2022/07/24(日) - 14:35
ツール・ド・フランスが閉幕する本日7月24日、33年振りに女子版ツールこと「ツール・ド・フランス ファム アヴェク ズイフト」が開催する。パリを出発して未舗装路から本格山岳が登場する多彩な全8ステージをプレビューします。
1989年に途絶えた歴史が、33年振りに再び動き出す。21日間に渡るツール・ド・フランスの最終日である7月24日に、パリ・シャンゼリゼから全8ステージに渡り「ツール・ド・フランス ファム(UCIワールドツアー)」が開幕する。女子によって争われるツール・ド・フランスの歴史は意外にも古く、初めて開催されたのは1955年(昭和30年)。しかし翌年に第2回目が行われることはなく、1984年に復活するもののわずか6年で再び姿を消した。
それ以降は2014〜2021年まで「ラ・クルスbyツール・ド・フランス」という名のワンデーレースとして男子ツールの開幕日、あるいは最終日に前座レース的な位置づけで開催されていきた。そしてついに今年、バーチャルサイクリングのプラットフォームであるズイフトをタイトルスポンサーに8日間のステージレースとして復活を遂げた。
全24チーム、144名の選手たちがパリに集結
出場するのは14のワールドツアーに10のUCIウィメンズコンチネンタルチームを加えた24チーム、合計144名の選手たち(1チーム6名)。惜しくもヒューマンパワードヘルスに所属する與那嶺恵理の出場は叶わなかったものの、アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)やマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、世界王者のエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)など豪華スター選手が出揃った。
選手たちが狙うのはステージ優勝と、男子と同じ4つの色に彩られた各賞ジャージ。総合優勝の証であるマイヨヴェールはもちろんスプリンターが獲得を狙うマイヨヴェールやマイヨアポワ(山岳賞)、そしてマイヨブラン(ヤングライダー賞)は男子とは異なり23歳以下に贈られるだ。
8日間あるステージのコースレイアウトは多彩の一言。初日のスプリントステージを経て、日に日に難易度を上げながら4日目には総距離12.9kmの未舗装路が登場。そして7日目から本格山岳ステージが始まると、最終8日目は今大会唯一の山頂フィニッシュで締めくくられる。
パリを出発し、未舗装路が登場する前半戦
大会初日は男子のツール・ド・フランスがスタートする約3時間前に開幕を迎える。コースはツールでお馴染みとなっているジャンヌ・ダルク像やシャンゼリゼの石畳、そして凱旋門など巡る6.8kmを12周する。つまり”スプリンターの世界選手権”と形容される戦いが、大会初日で繰り広げられるのだ。
初日のフィニッシュラインを先頭で通過した選手に33年ぶりのマイヨジョーヌが与えられるため、スプリントバトルは白熱必至。そして注目されるのは昨年の世界選手権王者バルサモとロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)による一騎打ちだろう。そこに加速力では劣るものの、ロングスプリントで数々のピュアスプリンターたちを下してきたフォスやロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)、成長著しいキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)なども争いに絡んでくるはずだ。
第2ステージの出発地はパリから西に50kmほど進んだモー。そこから4級山岳を越え、その後はひたすらに平坦路を進みプロヴァンにフィニッシュする。2日連続のスプリントステージはマイヨジョーヌとマイヨヴェールの行方はもちろん、山岳賞ジャージであるマイヨアポワの着用者も決定する。
ランスからエペルネーまでの133.6kmで争われる大会3日目は、4つの低難易度なカテゴリー山岳が途上する丘陵ステージ。ピュアスプリンターにとっての試練となり得るのは残り15.8km地点に登場する3級山岳ミュティニー峠(距離0.9km/平均12.2%)。ここを集団から遅れずに越えることができればスプリンターにも勝機が見えてくる。ちなみに今大会はトップで通過した選手に総合タイム(1位-10秒、2位-6秒、3位-4秒)が、そして中間スプリントとは別にボーナスポイント(1位-3秒、2位-2秒、3位-1秒)が第3〜7ステージに設定されており、マイヨジョーヌ争いに激しさが加わる。
