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「これはちょっと、ただのEバイクじゃないですね。」

そう語るのは、元オリンピアンにして、機材に対する深い造詣で知られる長野県松本市のショップ「BIKE RANCH」の代表を務める鈴木雷太さんだ。日頃Eロードに乗り、シリアスライドからソロツーリングまでを楽しむ雷太さんは、この春先にバスクはマリャビアにあるオルベア本社を訪ね、その故郷でたっぷりとGainを乗り込んできた。

BIKE RANCH代表を務める鈴木雷太さん。自身でEロードを所有し、知見を深めてきた氏にGainの走り、魅力を聞いた photo:So Isobe

完成車重量11kg台はマスプロメーカー最軽量。Eバイクの常識を覆すような軽さと美しさを誇るGainに、雷太さんの感性はどう反応したのか?登坂、平坦、ロングライド――そのすべてを遊びに変えてしまうGainの“実力”に、ベテランの目が光る。

Gainに乗る

「Eロードバイクの新時代がきたというか、従来のものとは走りが別モノ」 photo:So Isobe

「例え練習ができなくたって、体力に自信がなくたって、ロードサイクリングを一定以上のレベルで楽しめる。それがEロードバイクの良さなんです」と、マイバイクとしてEロードを乗ってきた雷太さんは言う。

しかし一方で、これまでのEロードは少なからずデメリットも抱えてきた。例えば、アシストが無い場面での走りの重たさや、それゆえのグループライドでのリズムの揃わなさといったものだが、Gainはそれらを払拭する走りの良さが光るという。

「ロードバイクの本質的な面白さの大部分を占めるのはアシストリミット(24km/h)から上の領域じゃないですか。それって、これまでのEロードだったら苦労する領域なんですが、Gainなら今のアナログロードバイクと同じように、アシスト領域外でしっかり走れてしまう。Eロードバイクの新時代がきたというか、それくらい走りが別モノです。

オルベア本社でGainの走りに感動

「スピードを維持しながら走る時のフィーリングがすごく良い」と雷太さんはGainを評価する photo:So Isobe

僕自身Eロード歴が長いのでアシストが切れた領域でのツラさは十分分かっているんです。だからこそオルベア本社でGainをお借りして走った時も、最初は「え〜70kmも走るの?」なんて思っていたんですが、実際1000mも登った(編集部注:70km/1000mアップはかなりの峠ルート)のにスルッと走りきれてしまった。

ライド中はスピードを維持したまま越えるアップダウンとか、50km/hでローテーションしたりとか、これまでEロードが不得意とされてきた場面がいっぱいあったんですが、スピードを維持しながら曲がって加速するような場面でのGainの挙動はまんまアナログバイクそのもの。「なんだこれ、すげえ走りやすいじゃん!」って。ちょっと感動しましたね」。

その走りの良さはリアハブ式モーターを採用していることにある、と雷太さんは推測する。バッテリーはダウンチューブ内部をほぼ埋め尽くしているが、走りの要となるボトムブラケット周辺に重量物であるモーターは無い。だからこそ適度なウィップが生まれ、アナログバイクに近いライドフィールが味わえると言う。

「全体的な設計やバランスがいい。ロードを乗り込んでいた人が乗り換えても違和感が少ないはず」 photo:So Isobe

「BB式のアシストはマスが中心にあるので安定感は高いんですが、一方でダウンチューブのウィップが無いからアナログバイク特有の"羽の生えた感じ"は損なわれやすい。Gainはライドフィールがアナログバイクに近く、純粋なロードバイクの走りを楽しめるんですよね。もはやEバイクの悪いところが払拭されたといっても過言ではありません。

以前乗ったことのあるリアハブモーターのE-MTBはリア周りが重たい印象でしたが、Gainはなぜか重さが気になりません。全体的な設計というか、バランスがいいんでしょう。「過去にバリバリ乗っていたけど、今はペースを落としてEバイクでサイクリングを楽しみたいな」というユーザー層も多いでしょうから、基本が優秀なGainは歓迎されるはずです。ライドを終えてバッテリー残量も半分より少し足りないくらいだったかな?一日遊ぶには十分な性能じゃないかな、と思います」。

「楽しくて、身体への負担が少ないから毎週毎週乗れる。それがEバイク一番の魅力」」 photo:So Isobe

「Eロードが流行らない理由って、アナログバイクとのグループライドが難しいっていう側面があるんですよね。それに「ロードバイクは苦しんでナンボ」っていう考えの方も実際少なくない。でも、年配の方や出戻りサイクリストの方に一度乗ってもらうと、イイネ!ってなって、実際買ってもらうと乗る頻度がめちゃくちゃ増える、っていう事例を本当に多く見てきました。

