2021/05/16(日) - 12:56
2020年末にデビューしたビアンキ初となるカーボングラベルバイク、ARCADEXをインプレッション。オンオフ問わない軽やかな走りが魅力の「遊べる」一台だ。
昨年まではユンボ・ヴィスマ、今年からはバイクエクスチェンジの活躍によってレーシングバイクブランドとしての地位を再上昇させているイタリアンブランドの雄、ビアンキ。オンロードのイメージが強いものの、オフロードにおいてもクロスカントリーのファクトリーチームを有し、長年にわたり世界のトップレースで活躍を続けているのだ。
プレミアムレーシングブランドとして自認するビアンキだが、2021年春にそのラインアップに加わったのが、同社初となるカーボングラベルバイク”ARCADEX(アルカデックス)"だ。
ビアンキによれば、ARCADEXは、同社レーシングスピリットに基づく優れた走行感と、自然とのふれあいを楽しめる性能を融合させたバイク。スピードを追求したレーシングバイクと、荷物を満載して旅行を楽しむアドベンチャーバイクとの中間に位置し、オフロード遊びを幅広く楽しむというコンセプトを持つ。
レース用モデルがホイールベースやチェーンステー長を短く、ツーリング向けが長く設定しているのに対し、ARCADEXはその中間。寝かせたヘッドアングルはいうまでもなくオフロードでの安定感を高めるためのものだ。
チェレステに青、またはコッパーカラーを組み合わせたフレームは、特にヘッド周りが剛性を重視した、唯一無二のフォルムが特徴だ。同じくビッグボリュームな、幅広かつウェーブしたフォークのエンド部分にはフラップが設けられているなど、エアロダイナミクスを連想する作りが採用されている。
フレームはビッグボリュームな造形をしながら、55サイズで1,100gに仕上げられた。軽量性も失われていないことで、ツーリングはもちろんレースに対応。シングルトラックでの扱いやすさなども軽量性がアドバンテージとなるだろう。
シフトやブレーキホースをフル内装できるFSAのACRとSMR規格に対応しており、完成車はSMRのヘッドセットで組み上げられている。機械式変速のシフトケーブルのみダウンチューブから挿入する設計だ。
タイヤクリアランスは700×42Cもしくは650×47Bとグラベルバイクとしては標準的なスペック。マッドガードやキャリアを装着するためのアイレットも設けられ、カスタムの幅が広いこともポイントだ。バイクパッキングをはじめ、装備品を多く持つアドベンチャーライドでもARCADEXは活躍してくれるだろう。
今回インプレッションを行ったのはシマノのグラベルコンポーネント GRX810 DI2をメインに据えたトップグレードの完成車。タイヤはグラベルのスタンダードWTB Riddlerだ。価格は770,000円(税込)。
―インプレッション
ボリューム感溢れるルックスとアップライトなポジションからは想像しにくい、バネ感を伴った軽やかな走り。それがビアンキ初となるフルカーボングラベルロード、ARCADEX(アルカデックス)の真骨頂だ。オフロードでの扱いやすさと、オンロードでの機敏な走りは「グラベルロード」として非常にバランスの取れたもの。予算こそ伴えば、ロードも含めた「ドロップハンドル入門モデル」としても十分魅力的だと思う。
アグレッシブなルックスからも想像付く通り、特にフロントフォークやヘッドチューブ、ダウンチューブ周辺の剛性感はかなりものだ。それゆえダンシングやブレーキ性能が引き上げられているのだが、一方でリアステーのシートチューブ接合部は細めで、ここでリアの柔軟性を高める思想が見て取れる。
それゆえ大きな衝撃を受けた時の乗り心地はもちろんのこと、グッとペダルに力を込めた時、柔らかで、かつ戻りの早いバネ感を持って加速に繋げてくれる。硬すぎない(=必要以上に足を削らない)BB剛性と、舗装路で極めて軽いWTBのRiddlerタイヤ(37C)のコンビネーションも相まって、ペダリングの上質さで見れば同価格帯のレース用ロードモデルOLTRE XR3よりも上。特にダンシングの気持ち良さや、アップダウンを走る際のスピードの繋げやすさは特筆すべきと言えるだろう。
近年はMTB由来の「長いフロントセンターによるロングホイールベース+短いステム」を採用したグラベルロードも数を増やしている(先に紹介したフォーカスのATLSが好例だ)が、ARCADEXはスラックヘッドアングルを採用こそすれ、長いヘッドチューブと短いトップチューブというエンデュランスロードバイク寄りのジオメトリーが落とし込まれている。
