2010/06/30(水) - 09:30
ツール・ド・フランス第97回大会の主戦場はアルプスではなくピレネー山脈。後半にかけて難易度の高いピレネーステージが連続して登場する。ここでは第11ステージからパリ・シャンゼリゼに至る第20ステージまでのコースを紹介しよう。
7月15日(木)第11ステージ
シストロン〜ブール・レ・ヴァロンス 184.5km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第11ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.アルプスを離れたツール・ド・フランスは、比較的難易度の低い3ステージをこなしてピレネーに向かう。第11ステージは今大会に合計9つ設定された平坦ステージのうちの一つ。特徴的な城砦がそびえ立つシストロンの街をスタートし、56km地点で3級山岳カブル峠を越えると、あとはブール・レ・ヴァロンスまで平坦路をまっしぐらだ。
山岳を乗り切ったスプリンターチームが、高速でメイン集団をリードしながらゴールに飛び込むだろう。もうスプリンターに多くのチャンスは残されていない。ゴール前の熾烈なポジション争いは見物だ。
7月16日(金)第12ステージ
ブール・ド・ペアージュ〜マンド 210.5km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第12ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.標高1000mクラスのカテゴリー山岳が連続して登場する第12ステージ。難易度は低いが、決して油断は出来ない。終盤には「ローラン・ジャラベール山」と呼ばれる2級山岳クロワ・ヌーヴ峠が待ち構えており、頂上通過後、短い平坦区間を経てマンド飛行場にゴールする。
このクロワ・ヌーヴ峠は登坂距離3km・平均勾配10.2%。大きなタイム差がつくような距離ではないが、急勾配の上りは確実に力無き選手を振るい落とす。急勾配の上りでパンチのあるアタックを成功させた選手がステージ優勝に輝くだろう。仮に集団スプリント勝負に持ち込まれたとしても、おそらくメンバーは多くて20名。暑さの厳しい地域だけに、急ブレーキがかかる選手が現れる可能性は充分にある。
7月17日(土)第13ステージ
ロデーズ〜ルヴェル 196km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第13ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.翌日から本格的なピレネー山岳ステージが始まるため、スプリンターたちは士気高くこの第13ステージに挑むだろう。このステージを逃すと、もう第18ステージまでチャンスは回ってこない。レース前半からコンスタントにカテゴリー山岳が5つ設定されているが、いずれも難易度は3級から4級。スプリンターにも問題の無いレベルだ。
しかし終盤の3級山岳サン・フェレオレが展開を分からないものにする。登坂距離1.9km・平均勾配6%のこの上りを越えるとゴールまで僅か7.5km。この上りでスプリンターチームの隙を突くアタックが掛かることは間違いない。上りで飛び出した選手の逃げきりか、それとも大集団でのスプリントか。総合狙いの選手は翌日からの山岳ステージを見据えて動かないだろう。
7月18日(日)第14ステージ
ルヴェル〜アクス・トロワ・ドメーヌ 184.5km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第14ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.ピレネー山脈がツールに初登場して100年目を迎える今年、レース主催者ASOはピレネーを最終決戦地に選んだ。山岳ステージの難易度を比較すると、アルプスとピレネーの重要性の違いは明らか。今年はピレネーでマイヨジョーヌ争いが決着すると言っても過言ではない。
ピレネー初日の第14ステージには早速超級山岳パイレール峠が登場。標高2001mのこの峠は登坂距離15.5km・平均勾配7.9%。ゴールの29km手前でこの難所を越え、そこから更に1級山岳アクス・トロワ・ドメーヌを駆け上がってゴール。登坂距離7.8km・平均勾配8.2%の上りは、ゴールが近づくにつれて勾配が増す。この今大会2回目の頂上ゴールで、いよいよマイヨジョーヌは本命選手の手に渡る。
7月19日(月)第15ステージ
パミエ〜バニエール・ド・ルション 187.5km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第15ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.ピレネー4連続ステージは超級山岳のオンパレード。超級山岳が設定されない日は無い。レース主催者ASOのピレネーへの情熱が感じられる。この第15ステージはピレネーシリーズの中では最も難易度が低いが、総合タイム差がつく可能性は充分にある。
終盤のバレ峠はツール史上2度目の登場。登坂距離19.3km・平均勾配6.1%の上りが厳しいのは誰の目にも明らかだ。しかしこの日注目したいのは上り区間ではなく下り区間。バレ峠の頂上通過後、選手たちは転げ落ちるようにバニエール・ド・ルションのゴール地点に駆け込む。テクニカルな下りで、世界屈指のダウンヒラーとして知られるサムエル・サンチェス(スペイン)らが飛び出す可能性も。下りでタイムを失う選手がいてもおかしくはない。
