームを牽引。シクロクロスではC1を走り、2021年の全日本選手権では10位を獲得した。
text:Naoki Yasuoka
photo:Makoto AYANO
カーボンフレームのパイオニアとして知られるフレンチブランドのタイム。左右非対称チェーンステーやフォークやステム、ハンドルを含めた統合設計、独創的な構造のビンディングペダルなど、多くのイノベーションをもたらし、自転車史を語る上で外せない重要な存在だ。
同社のフレームづくりにおいて、最大の特徴といえるのが、カーボン繊維を自社で編み込み成形するRTM工法。カーボンだけでなく、ケブラーやベクトランといった異素材を編み込み、カーボンチューブの性能を思うがままにコントロールする技術により、タイムのフレームは現在に至るまで高い評価を獲得してきた。
エアロロードのSCYRON、そしてクライミングバイクのAlpe d’Huezと、近年はピュアロードレーサーのみをラインアップしてきたタイムだが、押し寄せるグラベルライドムーブメントはついにフランスの老舗をも動かし、ついにタイム初のグラベルバイク"ADHX"が2023年モデルととして発表された。
ADHX、つまりAlpe d’Huez Xのイニシャリズムだというモデル名から察せられる通り、フレーム形状自体はAlpe d’Huezの基本デザインを受け継いでおり、その高いパフォーマンスを予感させるもの。事実、タイムはこのADHXを「ファスト・グラベルマシン」として位置づけている。最大タイヤクリアランス38Cという、ワイドタイヤ化が進むグラベルバイクの潮流に掉さすような仕様からも、「速さ」を追求した思想が窺い知れる。
過剰なスペックを削ぎ落し、純粋に速さを求めたADHXは、グラベルレースを目標とするようなシリアスレーサーや、長距離をこなすアドベンチャラーにとって魅力的な選択となるだろう。
一方、ADHXはただベースとなったAlpe d’ Huezのタイヤクリアランスを広げたバイクではない。タイムが誇るRTM工法によるブレイデッドカーボン(編みカーボン)構造のメリットを最大限に活かすため、新たな素材"ダイニーマ"が投入されていることが大きな技術的アドバンテージとなっている。
ダイニーマとはグローバルサイエンス企業であるDSM(チームDSMのスポンサーでもある)が開発した超高分子量ポリエチレン繊維。同重量のスチールと比較して15倍の強度を持ちながら水に浮くほどの低比重の繊維として、海洋係留鋼線ロープを置き換えたり、対切創手袋の素材としてなど、幅広い分野で用いられてきた。自転車界においても、その軽量性と伸びの少なさに着目し、超軽量シューズのアッパーに採用されるなど活用の幅は広がっている。
タイムはそのダイニーマをRTM工法によってカーボン繊維に編み込むことで、一般的なカーボンプリプレグ構造を上回る性能を実現。非常に優れた特性を持っているダイニーマだが、高熱に弱いため一般的なカーボンプリプレグを焼成する方法では使用できず、より低温で成形するRTM工法だからこそ利用可能なのだという。
ADHXではダイニーマ繊維をヘッドチューブやダウンチューブ、トップチューブの交差する箇所に編み込むことで、剛性や重量への悪影響を避けつつ強度の飛躍的向上が可能となったという。大きな衝撃を受けた際にもフレーム破断のリスクが最小限にとどめられ、オンロードバイクよりも厳しい環境下に置かれるグラベルバイクに求められる耐久性を実現した。
大きな力がかかるエンドには航空機やレーシングカーにも用いられるフォージドカーボンが使用されている。短い繊維を超高圧高温で焼結したフォージドカーボンは、繊維比率が60%にも及ぶためドリル加工にも耐えうる強度を誇るという。
そして、タイム初となるケーブルフル内装システムを採用したこともADHXの特徴だ。デダのS-DCRシステムによって、ヘッドセットからケーブルをフレーム内部へと導入。一般的なハンドル/ステムにも対応するが、同社のDCRキットを使用すればハンドルステムから直接フレームへとケーブルを完全内蔵することも可能となっている。
トップチューブにはボトルケージ規格のマウントポイントが用意されるほか、フロントシングルにも対応。ディレイラーマウントを取り外した跡をすっきり仕上げるシングルカバーも用意され、どんな組み方をしてもすっきりとしたシルエットを崩さない配慮がされている。
レーシングブランドとして名を馳せたタイムが送り出すグラベルバイク、ADHX。CROSS PROTEAM以来と久方ぶりとなるタイムのオフロードバイクは、どういった世界を見せてくれるのか。今回のテストバイクはアルテグラDI2にヴィジョンのMetron、そしてタイヤはハッチンソンのOVERRIDEを組み合わせた一台だ。それではインプレッションに移ろう。
−インプレッション
「レーシングブランドの魅力溢れるグラベル・オールロード」磯部聡(シクロワイアード編集部)
乗り味はほぼロードバイク!見た目通りの骨太な踏み心地に加え、ALP D'HUEZに乗った時と同じようなタイム特有のしなりを感じます。
ヘッドチューブの短さからハンドル位置が低く、乗車姿勢はロードバイクそのものです。試乗車のドライブトレインもフロントアウター52Tのダブル仕様で、ハンドルのドロップ部分も僅かにフレアしていますが基本的には幅狭。このアッセンブリーからも、ADHXがどんなバイクであるのかが見て取ることができますね。
