2021/03/23(火) - 10:55
スペイン北東部のカタルーニャ州を舞台にした第100回ボルタ・ア・カタルーニャが開幕。豪華グランツールメンバーが揃った山岳ステージレース初日に、アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル)がキャリア最大の勝利を掴んだ。
コロナ禍における2020年大会中止を乗り越え、今年記念すべき100回開催を迎えたボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)。バルセロナを州都とし、プロチームの定番冬季合宿地としても知られるカタルーニャ州を駆け巡る1週間のステージレースであり、合計1094.4kmの中では山岳コースの比重が高い。
中級山岳ステージの初日に続き、2日目に20km弱の個人タイムトライアルを、そして第3、第4ステージは超級山岳フィニッシュ、それ以降も起伏激しいステージが続くため、スタートリストには重量級スプリンターの姿はほぼ皆無。今後のグランツールを見据えるオールラウンダーやその山岳アシスト、アルデンヌクラシックを目指す軽量パンチャーたちが開幕地カレーリャに集った。
ゼッケン1を付けるモビスターはバルベルデ、マス、ソレルを揃え、ユンボ・ヴィズマはベネット、クス、クライスヴァイク、ヘーシンク、トルホークを、イネオス・グレナディアーズはポート、Aイェーツ、トーマス、デニス、カラパスをラインナップ。今季別チームとなったアダムとサイモンのイェーツ兄弟は、初めてエース同士として対峙することに。また、昨年台頭したマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)が一足遅いシーズンインを果たしている。
海抜10mのカレーリャから内陸に入り、中盤以降に標高960mの2級山岳ギリー峠と標高1,285mの1級サンタフェ・デル・モンセニー峠(全長12.3km/平均4%)をクリアし、フィニッシュ手前17kmで標高355mの3級山岳を超える第1ステージ。更にフィニッシュ2km以内で小さなアップダウンこなすこの日は、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が逃げ切った2019年初日と同じく、生粋の「逃げ屋」が活発に動いた。
シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル)とナトナエル・ベルハネ(エリトリア、コフィディス)、レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)、ゴツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が逃げ、前半戦をボーラ・ハンスグローエが、そして1級サンタフェ・デル・モンセニー峠に入るとモビスターがペースメイクを担当する。
3度(2009年、2017年、2018年)総合優勝を飾っているバルベルデのためのペースメイクの影ではまずペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が遅れ、逃げグループの中で独走に持ち込んでいたモニケを吸収。そして頂上付近ではクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が遅れていった。
半数近い選手が脱落した状態で標高差1,000mの下りをこなし、3級山岳コルサクレウ峠(全長3km/平均4.3%)へ。ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も加わるアタック合戦が勃発し、その中から加速したルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック)に呼応するようにレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル)、そしてレミ・ロシャス(フランス、コフィディス)が合流する。20km以上を残したアタックを集団は見送った。
一時40秒までリードを広げ、25秒ほどまで詰められつつもなお巡行体制を崩さない先頭4名。メイン集団に重量系ルーラーが残っていないことが影響し、平坦区間に入るとリードは再び拡大傾向に。地中海の海岸線に戻り、細かいアップダウンを越えてもなおタイム差は30秒強を保っていた。
逃げ切りに青信号を燈らせた4名は、牽制状態のままフィニッシュ前に到達し、ロシャスの加速をきっかけにリーダージャージが懸かったステージ優勝争いがスタート。ケムナとロシャスに挟まれ加速できないサンチェスを横目に、大外からクロンが先頭に立つ。2人の間をこじ開けたサンチェンスも届かず、クロンがフィニッシュライン通過後に両手を振り上げた。
「こんなのはクレイジーだ。ただただファンタスティックだよ。9歳で自転車競技を始めてからずっとワールドツアーレースでステージ優勝することを夢見てきた。これまでで最高の景色を見てしまった」よと歓喜するクロンは、デンマークの育成トップチームであるリワル・レディーネスを経て、今年からロット・スーダルに所属する22歳。
「去年のツール・ド・ルクセンブルクでディエゴ・ウリッシを破って勝っていたのでチャンスがあると思っていた。逃げきるために仕事をしながら脚を溜めていたんだ。横風から隠れる絶好のポジションからスプリントすることができた」とレース状況を分析する。「僕やポガチャルは同世代。最後まで戦い抜き、ビッグネームの選手たちを打ち負かせると証明できている。まだまだシーズンは始まったばかりだ」と、白と緑のリーダージャージを受け取ったクロンは話している。
カタルーニャ2日目は起伏を含む18.5kmの個人タイムトライアル。レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)などTTスペシャリストや、ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)などTTを得意とする総合勢がリードを奪うべく準備を整える。
コロナ禍における2020年大会中止を乗り越え、今年記念すべき100回開催を迎えたボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)。バルセロナを州都とし、プロチームの定番冬季合宿地としても知られるカタルーニャ州を駆け巡る1週間のステージレースであり、合計1094.4kmの中では山岳コースの比重が高い。
中級山岳ステージの初日に続き、2日目に20km弱の個人タイムトライアルを、そして第3、第4ステージは超級山岳フィニッシュ、それ以降も起伏激しいステージが続くため、スタートリストには重量級スプリンターの姿はほぼ皆無。今後のグランツールを見据えるオールラウンダーやその山岳アシスト、アルデンヌクラシックを目指す軽量パンチャーたちが開幕地カレーリャに集った。
ゼッケン1を付けるモビスターはバルベルデ、マス、ソレルを揃え、ユンボ・ヴィズマはベネット、クス、クライスヴァイク、ヘーシンク、トルホークを、イネオス・グレナディアーズはポート、Aイェーツ、トーマス、デニス、カラパスをラインナップ。今季別チームとなったアダムとサイモンのイェーツ兄弟は、初めてエース同士として対峙することに。また、昨年台頭したマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)が一足遅いシーズンインを果たしている。
