急勾配登坂で何度もアタックを仕掛けたペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が、13名による集団スプリントでジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)を下す。バスク出身のビルバオが念願の地元勝利を掴み取った。



バスクでも高い人気を誇るリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)バスクでも高い人気を誇るリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2022第3コースプロフィールイツリア・バスクカントリー2022第3コースプロフィール https://itzulia.eus/ラウディオ(スペイン語ではリョディオ)からアムリオまでの181.7kmで行われたイツリア・バスクカントリー第3ステージ。序盤から3級山岳を越え、レース中盤から3級山岳オペジョラ(距離1.1km/平均13.1%)と2級山岳オセカ(距離3.6km/平均7.3%)を含むコースを2周する。最大勾配18%のバスクらしい激坂が登場するコースで、ユンボ・ヴィスマとイネオス・グレナディアーズがレースをコントロールした。

気温が14度まで上がる晴天のもと、獲得標高差が3000mを越えるレースでヤン・ポランツ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)とクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、トタルエネルジー)の2名が逃げを打つ。それを追うメイン集団はゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が長きに渡り牽引を担当。残り39km地点で、まずは逃げから遅れてきたポランツを吸収した。

2度目の2級山岳オセカに先頭で突入したロドリゲスは、山頂をトップ通過し山岳賞ジャージを獲得。その1分半遅れで登坂を始めたプロトンでは、30km以上に渡り牽引したトーマスが遅れていき、頂上まで1.5kmを残し繰り下げでポイント賞ジャージを着るアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が集団先頭に出てペースアップ。ライバルたちの選別に取り掛かった。

最後まで1人逃げ、山岳賞ジャージを獲得したクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、トタルエネルジー)最後まで1人逃げ、山岳賞ジャージを獲得したクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、トタルエネルジー) photo:CorVos
30km以上に渡りメイン集団を牽引したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)30km以上に渡りメイン集団を牽引したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
山頂を通過する頃にはメイン集団の人数は17名まで減り、下りで飛ばすペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)を先頭にロドリゲスを吸収。総合優勝を狙う選手たちが漏れなく入った先鋭集団は、アシストが残るユンボ・ヴィスマやクイックステップ・アルファヴィニルがライバルたちのアタックを防ぐハイペースで引き、フィニッシュまでの距離を消化していった。

残り6km地点にあるカテゴリーのつかないレザマ(距離500m/平均9.8%)の登坂に入ると、バスク出身のビルバオが飛び出した。これをリーダージャージを守るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がすぐさま引き戻すが、地元バスクでの勝利に執念を燃やすビルバオは諦めなかった。

幾度となくアタックを仕掛けたペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)幾度となくアタックを仕掛けたペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
フィニッシュまで続く平坦路を時速60kmのハイスピードで飛ばす集団から再びビルバオがアタック。今度はイェーツがこれを捉え、前日ステージの再現のごとくレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)を従えて牽引を開始した。

残り500mでイェーツがメカトラで遅れ、傾斜面の最終ストレートに突入すると、エヴェネプールのリードアウトからアラフィリップが発進する。ここまでは前日の再現通りだったものの、その背後から再三アタックを仕掛けたビルバオが飛び出し、そのまま2連勝目前の世界チャンピオンをパス。執念を実らせ勝利をもぎ取った。

接戦のスプリントで先着したペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)接戦のスプリントで先着したペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
ペリョ・地元バスクでの勝利を掴んだビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)ペリョ・地元バスクでの勝利を掴んだビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
「何度も挑み、ようやく掴んだ地元バスクでの優勝。しかも世界王者ジュリアン・アラフィリップを下しての勝利だ。言葉にならないほど嬉しいよ。残り6km地点の登りで仕掛け、その後の登坂でも飛び出したが決まらなかった。フィニッシュラインまで緩斜面だったことが僕に味方したのだろう。この勝利を妻と生まれてくる子どもに捧げたい」と、念願の地元バスクで初勝利を挙げたビルバオはコメントしている。

リーダージャージは先頭集団内でフィニッシュしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がキープ。メカトラに見舞われたイェーツは救済措置により同タイムフィニッシュとなっている。

再三アタックを仕掛け、掴みとった勝利を喜ぶペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)再三アタックを仕掛け、掴みとった勝利を喜ぶペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2022第3ステージ結果
1位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 4:35:24
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)
3位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)
5位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)
6位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)
7位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
8位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)
9位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
個人総合成績
1位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 9:49:47
2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:05
3位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) 0:14
4位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:18
5位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:19
6位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
7位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) 0:20
8位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) 0:21
9位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) 0:25
10位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:28
その他の特別賞
ポイント賞 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)
山岳賞 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、トタルエネルジー)
ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
チーム総合成績 ユンボ・ヴィスマ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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