つまり、楽しくて、身体への負担が少ないから毎週毎週乗れる。アナログバイクに乗っている時に思いがちな『先週キツいライドしたから今週はいいかな...』っていうのがないんですよ。「峠を反対側に降りたらもう一度登ってこないといけない」っていう恐怖も取り払ってくれるから、どんどんライド範囲を広げることもできますよね。それが、まだまだ日本では認知されていないEバイクの良さなんです」。

オルベア本社で見たこと、印象的だったこと

オルベア本社ツアーではGainで70km/1000mアップのルートを走った。スタッフの働き方や社風にも感銘を受けたという photo:So Isobe

2月にオルベアジャパンが主催した本社ツアーに参加したのは、雷太さんを含め、オルベアを取り扱う国内有名ショップの店長たち。Gainを体験するライドの他に、実際にバイクがペイントされ、組み付けられる本社工場の様子も見学することができたという。

「印象的だったのはいかに真面目か、ということでした。やっぱりスペインってシエスタがある国だからゆるい印象があったんですよ。でもオルベアにそんな雰囲気は全くない。工場ラインは7時から動いていて、しっかり2部制で稼働時間を稼いで生産量を確保するんですよね。働いているスタッフにも悪い意味でのラテンっぽさ、いい加減さなんて少しも感じませんでした。フレーム製造自体はアジアですが、プライドを持って塗装と組み立てを本社工場で行なっていたり、ステムやシートポストもちゃんと自分たちで設計している。長い歴史があって、バスクはもちろんスペインのナショナルブランドとして扱われていますが、歴史だけじゃなくて中身も優れているんですよね。改めて優れたブランドなんだな、いいな、って再認識できました。

それに本社周辺のロード環境がものすごくいいですよね。信号がないのは当たり前として、適度なアップダウンが続くからトレーニング環境に優れている。すぐ大きな山もあるし、自転車乗りもすごく多くてプロ選手も2人くらい見かけましたよ。そういう場所に本社があるっていうのは、優れた自転車を開発する上で欠かせませんよね。MTBトレイルも最高だって聞いたし、今度は走ってみたいなあ、って。

雷太さんが評価するのが完成車装備のホイール。実際の走りが軽く、驚いたという photo:So Isobe

それと、Gainそのものも良かったけれど、感動したのが完成車セットアップのホイール。オルベアの自社ブランドであるオークォで培ったエッセンスが入っているんでしょうね。Orcaなどに標準装備されているオークォの良さを思い出させるような回転の良さで、正直想像を遥かに上回りました。あらゆる部分に妥協がないことが見て取れますね。

「オルベアほどユーザーフレンドリーなブランドは他にない」

「オルベアのサービスは本当に手厚い。もっともっと人気が出るはずです」 photo:So Isobe

「オルベアって、ホントにユーザーフレンドリーだなあ、と思いますよ。MyOでカラーやコンポーネントのサイズをアップチャージなしでカスタムできるし、例えばGainならヘッドユニットがスタンダードで付属する。こんな手厚いサービスをしてくれるメーカーは他にありませんよ。国内在庫はありませんが、本国に在庫のあるスタンダードモデルなら、木曜日か金曜日に注文を入れれば週明け月曜日にはショップに届くんです。えっもう来たの!?って驚くレベルですよ。MyOの納期はだいたい2ヶ月ですが、オンライン上でお届け日も分かってしまう。もの凄く購買意欲に繋がる部分だと思いますよ。

オルベアジャパンが立ち上がる少し前からじわじわ人気が出てきましたが、この勢いはまだまだ続くと思います。これからの展開も楽しみですね」。

ショップ紹介:BIKE RANCH


鈴木雷太氏の手掛けるプロショップ「BIKE RANCH」
長野県松本市周辺のサイクリストから支持を集める名店が、今回インプレライダーとして登場頂いた鈴木雷太氏が手掛けるプロショップ「BIKE RANCH」。もちろんハイエンドやレース志向のニーズにも応える技術を備えているが、一番大切にするのがビギナー層だ。自転車を売るだけではなく、ライドや講習会も多数開催し、Eバイクのノウハウは日本トップクラス。頼れて敷居の低いプロショップだ。

〒390-0865 松本市新橋6-16 LIFE STYLE MARKET内
電話:0263-50-6884
営業時間(11月21日~3月20日)
平日:12:00~18:00
週末・休日:11:00~18:00

営業時間(3月21日~11月20日)
平日:12:00~19:00
週末・休日:11:00~19:00
提供:オルベア・ジャパン| text:So Isobe