2021/07/18(日) - 01:38
30.8kmの平坦コースで行われたツール・ド・フランス第20ステージ個人タイムトライアルでワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)がステージ2勝目。ステージ3位に入った総合2位ヴィンゲゴーが25秒挽回したものの、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が2年連続総合優勝を実質的に決めた。
7月17日(土)第20ステージ
リブルヌ〜サン=テミリオン
距離:30.8km(個人TT)
獲得標高差:250m
天候:晴れ
気温:29度
第108回ツールのマイヨジョーヌの持ち主を決める30.8kmの「時間との戦い」がボルドーワインの産地を舞台に繰り広げられた。前日のフィニッシュ地点リブルヌに置かれたスタート台から、TTバイクに乗った選手たちが大きな起伏のない平野に向かってスタート。全体的にコーナーが散りばめられているものの、ひたすら高強度で踏み続ける直線区間も長い。熱心なワイン好きでなくても聞いたことがあるようなシャトーやモンターニュを巡り、最後はサン=テミリオンに向かって緩斜面を駆け上がってフィニッシュを迎える。
ファンアールトがアスグリーンとキュングを下す
序盤スタートのシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)が1時間強にわたってホットシートに座り続けたものの、ちょうど中盤スタートのカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が暫定トップに。ヨーロッパチャンピオンジャージを着るシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)は前半からトップタイムを連発したものの、向かい風吹く終盤に失速してアスグリーンに6秒届かなかった。
とにかく赤白デザインの国旗(スイスとデンマーク)が上位に並ぶ個人タイムトライアル。ここに割って入ったのがワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)だった。ファンアールトは第1計測(7.6km地点)でキュングのタイムを2.5秒更新すると、第2計測(20.1km地点)でそのリードを24.7秒に。最後までペースを落とすどころか終盤にかけてむしろペースアップしたファンアールトが、アスグリーンの暫定トップタイムを21.2秒更新した。
「ツールの個人TTで優勝することはキャリアにおける大きな目標の一つだった。ここ数日間は今日のために集中していた」と、30.8kmコースを平均スピード51.5km/hで駆け抜け、ステージ優勝を飾ったファンアールトは語る。これが自身通算ステージ5勝目で、今大会は超級山岳モンヴァントゥーを越えた第11ステージに続く勝利。集団スプリントでも山岳ステージでも、そして個人タイムトライアルで優勝を狙うことのできるオールラウンドぶりを見せつけた。
「パンチ力が必要だった第5ステージよりも高速で、体重のある自分向きのコースだった。総合上位の選手たちの中間計測タイムを見てようやくリラックスすることができた。チームにとって苦しいツールだったけど、ステージ3勝とヨナス(ヴィンゲゴー)の総合2位を果たしたチームを誇りに思う」。ファンアールトはツール閉幕後すぐに日本に移動。7月24日の東京五輪ロードレースと7月28日の個人タイムトライアルへの出場を予定している。
ヴィンゲゴーが好走するも、ポガチャルの優位は揺るがず
1年前の第20ステージ個人タイムトライアルで他を圧倒してステージ優勝し、逆転総合優勝を果たしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は比較的スローな出だし。一方で、総合2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が序盤からかっ飛ばした。
第1計測(7.6km地点)でポガチャルに5秒差をつけて全体の3位のタイムで駆け抜けたヴィンゲゴーは、第2計測(20.1km地点)でその差を17秒にまで拡大する(全体の2位)。フィニッシュまで全開で追い込んだヴィンゲゴーはチームメイトのファンアールトから32秒遅れのステージ3位に滑り込んだ。
「暑くて苦しんだけど、走りを楽しむことができたし、全力を出し尽くした」と語る最終走者ポガチャルはヴィンゲゴーにタイム差を挽回されながらも、大きなミスを犯すことなく、ステージ8位のタイムでガッツポーズとともにフィニッシュ。総合2位ヴィンゲゴーと5分20秒差、総合3位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)と7分03秒差でパリに向かうことになった。この日の走りを受けて、最終的な総合トップ10の順位は変わっていない。
ツール初出場の24歳ヴィンゲゴーとの戦いを制し、大会2連覇を実質的に決めた22歳ポガチャルは「昨年と今年の勝利は違う。今年は早い段階でマイヨジョーヌを獲得したので、しっかりと気持ちの準備ができていた。今日も素晴らしいパフォーマンスだったと思う。今はただこの瞬間を喜びたい」とコメント。2年連続で3賞ジャージを獲得した(獲得することになる)ポガチャルはマイヨジョーヌを着て翌日のパリステージを走る。
7月17日(土)第20ステージ
リブルヌ〜サン=テミリオン
距離:30.8km(個人TT)
獲得標高差:250m
天候:晴れ
気温:29度
第108回ツールのマイヨジョーヌの持ち主を決める30.8kmの「時間との戦い」がボルドーワインの産地を舞台に繰り広げられた。前日のフィニッシュ地点リブルヌに置かれたスタート台から、TTバイクに乗った選手たちが大きな起伏のない平野に向かってスタート。全体的にコーナーが散りばめられているものの、ひたすら高強度で踏み続ける直線区間も長い。熱心なワイン好きでなくても聞いたことがあるようなシャトーやモンターニュを巡り、最後はサン=テミリオンに向かって緩斜面を駆け上がってフィニッシュを迎える。
ファンアールトがアスグリーンとキュングを下す
序盤スタートのシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)が1時間強にわたってホットシートに座り続けたものの、ちょうど中盤スタートのカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が暫定トップに。ヨーロッパチャンピオンジャージを着るシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)は前半からトップタイムを連発したものの、向かい風吹く終盤に失速してアスグリーンに6秒届かなかった。
とにかく赤白デザインの国旗(スイスとデンマーク)が上位に並ぶ個人タイムトライアル。ここに割って入ったのがワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)だった。ファンアールトは第1計測(7.6km地点)でキュングのタイムを2.5秒更新すると、第2計測(20.1km地点)でそのリードを24.7秒に。最後までペースを落とすどころか終盤にかけてむしろペースアップしたファンアールトが、アスグリーンの暫定トップタイムを21.2秒更新した。
「ツールの個人TTで優勝することはキャリアにおける大きな目標の一つだった。ここ数日間は今日のために集中していた」と、30.8kmコースを平均スピード51.5km/hで駆け抜け、ステージ優勝を飾ったファンアールトは語る。これが自身通算ステージ5勝目で、今大会は超級山岳モンヴァントゥーを越えた第11ステージに続く勝利。集団スプリントでも山岳ステージでも、そして個人タイムトライアルで優勝を狙うことのできるオールラウンドぶりを見せつけた。
