2022/07/01(金) - 14:50
ロードレースにおいてアルカンシェル(世界チャンピオン)と並んで最も栄誉とされるのがマイヨジョーヌ。ツール・ド・フランスの総合リーダーの証である「黄色いジャージ」の仕組みと、ポガチャルやログリッチ、ヴィンゲゴーなどの注目選手を紹介しよう。
大会の象徴、栄光のマイヨジョーヌ
イエロージャージを意味するマイヨジョーヌは総合リーダーの証。個人総合成績首位の選手だけが着用を許される栄光のジャージであり、総合優勝者は最終日パリの表彰台でマイヨジョーヌを受け取ることになる。簡潔に説明するならば、7月1日(金)から7月24日(日)までの3,349.8kmという距離を最も少ない時間で走った選手が総合優勝に輝く。
仮に総合成績の上で2名が同タイムの場合、タイムトライアルの成績を1/100秒のタイムまでさかのぼって比較する。それでも同タイムの場合は全ステージの順位の合計が少ない選手が上位に。また、それでも同順位の場合は最終ステージの順位で決定する。
1903年に初開催されたツールだが、マイヨジョーヌが初めて登場したのは1919年の第13回大会のこと。リヨンに拠点を置くLCL銀行(コーポレートカラーも黄色)が1987年から一貫してジャージのスポンサーを務めている。
2022年も引き続きボーナスタイムが導入されている。ステージ1位の選手は10秒、ステージ2位の選手は6秒、ステージ3位の選手は4秒のタイムが総合時間からボーナスとしてマイナスされる(個人TTを除く)。つまりステージ上位に入った選手が有利に総合争いを進めることができるため、積極的なレース展開につながる。
スロベニアの2人による戦いか、あるいはイネオスの復権か
マイヨジョーヌの最有力はやはり今年もタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だろう。50km独走勝利という驚愕の走りを見せつけたストラーデビアンケを皮切りにティレーノ~アドリアティコを制し、そしてツール前哨戦として毎年恒例のツアー・オブ・スロベニアでも区間2勝&総合優勝に輝くなどは勢い止まらない
また今年はライバルチームであるユンボ・ヴィスマからジョージ・ベネット(ニュージーランド)、モビスターからマルク・ソレル(スペイン)というクライマーを補強。課題だった最終山岳の最終局面でもポガチャルの力になることが期待される。また今年はポガチャルが得意とする2つの個人タイムトライアルの総距離が53km(13km+40km)であることからもライバルたち、特にピュアクライマーらに対して死角はない。
その最大のライバルとなり得るのは同じスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)。劇的な逆転負けを喫した2020年、そして2021年は落車により第8ステージでレース離脱という苦い経験を乗り越え悲願のマイヨジョーヌ獲得に向かう。前哨戦であるクリテリウム・デュ・ドーフィネで総合優勝に輝木、今年4月に負った膝の怪我が順調に回復したことをアピールしている。
山岳戦力ではユンボがUAEを上回る。昨年総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)をはじめ、今年もステフェン・クライスヴァイク(オランダ)とセップ・クス(アメリカ)が脇を固める。新戦力としては移籍後に覚醒した感のあるクリストフ・ラポルト(フランス)に加え、平坦路ではティシュ・ベノート (ベルギー)もログリッチに心強さを与えている。
スロベニアの2人に対抗するのは、かつての常勝軍団イネオス・グレナディアーズ。加入後は初のツール出場となるアダム・イェーツ(イギリス)を筆頭に、もう1つの前哨戦であるツール・ド・スイスを制した2018年大会の覇者ゲラント・トーマス(イギリス)、そしてコロンビアンクライマーのダニエル・マルティネスというトリプルエース体制を敷く。
しかしトーマスは山岳、イエーツは個人TTに不安を抱え、マルティネスは自身初となるグランツール総合リーダーということもあり下馬評もそこまで高くはない。
フランス国内の期待がかかるティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)は今年4月に1007日振りの復活勝利を挙げると、勢いそのままにツール・ド・スイスでも区間1勝。総合上位に食い込むまでかつての輝きを取り戻しているかは疑問だが、山岳ステージでフランスのファンを湧かせるはずだ。そして昨年総合11位のダヴィド・ゴデュ(フランス)が共に総合エースを担う。
エースナンバーをつけたジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)はダミアーノ・カルーゾ(イタリア)と総合上位を狙い、激坂職人マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)は辛くもメンバー入りしたクリストファー・フルーム(イギリス)のアシストを受ける予定だ。
その他にもモビスターのエンリク・マス(スペイン)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)、ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)、ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)なども虎視眈々とマイヨジョーヌを狙う。
大会の象徴、栄光のマイヨジョーヌ
イエロージャージを意味するマイヨジョーヌは総合リーダーの証。個人総合成績首位の選手だけが着用を許される栄光のジャージであり、総合優勝者は最終日パリの表彰台でマイヨジョーヌを受け取ることになる。簡潔に説明するならば、7月1日(金)から7月24日(日)までの3,349.8kmという距離を最も少ない時間で走った選手が総合優勝に輝く。
仮に総合成績の上で2名が同タイムの場合、タイムトライアルの成績を1/100秒のタイムまでさかのぼって比較する。それでも同タイムの場合は全ステージの順位の合計が少ない選手が上位に。また、それでも同順位の場合は最終ステージの順位で決定する。
1903年に初開催されたツールだが、マイヨジョーヌが初めて登場したのは1919年の第13回大会のこと。リヨンに拠点を置くLCL銀行(コーポレートカラーも黄色)が1987年から一貫してジャージのスポンサーを務めている。
