「長らく勝利から遠ざかっていた。空に腕を突き上げた5秒後、喜びは安堵に変わっていた」とはジロ5日目を制したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)の言葉。登りで遅れたユアンやカヴェンディッシュ、マリアローザで走ったロペスなどのコメントを紹介します。



ステージ優勝&マリアチクラミーノ:アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)

力強いスプリントでライバルを打破したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)力強いスプリントでライバルを打破したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:RCS Sport
登りで厳しい展開になることは分かっていた。ライバルチームがペースを上げ、スプリンターたちに不利な状況を作り出した。僕は限界まで追い込むのではなく、チーム一丸となり自分のペースで登ったんだ。チームメイトは下りをクレイジーなほど飛ばし、おかげで集団に追いつくとができた。集団復帰した後の平坦も、ユアンとカヴェンディッシュが遅れていたのでチームは懸命に集団を牽引した。

最後のスプリントは本当にスムーズだった。フィニッシュ手前のレイアウトはチームバスで確認していたので、コーナーの多い複雑なスプリントも問題なかった。チームメイトのおかげで残り200mまで我慢強くスプリントのタイミングを伺った。

どんなスプリンターでも勝利を欲し、その数は多ければ多いほど嬉しいものだ。昨年のパリ〜ツール以来ようやくの勝利となったが、シーズン序盤から調子は良かったんだ。そして空に腕を掲げた5秒後に、僕の感情は喜びから安堵へと切り替わっていた。

区間優勝と共にマリアチクラミーノも獲得したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)区間優勝と共にマリアチクラミーノも獲得したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:RCS Sport
ステージ2位:フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)

惜しくも敗れたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)惜しくも敗れたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
調子はとてもよく、チームは僕をステージを通して守ってくれた。最後はディレーラーに問題が発生したため思うようなギヤ選択ができなかったんだ。また混沌としたスプリントのなか誰かが僕の後輪に触れたみたいだ。とてもフラストレーションが溜まるスプリントだったものの、これもレースだ。だがそれらが無くても勝てたかどうかは分からない。それぐらい今日のデマールは強かったからね。とにかく脚の調子は良く、明日のスプリントに集中したい。

ステージ3位:ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)

最終ストレートで時速15km/hの向かい風が吹いていると聞かされていた。だから最終コーナーで少し番手を下げ、集団後方から飛び出すのがベストだと判断した。上手くスプリントに入ることができたものの、フィニッシュライン手前でラインを変えなければならなかった。スピードは十分だったのでもう少し良い結果も望めただろう。だがチームの動きとしては悪くない。この後も忍耐と自信を失わないことが明日のスプリントに繋がるだろう。

ステージ5位:ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

スプリントでは毎ステージ上位に入る活躍を見せるビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)スプリントでは毎ステージ上位に入る活躍を見せるビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
チームは素晴らしいアシストをしてくれた。脚はあったものの残り1kmでロイック・ヴリーヘンの姿を見失ってしまったんだ。また、残り100mから2度に渡ってフェンスに触れてしまった。そんな中でも落車やトラブルなく走り終えることができて良かったよ。

デマールの集団復帰に尽力したマイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマ・エフデジ)

チームとしてしばらく大きな勝利から遠ざかっていた。プレッシャーもあったなか掴んだこの勝利の価値は大きい。アルノーは登りで遅れたものの、脚が完全に無くなったわけではなかった。彼は自分のペースで踏み続け、何より僕たちを信じてくれた。登りで2分以上遅れてしまえばその時点で終わりだと分かっていた。だから僕たちはなんとか追いつくことのできるタイム差を維持し続けた。僕たちも力を出し尽くした。本当に勝つことができて嬉しいよ。

集団復帰が叶わなかったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
懸命に追いかける以外僕らに何ができただろうか。僕らはエフデジの30秒後方を走り、カレブ(ユアン)は僕たちの更に後方にいた。一緒にグルペットを形成していればきっと追いついていただろうね。全力で追走してくれた仲間たちを誇りに思う。集団復帰は叶わなかったものの、僕らは全力を尽くしたんだ。落ち込んでいるが、予想していたことだ。事実は集団スプリントをすることができればラッキーだと思っていたぐらいなんだ。前を向き次に来るチャンスを狙いたい。

登りで遅れたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)

登りの麓でパンクする不運に見舞われたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)登りの麓でパンクする不運に見舞われたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
ポルテッラ・マンドラッツィの麓でホイール交換をしなければならなかった。最悪のタイミングだった。チームは僕を集団復帰させるべく力を尽くしてくれたものの、ライバルチームが牽く集団に追いつくことはできなかった。

マリアローザ:アン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)

ヘルメットやソックスをピンクで揃えたフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)ヘルメットやソックスをピンクで揃えたフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVos
人生初のマリアローザを着て走るレースは、本当に素晴らしい気持ちだったよ。走り終えたいまでも信じられないぐらいにね。たくさんの選手が僕のもとに来て「おめでとう」と声をかけてくれた。マリアローザを来て走る瞬間を噛みしめるように楽しんだ。人生最良の日だった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)