2022/07/02(土) - 12:04
デンマークの首都コペンハーゲンで開幕した第109回ツール・ド・フランス。初日の個人TTを制したイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)は「信じられない結果」と驚き、また涙を拭った。2位のファンアールトやパンクに見舞われたガンナなど、選手たちの言葉を紹介します。
区間優勝&マイヨジョーヌ イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
レース直後インタビュー
この結果が信じられるかって?いや…無理だ。信じられないし、きっとこの後に走る誰かが僕のタイムを上回るはず。ファンアールトやファンデルプール、ガンナといった強豪選手よりも良いタイムを出せただけで十分素晴らしい結果だ。このまま総合1位を守り続けることができれば最高だが、いまこの時点でも十分幸せだ。
僕はいつもコーナーが遅く、常に自分を疑いながら曲がっているんだ。その一方で直線では脚に力を感じ、僕のガーミン(サイクルコンピュータ)は序盤から5倍(の出力数値)を示していた。僕にとってこの数字はとても大きい。このあと誰が僕のタイムを上回るか見てみよう。そしてその選手を祝福したい。僕自身かなり追い込んで出したタイムだからね。
表彰式直前インタビュー
信じられず頭が爆発しそうだよ。トップ10に入ることができれば十分と臨んだタイムトライアル。世界トップの選手たちを破り掴んだ勝利は…言葉がない。なんてことないベルギーの農家の息子がこんな大舞台で勝利を掴むなんて。本当に予想外の結果だよ。
もちろん調子自体は良かった。だがまさかツール・ド・フランス初日のタイムトライアルを勝つほどとは思わなかった。夢にも見なかったほど素晴らしい結果だ。そしてファンアールトやファンデルプール、ガンナを破って掴んだ勝利。それを僕は成し遂げたんだ。
雨は降っていなかったが路面は濡れていた。だから強豪選手たちと条件は同じだったろう。コーナーでは「イヴ、タイヤ(のグリップ)を信じて攻めるんだ。お前はいつもコーナーでタイムを失っている。とにかく信じて攻めるんだ」と自分に言い聞かせた。その結果が中間計測でファンアールトを5秒上回るタイム。この勝利を、そしてこの後着るマイヨジョーヌを実感できるのは大会が終わった後かもしれない。それか彼女と息子に会う次の月曜かもしれないね。
この勝利を家族やチームはもちろん、コロナに感染して出場が叶わなかった親友のティム・デクレルクに捧げたい。
区間2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
今日のようなTTではリスクを取らなければならない。最大限リスクを取りつつ、スムーズに走ることができた。自分の走りに後悔はなく、幸運にも(負傷してる)膝の痛みも現れなかった。
ーフィリッポ・ガンナに対し2度目の勝利となったが、満足感はあるか?
全然ないよ。笑
デンマークで迎えるステージはどれも興味深いレイアウトで、今日の天気はあいにくだったが明日はどうなるのだろうね。明日は(マイヨヴェールのために)中間ポイントを稼ぎ、集団スプリントに臨みたい。すべては天気次第になるだろう。
区間3位&マイヨブラン タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
悪天候にもかかわらず盛り上がる観客に背中を押され、力の全てを出し切ることができた。素晴らしいツール・ド・フランスの初日となった。リスキーなコーナーもあったが、脚の調子がよかったおかげでとても良い走りを見せることができた。総合順位の点でも良い結果だ。
区間4位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
(パンクのせいで)負けたとは思っていない。脚の痛みが大きかったため、それを抑えようと走ったせいだろう。雨がコーナーの難易度を上げたものの直線ではその影響はなかった。予報では晴れているはずだった僕のスタート時点でも路面は濡れたままで、更に雨も降ってきた。しかしワウトやタデイ、他の選手たちも条件は同じ。今日の走りに後悔はなく、僕より強い選手がいたまでだ。
区間8位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
この結果に満足している。トリッキーかつ雨の中だったものの、チームとしての結果は良いものだった。脚の調子は良く無事に1日目を終えることができた。残すは20ステージ。明日以降のレースが楽しみだよ。
区間18位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
酷いタイムトライアルだった。特に前半のコーナリングは過去最悪。「リスクを取らないよう慎重に」と口酸っぱく言われたなか、(慎重だったにしても)スムーズなコーナリングができなかった。特にスタート直後、いくつかのコーナーは12年以上自転車に乗っていない妻よりも遅いんじゃないか?というほど酷いものだった。例えばタイムトライアルで優勝した(2017年大会の)デュッセルドルフは、本当に流れるように走りができた。速さではなくスムーズなライン取りという意味だ。
中間計測地点で(その時点でトップの)ファンデルプールより18秒遅れと聞き、驚きのあまりリスク回避なんて忘れ、おかげで自分の走りに集中できた。その後の調子は良かったのものの、今度はジレを着たまま走り出していたことに気がついた。自分自身はもちろんチームスタッフの誰も気づかなかった。走りながら脱ぐことも考えたが、それも得策ではないと思いそのまま走りきった。