7月20日(火)第16ステージ
バニエール・ド・ルション〜ポー 199.5km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第16ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.ピレネー山脈を縫う199.5kmで行なわれる第16ステージには、1級山岳ペイルスルド峠、1級山岳アスパン峠、超級山岳トゥールマレー峠、超級山岳オービスク峠が登場。このピレネーを代表する4つの難関山岳を合計すると、獲得標高差は4200m以上。山岳の厳しさは今大会最高だろう。
最後の超級山岳オービスク峠は登坂距離が30km近い長い長い上り。しかし頂上がゴールから60km以上離れているため、決定的な勝負どころにはなりにくい。単独アタックを決めたとしてもゴールまで逃げ切るのは難しく、レース序盤に飛び出した数名の逃げグループか、上りで形成された少人数の集団による勝負に持ち込まれる可能性が高い。なお、トゥールマレー峠の先頭通過選手にはジャック・ゴデ賞が送られる。
7月21日(水)休息日 ポー
7月22日(木)第17ステージ
ポー〜トゥールマレー峠 174km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第17ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.マイヨジョーヌ争いはトゥールマレー峠でクライマックスを迎える。休息日を過ごしたポーの街をスタート後、選手たちはまず1級山岳マリーブランク峠と1級山岳スロール峠をクリア。休息日前の第16ステージで通過したトゥールマレー峠を反対側から駆け上がり、ピレネーの山岳シリーズは完結する。
登坂距離18.6km・平均勾配7.5%のトゥールマレーは今大会最後の頂上ゴール。しかもラスト数キロの勾配は10%近くまで跳ね上がる。総合上位のタイム差が開いている場合は、1つ手前のスロール峠で勝負が始まる可能性も。なお、今大会の最高地点であるこの峠を先頭で通過した選手、つまりこの日のステージ優勝者には「ツール・ド・フランスの父」と呼ばれるアンリ・デグランジュの記念賞が送られる。
7月23日(金)第18ステージ
サリー・ド・ベアム〜ボルドー 198km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第18ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.前日までのピレネー山岳ステージとは打って変わって、完全にフラットなコースで行なわれる第18ステージ。フランス西部の平野を駆け抜ける198kmのコースはオールフラットで、カテゴリー山岳は1つも設定されていない。
ゴール地点は世界的にワインの産地として知られるボルドーの街。山岳ステージをグルペットで乗り切ったスプリンターたちに、再びスポットライトが当てられる。この頃にはマイヨヴェール争いは佳境を迎えているはずだ。逆に前日まで激しい山岳バトルを繰り広げたオールラウンダーたちは、翌日の個人タイムトライアルに向けて平穏に集団内でレースをこなす。勝負の行方は、山岳で受けたダメージから如何に回復出来るかにかかっている。
7月24日(土)第19ステージ
ボルドー〜ポイヤック 52km 個人TT →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第19ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.今年のツールはタイムトライアルの比重が小さい。初日のプロローグを除くと、この第19ステージ個人タイムトライアルが今大会唯一の「時間との闘い」だ。山岳を生き残った選手たちは、前日のゴール地点ボルドーの街をスタートし、TTバイクを駆って52km離れた郊外のポイヤックを目指す。
ブドウ畑が広がるボルドー郊外はほぼ真っ平らで、コーナーは少なめ。各自の走力がそのままタイムに反映されるコースであり、総合順位変動の可能性大。山岳でリードを広げたクライマー系選手に対し、ウィギンズを始めとするTTスペシャリストらが攻勢を仕掛けてくるだろう。この日マイヨジョーヌを受け取った選手が実質的な総合優勝者だ。
7月25日(日)第20ステージ
ロンジュモー〜パリ・シャンゼリゼ通り 102.5km →コースマップ
ツール・ド・フランス2010第20ステージ・コースプロフィール image:A.S.O.ツール・ド・フランスの最終日は首都パリにゴールするのが習わしだ。コースの全長は今大会最短の102.5kmで、カテゴリー山岳は無し。前日の個人TTで総合優勝を決定づけた選手を中心に、3週間の闘いを終えんとする選手たちがパリに凱旋する。
最後は恒例のシャンゼリゼ周回コースが設定され、1周6.5kmのコースを8周。ほぼ平坦なコースレイアウトであり、よほどのトラブルが無い限り、総合成績が変動することはない。そしてほぼ確実に集団スプリントに持ち込まれる。このシャンゼリゼでの勝利は他のステージのそれとは格が違う。シャンゼリゼ大通りの先にある凱旋門に向かって、スプリンターたちが最後のバトルを繰り広げる。3週間の闘いを締めくくるのは、凱旋門をバックにした栄光のマイヨジョーヌ授賞式だ。
text:Kei Tsuji
image:A.S.O.
