総合3位と4位、7位とトップ10に3名が入る上々の滑り出しを見せているイネオス・グレナディアーズ。ツール・ド・フランス1回目の休息日である7月11日に行われたオンライン記者会見でゲラント・トーマスとアダム・イェーツ(共にイギリス)が語った。



自身12回目のツールに臨んだゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)自身12回目のツールに臨んだゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:Makoto AYANO
会見に現れたのは総合3位につけるゲラント・トーマス(イギリス)と、総合4位のアダム・イェーツ(イギリス)。2人合わせて30分に満たない短い時間の中、開幕から9日間の振り返り、そしてアルプス3連戦で幕開ける第2週目の展望が語られた。

先に姿を見せたのはイェーツ。一つ目の質問から保守的あるいは消極的とも見られる山岳(又は登り)フィニッシュについて質問が飛んだ。「その(なぜ攻めないのかという)質問には何度も答えている。アタックする必要性がなかったからだ。特に昨日は差がつくような勾配でもなかったし、UAEとユンボ・ヴィスマがペースを作るなか仕掛けるのが賢い選択とは思えなかった。任天堂(TVゲーム)ではないのだから」。

総合4位とまずまずの順位で第1週目を終えたアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)総合4位とまずまずの順位で第1週目を終えたアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
マスクをしてオンライン記者会見で答えるアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)マスクをしてオンライン記者会見で答えるアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) イェーツはチーム加入後初となるツール序盤戦を「大きなミスもなく良い走りが出来ている。確かに僕たちより良い走りをした選手がいるものの、僕たちも十分に良い走りができた」と表現する。第7ステージではトップのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)から29秒遅れでフィニッシュしたのの、大きな遅れこそ防いでいる。

ここまで区間2勝を挙げ、早速マイヨジョーヌを着るポガチャルについてイェーツは、「いまのところUAEとポガチャルに弱点は見当たらない。昨日は4時間に渡り集団先頭を牽引し、最後はマイカが前に出た。またポガチャルは平坦区間でも集団先頭で位置取りができているし、トラブルの回避も上手い」とライバルの強さを褒め称えた。

「でも、第2週目はトリッキーな最終盤が待つステージが多く、勝負はこれからだ。繰り返しになるが(第1週目は)まだ仕掛ける時ではなかった。僕らはまだフルガス(全力)で走っていないよ」と、来る山岳決戦に向けて意気込みを語っている。

第5ステージをメイン集団前方で展開したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)第5ステージをメイン集団前方で展開したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
終始リラックスした表情だったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)終始リラックスした表情だったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 続いてカメラの前に姿を現したトーマス。昨年大会は総合争いに絡むことす出来ず沈んだものの、今年は前哨戦ツール・ド・スイスで総合優勝を挙げた勢いのままツールにやってきた。好調の理由をトーマスは「ゆっくりとストレスなく、またトレーニングやレースを楽しみながらコンディションを上げることができた。例年とはコーチや環境も変わり、それが良い方向に働いているね」と答える。

「予想よりも遥かに良い1週目となった。初日のジレ(脱ぎ忘れ)やルーベ(第5)ステージでの落車など最良の出だしとは言えないものの、簡単にいかないのがグランツールだ。みんなミスはするし、何より大事なのはそんな中でもポジティブであり続けること。最悪な事態は回避できている」と12回目の出場となるベテランは冷静かつ前向きだ。

ここまで下馬評通り、あるいはそれ以上の強さを見せるポガチャルについては「ニバリやコンタドールは登坂力に優れ、フルームはそれに加えタイムトライアル能力も併せ持っていた。だがポガチャルはそこにスプリントを含めた全てを持ち合わせた選手だ」とトーマス。「過去何人もの選手が”きっと将来あのレースを勝つだろう”と言われるなかでもポガチャルの強さは頭一つ抜けている。あと5、6年はあらゆるレースの優勝候補になり続けることだろう」と絶賛する。

初日の個人TTをジレを着用したまま完走したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)初日の個人TTをジレを着用したまま完走したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:Makoto AYANO
「(第11ステージに登場する超級山岳)コル・デュ・グラノンが勝負分ける最初の登りとなるだろう。ちなみに僕は高い標高の登りは苦手じゃない。そしてラルプデュエズも決定的な場となる。また2週目の鍵となるのは、暑さかな」と残す2週間での展望を語る。「もちろん総合表彰台に登ることができればいいが、狙いはあくまでも優勝だ。僕自身にも、またチームとしても大事なことはベストを尽くすこと」と強調した。

会見の最後に、ツール初出場ながら総合7位につけ、ポガチャルの繰り下げでマイヨブランを着るトーマス・ピドコック(イギリス)について聞かれると「初出場ながら良い表情で走っているよ。だがトムはワンデーを得意とする選手。明日の山岳で遅れても驚かない。だが同時に大崩れもしないだろうから、最終的に総合15位ぐらいでレースを終えるんじゃないかな」と締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa
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