2022/10/20(木) - 16:42
イタリアのレーシングバイクブランド、ビアンキのロードラインアップに君臨する"Oltre"がフルモデルチェンジ。ライダー/バイクを統合した設計アプローチ、そして独自のエアディフレクターテクノロジーにより、究極のエアロ性能を狙った一台へと進化した。
ビアンキ Oltre RC (c)サイクルヨーロッパジャパン
世界最古の自転車ブランドであり、最先端のレーシングバイクを手掛け続けるイタリアの名門、ビアンキ。そのレーシングラインの頂点に位置するエアロロード"Oltre"の歴史もまた、数多くの勝利の栄光に彩られてきた。常に注目の的となってきたOltreの動向だが、ついに2018年以来となるフルモデルチェンジを果たすこととなった。
これまでOltre XR、OltreXR2、Oltre XR4と順調にナンバリングを重ねてきたが、新たに発表された新バイクに与えられたのは"Oltre RC"という新たなモデル名だった。このことが示すのは、これまでの系譜とは異なる全く新たなコンセプトの下で開発されたバイクであること。そして、それはモデル名から解き明かすまでもなく、発表されたバイクのフォルムを見れば一目瞭然でもある。
空気が最初に触れるフロントセクションの設計を煮詰めることで卓越したエアロ性能を実現した (c)サイクルヨーロッパジャパン
エアロ性能に大きく影響するレパルトコルサ製のエアロコックピット (c)サイクルヨーロッパ
ビアンキがこのOltre RCのキーワードとするのが"Aerovolution(空力革命)"。少し大仰に感じるかもしれないが、この表現が相応しいと感じるほどの進化を果たしていると、ビアンキの実験データは語る。
前作のOltre XR4と比較した場合、50km/hで17Wを節約。CdA値を5.1%改善し、250Wの出力で40kmを走った場合、45秒短縮できるという。更に、正面だけでなくあらゆる方向からの風に対しての空力性能も優れており、目まぐるしく風向が変わる状況下においては、現在市場にある最高レベルのエアロロードに対しても30%以上の優位性を確保しているとも主張する。
徹底的に風洞で実験が行われた (c)サイクルヨーロッパジャパン
バイクとライダー、フレームとコンポーネント、全てを統合して設計されたビアンキ初のトータルインテグレーションバイク (c)サイクルヨーロッパジャパン
ラフスケッチからデザインが起こされていく (c)サイクルヨーロッパジャパン
この驚異的な性能を実現したのは、バイクと人間、フレームとコンポーネントを分けて考えるのではなく、一つの「系」としてとらえ、アプローチする開発手法。
その象徴的な存在となるのが、モータースポーツの空力設計からインスピレーションを受けたというビアンキ エアディフレクターテクノロジーだ。ヘッドチューブの側面に配置された通気口のような構造によって空気の流れを導き、ヘッドチューブ後部、つまりペダリングによって上下するライダーの脚があるエリアに低圧域を作りだすことで、空気抵抗を低減するように作用する。
Oltre RCのエアロ性能の核となるエアディフレクターテクノロジー (c)サイクルヨーロッパジャパン
独特な形状のエアロコックピット。中央のチャネルが後方に低圧の気流を流すという。トップ部分にも整流効果を上げるボルテックスジェネレーターらしきものが設置されている (c)サイクルヨーロッパジャパン
この効果を更に引き出すために、ビアンキは独自の"レパルトコルサ"エアロコックピットも開発した。ハンドルバー中央部にエアチャネルが設けられた独特なデザインのコックピットは、エアディフレクターと同様に後方に低圧の気流域を生み出す効果があるという。
また、フロントフォークの先端部分にはボルテックスジェネレーターとみられる突起も設置。自転車と空気の流れが最初に作用しあうフロントセクションで、可能な限り気流を整えようとする意図を感じられる。タイヤクリアランスも32㎜まで確保され、空気ぬけの良さと、ワイドタイヤへのキャパシティを同時に確保した。
フォークブレード先端にもボルテックスジェネレーターが設置されている。空力、そして直進安定性にも寄与しそうだ (c)サイクルヨーロッパジャパン
もちろん、そこから後ろ側の設計もエアロダイナミクスを最大限考慮したデザインとなっている。ホイールに沿うようにカットアウトされたダウンチューブや、ボリューミーなエアロ形状とされたシートステー集合部など、空力を向上させるために妥協のない設計が行われている。
これらのデザインにより、卓越したエアロ性能を獲得したOltre RCだが、重量面でも進化を果たしている。前作のOltre XR4の980gに対し、55cmサイズで915gと7%程度の軽量化に成功。フォークは420gとなっており、前作が山岳ステージでもクライミングバイクと遜色のない成績を収めていたことを考えれば、更にオールラウンドに活躍できるバイクとなったと言えそうだ。
