2021/10/14(木) - 19:07
1月の世界選手権開催地となるアーカンソー州ファイエットビルで、UCIシクロクロスワールドカップ第2戦が開催。大雨の女子レースではルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が勝利し、泥の男子レースでクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)が自身初のワールドカップ勝利を挙げている。
女子エリート:フォスを退け世界王者ブラントが今季2勝目
先頭グループを組むルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)とマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
シーズンイン直後からUCIシクロクロスワールドカップはフルスロットルでスケジュールを進めている。ウィスコンシン州ウォータールーでの第1戦から僅か3日後、舞台は南に800km以上離れたアーカンソー州へ。1月末の世界選手権開催地ともなるファイエットビルでのワールドカップ第2戦に世界屈指のトップレーサーが再集結した。
センテニアル・パーク内を駆け巡る初登場のコースは大きなアップダウンが特徴で、ドライならハイスピード、ウェットならプラステクニカルという前評判。期せずして前日試走日はドライ、女子エリートレースが始まる前に大雨となったことで、周回毎に泥成分が高まる難しいコンディションでレースが行われた。
デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は2位 photo:CorVos
女子エリートレースはMTBオリンピック金メダリストのヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシング)が抜群のダッシュを決め、その後第1戦を制したマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とカータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)がリードする形に。女子エリートとU23のワールドカップランキングリーダージャージを着る2名は2周目に入って少しペースを落とし、第2グループが合流。世界王者ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)などを含む大きな先頭グループが生まれた。
刻々と泥レースへと変貌する中、まず動いたのはアルカンシエルを着るブラントだった。持ち前のパワーでペースアップを図るとフォローできたのはフォスただ一人。第1戦でも鍔迫り合いを繰り広げた新旧世界チャンピオンがレースを掌握する。全6周回目の3周目にはブラントの落車をきっかけにフォスがペースアップして独走体制に持ち込んだものの、「自分の走りを心掛けた」と言うブラントは長い追走ののちに再合流を果たした。
ワールドカップ第2戦を制したルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第2戦 女子エリート表彰台 photo:CorVos
異なる走りのスタイルを持つ2人は3番手デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)に14秒リードで最終周回に入ったものの、序盤の林間セクションでフォスが落車してしまう。大きなビハインドを背負ったフォスは必死に追走したものの、「完全にリズムを失ってしまった」と失速。最後までハイペースを貫いたブラントが、第1戦の借りを返す形で勝利した。
「どうやって彼女(フォス)を振り落とせば良いのか分からなかったけれど、突然彼女がスリップダウンして私はレースを続行。今の所2レースで2位と1位。今のところとても良いワールドカップシーズンを過ごせている」と振り返るブラントは、フォスがこの日4位まで落としたことでランキングリーダーにも躍進。今週末の第3戦ではアルカンシエルからリーダージャージに着替えて走ることとなった。
男子エリート:好調ヘルマンスがワールドカップ初勝利
泥の男子エリートレースがスタート。ダーン・ソエテ(ベルギー、CXチームデスハフト・グループヘンス・マースコンテナーズ)のダッシュを決めた photo:CorVos
ほぼ一面の泥コンディションで開催された男子レースはダーン・ソエテ(ベルギー、CXチームデスハフト・グループヘンス・マースコンテナーズ)のダッシュで幕開け、1周目中盤以降ワールドカップサーキットを席巻するトップ選手たちが先頭を支配する形に。
泥レースで強いトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)のペースアップには好調クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)が反応し、3日前に勝利したエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)はチームメイトのマイケル・ファントーレンハウトと共に合流。ベルギー勢4名による先頭グループが3周目(全7周回)に入ると、時間を置かずヘルマンスが攻撃を加えた。
安定した走りで独走態勢を築くクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム) photo:CorVos
トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)とマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は終盤に単独2位に photo:CorVos
「誰も主導権を握りたがらなかったので自分が仕掛けた」と振り返るヘルマンスはすぐさま独走体制を築き、パワフルなペダリングと安定したコーナリングでリードを蓄積。置き去りにされた2位グループは互いの勝負に集中したため、相対的なペースを落としてしまった。
危なげない走りを維持したヘルマンスは、最終的に40秒近いリードを維持してフィニッシュへ。今年アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオの一員として自信初のフルロードシーズンを走り、アルデンヌクラシック3連戦やジロ・デ・イタリア(ステージ最高成績5位)への初出場を経たヘルマンスが、初のUCIシクロクロスワールドカップ優勝を叶えた。
自身初のワールドカップ勝利を射止めたクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム) photo:CorVos
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第2戦 男子エリート表彰台 photo:CorVos
3日前の第1戦でも好調ぶりを見せながら、メカトラブルで後退したヘルマンスが最良の形でリベンジ達成。「数日間気分が良くなかったけれど今朝ローラーに乗った時点で上向きになっていたんだ。初めてのワールドカップ優勝だからとにかく嬉しいよ。ここに向けたピーキングが上手くいった。次の第3戦も自分向きのコースだから楽しみにしているけれど、まずはこの勝利を楽しみたいと思う」と話している。
「最後は脚が売り切れてしまった」と言うアールツはイゼルビットとファントーレンハウトから遅れ、表彰台を逃す4位。登坂区間で抜け出したイゼルビットは2位、ファントーレンハウトが3位に。全米チャンピオンのゲイジ・ヘクトは欧州勢に食い込む8位でフィニッシュし、19歳の注目株エミエル・フェルストリンゲ(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)は並み居るエリート選手を従え10位に入り、才能の片鱗を示している。
女子エリート:フォスを退け世界王者ブラントが今季2勝目
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シーズンイン直後からUCIシクロクロスワールドカップはフルスロットルでスケジュールを進めている。ウィスコンシン州ウォータールーでの第1戦から僅か3日後、舞台は南に800km以上離れたアーカンソー州へ。1月末の世界選手権開催地ともなるファイエットビルでのワールドカップ第2戦に世界屈指のトップレーサーが再集結した。
