2021/05/02(日) - 13:05
フォーカスが贈るブランド初のグラベルバイク、ATLS(アトラス)。ごく普通のアルミグラベルロードと侮ることなかれ。MTB由来のジオメトリーが生み出す高い安定感で、グラベルはもちろん、シングルトラックを楽しく下れる魅力を秘めた一台だ。
フォーカス ATLS 6.8 photo:Makoto AYANO/cyclowired.jp
IZALCO MAXに代表されるロードバイクはもちろん、本国ではE-BIKEを主軸に据えた総合ブランドとして知られるフォーカス。しかしドロップハンドルの未舗装路対応モデルはエンデュランスロードのPARALANEだけであり、「ザ・グラベルロード」は長らく不在だった。
そんな沈黙を打ち破り、フォーカスは2021年初頭に満を持してブランド初となるグラベルロード「ATLS(アトラス)」をリリース。アウンバウンド・グラベルに代表されるレース用ではなく、MTB設計を取り込んだアドベンチャーバイクとして生み出されている。
WTBのSL8というサドルが標準で装備されている
ケーブルがセミ内装式とされたため、ハンドルバーバッグを装着しやすい
チェーンステーにはプロテクターが標準で装備されている
グラベル用タイヤとして数多くの車種に採用されるWTB Riddler
公式サイトの言葉を借りれば、ATLSは「自然の中に身を置き、冒険を行い、人と会って素晴らしい時間を過ごすためにある自転車」だ。そのターゲットはPARALANEと共通するものの、日進月歩で進化するグラベルロードの最新トレンドを取り込んでさらに飛躍させ、より未舗装路への適性を持たせている。
軽量かつ高強度のアルミフレームとカーボンストレートフォークで構成されるATLSは、ロングリーチかつショートチェーンステー、ショートステムというマウンテンバイク由来のジオメトリーを採用していることが最大の特徴だ。安定感やコントロール性を重視し、グラベルやトレイルのダウンヒルを自由自在に楽しめるように調整されている。
ダウンチューブのボトルケージ台座は3つ穴仕様とされている
ケーブルをヘッドから内装するC.I.S.
3つ穴のボトルケージ台座がフォークブレードの左右に設けられている
エンド幅はフロント110mm、リア148mmという幅広のROAD BOOSTだ。フレームとフォークの剛性向上とともに、最大で650B×47mmまで(フェンダー装着時は40mmまで)のタイヤに対応できるクリアランスを実現する。
トップチューブバッグマウントやラック用アイレット、3つ穴のボトルケージ、フォークのアイレットなど非常に多岐に渡るストレージマウントが用意されていることもポイント。大自然で遊ぶための自転車としてバイクパッキングはもちろん、ラック+パニアスタイルどちらにも対応してくれる。
また、IZALCO MAX DISCに採用されているケーブル内装システムC.I.S.が採用されており、ハンドルバーバッグを装着する際にケーブルを気にする心配も少なくなっている。C.I.S.は。ステム下側を沿ってヘッドチューブ上部からブレーキ&シフトケーブルを内装するため、完全内装システムよりもメンテナンス性に優れている。
BB裏側にブリッジを配すことで、ケーブルルーティングを行いやすくしている
フェンダーやラック用のアイレットはもちろん備えられている
今回はラインアップに用意されている2車種の内、上位グレードのATLS 6.8をピックアップ。コンポーネントはシマノのGRXシリーズで、ディレイラーはGRX800、シフターやクランクセットはGRX600でコストパフォーマンスを追い求めている。完成車にアセンブルされるタイヤはWTBのRiddler 45Cだ。
―インプレッション
見た目からは想像できない高い完成度。アルミながら非常に良くできたグラベルロードだ photo:Makoto AYANO/cyclowired.jp
これほど意外性のあるバイクも珍しい、と思った。ごく普通なカタチのアルミフレームは正直目を惹くものではないけれど、ひとたびフィールドに連れ出すと、圧倒的な安定感でもってトレイルの下りをいとも簡単にこなしてしまう。サスペンション付きグラベルロードに、あるいはフルリジッドMTBに引けを取らない走破性に、コーナーを攻めながら笑顔を抑えることができなかった。
その理由は、現代MTBに浸透しているジオメトリー思想「長いフロントセンターによるロングホイールベース+短いステム」が落とし込まれているからだ。ホイールベースは一般的なグラベルロードよりもかなり長い1051mm(54サイズ)である一方、チェーンステーは425mmと短く反応性を高める設計。ヘッドアングルは全サイズ通じて70.5度、トレール値は73mmと一昔前のMTB並みに寝ている。
それゆえにホイールベースが長いためタイトコーナーは得意としていないけれど、MTBジオメトリーがもたらす信頼感によって、コーナリング中に多少の凹凸があったとしても恐怖を感じることなく左右の切り返しを楽しめる。700x45c(グラベルタイヤとしては最大級)という巨大なタイヤのダルさを感じさせず、それでいてグリップ感と走破性を引き出すフレーム設計はかなり良い。綺麗なフロートレイルだったら、サスペンション付きと遜色なく下れてしまうかもしれない。
もとよりアドベンチャー用として設計され、完成車重量で10kgもあるATLSにダッシュ時の反応性やコーナリングのキレ味といった軽快感を求めるのは酷というものだ。ただし縦に硬質で、横方向には柔軟性あるアルミフレームは脚に優しく、ハイボリュームタイヤとの相乗効果で路面状況に関係なくスピードを維持しやすい。未舗装路を含む長距離ライドや、ジャパニーズ・オデッセイのような超長距離山岳ライド、あるいはデイリーユースの通勤ライドのためのバイク選びの際、スピードさえ問わないならATLSは十分選択肢に入ってくる。
