2021/03/14(日) - 07:50
標高1,450mのプラーティ・ディ・ティーヴォを最速で駆け上がったのはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だった。ティレーノ〜アドリアティコ第4ステージを終えて2020年のツール覇者が首位浮上。粘ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が35秒差の総合2位につけている。
ティレーノ〜アドリアティコ第4ステージは標高1,450mのプラーティ・ディ・ティーヴォにフィニッシュするクイーンステージ(最難関ステージ)。アペニン山脈を走る本格山岳ステージを締めくくるKOMプラーティ・ディ・ティーヴォは登坂距離14.6km・平均勾配7.0%という今大会最大の難所であり、2012年と2013年以来の登場となる。
獲得標高差2,950mのクイーンステージで逃げたのはバンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ)やマッズ・ウルスシュミット(デンマーク、イスラエル・スタートアップネイション)、2017年にジャパンカップで二冠を達成したマルコ・マルコ・カノラ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ)を含む5名。最大9分まで広がったタイム差を、総合逆転狙いのUAEチームエミレーツとバーレーン・ヴィクトリアスが削り落とした。
超級山岳に設定された残り41km地点のKOMカパネッレ峠クリア時点でタイム差は5分30秒。下り区間をかっ飛ばしたメイン集団は、先頭から4分遅れで最終KOMプラーティ・ディ・ティーヴォの登坂を開始する。先頭ではウルスシュミットが淡々としたペースで独走に持ち込んだが、イネオス・グレナディアーズが隊列を組んでペースを上げるメイン集団とのタイム差は急速に縮まっていった。
イネオス・グレナディアーズのサルヴァトーレ・プッチョ(イタリア)、フィリッポ・ガンナ(イタリア)、ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)、ジョナタン・カストロビエホ(スペイン)が順番に力尽きるまでペースを上げたところから、頂上まで9kmを残してまずはエガン・ベルナル(コロンビア)が動く。ポガチャルらがすかさず反応し、一定ペース走に徹するファンアールトも追いつくと続いてゲラント・トーマス(イギリス)が先行。2度目のアタックでトーマスが抜け出すことに成功した。
登り中腹に設定されたスプリントポイントを先頭ウルスシュミットに続いて2番手通過したトーマスがボーナスタイム2秒を獲得したが、その後方ではポガチャルがライバルたちを振り切る鋭いアタックを決める。ポガチャルはトーマスに追いつくとともにふるい落とし、逃げていた先頭ウルスシュミットをも抜き去り、フィニッシュまで5kmを残して独走を開始した。
すでに総合で2分以上遅れているサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)が単独追走を開始した一方で、ベルナルやミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)、セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーション)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)らはファンアールト率いるメイン集団から抜け出すことができない。逆にベルナルはファンアールトのペースに対応できずに脱落。先に遅れていたトーマスとともにベルナルはタイムを失う結果となった。
追走イェーツはポガチャルの6秒後方にまで詰め寄ったが、追いつくには至らなかった。「登りにおける自身最高のパフォーマンスに近い走りだった」というポガチャルがライバルたちを蹴散らすステージ優勝。イェーツに続いて、残り1kmを切ってから崩壊したメイン集団はイギータとランダを先頭にフィニッシュしている。ファンアールトはライバルたちに先行を許しながらも、ポガチャルから45秒遅れでプラーティ・ディ・ティーヴォを登り切った。
「この調子と勝利に満足。麓からフィニッシュまでずっとハイペースで、タイムを奪う必要があったので早めにアタックした。早めの仕掛けが仇となることもあるけど、成功すれば収穫は大きい。結果的に良い判断だった」。ステージ優勝とボーナスタイム10秒を獲得したポガチャルは総合首位に浮上している。
ファンアールトを20秒差で追いかける立場だったポガチャルが、ファンアールトから35秒差で追われる立場に。「明日から3日間、このアドバンテージを守り切るための戦いが残っている。強いチームに守られているので、この総合リードを守る準備はできている」。UAEツアーに続く今シーズン2度目のUCIワールドツアーレース総合優勝に向けて駒を進めた。
ポガチャルのKOMプラーティ・ディ・ティーヴォ(登坂距離14.6km・平均勾配7.0%)登坂タイムは36分07秒。戦術や気象条件に左右されるものの、2013年にクリストファー・フルーム(イギリス)が記録した最速タイムを実に2分以上縮める走りだった。
ティレーノ〜アドリアティコ第4ステージは標高1,450mのプラーティ・ディ・ティーヴォにフィニッシュするクイーンステージ(最難関ステージ)。アペニン山脈を走る本格山岳ステージを締めくくるKOMプラーティ・ディ・ティーヴォは登坂距離14.6km・平均勾配7.0%という今大会最大の難所であり、2012年と2013年以来の登場となる。
獲得標高差2,950mのクイーンステージで逃げたのはバンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ)やマッズ・ウルスシュミット(デンマーク、イスラエル・スタートアップネイション)、2017年にジャパンカップで二冠を達成したマルコ・マルコ・カノラ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ)を含む5名。最大9分まで広がったタイム差を、総合逆転狙いのUAEチームエミレーツとバーレーン・ヴィクトリアスが削り落とした。