ビアンキ Oltre RC (c)サイクルヨーロッパジャパン
そして、この新たなOltreプラットフォームでは、Oltre RCの他に、ビアンキが誇る制振素材"カウンターヴェイル"を搭載したセカンドグレードのOltre PRO、そしてエアロディフレクターやコックピットをオミットすることで価格を抑えたOltreという3つのモデルが用意されている。重量は、Oltre PROが965g(フォーク430g)、Oltreが995g(フォーク390g)となっている(どれも55cmサイズ)。
なお、日本での展開サイズやカラー、価格については未定となっている。
ビアンキ Oltre RC(カラー:XA) (c)サイクルヨーロッパジャパン
ビアンキ Oltre RC(カラー:XY) (c)サイクルヨーロッパジャパン
ビアンキ Oltre PRO(カラー:XJ) (c)サイクルヨーロッパジャパン
ビアンキ Oltre PRO(カラー:XE) (c)サイクルヨーロッパジャパン
ビアンキ Oltre PRO(カラー:XK) (c)サイクルヨーロッパジャパン
ビアンキ Oltre(カラー:XH) (c)サイクルヨーロッパジャパン
ビアンキ Oltre (カラー:XG) (c)サイクルヨーロッパジャパン
ビアンキ Oltre(カラー:XD) (c)サイクルヨーロッパジャパン
また、ビアンキではこの新型バイクをより身近に感じられるようにと、VRとARを用いた3Dデジタル空間を開発。オフィシャルウェブサイト (https://www.bianchi.com/)における仮想空間体験に加えて、10月20日(木)からビアンキのすべてのソーシャルメディアチャンネル(Instagram、TikTok、Facebook)で特別なフィルターを提供予定。ビアンキファンは仮想空間での体験を通じてOltre RCをその目で見て、まるで「触れるような」感覚を味わえるとのことだ。
ビアンキ初のオリジナルコンポーネントライン"レパルトコルサ"もローンチ
ハンドル、ホイール、サドルをラインアップ
レパルトコルサ RC 65/50 SPBTECHホイール (c)サイクルヨーロッパジャパン
刺激的なデザインと性能を実現したOltre RCだが、ビアンキは同時にオリジナルコンポーネントブランドとして"レパルトコルサ"を発表。これまで、ビアンキのレーシングバイク部門を示してきた名を、高性能なオリジナルパーツたちにも与えることに。もちろん、名前だけではなく、フレームと同じくレパルトコルサによって、設計・製造が行われているのだという。
ケーブルフル内装化など、ロードバイクのエアロ化が進む時代にあって、フレームとパーツをトータルで設計することは、自転車全体の性能の底上げには欠かせないアプローチとなっている。他ブランドを見ても、ピナレロ/モスト、スペシャライズド/ロヴァール、トレック/ボントレガー、ジャイアント/カデックスなど、その流れは拡大している。
RC139 CARBON AIRサドルは軽量カーボンベースに3Dプリントパッドを組み合わせる (c)サイクルヨーロッパジャパン
今回発表されたのは、Oltre RCの紹介でも触れたエアロコックピットを筆頭に、エアロダイナミクスに優れたRC 65/50 カーボンホイール、3Dプリントパッドを採用したRC139 CARBON AIRサドルなど、最先端の技術を盛り込んだハイエンドな製品群。
Oltre RCに組み合わせられるレパルトコルサ RC 65/50 SPBTECHホイールは、フロント50mm、リア65mmという組み合わせのチューブレスレディホイールセット。3Kカーボンフィニッシュのリムはもちろんのこと、ハブもレパルトコルサによる設計となっている。SKFのベアリングを採用したSPBテクノロジーによって、非常に優れた回転性能を実現したという。重量はセットで1,540g。
密度や太さを変えることで自由自在に柔軟性を調整できる3Dプリントパッド (c)サイクルヨーロッパジャパン
おなじくOltre RCにスペックインされるRC139 CARBON AIRサドルは、近年各サドルブランドがラインアップを始めた3Dプリントパッドを搭載した意欲作。ラティス構造の密度や太さを変えることで、狙ったクッション性を実現できる先進技術を利用したパッドを、フルカーボンのベース部と組み合わせることで、168gという軽さと、長時間のエアロポジションを可能とする高い快適性を実現した。
他にも、前後50mmハイトのRC50ホイールセットや、通常のフォームパッドを採用したRC139 CARBONサドルなども同時に発表されている。ビアンキの誇るレパルトコルサの技術力をフルに活かしたパーツラインアップは、今後も要注目だ。
ビアンキ Oltre RC
フレーム:Oltre RCカーボン、電動コンポーネント専用、1.1/4-1.1/4ヘッドセット、32㎜タイヤクリアランス
エアディフレクター:〇
カウンターヴェイル:×
コックピット:レパルトコルサ インテグレートバー、4サイズ
