2021/11/15(月) - 09:45
チェコ、ターボルを舞台にしたUCIワールドカップ第6戦で、絶好調ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が約5年ぶりのW杯勝利。女子レースでは若手の攻撃を封じ込めたルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が勝利した。
女子エリート:バニーホップのピーテルスvsパワーのブラント
野辺山シクロクロスDay2と同じ11月14日(日)に開催されたUCIシクロクロスワールドカップ第6戦の舞台は、チェコ南部のボヘミア州に属する街ターボル。過去に世界選手権を招聘し、ワールドカップコースとしても馴染み深い会場に、男女のトップアスリートが顔を揃えた。
小刻みなアップダウンがあるものの、コースの大半はライダーのスピードが問われる道幅の広い平坦な芝生。決まり手に欠くレイアウト、かつドライコンディションとなったことで、男女レースそれぞれで終盤戦まで独走が決まらないロードレースのような駆け引きが展開されることとなった。
50分間、全6周回で争われた女子エリートレースは、後半まで現在女子シクロクロス界を席巻する複数名のオランダ勢とカータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)が先頭グループを形成。その中で、U23のランキングリーダーであるパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス)がただ一人2連シケインをバニーホップでクリアし、有利な展開を作り出すこととなる。
ピーテルスは登りストレートの途中に設置された(=バニーホップで飛べれば有利)ターボル名物のシケインを飛ぶたびにリードを稼ぎ、4周目にはそれをきっかけに抜け出すことに成功。ヴァスやデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が後続グループを引っ張りほぼ1周を掛けて追いついたものの、5周目のシケインでもピーテルスは抜け出しを図った。
このアタックは封じ込められ、すると後半まで息を潜めていた世界チャンピオンのルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が最終周回突入と同時に加速し、先頭に出てシケインをクリア。ここまでシケインを武器にしてきたピーテルスもブラントのアタックで脚を削られ、スピードを維持したまま飛び切ることができず失速。鬼の形相で踏み込みブラントが、最後まで僅かなリードを維持してフィニッシュラインに飛び込んだ。
「最終周回に仕掛ける必要があったけれど、成功するかどうか分からなかった。高速レースだからリードを維持するのは難しかった」と話す世界チャンピオン。レースを作ったピーテルスが3秒遅れの2位となり「最後のシケインでルシンダから離れてしまい二度と追いつけなかったけれど嬉しい2位」と笑顔を見せる。元ヨーロッパチャンピオンのアンマリー・ワースト(オランダ、777)が3位表彰台を掴んでいる。
絶好調ファンデルハールが約5年ぶりのワールドカップ勝利
エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)のホールショットで動き出した男子エリートレースも、序盤戦は女子同様に大集団が一列棒状で駆け抜ける展開に。各チームが複数人を先頭グループに送り込む中、2周目に入るとヨーロッパチャンピオンに輝いたばかりのラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が主導権を握った。
後ろを振り返ることなく踏み続けるファンデルハールの後方では一人、また一人と選手が千切れていく。「試走で何度もバニーホップの練習をしたけれど、完璧ではなかったので本番では使わなかった。苦しい展開になると思った」と振り返るファンデルハールはランニングでシケインを越えたものの、そのディスアドバンテージを補って余りある脚力で他選手にプレッシャーを掛けていった。
全8周回中の4周回を消化したタイミングで先頭グループは5名まで絞られたものの、ファンデルハールが一度ペースを緩めたことで後続勢が合流。続く6周目にはイゼルビットがアタックしたが、やはりファンデルハールがその背中を逃さず、少々時間を置いて加速する。「僕自身息が上がっていたけれど、イゼルビットにアタックされてもまだ余裕を感じていた。勝つチャンスがあると思った」と言うヨーロッパチャンピオンは、ファステストラップを叩き出しながらアタックを継続。最終周回に入ってイゼルビットが辛くも合流したものの、さらなるカウンターアタックを防ぐことはできなかった。
シケイン越えでリードを削り取られるものの、パワーでイゼルビットを封じ込めたファンデルハールが独走でフィニッシュラインへ。 2017年1月以来、5年近い空白期間を置いてファンデルハールがワールドカップで勝利した。
フィニッシュ後のインタビューで「ただただ幸せだ。(3日前のスーパープレスティージュ第3戦の)ニールで上手く走れていたので、自信を持ってこのターボルに臨んだんだ」と振り返ったファンデルハール。絶好調の理由を聞く問いに対して「分からないけれど、素晴らしい人生を送れているから」と笑顔で答えている。
「今日は2位が精一杯だった。ラースが飛ばしていたし、最終周回はコース上に石が露出していたので気を遣った」と振り返るイゼルビットが2位に入り、パンクからの追走を強いられたクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)が3位に滑り込んでいる。
女子エリート:バニーホップのピーテルスvsパワーのブラント
野辺山シクロクロスDay2と同じ11月14日(日)に開催されたUCIシクロクロスワールドカップ第6戦の舞台は、チェコ南部のボヘミア州に属する街ターボル。過去に世界選手権を招聘し、ワールドカップコースとしても馴染み深い会場に、男女のトップアスリートが顔を揃えた。
小刻みなアップダウンがあるものの、コースの大半はライダーのスピードが問われる道幅の広い平坦な芝生。決まり手に欠くレイアウト、かつドライコンディションとなったことで、男女レースそれぞれで終盤戦まで独走が決まらないロードレースのような駆け引きが展開されることとなった。
50分間、全6周回で争われた女子エリートレースは、後半まで現在女子シクロクロス界を席巻する複数名のオランダ勢とカータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)が先頭グループを形成。その中で、U23のランキングリーダーであるパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス)がただ一人2連シケインをバニーホップでクリアし、有利な展開を作り出すこととなる。
ピーテルスは登りストレートの途中に設置された(=バニーホップで飛べれば有利)ターボル名物のシケインを飛ぶたびにリードを稼ぎ、4周目にはそれをきっかけに抜け出すことに成功。ヴァスやデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が後続グループを引っ張りほぼ1周を掛けて追いついたものの、5周目のシケインでもピーテルスは抜け出しを図った。