「パンチ力が必要だった第5ステージよりも高速で、体重のある自分向きのコースだった。総合上位の選手たちの中間計測タイムを見てようやくリラックスすることができた。チームにとって苦しいツールだったけど、ステージ3勝とヨナス(ヴィンゲゴー)の総合2位を果たしたチームを誇りに思う」。ファンアールトはツール閉幕後すぐに日本に移動。7月24日の東京五輪ロードレースと7月28日の個人タイムトライアルへの出場を予定している。
ヴィンゲゴーが好走するも、ポガチャルの優位は揺るがず
1年前の第20ステージ個人タイムトライアルで他を圧倒してステージ優勝し、逆転総合優勝を果たしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は比較的スローな出だし。一方で、総合2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が序盤からかっ飛ばした。
第1計測(7.6km地点)でポガチャルに5秒差をつけて全体の3位のタイムで駆け抜けたヴィンゲゴーは、第2計測(20.1km地点)でその差を17秒にまで拡大する(全体の2位)。フィニッシュまで全開で追い込んだヴィンゲゴーはチームメイトのファンアールトから32秒遅れのステージ3位に滑り込んだ。
「暑くて苦しんだけど、走りを楽しむことができたし、全力を出し尽くした」と語る最終走者ポガチャルはヴィンゲゴーにタイム差を挽回されながらも、大きなミスを犯すことなく、ステージ8位のタイムでガッツポーズとともにフィニッシュ。総合2位ヴィンゲゴーと5分20秒差、総合3位リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)と7分03秒差でパリに向かうことになった。この日の走りを受けて、最終的な総合トップ10の順位は変わっていない。
ツール初出場の24歳ヴィンゲゴーとの戦いを制し、大会2連覇を実質的に決めた22歳ポガチャルは「昨年と今年の勝利は違う。今年は早い段階でマイヨジョーヌを獲得したので、しっかりと気持ちの準備ができていた。今日も素晴らしいパフォーマンスだったと思う。今はただこの瞬間を喜びたい」とコメント。2年連続で3賞ジャージを獲得した(獲得することになる)ポガチャルはマイヨジョーヌを着て翌日のパリステージを走る。
ツール・ド・フランス2021第20ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:35:53 |
2位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:21 |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:32 |
4位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | 0:00:38 |
5位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:00:44 |
6位 | マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:49 |
7位 | ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) | 0:00:52 |
8位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:57 |
9位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:01:00 |
10位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | 0:01:21 |
16位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:01:58 |
23位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:02:09 |
26位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:20 |
27位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:02:29 |
31位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 0:02:41 |
40位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:03:06 |
42位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:03:13 |
53位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:03:44 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 80:16:59 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:05:20 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:07:03 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 0:10:02 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:10:13 |
6位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:11:43 |
7位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:12:23 |
8位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:15:33 |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:16:04 |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:18:34 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 304pts |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | 269pts |
3位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 216pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 107pts |
2位 | ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) | 88pts |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 82pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 80:16:59 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:05:20 |
3位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:21:21 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 241:17:56 |
2位 | EFエデュケーション・NIPPO | 0:19:12 |
3位 | ユンボ・ヴィスマ | 1:11:35 |
text:Kei Tsuji in Libourne, France
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