第4ステージは合計4ヶ所(総距離12.9k,)の未舗装路区間が設定された前半戦のハイライトの1つ。オーブ県トロワを出発した選手たちはバール・シュル・オーブを目指し126.8kmコースを西へ進む。最初の未舗装路区間であるセクター4は残り68.1km地点に登場するものの、選手たちはその直前に3級山岳(距離1.1km/平均8.9%)の登坂を強いられる。
その後も3〜4級山岳と未舗装路が交互に登場し、フィニッシュ地点は最後のセクター1から17.4km先にある。注目されるのは今年のパリ〜ルーベ・ファムを制し、総合優勝も狙うエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)と同レースで2位だったコペッキーによる争いだろう。
フィナーレは激坂ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユの頂上
低難易度の山岳が登場する5、6日目の丘陵ステージを終えると、いよいよ最終的なマイヨジョーヌ着用者を決める山岳2連戦が始まる。第7ステージは総距離127.1kmに3つの1級山岳が詰め込まれたタフなレイアウト。レース序盤から1級プティ・バロン(距離9.3km/平均8.1%)と1級山岳プラッツァーヴァーゼル峠(距離7.1km/平均8.3%)を連続して登坂。そこから下って中間スプリントを通過し、最後は最終1級山岳グラン・バロン(距離13.5km/平均6.7%)に登り詰める。フィニッシュラインが引かれているのは頂上から7.2kmの下り〜平坦の先にある。
33年振りに復活したツール・ド・フランス・ファムは大会唯一の山頂フィニッシュで決着する。コースはリュールからラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユまでの123.3kmで、時計回りに弧を描くように2級、1級、そして1級山岳ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユ(距離7km/平均8.7%)の頂上がフィニッシュ地点だ。
この山岳は今年のツール第7ステージでマイヨジョーヌを着用したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が前日に続き、2日連続勝利を挙げた場。距離と勾配の難易度は高くないものの、フィニッシュラインが近づくほどに上がる勾配と未舗装路区間を抜け、最後は24%の”壁”が待ち受ける。
text:Sotaro.Arakawa
1989年に途絶えた歴史が、33年振りに再び動き出す。21日間に渡るツール・ド・フランスの最終日である7月24日に、パリ・シャンゼリゼから全8ステージに渡り「ツール・ド・フランス ファム(UCIワールドツアー)」が開幕する。女子によって争われるツール・ド・フランスの歴史は意外にも古く、初めて開催されたのは1955年(昭和30年)。しかし翌年に第2回目が行われることはなく、1984年に復活するもののわずか6年で再び姿を消した。
それ以降は2014〜2021年まで「ラ・クルスbyツール・ド・フランス」という名のワンデーレースとして男子ツールの開幕日、あるいは最終日に前座レース的な位置づけで開催されていきた。そしてついに今年、バーチャルサイクリングのプラットフォームであるズイフトをタイトルスポンサーに8日間のステージレースとして復活を遂げた。
全24チーム、144名の選手たちがパリに集結
出場するのは14のワールドツアーに10のUCIウィメンズコンチネンタルチームを加えた24チーム、合計144名の選手たち(1チーム6名)。惜しくもヒューマンパワードヘルスに所属する與那嶺恵理の出場は叶わなかったものの、アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)やマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、世界王者のエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)など豪華スター選手が出揃った。
選手たちが狙うのはステージ優勝と、男子と同じ4つの色に彩られた各賞ジャージ。総合優勝の証であるマイヨヴェールはもちろんスプリンターが獲得を狙うマイヨヴェールやマイヨアポワ(山岳賞)、そしてマイヨブラン(ヤングライダー賞)は男子とは異なり23歳以下に贈られるだ。
8日間あるステージのコースレイアウトは多彩の一言。初日のスプリントステージを経て、日に日に難易度を上げながら4日目には総距離12.9kmの未舗装路が登場。そして7日目から本格山岳ステージが始まると、最終8日目は今大会唯一の山頂フィニッシュで締めくくられる。
パリを出発し、未舗装路が登場する前半戦