このアタックは封じ込められ、すると後半まで息を潜めていた世界チャンピオンのルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が最終周回突入と同時に加速し、先頭に出てシケインをクリア。ここまでシケインを武器にしてきたピーテルスもブラントのアタックで脚を削られ、スピードを維持したまま飛び切ることができず失速。鬼の形相で踏み込みブラントが、最後まで僅かなリードを維持してフィニッシュラインに飛び込んだ。
「最終周回に仕掛ける必要があったけれど、成功するかどうか分からなかった。高速レースだからリードを維持するのは難しかった」と話す世界チャンピオン。レースを作ったピーテルスが3秒遅れの2位となり「最後のシケインでルシンダから離れてしまい二度と追いつけなかったけれど嬉しい2位」と笑顔を見せる。元ヨーロッパチャンピオンのアンマリー・ワースト(オランダ、777)が3位表彰台を掴んでいる。
絶好調ファンデルハールが約5年ぶりのワールドカップ勝利
エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)のホールショットで動き出した男子エリートレースも、序盤戦は女子同様に大集団が一列棒状で駆け抜ける展開に。各チームが複数人を先頭グループに送り込む中、2周目に入るとヨーロッパチャンピオンに輝いたばかりのラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が主導権を握った。
後ろを振り返ることなく踏み続けるファンデルハールの後方では一人、また一人と選手が千切れていく。「試走で何度もバニーホップの練習をしたけれど、完璧ではなかったので本番では使わなかった。苦しい展開になると思った」と振り返るファンデルハールはランニングでシケインを越えたものの、そのディスアドバンテージを補って余りある脚力で他選手にプレッシャーを掛けていった。
全8周回中の4周回を消化したタイミングで先頭グループは5名まで絞られたものの、ファンデルハールが一度ペースを緩めたことで後続勢が合流。続く6周目にはイゼルビットがアタックしたが、やはりファンデルハールがその背中を逃さず、少々時間を置いて加速する。「僕自身息が上がっていたけれど、イゼルビットにアタックされてもまだ余裕を感じていた。勝つチャンスがあると思った」と言うヨーロッパチャンピオンは、ファステストラップを叩き出しながらアタックを継続。最終周回に入ってイゼルビットが辛くも合流したものの、さらなるカウンターアタックを防ぐことはできなかった。
シケイン越えでリードを削り取られるものの、パワーでイゼルビットを封じ込めたファンデルハールが独走でフィニッシュラインへ。 2017年1月以来、5年近い空白期間を置いてファンデルハールがワールドカップで勝利した。
フィニッシュ後のインタビューで「ただただ幸せだ。(3日前のスーパープレスティージュ第3戦の)ニールで上手く走れていたので、自信を持ってこのターボルに臨んだんだ」と振り返ったファンデルハール。絶好調の理由を聞く問いに対して「分からないけれど、素晴らしい人生を送れているから」と笑顔で答えている。
「今日は2位が精一杯だった。ラースが飛ばしていたし、最終周回はコース上に石が露出していたので気を遣った」と振り返るイゼルビットが2位に入り、パンクからの追走を強いられたクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)が3位に滑り込んでいる。
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第6戦 女子エリート結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 52:00 |
2位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) | +0:03 |
3位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | |
4位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス) | +0:04 |
5位 | デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:09 |
6位 | カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス) | +0:14 |
7位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:25 |
8位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:52 |
9位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) | +1:10 |
10位 | マーガリー・ロシェット(カナダ) | +1:16 |
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第6戦 男子エリート結果
1位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 1:02:27 |
2位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:11 |
3位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム) | +0:15 |
4位 | トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:29 |
5位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:41 |
6位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:02 |
7位 | コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンス・サーカスCXチーム) | +1:05 |
8位 | ヴィンセント・バエスタンス(ベルギー、CXチームデスハフト・グループヘンス・マースコンテナーズ) | |
9位 | ジョエーレ・ベルトリーニ(イタリア、セッレイタリア・グエルチョッティ) | +1:28 |
10位 | ヤコブ・ドリゴーニ(イタリア、セッレイタリア・グエルチョッティ) | +1:33 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp
シマノ(SHIMANO) FC-R8000 46X36T 165mm 11S IFCR8000AX66
シマノ(SHIMANO)