サドル:レパルトコルサ RC139 CARBON AIR
ホイール:レパルトコルサ RC 65/50 SPBTECH
完成車重量:6.85kg(55cm)
ビアンキ Oltre PRO
フレーム:Oltre PROカーボン、電動コンポーネント専用、1.1/4-1.1/4ヘッドセット、32㎜タイヤクリアランス
エアディフレクター:〇
カウンターヴェイル:〇
コックピット:レパルトコルサ インテグレートバー、4サイズ
サドル:レパルトコルサ RC139 CARBON
ホイール:レパルトコルサ RC 50
完成車重量:7.3kg(55cm)
ビアンキ Oltre
フレーム:Oltre PROカーボン、電動・機械式コンポーネント対応、1.5-1.5ヘッドセット、32㎜タイヤクリアランス
エアディフレクター:×
カウンターヴェイル:×
コックピット:ヴェロマン エアロステム&ハンドルバー
サドル:ヴェロマン Mitora
ホイール:ヴェロマン V50R
完成車重量:8.1kg(55cm)
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世界最古の自転車ブランドであり、最先端のレーシングバイクを手掛け続けるイタリアの名門、ビアンキ。そのレーシングラインの頂点に位置するエアロロード"Oltre"の歴史もまた、数多くの勝利の栄光に彩られてきた。常に注目の的となってきたOltreの動向だが、ついに2018年以来となるフルモデルチェンジを果たすこととなった。
これまでOltre XR、OltreXR2、Oltre XR4と順調にナンバリングを重ねてきたが、新たに発表された新バイクに与えられたのは"Oltre RC"という新たなモデル名だった。このことが示すのは、これまでの系譜とは異なる全く新たなコンセプトの下で開発されたバイクであること。そして、それはモデル名から解き明かすまでもなく、発表されたバイクのフォルムを見れば一目瞭然でもある。
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ビアンキがこのOltre RCのキーワードとするのが"Aerovolution(空力革命)"。少し大仰に感じるかもしれないが、この表現が相応しいと感じるほどの進化を果たしていると、ビアンキの実験データは語る。
前作のOltre XR4と比較した場合、50km/hで17Wを節約。CdA値を5.1%改善し、250Wの出力で40kmを走った場合、45秒短縮できるという。更に、正面だけでなくあらゆる方向からの風に対しての空力性能も優れており、目まぐるしく風向が変わる状況下においては、現在市場にある最高レベルのエアロロードに対しても30%以上の優位性を確保しているとも主張する。
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その象徴的な存在となるのが、モータースポーツの空力設計からインスピレーションを受けたというビアンキ エアディフレクターテクノロジーだ。ヘッドチューブの側面に配置された通気口のような構造によって空気の流れを導き、ヘッドチューブ後部、つまりペダリングによって上下するライダーの脚があるエリアに低圧域を作りだすことで、空気抵抗を低減するように作用する。
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また、フロントフォークの先端部分にはボルテックスジェネレーターとみられる突起も設置。自転車と空気の流れが最初に作用しあうフロントセクションで、可能な限り気流を整えようとする意図を感じられる。タイヤクリアランスも32㎜まで確保され、空気ぬけの良さと、ワイドタイヤへのキャパシティを同時に確保した。
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これらのデザインにより、卓越したエアロ性能を獲得したOltre RCだが、重量面でも進化を果たしている。前作のOltre XR4の980gに対し、55cmサイズで915gと7%程度の軽量化に成功。フォークは420gとなっており、前作が山岳ステージでもクライミングバイクと遜色のない成績を収めていたことを考えれば、更にオールラウンドに活躍できるバイクとなったと言えそうだ。
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そして、この新たなOltreプラットフォームでは、Oltre RCの他に、ビアンキが誇る制振素材"カウンターヴェイル"を搭載したセカンドグレードのOltre PRO、そしてエアロディフレクターやコックピットをオミットすることで価格を抑えたOltreという3つのモデルが用意されている。重量は、Oltre PROが965g(フォーク430g)、Oltreが995g(フォーク390g)となっている(どれも55cmサイズ)。