センテニアル・パーク内を駆け巡る初登場のコースは大きなアップダウンが特徴で、ドライならハイスピード、ウェットならプラステクニカルという前評判。期せずして前日試走日はドライ、女子エリートレースが始まる前に大雨となったことで、周回毎に泥成分が高まる難しいコンディションでレースが行われた。
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女子エリートレースはMTBオリンピック金メダリストのヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシング)が抜群のダッシュを決め、その後第1戦を制したマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とカータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)がリードする形に。女子エリートとU23のワールドカップランキングリーダージャージを着る2名は2周目に入って少しペースを落とし、第2グループが合流。世界王者ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)などを含む大きな先頭グループが生まれた。
刻々と泥レースへと変貌する中、まず動いたのはアルカンシエルを着るブラントだった。持ち前のパワーでペースアップを図るとフォローできたのはフォスただ一人。第1戦でも鍔迫り合いを繰り広げた新旧世界チャンピオンがレースを掌握する。全6周回目の3周目にはブラントの落車をきっかけにフォスがペースアップして独走体制に持ち込んだものの、「自分の走りを心掛けた」と言うブラントは長い追走ののちに再合流を果たした。
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異なる走りのスタイルを持つ2人は3番手デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)に14秒リードで最終周回に入ったものの、序盤の林間セクションでフォスが落車してしまう。大きなビハインドを背負ったフォスは必死に追走したものの、「完全にリズムを失ってしまった」と失速。最後までハイペースを貫いたブラントが、第1戦の借りを返す形で勝利した。
「どうやって彼女(フォス)を振り落とせば良いのか分からなかったけれど、突然彼女がスリップダウンして私はレースを続行。今の所2レースで2位と1位。今のところとても良いワールドカップシーズンを過ごせている」と振り返るブラントは、フォスがこの日4位まで落としたことでランキングリーダーにも躍進。今週末の第3戦ではアルカンシエルからリーダージャージに着替えて走ることとなった。
男子エリート:好調ヘルマンスがワールドカップ初勝利
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ほぼ一面の泥コンディションで開催された男子レースはダーン・ソエテ(ベルギー、CXチームデスハフト・グループヘンス・マースコンテナーズ)のダッシュで幕開け、1周目中盤以降ワールドカップサーキットを席巻するトップ選手たちが先頭を支配する形に。
泥レースで強いトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)のペースアップには好調クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)が反応し、3日前に勝利したエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)はチームメイトのマイケル・ファントーレンハウトと共に合流。ベルギー勢4名による先頭グループが3周目(全7周回)に入ると、時間を置かずヘルマンスが攻撃を加えた。
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危なげない走りを維持したヘルマンスは、最終的に40秒近いリードを維持してフィニッシュへ。今年アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオの一員として自信初のフルロードシーズンを走り、アルデンヌクラシック3連戦やジロ・デ・イタリア(ステージ最高成績5位)への初出場を経たヘルマンスが、初のUCIシクロクロスワールドカップ優勝を叶えた。
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3日前の第1戦でも好調ぶりを見せながら、メカトラブルで後退したヘルマンスが最良の形でリベンジ達成。「数日間気分が良くなかったけれど今朝ローラーに乗った時点で上向きになっていたんだ。初めてのワールドカップ優勝だからとにかく嬉しいよ。ここに向けたピーキングが上手くいった。次の第3戦も自分向きのコースだから楽しみにしているけれど、まずはこの勝利を楽しみたいと思う」と話している。
「最後は脚が売り切れてしまった」と言うアールツはイゼルビットとファントーレンハウトから遅れ、表彰台を逃す4位。登坂区間で抜け出したイゼルビットは2位、ファントーレンハウトが3位に。全米チャンピオンのゲイジ・ヘクトは欧州勢に食い込む8位でフィニッシュし、19歳の注目株エミエル・フェルストリンゲ(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム)は並み居るエリート選手を従え10位に入り、才能の片鱗を示している。
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第2戦 男子エリート結果
1位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム) | 54:55 |
2位 | エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 0:37 |
3位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 0:49 |
4位 | トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 1:21 |
5位 | ピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 1:33 |
6位 | イェンス・アダムス(ベルギー、ホルベークホーフ) | 1:40 |
7位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 1:44 |
8位 | ゲイジ・ヘクト(アメリカ) | |
9位 | トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 1:54 |
10位 | エミエル・フェルストリンゲ(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム) | 2:01 |
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第2戦 女子エリート結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 51:46 |
2位 | デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 0:09 |
3位 | クララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール/シクロクロスワールド) | 0:16 |
4位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:26 |
5位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 0:28 |
6位 | カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス) | 0:29 |
7位 | マーガリー・ロシェット(カナダ) | 0:49 |
8位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | 1:22 |
9位 | ヤラ・カステリン(オランダ、IKOクレラン) | 1:35 |
10位 | カテリーナ・ナッシュ(チェコ) | 1:46 |
text:So Isobe
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