超級山岳に設定された残り41km地点のKOMカパネッレ峠クリア時点でタイム差は5分30秒。下り区間をかっ飛ばしたメイン集団は、先頭から4分遅れで最終KOMプラーティ・ディ・ティーヴォの登坂を開始する。先頭ではウルスシュミットが淡々としたペースで独走に持ち込んだが、イネオス・グレナディアーズが隊列を組んでペースを上げるメイン集団とのタイム差は急速に縮まっていった。
イネオス・グレナディアーズのサルヴァトーレ・プッチョ(イタリア)、フィリッポ・ガンナ(イタリア)、ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)、ジョナタン・カストロビエホ(スペイン)が順番に力尽きるまでペースを上げたところから、頂上まで9kmを残してまずはエガン・ベルナル(コロンビア)が動く。ポガチャルらがすかさず反応し、一定ペース走に徹するファンアールトも追いつくと続いてゲラント・トーマス(イギリス)が先行。2度目のアタックでトーマスが抜け出すことに成功した。
登り中腹に設定されたスプリントポイントを先頭ウルスシュミットに続いて2番手通過したトーマスがボーナスタイム2秒を獲得したが、その後方ではポガチャルがライバルたちを振り切る鋭いアタックを決める。ポガチャルはトーマスに追いつくとともにふるい落とし、逃げていた先頭ウルスシュミットをも抜き去り、フィニッシュまで5kmを残して独走を開始した。
すでに総合で2分以上遅れているサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ)が単独追走を開始した一方で、ベルナルやミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)、セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーション)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)らはファンアールト率いるメイン集団から抜け出すことができない。逆にベルナルはファンアールトのペースに対応できずに脱落。先に遅れていたトーマスとともにベルナルはタイムを失う結果となった。
追走イェーツはポガチャルの6秒後方にまで詰め寄ったが、追いつくには至らなかった。「登りにおける自身最高のパフォーマンスに近い走りだった」というポガチャルがライバルたちを蹴散らすステージ優勝。イェーツに続いて、残り1kmを切ってから崩壊したメイン集団はイギータとランダを先頭にフィニッシュしている。ファンアールトはライバルたちに先行を許しながらも、ポガチャルから45秒遅れでプラーティ・ディ・ティーヴォを登り切った。
「この調子と勝利に満足。麓からフィニッシュまでずっとハイペースで、タイムを奪う必要があったので早めにアタックした。早めの仕掛けが仇となることもあるけど、成功すれば収穫は大きい。結果的に良い判断だった」。ステージ優勝とボーナスタイム10秒を獲得したポガチャルは総合首位に浮上している。
ファンアールトを20秒差で追いかける立場だったポガチャルが、ファンアールトから35秒差で追われる立場に。「明日から3日間、このアドバンテージを守り切るための戦いが残っている。強いチームに守られているので、この総合リードを守る準備はできている」。UAEツアーに続く今シーズン2度目のUCIワールドツアーレース総合優勝に向けて駒を進めた。
ポガチャルのKOMプラーティ・ディ・ティーヴォ(登坂距離14.6km・平均勾配7.0%)登坂タイムは36分07秒。戦術や気象条件に左右されるものの、2013年にクリストファー・フルーム(イギリス)が記録した最速タイムを実に2分以上縮める走りだった。
歴代プラーティ・ディ・ティーヴォ登坂タイム
2021年/1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア) | 0:36:07 |
2021年/9位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー) | 0:36:52 |
2013年/1位 | クリストファー・フルーム(イギリス) | 0:38:23 |
2012年/1位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア) | 0:38:58 |
そして、ライバルたちのアタックに反応することなく、自分のペースでフィニッシュまで踏み抜いたファンアールトも、8年前のフルームより1分30秒以上速い登坂タイムをマークしている。「もう少し長く先頭に食らいつきたかった。他の選手たちの協力を得ることができず、タデイ・ポガチャルが早めに動く展開は自分にとって理想的とは言えなかった。自らペースを刻んで登坂を続けることしかできなかった。その中で最大限の走りができたと思う」。
閉幕まで3日間を残してポガチャルとファンアールトの総合タイム差は35秒。ファンアールトはパンチの効いた激坂が続く丘陵ステージ、大集団スプリントに持ち込まれる平坦ステージ、そして10kmの全開走となる個人タイムトライアルで挽回を狙う。スプリンターでありながら、TTスペシャリストでもありながら、山岳でクライマーと肩を並べる新タイプのオールラウンダーは「タデイとの35秒差は大きいけど、まだ3ステージが残っている。そのうちいくつかは自分向きなので、総合優勝はまだ手の届くところにあると言っていい。レースはまだ終わっていないし、最後までトライし続ける」とコメント。ボーナスタイム(10秒、6秒、4秒)の存在を考えると、ポガチャルのリード35秒は決して十分とは言えない。