なお、日本での展開サイズやカラー、価格については未定となっている。
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また、ビアンキではこの新型バイクをより身近に感じられるようにと、VRとARを用いた3Dデジタル空間を開発。オフィシャルウェブサイト (https://www.bianchi.com/)における仮想空間体験に加えて、10月20日(木)からビアンキのすべてのソーシャルメディアチャンネル(Instagram、TikTok、Facebook)で特別なフィルターを提供予定。ビアンキファンは仮想空間での体験を通じてOltre RCをその目で見て、まるで「触れるような」感覚を味わえるとのことだ。
ビアンキ初のオリジナルコンポーネントライン"レパルトコルサ"もローンチ
ハンドル、ホイール、サドルをラインアップ
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刺激的なデザインと性能を実現したOltre RCだが、ビアンキは同時にオリジナルコンポーネントブランドとして"レパルトコルサ"を発表。これまで、ビアンキのレーシングバイク部門を示してきた名を、高性能なオリジナルパーツたちにも与えることに。もちろん、名前だけではなく、フレームと同じくレパルトコルサによって、設計・製造が行われているのだという。
ケーブルフル内装化など、ロードバイクのエアロ化が進む時代にあって、フレームとパーツをトータルで設計することは、自転車全体の性能の底上げには欠かせないアプローチとなっている。他ブランドを見ても、ピナレロ/モスト、スペシャライズド/ロヴァール、トレック/ボントレガー、ジャイアント/カデックスなど、その流れは拡大している。
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今回発表されたのは、Oltre RCの紹介でも触れたエアロコックピットを筆頭に、エアロダイナミクスに優れたRC 65/50 カーボンホイール、3Dプリントパッドを採用したRC139 CARBON AIRサドルなど、最先端の技術を盛り込んだハイエンドな製品群。
Oltre RCに組み合わせられるレパルトコルサ RC 65/50 SPBTECHホイールは、フロント50mm、リア65mmという組み合わせのチューブレスレディホイールセット。3Kカーボンフィニッシュのリムはもちろんのこと、ハブもレパルトコルサによる設計となっている。SKFのベアリングを採用したSPBテクノロジーによって、非常に優れた回転性能を実現したという。重量はセットで1,540g。
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おなじくOltre RCにスペックインされるRC139 CARBON AIRサドルは、近年各サドルブランドがラインアップを始めた3Dプリントパッドを搭載した意欲作。ラティス構造の密度や太さを変えることで、狙ったクッション性を実現できる先進技術を利用したパッドを、フルカーボンのベース部と組み合わせることで、168gという軽さと、長時間のエアロポジションを可能とする高い快適性を実現した。
他にも、前後50mmハイトのRC50ホイールセットや、通常のフォームパッドを採用したRC139 CARBONサドルなども同時に発表されている。ビアンキの誇るレパルトコルサの技術力をフルに活かしたパーツラインアップは、今後も要注目だ。
ビアンキ Oltre RC
フレーム:Oltre RCカーボン、電動コンポーネント専用、1.1/4-1.1/4ヘッドセット、32㎜タイヤクリアランス
エアディフレクター:〇
カウンターヴェイル:×
コックピット:レパルトコルサ インテグレートバー、4サイズ
サドル:レパルトコルサ RC139 CARBON AIR
ホイール:レパルトコルサ RC 65/50 SPBTECH
完成車重量:6.85kg(55cm)
ビアンキ Oltre PRO
フレーム:Oltre PROカーボン、電動コンポーネント専用、1.1/4-1.1/4ヘッドセット、32㎜タイヤクリアランス
エアディフレクター:〇
カウンターヴェイル:〇
コックピット:レパルトコルサ インテグレートバー、4サイズ
サドル:レパルトコルサ RC139 CARBON
ホイール:レパルトコルサ RC 50
完成車重量:7.3kg(55cm)
ビアンキ Oltre
フレーム:Oltre PROカーボン、電動・機械式コンポーネント対応、1.5-1.5ヘッドセット、32㎜タイヤクリアランス
エアディフレクター:×
カウンターヴェイル:×
コックピット:ヴェロマン エアロステム&ハンドルバー
サドル:ヴェロマン Mitora
ホイール:ヴェロマン V50R
完成車重量:8.1kg(55cm)
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