今日唯一の収穫は脚の調子が良かったこと。しかしいままで走ったタイムトライアルの中で最も集中の難しいレースだった。
text:Sotaro.Arakawa
区間優勝&マイヨジョーヌ イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
レース直後インタビュー
この結果が信じられるかって?いや…無理だ。信じられないし、きっとこの後に走る誰かが僕のタイムを上回るはず。ファンアールトやファンデルプール、ガンナといった強豪選手よりも良いタイムを出せただけで十分素晴らしい結果だ。このまま総合1位を守り続けることができれば最高だが、いまこの時点でも十分幸せだ。
僕はいつもコーナーが遅く、常に自分を疑いながら曲がっているんだ。その一方で直線では脚に力を感じ、僕のガーミン(サイクルコンピュータ)は序盤から5倍(の出力数値)を示していた。僕にとってこの数字はとても大きい。このあと誰が僕のタイムを上回るか見てみよう。そしてその選手を祝福したい。僕自身かなり追い込んで出したタイムだからね。
表彰式直前インタビュー
信じられず頭が爆発しそうだよ。トップ10に入ることができれば十分と臨んだタイムトライアル。世界トップの選手たちを破り掴んだ勝利は…言葉がない。なんてことないベルギーの農家の息子がこんな大舞台で勝利を掴むなんて。本当に予想外の結果だよ。
もちろん調子自体は良かった。だがまさかツール・ド・フランス初日のタイムトライアルを勝つほどとは思わなかった。夢にも見なかったほど素晴らしい結果だ。そしてファンアールトやファンデルプール、ガンナを破って掴んだ勝利。それを僕は成し遂げたんだ。
雨は降っていなかったが路面は濡れていた。だから強豪選手たちと条件は同じだったろう。コーナーでは「イヴ、タイヤ(のグリップ)を信じて攻めるんだ。お前はいつもコーナーでタイムを失っている。とにかく信じて攻めるんだ」と自分に言い聞かせた。その結果が中間計測でファンアールトを5秒上回るタイム。この勝利を、そしてこの後着るマイヨジョーヌを実感できるのは大会が終わった後かもしれない。それか彼女と息子に会う次の月曜かもしれないね。
この勝利を家族やチームはもちろん、コロナに感染して出場が叶わなかった親友のティム・デクレルクに捧げたい。
区間2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
今日のようなTTではリスクを取らなければならない。最大限リスクを取りつつ、スムーズに走ることができた。自分の走りに後悔はなく、幸運にも(負傷してる)膝の痛みも現れなかった。
ーフィリッポ・ガンナに対し2度目の勝利となったが、満足感はあるか?
全然ないよ。笑
デンマークで迎えるステージはどれも興味深いレイアウトで、今日の天気はあいにくだったが明日はどうなるのだろうね。明日は(マイヨヴェールのために)中間ポイントを稼ぎ、集団スプリントに臨みたい。すべては天気次第になるだろう。
区間3位&マイヨブラン タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
悪天候にもかかわらず盛り上がる観客に背中を押され、力の全てを出し切ることができた。素晴らしいツール・ド・フランスの初日となった。リスキーなコーナーもあったが、脚の調子がよかったおかげでとても良い走りを見せることができた。総合順位の点でも良い結果だ。
区間4位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
(パンクのせいで)負けたとは思っていない。脚の痛みが大きかったため、それを抑えようと走ったせいだろう。雨がコーナーの難易度を上げたものの直線ではその影響はなかった。予報では晴れているはずだった僕のスタート時点でも路面は濡れたままで、更に雨も降ってきた。しかしワウトやタデイ、他の選手たちも条件は同じ。今日の走りに後悔はなく、僕より強い選手がいたまでだ。
区間8位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
この結果に満足している。トリッキーかつ雨の中だったものの、チームとしての結果は良いものだった。脚の調子は良く無事に1日目を終えることができた。残すは20ステージ。明日以降のレースが楽しみだよ。
区間18位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
酷いタイムトライアルだった。特に前半のコーナリングは過去最悪。「リスクを取らないよう慎重に」と口酸っぱく言われたなか、(慎重だったにしても)スムーズなコーナリングができなかった。特にスタート直後、いくつかのコーナーは12年以上自転車に乗っていない妻よりも遅いんじゃないか?というほど酷いものだった。例えばタイムトライアルで優勝した(2017年大会の)デュッセルドルフは、本当に流れるように走りができた。速さではなくスムーズなライン取りという意味だ。
中間計測地点で(その時点でトップの)ファンデルプールより18秒遅れと聞き、驚きのあまりリスク回避なんて忘れ、おかげで自分の走りに集中できた。その後の調子は良かったのものの、今度はジレを着たまま走り出していたことに気がついた。自分自身はもちろんチームスタッフの誰も気づかなかった。走りながら脱ぐことも考えたが、それも得策ではないと思いそのまま走りきった。
今日唯一の収穫は脚の調子が良かったこと。しかしいままで走ったタイムトライアルの中で最も集中の難しいレースだった。
text:Sotaro.Arakawa
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