オルベアが満を持してダウンヒル専用マシン「Rallon DH」を発表。2022年からのレース参戦で培った技術とOOLABによる革新技術を投入したレースモデルだ。エンデューロモデルも同時展開される注目の一台となっている。



オルベア RALLON DH (c)オルベア

スペイン・バスクが誇る総合バイクブランドのオルベア。ロードレースへの熱が高いことでお馴染みだが、オフロード競技も同じように情熱を持って取り組んでおり、MTBではクロスカントリーやエンデューロでは高いパフォーマンスを証明しているブランドだ。

2022年以降はMTBのダウンヒル競技にも参戦しており、マーティン・マエズが特別仕様のRallon(ラヨーン)でレースに出場。選手たちのフィードバックや、OOLAB(オーラボ:Orbea Optimization Lab)による技術革新によって、機材の進化が著しいダウンヒルマシン”Rallon DH”がついにお披露目となった。

フレームにサスペンションユニットを収めることで低重心を実現した (c)オルベア

レースの現場で数年かけて鍛え上げられたRallon DHは、前後200mmトラベルのサスペンション性能が最優先されているという。まずペダルのキックバックを抑えるサスペンションキネマティクスに設計し、チェーンテンションがサスペンションに与える影響を最小限に留めた。さらにリアピボットの位置を最適化することで、ブレーキ時にスイングアームに影響しにくくしており、常に安定した状態を保てるバイクを実現している。

サスペンションカーブはプログレッシブかつ直線的な曲線を描いており、小さな衝撃には高い感度で反応しつつ、中間域ではしっかりとグリップやトラクションをかけられるようなサポートを提供。ドロップなどによる大きな衝撃ではサスペンションが底付きしにくくなっている。

ダウンヒル用のグラビティリンクによって性能を高めている (c)オルベア

レバレッジレシオを2タイプから調整できる (c)オルベア

また、ライダーはグラビティリンク内のフリップチップを使って、レバレッジレシオを25%か30%で調整することができ、コースに合わせることも可能だ。

加えてRallon DHで重要視されたのはバイクの低重心設計だ。リアサスペンションのユニットをフレーム内で可能な限り低い位置に配置。これによってトップチューブ、ボトムブラケットも低く作ることができ、低重心化を実現させている。

RALLON DHのジオメトリー (c)オルベア

さらにボトムブラケット部分にウェイトを追加できる機能が備えられている。395g、95g、93gという3種類のウェイトを1つ、もしくは組み合わせて忍び込ませることができ、激しいダウンヒルでのコーナリングやジャンプでも安定感を得られる。

ジオメトリーについてはプロ選手がレースで使うことで煮詰められており、さらに自分好みのセッティングが可能となっている。一つはオフセットしたヘッドセットカップによって、ヘッド角を±0.75°で調整することができる。また、オルベアは442mmと450mmというチェーンステー長を2種類用意しており、購入時に自分の走り方に合わせたものを選べる。

チェーンステー長は2種類用意されている (c)オルベア

フレームはオルベアのカーボンへの知見を投入しており、剛性と柔軟性のバランスをハイレベルで整えている。フロントとリアが理想的なバランスがオフキャンバーでも粘りのある走りを発揮してくれるという。

また、内装されるケーブルは全てガイドに沿ってインストールされるため、ライド中にケーブルがフレームに当たる音で悩まされない。さらにチェーンステーにはラバープロテクターがあらかじめ装備されるなど細かい配慮も行き届いている。

レースでスピードを追求するために生まれたRALLON DH (c)オルベア

他にもFLPマルチツールというフレーム内に格納できる携帯工具や、フレーム内蔵ストレージなどが採用されている。Rallon DHはレースバイクながら、普段のトレーニングや遊びでも使いやすいように設計されているのは嬉しいところ。各部のシールドベアリングや、ビニール保護フィルムなども備えられている。

Rallon DHはプロ選手と同じバイクが販売されており、さらにMyOによって自分好みにカスタム可能。カラーバリエーションは アロハグリーン × ファンタジーパープル(カーボンビューフィニッシュ/グロス仕上げ)、ホワイトシック × ダイヤモンドブラック(グロス仕上げ)、ニッケル(マット仕上げ) × ニッケルクローム(グロス仕上げ) の3パターンから選択可能だ。

エンデューロバージョンも用意されているRallon

オルベア RALLON ENDURO (c)オルベア

前29インチx後27.5インチの設定とされたDHモデルと同時に、同じフレームを使い前後29インチと前29インチx後27.5インチのマレットが用意されているエンデューロモデルも登場している。

エンデューロモデルにアセンブルされるサスペンションは前180mmトラベルで、後は170mmトラベル。バイクパークの大きなジャンプやドロップ、木の根のセクション、フロートレイルで気持ちよく走れる設定だ。

RALLON エンデューロモデルのジオメトリー (c)オルベア

グラビティリンク違いで29インチと27.5インチが用意されている (c)オルベア

もちろん下りに特化したサスペンションキネマティクスに設計されており、かつ最新の電子制御ショックを活用できるように開発されているという。電子制御ショックはトレードオフの関係にあるダウンヒルでの性能と登坂性能を両立することができ、それを念頭に置いているRallonは妥協のない一台といえよう。

またDHモデルの様々な調整機能はエンデューロモデルにも引き継がれている。ショックのレバレッジレシオの漸進性はおよそ22.5%から27.5%で調整可能。さらにグラビティリンク内のフリップチップを入れ替えることで、ヘッドアングルを0.5°、ボトムブラケットのドロップ量を7mm変化させられる。ヘッドセットカップはDHと同様。BB部のウェイトは553gも追加可能だ。

フレームストレージが設けられている (c)オルベア

Rallonでは、ほとんどのライダーが240mmのドロッパーシートポストを装着することができるほどスタンドオーバーハイトが低く作られている。この設計によって体の可動域が広がり、余裕を持ってコントロールできるようになっている。

新型となりダウンヒルとエンデューロどちらもカバーするRallon。幅広い調整幅によってどのようなレースコースにも対応することができ、速く、安定して走ることができそうだ。ラインアップは以下の一覧をチェックしてもらいたい。RALLON 450の「450」はチェーンステー長を表し、数字なしのモデルはチェーンステー442mmのバイクだ。

エンデューロで活躍するRALLONのエンデューロモデルには期待がかかる (c)オルベア
オルベア RALLON DH
モデル 税込価格 メインコンポ
RALLON D-LTD 1,265,000円 XTR/SAINT
RALLON 450 D-LTD 1,265,000円 XTR/SAINT
オルベア RALLON
モデル 税込価格 メインコンポ
RALLON E10 853,600円 XT/SLX
RALLON 450 E10 853,600円 XT/SLX
RALLON E-TEAM 1,106,600円 XT/SLX
RALLON 450 E-TEAM 1,106,600円 XT/SLX
RALLON E-LTD 1,581,800円 XTR/X0 Eagle AXS
RALLON 450 E-LTD 1,581,800円 XTR/X0 Eagle AXS
リンク

最新ニュース(全ジャンル)