今大会最後の山岳決戦を制したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)はチームメイトへの感謝を繰り返し、ポガチャルは晴れやかな顔で敗因を語った。最終盤で牽引したファンアールトなど、ツール第18ステージを選手たちのコメントで振り返ります。



区間優勝&マイヨジョーヌ&マイヨアポワ ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

超級オタカムフィニッシュを制したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)超級オタカムフィニッシュを制したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
レース直後インタビュー

本当に素晴らしい結果だ。今朝、ガールフレンドと娘に「君たち2人のために勝つ」と伝え、その通り勝利を掴むことができた。本当に嬉しいし、彼女たちのために勝つことができて誇りに思う。

フィニッシュラインを越えた瞬間は(勝利よりもむしろ)レースが終えられたことが嬉しかった。今日のステージは本当に厳しかったからね。もちろん今日の勝利は嬉しいものの、パリまであと2日ある。だからこそ集中を切らすことなく、これまでと変わらず一日一日を大切に走りたい。

ポガチャルはコーナリングでミスを犯し、荒れた路面にタイヤを取られて落車してしまった。僕からは姿が消えたように見えた。だから僕は彼を待った。それだけだ。

今日もまたチームメイトに感謝しなければならない日になった。彼らの走りは本当に素晴らしかった。最後はファンアールトがポガチャルを引き離し、セップ・クスをはじめ全員がただただ素晴らしかった。ティシュ(ベノート )にクリストフ(ラポルト)、ネイサン(ファンホーイドンク)。彼らの力が無ければ絶対にこの結果はない。本当に感謝している。

ー総合優勝については、まだ話したくないかい?

まだだね。その事についてはまだ話したくない。明日、明後日とステージが残っているし、最後のパリもある。マイヨジョーヌについては2日後に聞いてくれ。

マイヨジョーヌを受け取ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)マイヨジョーヌを受け取ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto AYANO
表彰式後インタビュー

いまだマイヨジョーヌを着用していることが嬉しく、今日は更にその差を拡げることができた。スーパーハッピーだよ。また美しいマイヨジョーヌに加えマイヨアポワ(山岳賞)もついてきた。嬉しいよ。

ーレース直後に電話していた相手はガールフレンドかい?

うん、僕のガールフレンドと娘だ。彼女たち2人は僕の全てなんだ。彼女たちによるサポートがなければこの結果もなかっただろう。

ー昨日のステージとは打って変わり、今日はチームメイトに囲まれたステージとなった。ユンボ・ヴィスマによるマスターピース(神業)のようなチームワークだったね。

そうだね、その通りだ。マスターピースという言葉が最も適している走りだった。チームから2人が逃げに乗り、強いチーム力を発揮することができた。先程言った通りワウトは素晴らしく、セップ、ネイサン、テッシュ、クリストフの全員が素晴らしかった。この勝利は彼らのおかげだ。

マイヨアポワはヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)の手に渡るマイヨアポワはヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)の手に渡る photo:Makoto AYANO
最終盤と落車しかけたシーンについて

アタックする必要性は感じていなかった。一定のペースで踏み続けるのが最善と思っていたが、無線で「タデイは限界だ」と伝えられたので踏み込んだ。ワウトは文字通り力の限りを尽くしてくれ、おかげでタデイを引き離すことができた。

(落車の原因は)チェーンが落ちた瞬間に踏み込みバランスを崩し、後輪が滑ってしまったからだ。

区間2位&総合2位&マイヨブラン タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のアタックを冷静にさばくヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)のアタックを冷静にさばくヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
落車したものの、即座にバイクに戻ることができた。怪我はお尻にアザができた程度。その後は問題なく走る続けることができた。

ー最終山岳で遅れたことに、落車は影響を及ぼしたと思うかい?

わからない。影響があったとは言いたくない。今日のユンボは本当に強かった。マイヨジョーヌを奪還すべく全力を尽くしたが、叶わなかった。落車によって最終山岳に向けたやる気を少しだけ削がれたのは事実。でも諦めることなく限界まで追い込むことができた。だからこそ自分の走りを誇りに思うよ。

区間3位&マイヨヴェール ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)をアシスト。その後ろでタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が遅れ始めたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)をアシスト。その後ろでタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が遅れ始めた photo:CorVos
ヨナスの勝利に繋がる重要な役割を果たすことができ、とても嬉しく思っている。僕の作戦は逃げに乗ること。0km地点から逃げるためにあらゆる手段を取った。それがうまくいき、それ以降は完璧な展開に持ち込むことができた。最終盤でポガチャルが遅れたと聞いた時は更に力がみなぎってきたよ。実はあの時、僕は既に限界を超えていたんだ。それでも僕は、1kmでも長くヨナスの前を牽いていたかったんだ。

区間4位&総合3位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)を引き連れフィニッシュへゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)を引き連れフィニッシュへ photo:Makoto AYANO
今日が終わってホッとしているよ。(ポガチャルとヴィンゲゴーの)2人によるアタックが始まっても僕は自分のペースを守った。だから途中で2人を抜くことができたんだ。あの2人にはうんざりしていたからね。(笑)

最後の山岳では急勾配区間まで2人につき、その後は自分のペースで登った。それが最も速く登る方法だった。途中苦しい時間帯もあり、またパンクという不運にも見舞われてしまったものの、ダニ(マルティネス)が素晴らしい牽引を見せてくれたんだ。

明日は横風も予想されるステージだ。ツールではスムーズに終わることなんか何一つない。そしてその後は個人タイムトライアルが待っている。いまは回復に努め、万全の状態で臨めるよう準備したい。今大会は来るコモンウェルスゲームズに向けてとても良い前哨戦となっているよ。(笑)

区間8位 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)

ヴィンゲゴーの勝利を聞き、笑顔でフィニッシュしたセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)ヴィンゲゴーの勝利を聞き、笑顔でフィニッシュしたセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto AYANO
今大会最後の山岳ステージだったので、持てる力を全て出し切った。今朝起きた時から調子は良く、ヨナスの表情もとても良かった。人数が少ないなか、何が起こるか分からないので逃げに2人を送り込んだ。

ポガチャルが登りはもちろん下りでもその力を発揮したが、最後はヨナスの素晴らしい走りによって引き離した。マイヨジョーヌでアタックするには相当な自信がなければ出来ないことだ。リスクがあるからね。

区間10位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)

ステージ優勝を目指して先頭で逃げるティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)	ステージ優勝を目指して先頭で逃げるティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) photo:CorVos
ファンアールトと共にスパンデル峠を越えることができて嬉しかったし、前にいればダヴィド(ゴデュ)の力になれると思っていた。オタカムでは可能な限り踏み、ダヴィドたちが来ていると聞き、彼を待った。(踏み止めるまでの)2kmほどはステージ優勝を目指したいとも思ったが、今日一番大切なのはそれではなかった。

区間13位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)

力の限りを尽くした。呼吸に問題があったのだが、それを言い訳にしたくない。ここまでは素晴らしいツール・ド・フランスになっているね。今日はスピードが速かったのにもかかわらず、チームメイトは素晴らしい走りを見せてくれたよ。

text:Sotaro.Arakawa

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