海抜10mのカレーリャから内陸に入り、中盤以降に標高960mの2級山岳ギリー峠と標高1,285mの1級サンタフェ・デル・モンセニー峠(全長12.3km/平均4%)をクリアし、フィニッシュ手前17kmで標高355mの3級山岳を超える第1ステージ。更にフィニッシュ2km以内で小さなアップダウンこなすこの日は、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が逃げ切った2019年初日と同じく、生粋の「逃げ屋」が活発に動いた。
シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル)とナトナエル・ベルハネ(エリトリア、コフィディス)、レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)、ゴツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が逃げ、前半戦をボーラ・ハンスグローエが、そして1級サンタフェ・デル・モンセニー峠に入るとモビスターがペースメイクを担当する。
3度(2009年、2017年、2018年)総合優勝を飾っているバルベルデのためのペースメイクの影ではまずペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が遅れ、逃げグループの中で独走に持ち込んでいたモニケを吸収。そして頂上付近ではクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が遅れていった。
半数近い選手が脱落した状態で標高差1,000mの下りをこなし、3級山岳コルサクレウ峠(全長3km/平均4.3%)へ。ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も加わるアタック合戦が勃発し、その中から加速したルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック)に呼応するようにレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル)、そしてレミ・ロシャス(フランス、コフィディス)が合流する。20km以上を残したアタックを集団は見送った。
一時40秒までリードを広げ、25秒ほどまで詰められつつもなお巡行体制を崩さない先頭4名。メイン集団に重量系ルーラーが残っていないことが影響し、平坦区間に入るとリードは再び拡大傾向に。地中海の海岸線に戻り、細かいアップダウンを越えてもなおタイム差は30秒強を保っていた。
逃げ切りに青信号を燈らせた4名は、牽制状態のままフィニッシュ前に到達し、ロシャスの加速をきっかけにリーダージャージが懸かったステージ優勝争いがスタート。ケムナとロシャスに挟まれ加速できないサンチェスを横目に、大外からクロンが先頭に立つ。2人の間をこじ開けたサンチェンスも届かず、クロンがフィニッシュライン通過後に両手を振り上げた。
「こんなのはクレイジーだ。ただただファンタスティックだよ。9歳で自転車競技を始めてからずっとワールドツアーレースでステージ優勝することを夢見てきた。これまでで最高の景色を見てしまった」よと歓喜するクロンは、デンマークの育成トップチームであるリワル・レディーネスを経て、今年からロット・スーダルに所属する22歳。
「去年のツール・ド・ルクセンブルクでディエゴ・ウリッシを破って勝っていたのでチャンスがあると思っていた。逃げきるために仕事をしながら脚を溜めていたんだ。横風から隠れる絶好のポジションからスプリントすることができた」とレース状況を分析する。「僕やポガチャルは同世代。最後まで戦い抜き、ビッグネームの選手たちを打ち負かせると証明できている。まだまだシーズンは始まったばかりだ」と、白と緑のリーダージャージを受け取ったクロンは話している。
カタルーニャ2日目は起伏を含む18.5kmの個人タイムトライアル。レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)などTTスペシャリストや、ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)などTTを得意とする総合勢がリードを奪うべく準備を整える。
ボルタ・ア・カタルーニャ2021第1ステージ結果
1位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) | 4:20:15 |
2位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | |
3位 | レミ・ロシャス(フランス、コフィディス) | |
4位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、バイクエクスチェンジ) | 0:16 |
6位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
7位 | イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
9位 | アレクサンダー・カンプ(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
10位 | ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーションNIPPO) |
個人総合成績
1位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) | 4:20:05 |
2位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | 0:04 |
3位 | レミ・ロシャス(フランス、コフィディス) | 0:06 |
4位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:10 |
5位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、バイクエクスチェンジ) | 0:26 |
6位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
7位 | イーデ・スヘリンフ(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
9位 | アレクサンダー・カンプ(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
10位 | ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーションNIPPO) |
その他の特別賞
その他の特別賞 | |
ポイント賞 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) |
山岳賞 | シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル) |
ヤングライダー賞 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) |
チーム総合成績 | アスタナ・プレミアテック |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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