それゆえ700cのグラベルタイヤを履かせてもハンドリングは軽く、アップライトなポジションゆえに、例えば木の根や段差を越える場面でのフロントアップやホップといった縦のアクションが取りやすい。リアの柔軟性がもたらす後押し感との相乗効果によって、整地されたダブルトラックを外れ、シングルトラックの登りにチャレンジしても楽しく走ることができた。バイクコントロールに慣れた方であれば、すぐARCADEXが秘めたポテンシャルに気づくことができるはずだ。
一方、単純な乗り心地で見ると、例えばトレックのCheckpointやスペシャライズドのDivergeといったライバルモデルには分が悪い。シートポスト径が31.8mmとやや太いことと、剛性重視のヘッド周りがその要因だが、カーボンピラーに替えたり、タイヤを上限いっぱいの42Cやボリューム重視の650Bに変更すれば大きく改善されるだろう。
今回のテストはサーヴェロのAspero5、そしてフォーカスのATLSの同タイミングで行うこととなったのだが、ARCADEXは打倒ロードレーサーの尖った走りが身上のAspero5と、グラベルアドベンチャー向けの安定感が光るATLSのちょうど中間に位置する、「何でもこなせる万能グラベルバイク」だと言える。小気味良い走りゆえに市街地通勤ライドにも良いだろうし、週末は河川敷経由で山に向かい、林道にチャレンジする冒険ライドでも頼れる相棒になってくれる。
ビアンキによれば、ARCADEXは理想郷と評される古代ギリシャの楽園「アルカディア」から取った言葉。ARCADEXはレーサーバイクよりも安定感を、かつアドベンチャーバイクよりも軽い走りを欲するユーザーにとってのアルカディアになる可能性を秘めた一台だ。
ビアンキ ARCADEX
フレーム:ARCADEX CARBON、1.5" HEADSET、SEATPOST 31.6mm、THRU AXLE 12×142mm、PRESSFIT 41BB
フォーク:BIANCHI FULL CARBON DISC、1.5" HEAD、THRU AXLE 12×100mm
コンポーネント:SHIMANO GRX 815 DI2
ホイール:FULCRUM RAPID RED 500 DB 2-WAY FIT READY
タイヤ:WTB RIDDLER RACE 700X37C
サドル:FI'ZI:K ARGO TEMPO R5
サイズ:XS / SM / MD / LG / XL
価格:770,000円(税込)
impression:So Isobe
昨年まではユンボ・ヴィスマ、今年からはバイクエクスチェンジの活躍によってレーシングバイクブランドとしての地位を再上昇させているイタリアンブランドの雄、ビアンキ。オンロードのイメージが強いものの、オフロードにおいてもクロスカントリーのファクトリーチームを有し、長年にわたり世界のトップレースで活躍を続けているのだ。
プレミアムレーシングブランドとして自認するビアンキだが、2021年春にそのラインアップに加わったのが、同社初となるカーボングラベルバイク”ARCADEX(アルカデックス)"だ。
ビアンキによれば、ARCADEXは、同社レーシングスピリットに基づく優れた走行感と、自然とのふれあいを楽しめる性能を融合させたバイク。スピードを追求したレーシングバイクと、荷物を満載して旅行を楽しむアドベンチャーバイクとの中間に位置し、オフロード遊びを幅広く楽しむというコンセプトを持つ。
レース用モデルがホイールベースやチェーンステー長を短く、ツーリング向けが長く設定しているのに対し、ARCADEXはその中間。寝かせたヘッドアングルはいうまでもなくオフロードでの安定感を高めるためのものだ。
チェレステに青、またはコッパーカラーを組み合わせたフレームは、特にヘッド周りが剛性を重視した、唯一無二のフォルムが特徴だ。同じくビッグボリュームな、幅広かつウェーブしたフォークのエンド部分にはフラップが設けられているなど、エアロダイナミクスを連想する作りが採用されている。
フレームはビッグボリュームな造形をしながら、55サイズで1,100gに仕上げられた。軽量性も失われていないことで、ツーリングはもちろんレースに対応。シングルトラックでの扱いやすさなども軽量性がアドバンテージとなるだろう。
シフトやブレーキホースをフル内装できるFSAのACRとSMR規格に対応しており、完成車はSMRのヘッドセットで組み上げられている。機械式変速のシフトケーブルのみダウンチューブから挿入する設計だ。
タイヤクリアランスは700×42Cもしくは650×47Bとグラベルバイクとしては標準的なスペック。マッドガードやキャリアを装着するためのアイレットも設けられ、カスタムの幅が広いこともポイントだ。バイクパッキングをはじめ、装備品を多く持つアドベンチャーライドでもARCADEXは活躍してくれるだろう。
