2020/10/24(土) - 09:43
258kmの今大会最長コースで開催される予定だったジロ・デ・イタリア第19ステージは、降雨と低温、連日の長距離移動と厳しいコース設定に抗議する選手側のボイコットにより距離が124kmに。逃げグループから飛び出したヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)が独走勝利を飾った。
巨大な山岳ステージに挟まれた真っ平らな今大会最長ステージは朝から気温11度ほどの冷たい雨に包まれた。当初は山岳地帯から大都市ミラノの近郊を駆け抜けて、スプマンテの産地アスティを目指す253kmコースが予定されていたが、コース上の工事中の橋を迂回する必要があったため258kmに延長。スプリンターにとってのラストチャンスだけに、大集団スプリントで決すると予想された。
しかし、直近の3日間で合計獲得標高差16,000mの登りをこなし、しかもレース前後に長時間のバス移動を強いられた選手たちからコース短縮を求める声があがる。CPA(プロ選手協会)がチームの多数決の末にコース短縮を主催者側に求め、アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・スーダル)やクリスティアン・サルヴァートCPA代表が中心となって協議が行われた。
一行は一旦モルベーニョの街を離れてスタートしたもののすぐにストップ。そこから選手たちはニュートラル措置としてチームカーやチームバスで134km地点のアッビアーテグラッソまで移動し、予定から大きく遅れて全長124kmの短縮ステージがスタートした。
レース時間およそ2時間半という短距離決戦は開始直後から高速化。シモン・ペロー(スイス、アンドローニジョカトリ・シデルメク)とヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)の3名に追走グループが追いついて、14名の強力な逃げグループが完成した。
逃げグループを形成した14名
ネイサン・ハース(オーストラリア、コフィディス)
マルコ・マティス(ドイツ、コフィディス)
サイモン・クラーク(オーストラリア、EFプロサイクリング)
ラクラン・モートン(オーストラリア、EFプロサイクリング)
アレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)
イーリョ・ケイセ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)
ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)
サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・スーダル)
ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)
アルベルト・トレス(スペイン、モビスター)
エティエンヌ・ファンエンペル(オランダ、ヴィーニザブKTM)
ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)
シモン・ペロー(スイス、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
カンペナールツの他にも、イーリョ・ケイセ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)やアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)という一流のルーラーを含む逃げ。集団スプリントに持ち込みたいボーラ・ハンスグローエがタイム差を押さえ込んだが、最初の1時間を平均51.800km/hで駆け抜けた逃げが徐々にメイン集団を突き放す。やがてステージ中盤にボーラ・ハンスグローエが追走を断念すると、タイム差はぐんぐんと広がり始めた。
翌日の最終山岳ステージを前にリラックスムードに入ったメイン集団に対して、逃げ切りのチャンスを得た先頭グループではステージ優勝に向けたアタックが始まる。残り30kmを切ってからカンペナールツやモートンが攻撃を仕掛けたが抜け出せず、残り23km地点でチェルニーが飛び出すと誰も反応できない。第1ステージの個人TTで6位、第14ステージの個人TTで5位に入っているチェルニーが独走に持ち込んだ。
後方ではカンペナールツとクラーク、モスカ、ケイセ、アルメが追走グループを形成したものの、チェルニーは45秒のリードを持って残り15km。そこからタイム差は縮小に転じたが、チェルニーのペースは最後まで落ちなかった。残り1km地点で追走アタックを仕掛けたカンペナールツを振り切って、チェルニーが雨のアスティに独走フィニッシュした。
カンペナールツが18秒届かずステージ2位に入り、地元ピエモンテ出身のモスカが追走グループの先頭をとってステージ3位。この日は14名が逃げ切り、マリアローザを含むメイン集団は11分43秒遅れでフィニッシュしている。総合上位陣にとっては貴重なリカバリーデーとなった。
「信じられない。夢が叶った。この勝利を家族とチームに捧げたい」。チェコのタイムトライアル王者で、現在27歳のチェルニーがグランツール初勝利。なお、チェルニーは来季の所属先がまだ決まっていない。
「今日は距離変更があったステージとして記憶に残るかもしれないけど、ジロのステージを制して、両手を上げるのは最高の感覚だった。ようやく手にしたステージ優勝を嬉しく思う。逃げを楽しむことができたし、最後は独走という賭けに出たんだ。昨日のステルヴィオのダメージが心配だったけど、最後まで脚は動き続けてくれた」。チェコ出身選手によるステージ優勝者2012年のロマン・クロイツィゲル以来となる。
「ステージ短縮の判断は正しかったと思う。マリアローザ初日をリラックスして走ることができた」と語るのは総合1位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)。「明日はイネオス・グレナディアーズの選手たちの動きに警戒しないといけない。昨日ほど厳しいステージではないけど、全力で挑むことに変わりはない」。
総合1位ケルデルマンに続いてチームメイトのジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)が12秒差の総合2位、そして最大のライバルであるテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が15秒差の総合3位。第20ステージはフランスに入国せず、1級山岳セストリエーレを3回登る全長190km/獲得標高差3,500mの山岳コースが設定されている。
巨大な山岳ステージに挟まれた真っ平らな今大会最長ステージは朝から気温11度ほどの冷たい雨に包まれた。当初は山岳地帯から大都市ミラノの近郊を駆け抜けて、スプマンテの産地アスティを目指す253kmコースが予定されていたが、コース上の工事中の橋を迂回する必要があったため258kmに延長。スプリンターにとってのラストチャンスだけに、大集団スプリントで決すると予想された。
しかし、直近の3日間で合計獲得標高差16,000mの登りをこなし、しかもレース前後に長時間のバス移動を強いられた選手たちからコース短縮を求める声があがる。CPA(プロ選手協会)がチームの多数決の末にコース短縮を主催者側に求め、アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・スーダル)やクリスティアン・サルヴァートCPA代表が中心となって協議が行われた。
一行は一旦モルベーニョの街を離れてスタートしたもののすぐにストップ。そこから選手たちはニュートラル措置としてチームカーやチームバスで134km地点のアッビアーテグラッソまで移動し、予定から大きく遅れて全長124kmの短縮ステージがスタートした。
レース時間およそ2時間半という短距離決戦は開始直後から高速化。シモン・ペロー(スイス、アンドローニジョカトリ・シデルメク)とヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)の3名に追走グループが追いついて、14名の強力な逃げグループが完成した。
逃げグループを形成した14名
ネイサン・ハース(オーストラリア、コフィディス)
マルコ・マティス(ドイツ、コフィディス)
サイモン・クラーク(オーストラリア、EFプロサイクリング)
ラクラン・モートン(オーストラリア、EFプロサイクリング)
アレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)
イーリョ・ケイセ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)
ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)
サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・スーダル)
ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)
アルベルト・トレス(スペイン、モビスター)
エティエンヌ・ファンエンペル(オランダ、ヴィーニザブKTM)
ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)
シモン・ペロー(スイス、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
カンペナールツの他にも、イーリョ・ケイセ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)やアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)という一流のルーラーを含む逃げ。集団スプリントに持ち込みたいボーラ・ハンスグローエがタイム差を押さえ込んだが、最初の1時間を平均51.800km/hで駆け抜けた逃げが徐々にメイン集団を突き放す。やがてステージ中盤にボーラ・ハンスグローエが追走を断念すると、タイム差はぐんぐんと広がり始めた。
翌日の最終山岳ステージを前にリラックスムードに入ったメイン集団に対して、逃げ切りのチャンスを得た先頭グループではステージ優勝に向けたアタックが始まる。残り30kmを切ってからカンペナールツやモートンが攻撃を仕掛けたが抜け出せず、残り23km地点でチェルニーが飛び出すと誰も反応できない。第1ステージの個人TTで6位、第14ステージの個人TTで5位に入っているチェルニーが独走に持ち込んだ。
後方ではカンペナールツとクラーク、モスカ、ケイセ、アルメが追走グループを形成したものの、チェルニーは45秒のリードを持って残り15km。そこからタイム差は縮小に転じたが、チェルニーのペースは最後まで落ちなかった。残り1km地点で追走アタックを仕掛けたカンペナールツを振り切って、チェルニーが雨のアスティに独走フィニッシュした。
カンペナールツが18秒届かずステージ2位に入り、地元ピエモンテ出身のモスカが追走グループの先頭をとってステージ3位。この日は14名が逃げ切り、マリアローザを含むメイン集団は11分43秒遅れでフィニッシュしている。総合上位陣にとっては貴重なリカバリーデーとなった。
「信じられない。夢が叶った。この勝利を家族とチームに捧げたい」。チェコのタイムトライアル王者で、現在27歳のチェルニーがグランツール初勝利。なお、チェルニーは来季の所属先がまだ決まっていない。
「今日は距離変更があったステージとして記憶に残るかもしれないけど、ジロのステージを制して、両手を上げるのは最高の感覚だった。ようやく手にしたステージ優勝を嬉しく思う。逃げを楽しむことができたし、最後は独走という賭けに出たんだ。昨日のステルヴィオのダメージが心配だったけど、最後まで脚は動き続けてくれた」。チェコ出身選手によるステージ優勝者2012年のロマン・クロイツィゲル以来となる。
「ステージ短縮の判断は正しかったと思う。マリアローザ初日をリラックスして走ることができた」と語るのは総合1位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)。「明日はイネオス・グレナディアーズの選手たちの動きに警戒しないといけない。昨日ほど厳しいステージではないけど、全力で挑むことに変わりはない」。
総合1位ケルデルマンに続いてチームメイトのジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)が12秒差の総合2位、そして最大のライバルであるテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が15秒差の総合3位。第20ステージはフランスに入国せず、1級山岳セストリエーレを3回登る全長190km/獲得標高差3,500mの山岳コースが設定されている。
ジロ・デ・イタリア2020第19ステージ結果
1位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) | 2:30:40 |
2位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング) | 0:00:18 |
3位 | ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:00:26 |
4位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFプロサイクリング) | |
5位 | イーリョ・ケイセ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | アルベルト・トレス(スペイン、モビスター) | 0:01:10 |
8位 | シモン・ペロー(スイス、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
9位 | ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | |
10位 | アレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) | |
47位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 0:11:43 |
DNS | マッテオ・スプレアフィコ(イタリア、ヴィーニザブKTM) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 80:29:19 |
2位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:12 |
3位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:15 |
4位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:01:19 |
5位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:16 |
6位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) | 0:03:59 |
7位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:05:40 |
8位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | 0:05:47 |
9位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:06:46 |
10位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:07:28 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 221pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 184pts |
3位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 94pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) | 234pts |
2位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 122pts |
3位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 115pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | 80:29:31 |
2位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:03 |
3位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:04 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 241:35:57 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:23:39 |
3位 | バーレーン・マクラーレン | 0:28:01 |
text:Kei Tsuji
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