大きなタイヤを感じさせない身のこなし。MTBジオメトリー由来の高い安定感で下りが楽しい photo:Makoto AYANO/cyclowired.jp
気兼ねなく使えるアルミフレームや、ハンドル周りやシートポストなど奇をてらわない標準規格は信頼性が問われる過酷な場面でプラスに働くし、30万円というプライスまで含めて考えれば競争力は非常に高い。ベースが良いからこそ、値段がこなれてきたカーボンチューブレスホイールや、腰や手の疲労を軽減してくれるパーツをセットして乗ってみたいと思った。
フォーカスの言葉を借りれば、ATLSは「レースバイクに負けるバイク」なのだと言う。しかしサスペンション付きに勝るとも劣らない安定感はグラベルロード全体の中でも光るものだし、少々大きめにも関わらず持て余し感も薄い設計は流石の一言。冒険旅行に連れ出すも良し、フィールドを攻めるも良し。さりげなく自然に溶け込むカーキグリーンも良い。フォーカス初のグラベルロードとして生まれたATLSは、どんなユーザーにも寄り添ってくれる「作り込まれた」バイクだ。
![フォーカス ATLS 6.8](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-191-2.jpg)
IZALCO MAXに代表されるロードバイクはもちろん、本国ではE-BIKEを主軸に据えた総合ブランドとして知られるフォーカス。しかしドロップハンドルの未舗装路対応モデルはエンデュランスロードのPARALANEだけであり、「ザ・グラベルロード」は長らく不在だった。
そんな沈黙を打ち破り、フォーカスは2021年初頭に満を持してブランド初となるグラベルロード「ATLS(アトラス)」をリリース。アウンバウンド・グラベルに代表されるレース用ではなく、MTB設計を取り込んだアドベンチャーバイクとして生み出されている。
![WTBのSL8というサドルが標準で装備されている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-203-2.jpg)
![ケーブルがセミ内装式とされたため、ハンドルバーバッグを装着しやすい](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-214-2.jpg)
![チェーンステーにはプロテクターが標準で装備されている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-206-2.jpg)
![グラベル用タイヤとして数多くの車種に採用されるWTB Riddler](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-216-2.jpg)
公式サイトの言葉を借りれば、ATLSは「自然の中に身を置き、冒険を行い、人と会って素晴らしい時間を過ごすためにある自転車」だ。そのターゲットはPARALANEと共通するものの、日進月歩で進化するグラベルロードの最新トレンドを取り込んでさらに飛躍させ、より未舗装路への適性を持たせている。
軽量かつ高強度のアルミフレームとカーボンストレートフォークで構成されるATLSは、ロングリーチかつショートチェーンステー、ショートステムというマウンテンバイク由来のジオメトリーを採用していることが最大の特徴だ。安定感やコントロール性を重視し、グラベルやトレイルのダウンヒルを自由自在に楽しめるように調整されている。
![ダウンチューブのボトルケージ台座は3つ穴仕様とされている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-205-2.jpg)
![ケーブルをヘッドから内装するC.I.S.](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-201-2.jpg)
![3つ穴のボトルケージ台座がフォークブレードの左右に設けられている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-198-2.jpg)
エンド幅はフロント110mm、リア148mmという幅広のROAD BOOSTだ。フレームとフォークの剛性向上とともに、最大で650B×47mmまで(フェンダー装着時は40mmまで)のタイヤに対応できるクリアランスを実現する。
トップチューブバッグマウントやラック用アイレット、3つ穴のボトルケージ、フォークのアイレットなど非常に多岐に渡るストレージマウントが用意されていることもポイント。大自然で遊ぶための自転車としてバイクパッキングはもちろん、ラック+パニアスタイルどちらにも対応してくれる。
また、IZALCO MAX DISCに採用されているケーブル内装システムC.I.S.が採用されており、ハンドルバーバッグを装着する際にケーブルを気にする心配も少なくなっている。C.I.S.は。ステム下側を沿ってヘッドチューブ上部からブレーキ&シフトケーブルを内装するため、完全内装システムよりもメンテナンス性に優れている。
![BB裏側にブリッジを配すことで、ケーブルルーティングを行いやすくしている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-219-2.jpg)