閉幕まで3日間を残してポガチャルとファンアールトの総合タイム差は35秒。ファンアールトはパンチの効いた激坂が続く丘陵ステージ、大集団スプリントに持ち込まれる平坦ステージ、そして10kmの全開走となる個人タイムトライアルで挽回を狙う。スプリンターでありながら、TTスペシャリストでもありながら、山岳でクライマーと肩を並べる新タイプのオールラウンダーは「タデイとの35秒差は大きいけど、まだ3ステージが残っている。そのうちいくつかは自分向きなので、総合優勝はまだ手の届くところにあると言っていい。レースはまだ終わっていないし、最後までトライし続ける」とコメント。ボーナスタイム(10秒、6秒、4秒)の存在を考えると、ポガチャルのリード35秒は決して十分とは言えない。
ティレーノ〜アドリアティコ2021第4ステージ結果
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 3:51:24 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | 0:00:06 |
3位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:00:29 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
5位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 0:00:31 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:35 |
7位 | マッテオ・ファッブロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:42 |
8位 | サイモン・カー(イギリス、EFエデュケーション・NIPPO) | |
9位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:45 |
10位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | |
11位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:58 |
12位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
13位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | 0:01:17 |
16位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:01:27 |
DNS | マヌエル・ベレッティ(イタリア、エオーロ・コメタ) |
個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 17:53:21 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:35 |
3位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:00:38 |
5位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 0:00:41 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:45 |
7位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | 0:00:55 |
8位 | サイモン・カー(イギリス、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:01:03 |
9位 | マッテオ・ファッブロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:12 |
10位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:01:25 |
ポイント賞
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 32pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 23pts |
3位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 22pts |
山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 16pts |
2位 | マッズ・ウルスシュミット(デンマーク、イスラエル・スタートアップネイション) | 15pts |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) | 15pts |
ヤングライダー賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 17:53:21 |
2位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:00:35 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:45 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 53:50:30 |
2位 | チームDSM | 0:01:32 |
3位 | ユンボ・ヴィスマ | 0:05:31 |
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse, CorVos
photo:LaPresse, CorVos
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