今回インプレッションを行ったのはシマノのグラベルコンポーネント GRX810 DI2をメインに据えたトップグレードの完成車。タイヤはグラベルのスタンダードWTB Riddlerだ。価格は770,000円(税込)。
―インプレッション
ボリューム感溢れるルックスとアップライトなポジションからは想像しにくい、バネ感を伴った軽やかな走り。それがビアンキ初となるフルカーボングラベルロード、ARCADEX(アルカデックス)の真骨頂だ。オフロードでの扱いやすさと、オンロードでの機敏な走りは「グラベルロード」として非常にバランスの取れたもの。予算こそ伴えば、ロードも含めた「ドロップハンドル入門モデル」としても十分魅力的だと思う。
アグレッシブなルックスからも想像付く通り、特にフロントフォークやヘッドチューブ、ダウンチューブ周辺の剛性感はかなりものだ。それゆえダンシングやブレーキ性能が引き上げられているのだが、一方でリアステーのシートチューブ接合部は細めで、ここでリアの柔軟性を高める思想が見て取れる。
それゆえ大きな衝撃を受けた時の乗り心地はもちろんのこと、グッとペダルに力を込めた時、柔らかで、かつ戻りの早いバネ感を持って加速に繋げてくれる。硬すぎない(=必要以上に足を削らない)BB剛性と、舗装路で極めて軽いWTBのRiddlerタイヤ(37C)のコンビネーションも相まって、ペダリングの上質さで見れば同価格帯のレース用ロードモデルOLTRE XR3よりも上。特にダンシングの気持ち良さや、アップダウンを走る際のスピードの繋げやすさは特筆すべきと言えるだろう。
近年はMTB由来の「長いフロントセンターによるロングホイールベース+短いステム」を採用したグラベルロードも数を増やしている(先に紹介したフォーカスのATLSが好例だ)が、ARCADEXはスラックヘッドアングルを採用こそすれ、長いヘッドチューブと短いトップチューブというエンデュランスロードバイク寄りのジオメトリーが落とし込まれている。
それゆえ700cのグラベルタイヤを履かせてもハンドリングは軽く、アップライトなポジションゆえに、例えば木の根や段差を越える場面でのフロントアップやホップといった縦のアクションが取りやすい。リアの柔軟性がもたらす後押し感との相乗効果によって、整地されたダブルトラックを外れ、シングルトラックの登りにチャレンジしても楽しく走ることができた。バイクコントロールに慣れた方であれば、すぐARCADEXが秘めたポテンシャルに気づくことができるはずだ。
一方、単純な乗り心地で見ると、例えばトレックのCheckpointやスペシャライズドのDivergeといったライバルモデルには分が悪い。シートポスト径が31.8mmとやや太いことと、剛性重視のヘッド周りがその要因だが、カーボンピラーに替えたり、タイヤを上限いっぱいの42Cやボリューム重視の650Bに変更すれば大きく改善されるだろう。
今回のテストはサーヴェロのAspero5、そしてフォーカスのATLSの同タイミングで行うこととなったのだが、ARCADEXは打倒ロードレーサーの尖った走りが身上のAspero5と、グラベルアドベンチャー向けの安定感が光るATLSのちょうど中間に位置する、「何でもこなせる万能グラベルバイク」だと言える。小気味良い走りゆえに市街地通勤ライドにも良いだろうし、週末は河川敷経由で山に向かい、林道にチャレンジする冒険ライドでも頼れる相棒になってくれる。
ビアンキによれば、ARCADEXは理想郷と評される古代ギリシャの楽園「アルカディア」から取った言葉。ARCADEXはレーサーバイクよりも安定感を、かつアドベンチャーバイクよりも軽い走りを欲するユーザーにとってのアルカディアになる可能性を秘めた一台だ。
ビアンキ ARCADEX
フレーム:ARCADEX CARBON、1.5" HEADSET、SEATPOST 31.6mm、THRU AXLE 12×142mm、PRESSFIT 41BB
フォーク:BIANCHI FULL CARBON DISC、1.5" HEAD、THRU AXLE 12×100mm
コンポーネント:SHIMANO GRX 815 DI2
ホイール:FULCRUM RAPID RED 500 DB 2-WAY FIT READY
タイヤ:WTB RIDDLER RACE 700X37C
サドル:FI'ZI:K ARGO TEMPO R5
サイズ:XS / SM / MD / LG / XL
価格:770,000円(税込)
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