![フェンダーやラック用のアイレットはもちろん備えられている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/04/28/groberide2021apr-224-2.jpg)
今回はラインアップに用意されている2車種の内、上位グレードのATLS 6.8をピックアップ。コンポーネントはシマノのGRXシリーズで、ディレイラーはGRX800、シフターやクランクセットはGRX600でコストパフォーマンスを追い求めている。完成車にアセンブルされるタイヤはWTBのRiddler 45Cだ。
―インプレッション
![見た目からは想像できない高い完成度。アルミながら非常に良くできたグラベルロードだ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/05/01/jm10562.jpg)
これほど意外性のあるバイクも珍しい、と思った。ごく普通なカタチのアルミフレームは正直目を惹くものではないけれど、ひとたびフィールドに連れ出すと、圧倒的な安定感でもってトレイルの下りをいとも簡単にこなしてしまう。サスペンション付きグラベルロードに、あるいはフルリジッドMTBに引けを取らない走破性に、コーナーを攻めながら笑顔を抑えることができなかった。
その理由は、現代MTBに浸透しているジオメトリー思想「長いフロントセンターによるロングホイールベース+短いステム」が落とし込まれているからだ。ホイールベースは一般的なグラベルロードよりもかなり長い1051mm(54サイズ)である一方、チェーンステーは425mmと短く反応性を高める設計。ヘッドアングルは全サイズ通じて70.5度、トレール値は73mmと一昔前のMTB並みに寝ている。
それゆえにホイールベースが長いためタイトコーナーは得意としていないけれど、MTBジオメトリーがもたらす信頼感によって、コーナリング中に多少の凹凸があったとしても恐怖を感じることなく左右の切り返しを楽しめる。700x45c(グラベルタイヤとしては最大級)という巨大なタイヤのダルさを感じさせず、それでいてグリップ感と走破性を引き出すフレーム設計はかなり良い。綺麗なフロートレイルだったら、サスペンション付きと遜色なく下れてしまうかもしれない。
もとよりアドベンチャー用として設計され、完成車重量で10kgもあるATLSにダッシュ時の反応性やコーナリングのキレ味といった軽快感を求めるのは酷というものだ。ただし縦に硬質で、横方向には柔軟性あるアルミフレームは脚に優しく、ハイボリュームタイヤとの相乗効果で路面状況に関係なくスピードを維持しやすい。未舗装路を含む長距離ライドや、ジャパニーズ・オデッセイのような超長距離山岳ライド、あるいはデイリーユースの通勤ライドのためのバイク選びの際、スピードさえ問わないならATLSは十分選択肢に入ってくる。
![大きなタイヤを感じさせない身のこなし。MTBジオメトリー由来の高い安定感で下りが楽しい](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2021/05/01/jm10566.jpg)
気兼ねなく使えるアルミフレームや、ハンドル周りやシートポストなど奇をてらわない標準規格は信頼性が問われる過酷な場面でプラスに働くし、30万円というプライスまで含めて考えれば競争力は非常に高い。ベースが良いからこそ、値段がこなれてきたカーボンチューブレスホイールや、腰や手の疲労を軽減してくれるパーツをセットして乗ってみたいと思った。
フォーカスの言葉を借りれば、ATLSは「レースバイクに負けるバイク」なのだと言う。しかしサスペンション付きに勝るとも劣らない安定感はグラベルロード全体の中でも光るものだし、少々大きめにも関わらず持て余し感も薄い設計は流石の一言。冒険旅行に連れ出すも良し、フィールドを攻めるも良し。さりげなく自然に溶け込むカーキグリーンも良い。フォーカス初のグラベルロードとして生まれたATLSは、どんなユーザーにも寄り添ってくれる「作り込まれた」バイクだ。
フォーカス ATLS 6.8
フレーム | アルミ, Disc, 148x12mm, FM 160mm, BSA |
フォーク | カーボン, Disc, 110x12mm, FM 160mm |
ハンドルバー | アルミ, 31.8mm, Dr:116mm, Re:74mm, Fl:10° |
ステム | アルミ, 31.8mm, 6° |
ブレーキ | SHIMANO GRX600 |
ブレーキレバー | SHIMANO GRX600 |
フロントディレーラー | SHIMANO GRX800 |
リアディレーラー | SHIMANO GRX810 |
シフター | SHIMANO GRX600 |
スプロケット | SHIMANO 105, 11-34T |
チェーン | |
クランク | SHIMANO GRX600 |
チェーンリング | SHIMANO GRX600, 46x30T |
ボトムブラケット | BSA |
ホイール | NOVATEC 25 ELITE, 622/25, Center lock |
タイヤ | WTB Riddler 700 x 45c TCS |
チューブ | 仏式バルブ |
サドル | WTB SL8 |
シートピラー | アルミ, 27.2mm, SB 0mm |
ウェイト | 10.80kg |
カラー | MINERAL GREEN |
サイズ | 48, 51, 54cm |
価格 | 298,000円(税抜) |
impression:So Isobe
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