2022年も引き続きボーナスタイムが導入されている。ステージ1位の選手は10秒、ステージ2位の選手は6秒、ステージ3位の選手は4秒のタイムが総合時間からボーナスとしてマイナスされる(個人TTを除く)。つまりステージ上位に入った選手が有利に総合争いを進めることができるため、積極的なレース展開につながる。
スロベニアの2人による戦いか、あるいはイネオスの復権か
マイヨジョーヌの最有力はやはり今年もタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だろう。50km独走勝利という驚愕の走りを見せつけたストラーデビアンケを皮切りにティレーノ~アドリアティコを制し、そしてツール前哨戦として毎年恒例のツアー・オブ・スロベニアでも区間2勝&総合優勝に輝くなどは勢い止まらない
また今年はライバルチームであるユンボ・ヴィスマからジョージ・ベネット(ニュージーランド)、モビスターからマルク・ソレル(スペイン)というクライマーを補強。課題だった最終山岳の最終局面でもポガチャルの力になることが期待される。また今年はポガチャルが得意とする2つの個人タイムトライアルの総距離が53km(13km+40km)であることからもライバルたち、特にピュアクライマーらに対して死角はない。
その最大のライバルとなり得るのは同じスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)。劇的な逆転負けを喫した2020年、そして2021年は落車により第8ステージでレース離脱という苦い経験を乗り越え悲願のマイヨジョーヌ獲得に向かう。前哨戦であるクリテリウム・デュ・ドーフィネで総合優勝に輝木、今年4月に負った膝の怪我が順調に回復したことをアピールしている。
山岳戦力ではユンボがUAEを上回る。昨年総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)をはじめ、今年もステフェン・クライスヴァイク(オランダ)とセップ・クス(アメリカ)が脇を固める。新戦力としては移籍後に覚醒した感のあるクリストフ・ラポルト(フランス)に加え、平坦路ではティシュ・ベノート (ベルギー)もログリッチに心強さを与えている。
スロベニアの2人に対抗するのは、かつての常勝軍団イネオス・グレナディアーズ。加入後は初のツール出場となるアダム・イェーツ(イギリス)を筆頭に、もう1つの前哨戦であるツール・ド・スイスを制した2018年大会の覇者ゲラント・トーマス(イギリス)、そしてコロンビアンクライマーのダニエル・マルティネスというトリプルエース体制を敷く。
しかしトーマスは山岳、イエーツは個人TTに不安を抱え、マルティネスは自身初となるグランツール総合リーダーということもあり下馬評もそこまで高くはない。
フランス国内の期待がかかるティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)は今年4月に1007日振りの復活勝利を挙げると、勢いそのままにツール・ド・スイスでも区間1勝。総合上位に食い込むまでかつての輝きを取り戻しているかは疑問だが、山岳ステージでフランスのファンを湧かせるはずだ。そして昨年総合11位のダヴィド・ゴデュ(フランス)が共に総合エースを担う。
エースナンバーをつけたジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)はダミアーノ・カルーゾ(イタリア)と総合上位を狙い、激坂職人マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)は辛くもメンバー入りしたクリストファー・フルーム(イギリス)のアシストを受ける予定だ。
その他にもモビスターのエンリク・マス(スペイン)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)、ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)、ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)なども虎視眈々とマイヨジョーヌを狙う。
歴代のツール総合優勝者
2021年 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) |
2020年 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) |
2019年 | エガン・ベルナル(コロンビア) |
2018年 | ゲラント・トーマス(イギリス) |
2017年 | クリストファー・フルーム(イギリス) |
2016年 | クリストファー・フルーム(イギリス) |
2015年 | クリストファー・フルーム(イギリス) |
2014年 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア) |
2013年 | クリストファー・フルーム(イギリス) |
2012年 | ブラドレー・ウィギンズ(イギリス) |
2011年 | カデル・エヴァンス(オーストラリア) |
2010年 | アンディ・シュレク(ルクセンブルク)※コンタドール失格による繰り上げ |
2009年 | アルベルト・コンタドール(スペイン) |
2008年 | カルロス・サストレ(スペイン) |
2007年 | アルベルト・コンタドール(スペイン) |
2006年 | オスカル・ペレイロ(スペイン)※ランディス失格による繰り上げ |
2005年 | |
2004年 | |
2003年 | |
2002年 | |
2001年 | |
2000年 | |
1999年 | |
1998年 | マルコ・パンターニ(イタリア) |
1997年 | ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) |
1996年 | ビャルヌ・リース(デンマーク) |
1995年 | ミゲル・インドゥライン(スペイン) |
1994年 | ミゲル・インドゥライン(スペイン) |
1993年 | ミゲル・インドゥライン(スペイン) |
1992年 | ミゲル・インドゥライン(スペイン) |
1991年 | ミゲル・インドゥライン(スペイン) |
1990年 | グレッグ・レモン(アメリカ) |
text:Sotaro.Arakawa
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