2021/05/17(月) - 12:26
MTBワールドカップ第2戦でトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が圧勝。自身最後のワールドカップに挑んだ山本幸平(日本ナショナルチーム)は102位となり、「何も悔いはなく、清々しい気分」と振り返っている。
アルプシュタットで行われた開幕戦から1週間。MTBレース最高峰の舞台であるUCIワールドカップはチェコ、ノヴェー・ムニェストに舞台を移して第2戦の開催を見た。男女トップ選手勢揃いのスタートリストの中にはドリームシーカーMTBレーシングチームの山本幸平(エリート)、北林力・北林仁(U23)が日本ナショナルチームとして参戦。東京五輪での現役引退を表明している山本にとって最後のワールドカップ参戦となった。
トップ選手揃い踏みの男子エリートレースで好スタートを決めたのは、開幕戦を7位、金曜日のXCC(ショートトラック)で勝利したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)と、2列目スタートから一気に躍り出た現ヨーロッパチャンピオンのニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)だった。
この二人には好調マティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム)とトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が合流し、第1戦勝者ヴィクトール・コレツキー(フランス、KMCオルベア)やヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル、キャノンデールファクトリーレーシング)がその後ろ。山本は混戦の90番手前後からポジションアップを目指した。
強者揃いの先頭グループからはやがてファンデルプールとピドコックが抜け出し、並み居るベテラン勢との距離を徐々に開いていく。地元の期待を一身に背負うオンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング)が4番手につけた一方、「僕の日ではなく、コンディションも自分向きではなかった」と語るシューターは徐々に後退。8度世界王者に輝いたベテランはこの日7位でレースを終えることとなる。
淡々とハイペースを刻む先頭グループに変化が起きたのは3周目の登り区間だった。木の根が張り出した登りで一気にピドコックが踏み込むとファンデルプールが脱落。黒塗りのフルサスペンションバイクに乗る現U23世界チャンピオン&現E-MTB世界チャンピオンが一気に20〜30秒リードを稼ぎ出した。
こうしてピドコックが独走態勢に持ち込み、その後方では追いついてきたフルッキガーとファンデルプールが2番手争い。互いにアタックを繰り出す二人を尻目に、パワフルな登坂力で全6周(+スタートラップ)のうち3周回でファステストラップを叩き出したピドコックが独走のままフィニッシュラインに辿り着き、ワールドカップ参戦2戦目にして優勝をさらった。
「正直、MTBで走るために生まれてきたような気がする。馬鹿げているように聞こえるけれど、MTBは小さい頃から親しみ、最も楽しみを見出してきたものなんだ」と、言葉を選びながら優勝インタビューに答えたピドコック。イギリス人選手によるW杯優勝は1994年以来27年ぶりの快挙であり、この後予定している東京五輪へ大きな弾みを付けている。「確かに素晴らしいコンディションにあって、これから五輪を目指して少し休養に入る。僕がMTBでどれだけやれるか披露できたと思う」と加えた。
またこの日、2003年からシングルリザルト入りという目標に挑み続けてきた山本はマイナス2ラップの102位でフィニッシュ。「何も悔いはなく、清々しい気分です。自分の夢は叶いませんでしたが、夢に向けて本気でいけたし、この思いをぶつけることでたくさんの道を切り開いてきました。ここまで素晴らしい人生になったと思います」と、動画インタビューにて振り返っている。今後は北林兄弟とともに帰国し、集大成として捉える東京五輪に向けて調整に入る予定だ。
女子エリート:ロアナ・ルコントが圧倒的な力でW杯2連勝
女子エリートレースでスタートダッシュを決め、ライバル全員を置き去りにしたのは第1戦勝者のロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス)だった。「先週優勝したけれど、今日の目標は表彰台に乗ることだった」と振り返るルコントだが、軽やかな登りを武器にファステストラップを叩き出してライバルの追随を許さない。そのリードは3周目時点で1分を超えることとなる。
世界選手権3位銅メダルのレベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカーXソース)と金曜日のショートトラック勝者ハイリー・バッテン(アメリカ、トリニティレーシング)が2位争いを繰り広げ、世界チャンピオンのポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、アブソリュートアブサロン)はその後ろ。序盤ルコントに食い下がったケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシング)はブレーキレバー破損によって後退を強いられた。