7月15日(木)第11ステージ
シストロン〜ブール・レ・ヴァロンス 184.5km →コースマップ
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山岳を乗り切ったスプリンターチームが、高速でメイン集団をリードしながらゴールに飛び込むだろう。もうスプリンターに多くのチャンスは残されていない。ゴール前の熾烈なポジション争いは見物だ。
7月16日(金)第12ステージ
ブール・ド・ペアージュ〜マンド 210.5km →コースマップ
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このクロワ・ヌーヴ峠は登坂距離3km・平均勾配10.2%。大きなタイム差がつくような距離ではないが、急勾配の上りは確実に力無き選手を振るい落とす。急勾配の上りでパンチのあるアタックを成功させた選手がステージ優勝に輝くだろう。仮に集団スプリント勝負に持ち込まれたとしても、おそらくメンバーは多くて20名。暑さの厳しい地域だけに、急ブレーキがかかる選手が現れる可能性は充分にある。
7月17日(土)第13ステージ
ロデーズ〜ルヴェル 196km →コースマップ
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しかし終盤の3級山岳サン・フェレオレが展開を分からないものにする。登坂距離1.9km・平均勾配6%のこの上りを越えるとゴールまで僅か7.5km。この上りでスプリンターチームの隙を突くアタックが掛かることは間違いない。上りで飛び出した選手の逃げきりか、それとも大集団でのスプリントか。総合狙いの選手は翌日からの山岳ステージを見据えて動かないだろう。
7月18日(日)第14ステージ
ルヴェル〜アクス・トロワ・ドメーヌ 184.5km →コースマップ
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ピレネー初日の第14ステージには早速超級山岳パイレール峠が登場。標高2001mのこの峠は登坂距離15.5km・平均勾配7.9%。ゴールの29km手前でこの難所を越え、そこから更に1級山岳アクス・トロワ・ドメーヌを駆け上がってゴール。登坂距離7.8km・平均勾配8.2%の上りは、ゴールが近づくにつれて勾配が増す。この今大会2回目の頂上ゴールで、いよいよマイヨジョーヌは本命選手の手に渡る。
7月19日(月)第15ステージ
パミエ〜バニエール・ド・ルション 187.5km →コースマップ
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終盤のバレ峠はツール史上2度目の登場。登坂距離19.3km・平均勾配6.1%の上りが厳しいのは誰の目にも明らかだ。しかしこの日注目したいのは上り区間ではなく下り区間。バレ峠の頂上通過後、選手たちは転げ落ちるようにバニエール・ド・ルションのゴール地点に駆け込む。テクニカルな下りで、世界屈指のダウンヒラーとして知られるサムエル・サンチェス(スペイン)らが飛び出す可能性も。下りでタイムを失う選手がいてもおかしくはない。
7月20日(火)第16ステージ
バニエール・ド・ルション〜ポー 199.5km →コースマップ
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最後の超級山岳オービスク峠は登坂距離が30km近い長い長い上り。しかし頂上がゴールから60km以上離れているため、決定的な勝負どころにはなりにくい。単独アタックを決めたとしてもゴールまで逃げ切るのは難しく、レース序盤に飛び出した数名の逃げグループか、上りで形成された少人数の集団による勝負に持ち込まれる可能性が高い。なお、トゥールマレー峠の先頭通過選手にはジャック・ゴデ賞が送られる。
7月21日(水)休息日 ポー
7月22日(木)第17ステージ
ポー〜トゥールマレー峠 174km →コースマップ
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7月23日(金)第18ステージ
サリー・ド・ベアム〜ボルドー 198km →コースマップ
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7月24日(土)第19ステージ
ボルドー〜ポイヤック 52km 個人TT →コースマップ
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ブドウ畑が広がるボルドー郊外はほぼ真っ平らで、コーナーは少なめ。各自の走力がそのままタイムに反映されるコースであり、総合順位変動の可能性大。山岳でリードを広げたクライマー系選手に対し、ウィギンズを始めとするTTスペシャリストらが攻勢を仕掛けてくるだろう。この日マイヨジョーヌを受け取った選手が実質的な総合優勝者だ。
7月25日(日)第20ステージ
ロンジュモー〜パリ・シャンゼリゼ通り 102.5km →コースマップ
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最後は恒例のシャンゼリゼ周回コースが設定され、1周6.5kmのコースを8周。ほぼ平坦なコースレイアウトであり、よほどのトラブルが無い限り、総合成績が変動することはない。そしてほぼ確実に集団スプリントに持ち込まれる。このシャンゼリゼでの勝利は他のステージのそれとは格が違う。シャンゼリゼ大通りの先にある凱旋門に向かって、スプリンターたちが最後のバトルを繰り広げる。3週間の闘いを締めくくるのは、凱旋門をバックにした栄光のマイヨジョーヌ授賞式だ。
text:Kei Tsuji
image:A.S.O.
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