ただ、このADHXをグラベルロードたらしめる際たる部分はハンドリングでした。直進安定性が強く、フラットダートをハイスピードで走るときにライダーを大きく助けてくれます。例えば昨年イタリアで開催されたグラベル世界選手権では、河川敷のような直線で平坦基調のグラベルが多く登場しましたが、そこで先頭交代しながら高速走行を続けるような場面にこの安定感、そしてロードバイクに近いジオメトリーは活きてくる。テクニカルシーンを得意とするMTB寄りのグラベルバイクもありますが、ADHXは「グラベルレースに最適化されたロードバイク」という見方すらできるかと思います。
もちろん「グラベルレースバイクなんて日本で使えないよ」という意見もあるでしょう。でも、ポジションも乗り味もロードバイクに近く安定感ある走りだからこそ、タイヤやギア数を工夫して「アドベンチャーにも使える遊び心溢れた大人のロードバイク」として選ぶのも大アリです。フロントシングル専用設計のグラベルロードもありますが、ADHXのダブルにできるメリットはここで大きな選択動機になるでしょう。
自分で乗るなら快速グラベルレーサーとして組むでしょうから、センタースリックで転がり抵抗の少ないタイヤをセットしたい。せっかくのタイムですし、タイヤもコンポーネントもパーツも全てヨーロッパブランドでまとめれば、仲間とのグループライドできっと羨ましがられる存在となるはずです。
「タイム=ロードバイク」というイメージが強いですが、一昔前まではシクロクロスバイクをラインナップに加え、トップ選手の走りを支えていた時代がありました。このテストを通じ、ロードバイクでも、シクロクロスバイクでもない、タイムらしいグラベルバイクをADHXから感じ取ることができました。
バイクを眺めた時の佇まいも美しいし、乗ってもレーシングバイクを作り続けてきたタイム"らしさ"が活きている。現在の市場において、伝統的で、革新的で、それでいて注目すべき、とても良い一台だと感じます。
「ロードバイクに近いフィーリング。速く快適にグラベルを走り抜けるためのレーサー」高木三千成(シクロワイアード編集部)
一言でいえば、「グラベルレーサー」ですね。これまでに乗ったことのあるグラベルバイクの中でも、一番ロードバイク然としたフィーリングです。ちょうど、このADHXの直前にはロードバイクをテストしていたのですが、違和感が無いんですよ。
踏み味やハンドリングといったライディングフィールもそうですが、一番わかりやすい点ではポジションという観点からも違和感が非常に少なかったですね。グラベルバイクだからといって極端にアップライトなポジションではなく、ロードバイクに近い姿勢で乗ることが出来ます。ロードバイクから乗り換える一台として、ロード乗りの方にとっては非常にしっくりくるバイクだと思いますね。
こういった性格のバイクですから、舗装路でも速いですよ。もちろんグラベルを想定したものジオメトリーなので、ホイールベースが長めで安定志向の性格なのですが、それが高速域での安心感にも繋がっています。踏み込みに対する反応も良いですね。
舗装路では安定性を強く感じましたが、オフロードでは敏捷に動ける印象がありますね。左右に倒しても機敏ですし、前後方向へのアクションへの反応もクイックなので、例えば途中に倒木があって乗り越えないといけない、といったシーンでも思い通りに動いてくれます。
走行性能の面では、未舗装路でも速度が落ちづらくて、非常にスムーズに走れますね。特になにかギミックがあるわけではないですが、この滑らかさにはタイムらしさを強く感じましたね。
その性能はトラクションのかかりやすさにも現れています。キャンバーも走ってみたのですが、しっかり路面を掴んでくれるのが良く分かります。ハンドリングも極端に直進安定性に振っているということも無く、とても素直な性格で、とにかく乗りやすい一台でした。
これまでロードに乗ってきけどグラベルに興味が出てきた、未舗装路は走ってみたいけどメインは舗装路だからそこの走りの質を落としたくはない、というような方って多いと思うんです。そういった方に、ドンピシャな一台ではないでしょうか。
タイム ADHX
フレーム素材:BCS Carbon Fiber DyneemaR Enhanced
シートポスト径:27.2mm
最大タイヤ幅:38c
BB:BB386
サイズ:XS, S, M, L, XL
カラー:グロスブラック、グロスアンバー、グロスフォレスト、グロスコバルト
価格:495,000円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
磯部聡(シクロワイアード編集部)
CWスタッフ歴12年、参加した海外ブランド発表会は20回超を数えるテック担当。ロードの、あるいはグラベルのダウンヒルを如何に速く、そしてスマートにこなすかを探求してやまない。ADHXのベースとなったAlpe d’Huezは国際発表会を通して知見を深めた。無類のルートビア好き。
高木三千成(シクロワイアード編集部)
学連で活躍したのち、那須ブラーゼンに加入しJプロツアーに参戦。東京ヴェントスを経て、さいたまディレーブでJCLに参戦し、チームを牽引。シクロクロスではC1を走り、2021年の全日本選手権では10位を獲得した。
text:Naoki Yasuoka
photo:Makoto AYANO
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