大会初日は男子のツール・ド・フランスがスタートする約3時間前に開幕を迎える。コースはツールでお馴染みとなっているジャンヌ・ダルク像やシャンゼリゼの石畳、そして凱旋門など巡る6.8kmを12周する。つまり”スプリンターの世界選手権”と形容される戦いが、大会初日で繰り広げられるのだ。
初日のフィニッシュラインを先頭で通過した選手に33年ぶりのマイヨジョーヌが与えられるため、スプリントバトルは白熱必至。そして注目されるのは昨年の世界選手権王者バルサモとロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)による一騎打ちだろう。そこに加速力では劣るものの、ロングスプリントで数々のピュアスプリンターたちを下してきたフォスやロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)、成長著しいキアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス)なども争いに絡んでくるはずだ。
第2ステージの出発地はパリから西に50kmほど進んだモー。そこから4級山岳を越え、その後はひたすらに平坦路を進みプロヴァンにフィニッシュする。2日連続のスプリントステージはマイヨジョーヌとマイヨヴェールの行方はもちろん、山岳賞ジャージであるマイヨアポワの着用者も決定する。
ランスからエペルネーまでの133.6kmで争われる大会3日目は、4つの低難易度なカテゴリー山岳が途上する丘陵ステージ。ピュアスプリンターにとっての試練となり得るのは残り15.8km地点に登場する3級山岳ミュティニー峠(距離0.9km/平均12.2%)。ここを集団から遅れずに越えることができればスプリンターにも勝機が見えてくる。ちなみに今大会はトップで通過した選手に総合タイム(1位-10秒、2位-6秒、3位-4秒)が、そして中間スプリントとは別にボーナスポイント(1位-3秒、2位-2秒、3位-1秒)が第3〜7ステージに設定されており、マイヨジョーヌ争いに激しさが加わる。
第4ステージは合計4ヶ所(総距離12.9k,)の未舗装路区間が設定された前半戦のハイライトの1つ。オーブ県トロワを出発した選手たちはバール・シュル・オーブを目指し126.8kmコースを西へ進む。最初の未舗装路区間であるセクター4は残り68.1km地点に登場するものの、選手たちはその直前に3級山岳(距離1.1km/平均8.9%)の登坂を強いられる。
その後も3〜4級山岳と未舗装路が交互に登場し、フィニッシュ地点は最後のセクター1から17.4km先にある。注目されるのは今年のパリ〜ルーベ・ファムを制し、総合優勝も狙うエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)と同レースで2位だったコペッキーによる争いだろう。
フィナーレは激坂ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユの頂上
低難易度の山岳が登場する5、6日目の丘陵ステージを終えると、いよいよ最終的なマイヨジョーヌ着用者を決める山岳2連戦が始まる。第7ステージは総距離127.1kmに3つの1級山岳が詰め込まれたタフなレイアウト。レース序盤から1級プティ・バロン(距離9.3km/平均8.1%)と1級山岳プラッツァーヴァーゼル峠(距離7.1km/平均8.3%)を連続して登坂。そこから下って中間スプリントを通過し、最後は最終1級山岳グラン・バロン(距離13.5km/平均6.7%)に登り詰める。フィニッシュラインが引かれているのは頂上から7.2kmの下り〜平坦の先にある。
33年振りに復活したツール・ド・フランス・ファムは大会唯一の山頂フィニッシュで決着する。コースはリュールからラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユまでの123.3kmで、時計回りに弧を描くように2級、1級、そして1級山岳ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユ(距離7km/平均8.7%)の頂上がフィニッシュ地点だ。
この山岳は今年のツール第7ステージでマイヨジョーヌを着用したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が前日に続き、2日連続勝利を挙げた場。距離と勾配の難易度は高くないものの、フィニッシュラインが近づくほどに上がる勾配と未舗装路区間を抜け、最後は24%の”壁”が待ち受ける。
text:Sotaro.Arakawa
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