ハイペースを貫き通したルコントは、スタートから誰にも先頭を譲ることなく圧勝。次のエリートアルカンシエル候補筆頭と称される21歳が再び世界最高峰の舞台で勝利をあげている。
また、ウェットコンディションの土曜日に開催された男子U23レースで、北林力(日本ナショナルチーム)は25番手付近というポジションで走り始めたものの他選手との落車で後退。最終的に111位となったU23全日本チャンピオンは「気持ちを折ってしまった自分に腹が立ちます。U23でのチャンスは残り少ないのでしっかり結果を残すための努力と集中と環境を作ればいけるはず」と振り返っている。欧州レース2戦目の弟、北林仁(日本ナショナルチーム)は123位でレースを終えた。
アルプシュタットで行われた開幕戦から1週間。MTBレース最高峰の舞台であるUCIワールドカップはチェコ、ノヴェー・ムニェストに舞台を移して第2戦の開催を見た。男女トップ選手勢揃いのスタートリストの中にはドリームシーカーMTBレーシングチームの山本幸平(エリート)、北林力・北林仁(U23)が日本ナショナルチームとして参戦。東京五輪での現役引退を表明している山本にとって最後のワールドカップ参戦となった。
トップ選手揃い踏みの男子エリートレースで好スタートを決めたのは、開幕戦を7位、金曜日のXCC(ショートトラック)で勝利したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)と、2列目スタートから一気に躍り出た現ヨーロッパチャンピオンのニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)だった。
この二人には好調マティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム)とトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が合流し、第1戦勝者ヴィクトール・コレツキー(フランス、KMCオルベア)やヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル、キャノンデールファクトリーレーシング)がその後ろ。山本は混戦の90番手前後からポジションアップを目指した。
強者揃いの先頭グループからはやがてファンデルプールとピドコックが抜け出し、並み居るベテラン勢との距離を徐々に開いていく。地元の期待を一身に背負うオンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング)が4番手につけた一方、「僕の日ではなく、コンディションも自分向きではなかった」と語るシューターは徐々に後退。8度世界王者に輝いたベテランはこの日7位でレースを終えることとなる。
淡々とハイペースを刻む先頭グループに変化が起きたのは3周目の登り区間だった。木の根が張り出した登りで一気にピドコックが踏み込むとファンデルプールが脱落。黒塗りのフルサスペンションバイクに乗る現U23世界チャンピオン&現E-MTB世界チャンピオンが一気に20〜30秒リードを稼ぎ出した。
こうしてピドコックが独走態勢に持ち込み、その後方では追いついてきたフルッキガーとファンデルプールが2番手争い。互いにアタックを繰り出す二人を尻目に、パワフルな登坂力で全6周(+スタートラップ)のうち3周回でファステストラップを叩き出したピドコックが独走のままフィニッシュラインに辿り着き、ワールドカップ参戦2戦目にして優勝をさらった。
「正直、MTBで走るために生まれてきたような気がする。馬鹿げているように聞こえるけれど、MTBは小さい頃から親しみ、最も楽しみを見出してきたものなんだ」と、言葉を選びながら優勝インタビューに答えたピドコック。イギリス人選手によるW杯優勝は1994年以来27年ぶりの快挙であり、この後予定している東京五輪へ大きな弾みを付けている。「確かに素晴らしいコンディションにあって、これから五輪を目指して少し休養に入る。僕がMTBでどれだけやれるか披露できたと思う」と加えた。
またこの日、2003年からシングルリザルト入りという目標に挑み続けてきた山本はマイナス2ラップの102位でフィニッシュ。「何も悔いはなく、清々しい気分です。自分の夢は叶いませんでしたが、夢に向けて本気でいけたし、この思いをぶつけることでたくさんの道を切り開いてきました。ここまで素晴らしい人生になったと思います」と、動画インタビューにて振り返っている。今後は北林兄弟とともに帰国し、集大成として捉える東京五輪に向けて調整に入る予定だ。
女子エリート:ロアナ・ルコントが圧倒的な力でW杯2連勝
女子エリートレースでスタートダッシュを決め、ライバル全員を置き去りにしたのは第1戦勝者のロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス)だった。「先週優勝したけれど、今日の目標は表彰台に乗ることだった」と振り返るルコントだが、軽やかな登りを武器にファステストラップを叩き出してライバルの追随を許さない。そのリードは3周目時点で1分を超えることとなる。
世界選手権3位銅メダルのレベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカーXソース)と金曜日のショートトラック勝者ハイリー・バッテン(アメリカ、トリニティレーシング)が2位争いを繰り広げ、世界チャンピオンのポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、アブソリュートアブサロン)はその後ろ。序盤ルコントに食い下がったケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシング)はブレーキレバー破損によって後退を強いられた。
ハイペースを貫き通したルコントは、スタートから誰にも先頭を譲ることなく圧勝。次のエリートアルカンシエル候補筆頭と称される21歳が再び世界最高峰の舞台で勝利をあげている。
また、ウェットコンディションの土曜日に開催された男子U23レースで、北林力(日本ナショナルチーム)は25番手付近というポジションで走り始めたものの他選手との落車で後退。最終的に111位となったU23全日本チャンピオンは「気持ちを折ってしまった自分に腹が立ちます。U23でのチャンスは残り少ないのでしっかり結果を残すための努力と集中と環境を作ればいけるはず」と振り返っている。欧州レース2戦目の弟、北林仁(日本ナショナルチーム)は123位でレースを終えた。
男子エリート結果
1位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 1:20:55 |
2位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 1:00 |
3位 | マティアス・フルッキガー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム) | 1:15 |
4位 | オンドレイ・シンク(チェコ、クロス・オーレンサイクリング) | 2:00 |
5位 | ヨルダン・サルー(フランス、スペシャライズドファクトリーレーシング) | 2:21 |
6位 | アラン・ハースリー(南アフリカ、キャノンデールファクトリーレーシング) | 2:28 |
7位 | ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング) | 3:04 |
8位 | アントン・クーパー(ニュージーランド、トレックファクトリーレーシングXC) | 3:14 |
9位 | ティトゥアン・カロ(フランス、アブソリュートアブサロン) | 3:37 |
10位 | トマ・グリオ(フランス、マッシバイクス) | 3:51 |
102位 | 山本幸平(日本ナショナルチーム) |
女子エリート結果
1位 | ロアナ・ルコント(フランス、マッシバイクス) | 1:25:13 |
2位 | ハイリー・バッテン(アメリカ、トリニティレーシング) | 1:39 |
3位 | レベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロール・モンドレイカーXソース) | 1:51 |
4位 | ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、アブソリュートアブサロン) | 2:10 |
5位 | イヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシングXC) | 2:27 |
6位 | リンダ・インダーガンド(スイス、リブファクトリーレーシング) | 2:50 |
7位 | シーナ・フライ(スイス、スペシャライズドファクトリーレーシング) | 3:22 |
8位 | ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC) | 3:39 |
9位 | アン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング) | 4:06 |
10位 | アン・タウバー(オランダ、CSTポストNLバーファンMTBチーム) | 4:33 |
男子U23結果
1位 | カーター・ウッズ(カナダ、ノルコファクトリーチームXC) | 1:23:44 |
2位 | ライリー・アモス(アメリカ) | 1:55 |
3位 | アレクサンドル・バルマー(スイス、トムスRNスイスバイクチーム) | 2:21 |
111位 | 北林力(日本ナショナルチーム) | |
123位 | 北林仁(日本ナショナルチーム) |
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